静岡県
“災害で人々が命を落とすことがない世界を目指したい。私どもの防災への取り組みを、是非世界中に広めたいです。”
自らシステムを抱えてしまうと、災害時に重要な情報にアクセスできなくなる恐れが大きい、そのためにクラウドを選択
静岡県は、2011年の東日本大震災前から防災情報システムのクラウド化に向けて動き始めて、同年9月から本稼働させた。導入当時のプロジェクトリーダーだった岩田孝仁氏(現・静岡県危機管理監)にお話を伺った。
「いざ本当に東海地震、南海トラフの巨大地震などの超広域災害が起きたときに、どこでどんなことが起きているのかという被害の状況を、いろいろな機関と共有する必要があります。情報を県庁の中に集めるという仕組みだと、通信回線が途絶えたり、もしサーバに何らかのトラブルが生じた時に、被害の情報を共有することができなくなる。セキュリティ面が十分であれば、むしろサーバを外に置いたほうがいいのではないか、ということで、クラウド化しました」
他のシステムとも連携できて、モバイルでも使える情報共有システムを目指した
Salesforceの防災情報システムとしての利用はユニークとも言える。静岡県危機管理部 の担当者は語る。
「災害時は全県下から沢山の情報が入ってきてアクセスが集中しますが、システムがとまるおそれはありません。つまり、迅速に多くの重要な情報を集めるられるということになります。また、地図連携もさせているので、地図にも瞬時に知りたい情報を反映させられます。災害時に、よりわかりやすく情報を皆で共有することができるということは本当に大きなメリットです。」
モバイル・ファーストと言われる時代、モバイル端末の有効活用も静岡県の防災情報システムの特長である。
「インターネットにつながる環境さえあれば、スマートフォンやタブレット端末またはノートパソコンからでも、機動的に、情報を入手することができます。非常に有効な手段だと思います。」
また、Salesforceは、さまざまなシステム連携が容易で、地図情報をはじめ、公共情報コモンズや道路システムなどのシステムと情報連携も実現しています。
私たちの取り組んできた成果を世界中の人に役立ててほしい
防災への取り組みは、静岡県だけの問題ではない。岩田氏は語る。
「東海地震という巨大な災害を抱えるということを前提として、様々な取り組みをしてきましたが、一つずつその取り組みの成果が今、見えようとしてきています。自然災害や事故で人の命がなくなるということ、これは本当に不幸なことです。そういったことを避けるために、私たちが蓄積してきたノウハウを、是非いろいろな方々に共有していただきたい。
災害で命を落とす、こういった不幸なことがないような世界を作っていきたい。そのために私たちも努力していきたいという風に考えていますね。」
(2014年4月取材)