パソナ
“働き方をどんどん進化させていきたい、だからこそイノベーティブな技術で、最新のサービスを提供していきたいと思っています”
クラウド活用で派遣ビジネスのバリューチェーン改革を実現
ライフスタイルに合わせた多様な働き方を支援する人材派遣事業大手のパソナ。働きたい人と最適な人材を求める企業とのマッチングを図ることで、より良い社会の実現に貢献する。 “人を活かすこと”をモットーにする同社の取り組みは市場で高く評価されており、派遣スタッフの満足度調査において 7 回連続 No.1 を獲得している。
一方で改善すべき課題も抱えていた。その 1つが、派遣スタッフが行うエントリー作業だ。「手間と時間を取らせてしまう上、社内での管理業務も煩雑化していました」と同社執行役員 兼 CIO の河野 一氏は語る。
社内体制にも課題があった。最適なマッチングのためには社内の情報連携が不可欠だが、営業担当者は取引先の企業を回るため、終日外で過ごすことが多い。内勤スタッフは営業担当の帰りを待たなければ、最新の案件情報を入手できない。
そこで同社が取り組んだのが、派遣事業のバリューチェーンを改革する「スタッフジャーニーマップ」である。「より最適な仕事をスピーディに紹介することで、仕事への満足度を高め、パソナとの継続的な信頼関係の醸成を目指すものです」と河野氏は説明する。
顧客満足度のさらなる向上から売上拡大へ
スタッフジャーニーマップの実現には、派遣ビジネスを支える新たなシステムが不可欠となる。そのためのソリューションに採用したのが、セールスフォース・ドットコムのクラウドサービスである。
同社の Salesforce 活用は多岐にわたる。まず Community Cloud と Salesforce Platform を活用し、派遣スタッフ向けのポータルサイト「MY PAGE」を構築した。MY PAGE は、いつでも好きな時間・場所から、自宅の PC やスマートフォンを使ってプロフィールや希望の職種を登録することができる。
さらに Service Cloud を使って派遣スタッフからの問合せを一元管理するとともに、派遣スタッフ 1人ひとりとのリレーションを深める基盤には Marketing Cloud を活用。要望や意見をアンケートで迅速に収集・フォローしたり、1人ひとりにあった情報をタイムリーに提供できるようにした。
社内の営業担当者向けには Sales Cloud を活用し、企業から受注した派遣案件をモバイル端末で外出先から即座にアップロードできる仕組みを整備した。入力された派遣案件は、リアルタイムに社内で共有される。内勤スタッフは、MY PAGE の情報と最新の派遣案件をもとに、マッチングの審査などを事前に行うことで、よりスピーディに就業をサポートできる。
さらにパソナグループのパソナテックが運営する仲人型クラウドソーシングサービス「Job-Hub」のプラットフォームには、「Heroku」が利用されている。その理由は、開発のスピーディさと将来を見越した柔軟性。事実、新しい働き方の提案を行っている Job-Hub 自身が常に現在進行形にあり、ユーザの声を元にダイナミックに変化し続けている。柔軟性に富んだ Salesforce のプラットフォームは不可欠なのだ。
このように同社は人材派遣事業の一連のプロセスの大部分を Salesforce で一元化した。「派遣スタッフの契約までのリードタイムは従来の 1/3 に短縮され、派遣事業の売上拡大へとつながっています」と河野氏はメリットを語る。
今後は Salesforce の有効活用をより一層推し進め、派遣スタッフと企業双方のさらなる満足度向上に貢献していく考えだ。