3ブランドそれぞれが価値創造を実現するプラットフォーム構想を描いて
有機野菜を中心とする食品ネットスーパー「Oisix」を運営するオイシックス・ラ・大地は、2017年より自然派食品通販大手「大地を守る会」、2018年には無添加食品や環境に配慮した日用品の宅配業を手がける「らでぃっしゅぼーや」などのブランドを合併・経営統合を進めている。
「より多くの人がよい食生活を楽しめるよう、食に関する社会課題をビジネスの手法で解決する」という理念を掲げる同社。ただし、一口に「食」とはいっても、ユーザーの課題・ニーズは様々だ。たとえばOisixであれば、日々忙しさを増す現代社会において「栄養豊富なおいしい食材を時短で調理したい」というユーザーが多く、大地を守る会では「健康志向」、らでぃっしゅぼーやでは「環境に配慮した、持続可能な社会づくりに貢献したい」というユーザーが多い。
「3ブランドでそれぞれ食に対する社会的課題は異なりますが、基本的なビジネスモデルは同じです。製品の流通管理やマーケティング戦略など、共通化できる部分を共通化して効率化を図りつつ、それぞれのブランドで価値創造を実現するプラットフォームの構築を目指しています」と晋川氏は話してくれた。
「食」に関するカスタマージャーニーを再定義し、
最適なコミュニケーションシナリオを設計
同社は、顧客とのコミュニケーションシナリオ設定・配信を迅速かつ自由に行える点、またメールやLINE、アプリ、SMSなど対応チャネルの多さから、マーケティング・プラットフォームとしてSalesforce Marketing Cloud(以下、Marketing Cloud)とSalesforce Service Cloud(以下、Service Cloud)の採用を決定。2018年3月より、Oisixブランドで本格稼働を開始した。
導入に際し、同社は基本となるカスタマージャーニーを再定義。「献立を考える」「食材を選んで購入する」「届く」「調理する」「食べる」という、一連の食に関わるユーザーの行動を洗い出したうえで、「栄養豊富なおいしい食材を時短で調理したい」というユーザーとのコミュニケーションシナリオを描き出した。
同社の定期宅配の特徴は、おすすめの食材構成が最初からユーザーの注文カゴに入っており、そこからユーザーが自由に入れ替えを行う仕組みだ。注文変更の締め切りまでの間は何度でも品物の出し入れが可能だが、うっかり注文を変更するのを忘れてしまうユーザーも多く、その場合「不要な食材が入っていた」という失望感のため、解約率が3倍に増えることもあったという。
最適なタイミング・チャネルによるコミュニケーションで
解約につながる注文未変更者数を6割削減
これを防ぐため、Marketing Cloudを活用して注文期間の2日前・締め切り日前日・締め切り時間の1〜2時間前までと、きめ細かくプッシュ通知を行った結果、注文未変更者を63%削減し、解約リスクを大幅削減させることに成功。
その際、利用するユーザーごとにメールだけでなくLINEやアプリ、SMSなど4つのコミュニケーションチャネルを併用してリマインドを実施した。さらに同社は、Marketing Cloudに蓄積されたログを分析し、メッセージに対するユーザーの反応を見て、最適なタイミングとチャネルを選び、注文変更を促すことで大きな効果を生み出している。
今後は、Marketing Cloudをさらに活用し、送信したメッセージごとにPDCAを回しさらに良いコミュニケーションを図っていくほか、Service Cloudとの情報連携を行い配送や問い合わせなども含めOisix体験に関わるすべてのジャーニーにまで活用範囲を広げていき、ゆくゆくは他ブランドに成功ノウハウを共有しユーザーとのよりよいリレーションシップ構築を進めていく。