江崎グリコ株式会社

十分に時間をかけてターゲット選定やストーリー作成を行い、それをAccount Engagement (旧Pardot)上に実装したことで、高い効果を得ることに成功しました。これからも不断の改善を続けることで、大きな売上につながると期待しています”

江崎グリコ株式会社 第一セールス部 事業開発ユニット 内藤 孝広 氏
 

営業の名刺情報のリスト化だけでは
限界があった商談化率の向上

 創業者である江崎利一氏が父親から薬種業を引き継ぎ、国民の心身の健康に貢献するために「栄養菓子グリコ」を製品化、1922年から大阪・三越での販売を開始した江崎グリコ株式会社。現在では連結従業員数5千人を超え、11拠点・19工場を擁し、売上高3,500億円を超える総合食品メーカーとなっている。菓子、アイスクリーム、飲料、牛乳・乳製品、食品原料、健康、粉ミルクなど幅広い事業を手がけ、海外でも11か国でビジネスを展開。「おいしさと健康」をコーポレートメッセージとして掲げ、「ココロとカラダの健康」の実現に貢献できる製品を提供し続けている。

 同社の製品といえば、創業時からの主力商品となっている「グリコ」や「ビスコ」、戦後に誕生した「アーモンドチョコレート」や「ポッキー」など、消費者にとって身近なものが多い。そのためB2Cビジネスの企業だと思われがちだが、実は企業や組織を対象にしたB2Bビジネスも積極的に手がけている。その1つとして挙げられるのが、グリコ製品を企業キャンペーンなどに活用してもらう「法人ノベルティ」事業である。

 「グリコにはお子様だけではなく、幅広い層の方に喜んでいただける製品ラインアップがありますが、それらを企業様のブランディングや販売促進にご活用いただけます」と説明するのは、江崎グリコ営業本部 事業開発部の内藤 孝広氏。オリジナル名入れノベルティは、グリコ製品ならではの美味しさと安心感で、年間100万個を超える出荷実績があるという。「人気ランキングとしては、プリッツやポッキー、カレー職人のノベルティがトップ3となっており、詰め合わせ商品もご提供しております。用途としては、イベントの景品、PR向け粗品、ご挨拶用の景品といった使われ方が一般的です」。

 アプローチ方法としては、以前は営業担当者が集めてきた名刺情報や、電話による問い合わせ、代理店からの紹介などをExcelでリスト化し、営業担当者が案内状と見本を持参して訪問営業をかけ、新規開拓を行うというスタイルがメインだったという。しかしこの方法では顧客の購買タイミングに合わせた営業活動が難しく、採用に至らないケースも多かった。そのため営業担当者の新規開拓意欲も、なかなか上げにくかったと振り返る。

 

商談化率を高めるため
Account Engagement (旧Pardot)を活用したMAを導入

 このような状況を変えるきっかけとなったのが、セールスフォース・ジャパンによるマーケティングオートメーション(MA)の提案だった。両社は法人ノベルティサービスにおいてWebサイトを有効活用するための考え方や、それを効率的に遂行するAccount Engagement (旧Pardot)を活用した仕組みを提示したのだ。

 「すでに弊社はSalesforceを導入しておりセールスフォース・ジャパンの営業担当者を信頼していたため、このお話を聞き、すぐにでも試したいと思った」と内藤氏。以前はWebサイトからの売上はほとんど得られていなかったが、この新たな仕組みを導入することで、商談化率の高い案件を増やせるのではないかと考えたという。「Account Engagement (旧Pardot)を活用すれば、お客様がどのような会社なのか、購買のタイミングがいつになりそうかなど、様々なことが『見える化』できそうでした。これによってお客様をきちんと理解した上でアプローチすることで、商談化に至る確率も高まるはず。これこそがマーケティングオートメーションの真骨頂だと感じたのです」。

 2016年1月にはAccount Engagement (旧Pardot)活用を前提としたMAの設計に着手。まずは3~4か月かけ、顧客ターゲット像を明確化していった。これによって「ペルソナマトリックス」を作成した上で、「地域毎のエリアNo.1広告代理店」と「中規模IT/ソフトウェア企業」を主要ターゲットにすることに決定。さらに2016年8月からは、各ターゲットのカスタマージャーニーをもとにしたコミュニケーションフローを作成し、それをAccount Engagement (旧Pardot)に実装していったのである。

 これと並行して、ナーチャリングに使用するコンテンツも充実させていった。まず2016年4~6月に「米国IT・ソフトウェア企業に聞く ノベルティ成功談」と「企業名・製品名を継続して覚えているノベルティとは︖」の2本のダウンロード資料を制作。その翌年には「販売促進ノベルティに関するアンケート調査」「来店促進ノベルティに関するアンケート調査」を公開し、2018年7月には「接客・サービスに関するママの心理アンケート調査」をリリースしている。これらに加え顧客事例も制作。現在では13本の事例がWebサイトに掲載されている。

成約率が高いWebからのリード、
営業担当者の姿勢も前向きに

 これらのコンテンツをダウンロードする際には、会社名や氏名、E-mailアドレスの入力が必要になる。これらの情報はAccount Engagement (旧Pardot)で一元管理されリード化されると共に、最初の顧客アプローチである「ダウンロードお礼メール」が送信される。その後あらためて、他のコンテンツへの誘導メールを送信。このコンテンツのダウンロードでは、業種やノベルティ利用時期などの情報を入力してもらう。さらにはリードの業種に対応した事例コンテンツに誘導するメールを送信。事例コンテンツにアクセスしたリードに対しては、その1週間後に商品カタログへ誘導するメールを送信し、これに反応したリードが営業担当者に引き渡されるようになっている。

 「このようなメール配信で気をつけているのは、配信対象を適切に絞ることです」と語るのは、江崎グリコ 営業本部 事業開発部の下浜 一弘氏。頻度の高すぎる配信や、興味に合わない内容の配信は、受信者からの配信停止(オプトアウト)を受ける可能性が高まり、その後のナーチャリングも難しくなってしまうからだという。「またメールの内容も、相手の業種や地域など応じて変えています。ターゲットを絞り込み、適正なフォローメールを行う事で効率的に商談化させていく事に成功しました」。

 このような取り組みの結果、Webサイト経由でのリードの状況を的確に把握できるようになり、Webサイトからのリード流入量や成約金額も増大。現在ではリード全体の1/4がWebサイトからのものだという。

 またWebサイトから流入したリードは、成約率が高いことも大きな特徴だと下浜氏は指摘する。「以前は名刺情報をもとにメールを送っていましたが、開封率や反応率は非常に低く、成約率も非常に低い状況でした。これに対してWebサイトから流入したリードは、シナリオにもとづいたコミュニケーションをAccount Engagement (旧Pardot)のEngagement Studioで実行することで、成約に至りやすい質の高いリードへとナーチャリングできます。このことは営業担当者も認識しており、最近ではAccount Engagement (旧Pardot)から引き渡されたリードに対して、より前向きに取り組むようになっています」。

法人向け備蓄食糧では
問い合わせからの受注率が100%に

 江崎グリコ 営業本部 事業開発部が手がけるビジネスは、法人ノベルティだけではない。これに加えて災害対策用の備蓄食品の提案も行っており、病院や自治会、行政機関のほか、企業でも帰宅困難者対策として採用されるケースが増えているという。

 「備蓄食糧はノベルティに比べてまだビジネス規模が小さいのですが、Webサイトでのお問い合わせは着実に増えています」と内藤氏。そしてこのような問い合わせは、現時点では100%に近い率の受注につながっているという。「以前はこの分野での売上はゼロだったのですが、2016年12月にサイトをリニューアルしてから、毎月十数件のお問い合わせをいただいております。備蓄食糧は定期的な入替需要が発生するため、少しずつ積み上げていくことで法人ビジネスの新たな柱にしていきたいと考えています」。

 もちろんこのようなWebサイトの改善にも、Account Engagement (旧Pardot)で得られたリードの反応に関する情報が生かされている。またメールを配信するときにも、開封率やクリックレートの目標を設定しており、それらがクリアされたか否かを評価した上で、メール内容や配信タイミングの改善につなげているという。

 「十分に時間をかけてターゲット選定やストーリー作成を行い、それをAccount Engagement (旧Pardot)上に実装したことで、高い効果を得ることに成功しました」と内藤氏。施策の結果もすぐにわかるため、改善も容易になったという。「これからも不断の改善を続けることで、マーケティング内容を進化させていきます。これによって継続的に質を向上させることで、最終的には大きな売上につながると期待しています」。

※ 本事例は2019年10月時点の情報です
 
 

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