メディア・バックオフィス
“労働集約型で価格では差別化しにくい弊社のビジネスにおいて、Salesforceで確立した“スピード”と“確実性”は、競合に対する強力な武器になっています。”
国内首位の画像切り抜き代行サービス運営会社
顧客急増で管理業務が限界に達しミスが多発
メディア・バックオフィス
「切り抜きJP」は、印刷・メディア・Eコマースなどの業界を中心に多くのユーザーを獲得している画像切り抜き代行サービスだ。インドに大規模な生産拠点を構え、圧倒的な画像処理のスピードと低コストを実現した「切り抜きJP」は、顧客数1万5000社以上、月間の画像処理点数約40万点という、この分野で国内最大級のサービスとなっている。
とはいえ、今日の地位を築き上げるまでの道のりは決して平坦ではなかった。運営元の株式会社メディア・バックオフィス(東京都千代田区)は、しばしば大きな課題に直面しながらも、そのつどSalesforceの各種製品を巧みに利用してそれを乗り越えてきたのである。
最初に問題となったのは、顧客・商談のデータベースと販売・会計のデータベースとが別個に存在していたため、入力作業が二度手間となり、また請求書発行や入金消し込みの際、人力でデータを突き合わせなければならず、業務量が膨れ上がってしまったこと。もうひとつは、顧客の急増によって細かな要望などの情報を管理しきれなくなり、ミスやクレームが多発したことだ。
危機感を抱いた代表取締役の渡邉堅一郎氏は、2011年、Salesforceの導入を決断する。
「初期費用の安さに加え、目の前の課題だけでなく、将来必ず出てくるであろう問題や実現したいことにも柔軟に対応できるカスタマイズ性の高さに惹かれました」(渡邉氏)
受注管理と伝票管理を一元化し
業務量70%削減、生産性2倍以上
同社は、従来2つのパッケージソフトで別々に行なっていた受注管理と伝票管理を、Sales Cloudとクラウド型プラットフォームForce.comとの連携により一元化。ボタン1つで見積書・納品書・請求書・領収書などの帳票を作成して顧客にメール送信できるようになり、圧倒的な工数削減と顧客対応の高速化に成功した。
また、手作業のため大きな負担となっていた入金の消し込み作業についても、銀行口座のデータをSales Cloudに取り込んで自動的に行えるようになった。結果、受注・伝票管理の業務量は約70%もカットされ、1人当たりの生産性が2倍以上になった、と渡邉氏は喜ぶ。
「Sales Cloudで入金状況を把握して即座に督促できるので、以前は月間 100万円ほどあった入金漏れがほぼゼロになり、キャッシュフローが劇的に改善されました」(渡邉氏)
海外拠点での案件進捗を可視化
納期遵守率が80%から97%に
しかし、同社は2013年、さらなる困難に見舞われる。インド支社で2年かけて開発した生産管理システムが、データベースの肥大化で極度の速度低下に陥り、障害を頻発するようになったのだ。
そこで、Force.comで本社の受注データベースと支社のシステムを統合し、前回の半分以下の期間で新システムを構築。システム障害は皆無になり、インドのスタッフから歓喜の声が上がったという。
Webサイト経由でSales Cloudに登録される受注情報は、自動的にインド支社へ転送され、紐づけられた画像データをダウンロードして処理を行う。各案件の進捗状況は本社側で正確に把握・管理できるため、従来80%前後だった納期の遵守率は97%へと飛躍的に向上した。
「価格では差別化しにくい弊社のビジネスにおいて、Salesforceで確立した“スピード”と“確実性”は強力な武器になっています」(渡邉氏)
導入後5年で売上が3倍に!
Salesforceで新たな道を開拓
さらに同社は2016年、Wave Analyticsを導入。その目的は、1日500~1000件にのぼる注文など、Salesforceに登録された膨大なデータを集計・分析し、経営戦略に活かすこと。まだ本格稼働から日は浅いが、インド支社での生産状況のリアルタイムな可視化や人事管理などに活用し始めている。
Salesforceの効果は、経営上の数字にも如実に現れている。導入前の2011年、約1億2000万円だった売上は、2013年に2億円、2016年には3億5千万円を突破。2017年には4億5000万円に届く見込みだという。
「インド支社でシステムの問題が発生したとき、もしSalesforceがなかったら、売上を伸ばすどころか、事業を続けることすらできなかったかもしれません」。そう語る渡邉氏は、これからもSalesforceを駆使して新たな道を切り拓いていくだろう。