データドリブンなアプローチでユニークな美容体験を生み出すロレアル
ロレアルが美とテクノロジーを組み合わせて、かつてないほどパーソナライズされた体験をどのように生み出しているかご覧ください。
ロレアルは創業以来、常に最高の美とテクノロジーを組み合わせて、優れた製品とサービスを提供してきました。現在、世界No.1の美容企業となり、全面的なデジタル変革を経て、消費者体験を次のレベルに引き上げています。
ロレアルという社名になる以前から、美容業界の巨人として業界を席巻していました。化学者であり、起業家でもあったあるパリジャンが初の安全な髪染料を発明した1909年が同社の出発点でした。現在、ロレアルはAI(人工知能)を使用してカスタム口紅を作成するスマートデバイス、YSL Rouge Sur Mesure(英語)を実用化し、業界をリードしています。このスマートデバイスは、衣装に合わせて口紅の色合いを補正する機能も搭載しています。
「美しさは個性です」と、CEOのNicolas Hieronimus氏は述べています。「そのため、肌の色、眉の形、髪の色など、個人のニーズに合わせてあらゆるソリューションや製品で対応する必要があります」
ロレアル パリのAge Perfect Midnight Serumから、KérastaseのCurl Manifestoコレクション、YSLのRouge Sur Mesureまで、ロレアルの製品はあらゆる消費者のニーズをカバーしています。しかし、世界の美容市場は変化しています。新たなブランドが絶えず登場し、消費者はより多くのイノベーション、ブランドとのより深いつながり、よりエキサイティングでパーソナライズされた美容体験を求めています。
では、35のグローバルブランドを持ち、年間60億個の製品を販売している世界No.1の美容企業は、何百万ものユニークな美容ジャーニーをどのように大規模にデザインしているのでしょうか?
ロレアルは、美容体験そのものを根本から見直し、「美容テクノロジー」の変革を進めることで、この課題に取り組んでいます。
つまり、テクノロジーを活用し、消費者一人ひとりが自分だけの美しさの可能性を実現できるようにお手伝いしているのです。しかし、完全にパーソナルな体験を提供するには、データのプライバシーを尊重しながら、それぞれのタッチポイントから得られるデータを、消費者一人ひとりの信頼できる唯一の情報源として蓄積する必要があります。そこで、Salesforceの出番です。
ここでは、Hieronimus氏とロレアルのチームがSalesforce Customer 360 を使用して、グローバルなスケールで消費者との深い関係を構築している方法について見ていきましょう。
“私たちは、美に関する非常に貴重なデータを100年以上も蓄積してきました。いわば金鉱脈のようなものです。この宝物を、プライバシーを尊重しながら、究極のビューティー体験に変えていくことが、私たちの願いです。”
Barbara Lavernos氏
美容の未来はデータによって構築される。
1.すべてのやり取りをパーソナライズすることで、消費者との関係を強化する。
ロレアル パリ、メイベリン ニューヨーク、YSLボーテ、ラロッシュ ポゼなどのビッグネームを含む35のブランドは、その消費者と同じくらい多様でユニークです。これらのブランドがもたらす最高の商品を世界中の消費者にお届けするために、ロレアルはそれぞれの消費者の好み、予算、ショッピング習慣に合わせた美容ジャーニーを作成する必要があります。
「新たな消費者を獲得し、その消費者の顧客生涯価値(LTV)を高めることが私たちの成長につながります」とHieronimus氏は述べています。「ロレアルとの接点が生まれるたびに、消費者一人ひとりがロレアルの製品やサービスにご満足いただけるよう努めています」
すべての消費者体験を可能な限り、適切かつパーソナライズされたものにするために、同社はMarketing Cloudを導入し、今では13のブランドに拡大しています。ロレアルは、Marketing Cloud Personalizationを使用して、リアルタイムデータや履歴データから個々の消費者ジャーニーを構築し、Eメールやソーシャルメディアなど、消費者が好んで使用するチャネルを通じて配信します。その結果、消費者がどこで買い物をしても、カスタマイズされたお勧め製品、美容に関するアドバイス、特別オファーを自動的に送信できます。
たとえば、消費者がランコムのモバイルサイトでお肌の診断サービスを利用すると、結果をメールで送信し、カスタマイズされた処方と製品を推奨することでエンゲージメントを保つことができます。電話や緊急のテキストメッセージでショッピングジャーニーが中断されても、エンゲージメントはそこで終わりません。ランコムはJourney Builderを使用して、カート落ちの自動メールを消費者に送信できるため、消費者はショッピングがどこで中断されたか正確に把握できます。
「ショッピングの習慣やSalesforceサービスの利用にもとづいたメッセージを作成することで、進化し続ける複雑な消費者の美容ジャーニーにおいて、消費者のパーソナライゼーション、関連性、満足度を高めることができます」と、最高デジタル&マーケティング責任者のAsmita Dubey氏は述べています。
2.ユニークなショッピング体験で直販収益を拡大する。
ロレアルは、ブランド全体で消費者のエンゲージメントとロイヤルティを高めたいと考えています。この目標を達成するには、まず各消費者に合わせた一貫性のある統合されたショッピング体験を設計する必要があります。
Commerce Cloudは、200を超えるロレアルのD2Cウェブサイトでオンラインショッピングを接続するための基盤となります。Einstein Product Recommendationsは、消費者の閲覧履歴または購入履歴にもとづいて、AIを活用した製品のレコメンデーションを提供します。たとえば、ライトな日焼け止めをカートに追加した場合、Einsteinは決済時にSPFリップバームや保湿剤を推奨します。
「Einsteinを使用しているのは、消費者の買い物傾向を分析できるからです」とDubey氏は述べています。「分析することで、予測的に製品を推奨できます。このテクノロジーにより、当社のB2Cブランドの1つでは、売上の15%から20%を生み出しています」
もちろん、ロレアルがオンラインで分析しているのは買い物傾向だけではありません。キールズなどのブランドは、肌の分析も行っています。
キールズWebサイトの「Healthy Skin Hub」では、Instant Skin Readerを使用して自分にぴったりのスキンケア製品を見つけることができます。Instant Skin Reader(英語)は、AIを使用して顔をスキャンし、肌の種類と状態を特定して、アルゴリズムによりパーソナライズされた次のステップと健康な肌を実現するための適切な製品処方を推奨します。チャットでスキンケアのコンサルタントと話すこともできます。直接相談したい場合は、最寄りのキールズストアに窓口があります。オンラインやオフライン相談にかかわらず、個人データは常に安全です。
Eコマース最新事情
第2回『Eコマース最新事情』レポートをご覧ください。
主な内容:
- オンラインコマースとオフラインコマースのギャップを埋めるエグゼクティブの推奨事項
- 変化する規制におけるファーストパーティデータの役割
- 高まる顧客の期待に対する売り手の対応
10億人の購入者と4,000人以上のリーダーから得た、戦略形成に役立つインサイトをご確認ください。
3.消費者ケアを改善しながら、サービス担当者の満足度を70%向上させる。
以前はオンラインで何百万もの消費者とのやり取りが行われているにもかかわらず、異なるシステムにデータが分散しているため、ロレアルのサービスチームは、消費者が求める究極にパーソナライズされたケアを提供できませんでした。現在はService Cloudを導入し、SMS、チャット、メールなどのブランドやチャネルにまたがるデータを、それぞれの消費者毎に一つのビューに統合しています。サービス担当者は、単一のダッシュボードから、消費者のサービスおよび購入履歴を取得し、注文のステータスを照会して、最新のアクティビティをリアルタイムで確認できます。
たとえば、消費者がオンラインでYSL Rouge Sur Mesureを注文します。このとき、サプライチェーンの問題により、その注文で「処理例外 - 配送の問題」エラーが発生すると、ケースが自動的に作成され、サービス担当者に通知されます。製品と出荷情報がすでにシステムにあるため、サービス担当者は消費者が問題を把握する前に「再出荷」注文を送信できます。その結果、ブランドは商品を顧客にオンタイムで届けることができます。顧客に連絡したり、フォローアップしたりする必要はありません。
従業員体験も改善されました。ロレアルの北米地域では、Einsteinのチャットボットが基本的なケースを担当し、サービス担当者にはメッセージのパーソナライズオプションが提示されます。Einsteinは電子メールのケースも自動的に分類するため、煩雑な作業を減らし、サービス担当者が消費者とつながる時間を増やすことができます。結果として、サービス担当者の満足度スコアは70%向上しています。
4.店舗内でのやり取りを仮想環境で再現し、美容テクノロジーの導入率を336%向上させる。
“テクノロジーは急速に進歩し、私たちは競争に追い立てられています。この新しいテクノロジーの発展とともに、スマートフォンや仮想現実の可能性を目の当たりにしたとき、私たちはその革新に飛び込む必要がありました。”
Nicolas Hieronimus氏
新しいメイクスタイルのために個人的なサポートが必要な場合は、ライブチャットから直接バーチャル美容相談も開始できます。AppExchange(英語)でパートナーアプリのSightCall(英語)を使用することで、同社はロレアル パリのヘアカラーのビデオチャット相談(英語)を実現しています。バーチャルトライオン機能を使用して、さまざまな髪の色を試し、適切な色合いを選択できます。
バーチャル相談サービスを開始して以来、ロレアル パリの染髪料のバーチャルトライオン数は336%増加しています。
5.営業担当者が短い時間でより多くの成果を達成できるように支援することで、B2Bの収益を促進する。
ロレアルは、美容テクノロジーの革新とパーソナライズされた体験を通じて消費者との関係を深めており、もう1つの顧客基盤である美容のプロにも目を向けています。
ロレアルは、B2B Commerce Cloudを使用して、サロンや独立系スタイリストなどのプロの顧客との関係強化を計画しています。美容のプロ向けのワンストップショップとして、高級ヘアマスクから環境に優しいサロンツールまで、顧客へのサービスに必要なすべてのアイテムをバーチャルマーケットプレイスで提供します。
また、ロレアルは小売業者や販売チームとの関係にも投資しています。Consumer Goods Cloudにより、販売担当者は薬局や食料品店などの小売業者向けの製品を確実に在庫し、消費者がいつでも欲しいものを見つけられるように手配できます。
Consumer Goods Cloudは、トレードプロモーションの管理、店舗訪問の計画、現場での店頭実行の最適化、店内タスクの自動化、店舗スタッフのトレーニングにも役立っています。たとえば、店舗に特定のシェードのファンデーションがない場合、訪問した営業担当者は、接続環境にかかわらず、タブレットから直接注文したり、価格設定の妥当性を確認できます。また、顧客一人ひとりのデータの安全性を確保しながら、店舗の業績データを取得して経営陣と内容を検討したり、陳列棚の図を表示したり、他の商品の在庫レベルを確認できます。
6.美容テクノロジーを活用し、より包括的で持続可能な体制を確立する。
ロレアルではイノベーションだけでなく、多様性と包括性もそのDNAに書き込まれています。それを推進力として、同社はさらにパーソナライズされた製品やサービスの構築を進めています。
その一例が、ランコムのLe Teint Particulierというカスタムファンデーションを作成できる店内サービスです。このサービスでは、まず店頭の美容アドバイザーが顔をスキャンします。次に、特許取得済みのアルゴリズムでデータを分析し、理想的なシェードを決定して、20分でパーソナライズされたファンデーションを処方します。シェードに加えて、カバー力と水分量も選択できます。トータルすると、72,000通りの組み合わせが可能です。
ロレアルは、環境負荷を軽減し、気候変動、森林破壊、水不足に対応することで、地球の美化にも取り組んでいます。2021年には、スイスの環境スタートアップであるGjosa社と提携し、水の消費量を60%削減する新技術の「ロレアル プロフェッショナル ウォーター セーバー(英語)」を開発しました。TIME誌の「2021年の発明トップ100」に選ばれたこの特別設計のシャワーヘッドは、水滴の大きさを10分の1に縮小し、圧力を高めてより効率的に髪をすすぐことができます。標準的なすすぎと比較して、水の使用量を60%削減できます。この新しいシステムは今後数年間で1万店のサロンに導入され、毎年数十億リットルの節水が実現できる見込みです。