ローコード開発のセキュリティ対策方法や対策事例、注意点を解説
システムやアプリを開発する過程でコーディングがいらないノーコード、あるいは最小限のコーディングで済むローコード。こういった開発手法において、「セキュリティは大丈夫なのか?」と不安を感じる人は多いかもしれません。
ここでは、ノーコード、ローコードにおけるセキュリティの考え方について解説します。
ノーコード、ローコードでの開発に必要な3つのセキュリティ対策
ノーコード、ローコードのプラットフォームといったクラウドサービスを提供するすべての良心的ベンダーは、確固としたセキュリティ意識を持っています。そして、さまざまな手段を使い、ユーザーとユーザーのビジネスを守ろうとしています。しかし、サービスを利用するユーザー側のセキュリティ意識が十分でなければ、ベンダーの努力も水泡に帰してしまいます。
ですから、ノーコード、ローコードのプラットフォームで開発されたシステムやアプリにおいては、開発者による、次のような3つのセキュリティ対策を行うことが必要です。
<ノーコード、ローコードでの開発に必要な3つのセキュリティ対策>
- ユーザー認証
- アクセス制限・管理
- ログ管理
ユーザー認証
アクセス制限・管理
ログ管理
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たとえば、病院での検査数値が間違っていれば治療方法を誤ることになりますし、工場の生産ラインや自動車に取りつけられた各種センサーが誤作動を起こし、誤ったデータを発信すれば、大事故にも発展しかねないことになります。
可用性
大規模災害が起こり、システムに損害が発生しても、バックアップですぐに復旧できる。そうした体制を用意しておけば、情報資産を守ることができます。
PaaSにおけるセキュリティの2つの特徴
ノーコードやローコード開発ができるプラットフォームは、通常ベンダーからPaaSとして提供されています。ですから、ノーコードやローコードのセキュリティを考える場合は、まずは、PaaSにおけるセキュリティについて知る必要があります。
ここでは、PaaSにおけるセキュリティの2つの特徴を見ていきましょう。
<PaaSにおけるセキュリティの2つの特徴>
- ユーザーが対応すべき範囲が狭くて済む
- オンプレミス以上の安全性が確保されている
ユーザーが対応すべき範囲が狭くて済む
つまり、PaaSを利用している限り、セキュリティにおいてはユーザーが対応する範囲はかなり狭く、それだけ運用上の負荷が軽く済みます。
オンプレミス以上の安全性が確保されている
クラウドサービスが普及する前は、多くの企業が自社内にサーバーを設置する、いわゆるオンプレミス環境を構築していました。その上、万全のセキュリティも確保しなくてはなりませんのでしたから、システム構築と運用には、非常に大きなコストが必要でした。
もちろん、常にシステム全体の監視は欠かせませんが、一企業ができることには限界があります。そのため、大小のインシデントが数多く発生していました。
しかし、PaaSの場合、ベンダー側で強固なセキュリティが組まれ、最新の情報と専門性の高い技術によって、高度な監視体制が整えられています。そのため、PaaSを利用するユーザー企業は、オンプレミス環境を大きく超える安全性を、遥かに安いコストと軽い作業負荷で、手に入れることができるのです。
セールスフォース・ジャパンが行うノーコード、ローコードの4つのセキュリティ対策
ここからは、世界的なクラウドサービスベンダーであり、多くのビジネスツールを市場に提供しているセールスフォース・ジャパンのセキュリティについてご紹介します。
ノーコード、ローコードのプラットフォームを含めて、セールスフォース・ジャパンは特徴的なセキュリティ対策をとっています。
<セールスフォース・ジャパンが行うノーコード、ローコードの4つのセキュリティ対策>
- セキュアコーディングが施されているノーコード、ローコードのコンポーネント
- あらゆるレイヤーでセキュリティを確保
- 外部サービスとの接続部分を監視
- 定期的な安全性チェック
セキュアコーディングが施されているノーコード、ローコードのコンポーネント
ノーコードもローコードも、さまざまな機能を持った小さなプログラム(コンポーネント)を組み合わせることでアプリを作成する開発手法です。セールスフォース・ジャパンでは、このコンポーネントにセキュアコーディングを施しています。
外部からの攻撃を受けつけない堅固なプログラムを書くことを、セキュアコーディングといいます。「攻撃者が不正な入力で攻撃を仕掛けてきても、その内容を厳重にチェックする」「攻撃の脅威を、可能な限り想定しておく」「想定外のデータが入力された場合でも、必ず想定された動作が実行されるようにプログラムを記述する」といったことがセキュアコーディングの基本です。
現状では、市場に流通しているすべてのソフトウェアでセキュアコーディングが実施されているわけではありません。しかし、セキュアコーディングによって構築されたアプリケーションであれば、ノーコードでもローコードでも、不正に対して十分以上の堅牢性を発揮してくれるでしょう。
あらゆるレイヤーでセキュリティを確保
たとえば、ノーコード開発ができる「Salesforce Platform」では、まずはプラットフォーム全体に堅牢なセキュリティ対策を施しています。そうした環境の中で、セキュアコーディングによって記述されたコンポーネントを組み合わせているというわけです。
こうして構築されたソフトウェアは、高度なセキュリティを保つことができ、提供するサービス全体の高い安全性を支えています。
外部サービスとの接続部分を監視
セールスフォース・ジャパンが提供するサービスは、この接続部分を管理し、複数のセキュリティ手法を多角的に組み合わせることで、攻撃に対する強靱な防御力を維持しています。
定期的な安全性チェック
セールスフォース・ジャパンのサービスは、年3回程のアップデートを行っていますが、そのタイミングに合わせ、脆弱性のチェックを実施。手薄な点があれば、すぐに対策を施しています。
つまり、定期的で丁寧な点検と確実な対応が、高い安全性と信頼性の基礎となっているのです。
ノーコード、ローコードのプラットフォーム導入の際にチェックすべき3つのポイント
ノーコード、ローコードのプラットフォームに限らず、運用を開始したシステムやアプリケーションは、安易な変更がしにくいものです。使ってみて気に入らなかったから別のものにすぐ替えるというわけにはいきません。これは、サービスの機能や使い勝手だけでなく、セキュリティについてもいえることです。
クラウドサービスの導入を決め、機能やコストを検討し、いくつかの候補に絞り込む。デモ版で使い勝手を確認して製品を決め、稟議を通して導入。ところが運用開始から数か月程して、重大な脆弱性が発見され、サービスが停止されてしまった…。こんなことになれば、自社の業務が止まってしまいます。すぐに次のサービスを…というわけにもいきません。
こうした事態を避ける意味でも、事前のセキュリティチェックは十分すぎるほど入念に、しっかりと行うようにしてください。
ここからは、ノーコード、ローコードのプラットフォームを導入する際にチェックするべき、セキュリティ上の3つのポイントについて解説します。これらのポイントを基に、ベンダーの選定を行ってください。
<ノーコード、ローコードのプラットフォーム導入の際にチェックすべき3つのポイント>
- セキュリティポリシー
- データの置き場所
- 第三者機関の認証を取得しているか
セキュリティポリシー
ただし、提供されるプラットフォームのセキュリティポリシーが、自社のものと合致していない場合は、そのまま利用することができません。セキュリティポリシーは容易に変えられないものですし、コンプライアンス上の大きな問題になります。この点には特に注意が必要です。
データの置き場所
セキュリティポリシーとも関連することですので、導入前に入念な確認が必要です。
第三者機関の認証を取得しているか
セキュリティ認証を行う専門機関は世界に数多くあり、認証規格もレベルに応じて多種多様です。たとえば、日本政府のセキュリティ要件を満たすISMAP、アメリカ国防総省のセキュリティ要件を満たすDoD IL2など、信頼性の高い認証を取得していれば、それに見合う安全性を確保できると考えていいでしょう。
ノーコード、ローコードのセキュリティを軽視することなく、サービスを使いこなそう
ですが、安心しきっていてはいけません。ハードルの低さとともに、プラットフォームの利用者が注意するべきポイントもあります。それを踏まえた上で、ノーコード、ローコードのプラットフォームを利用すれば、大きな成果を生み出してくれるはずです。
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