BPRとは?業務改善との違いや進め方、成功事例をわかりやすく解説
BPRとは、今ある組織構成における社内制度や業務プロセスなどを見直し、再構築を図ることです。企業が直面する絶え間ない市場の変化と激しい競争に迅速に対応する必要があるため、BPRに注目が集まっています。
しかし「BPRの基礎がわからない」「進め方がわからない」という方も多いのではないでしょうか?
本記事では、BPRの概要やメリット・デメリット、進め方などについて詳しく解説します。BPRに必要な手法や取り組む際の注意点、成功事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
BPRとは組織構成の再構築を図ること

BPRとは、Business Process Re-engineering(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の略語です。日本語に訳すと「業務改革」であり、既存の組織構成から社内制度、業務プロセスなどを見直して再構築を図ることを指します。
企業には理念として掲げた目的があり、長期的な事業戦略や顧客・市場に対する価値の提供など、達成すべき目標があります。目標を達成するための手段として組織が構成され、さまざまな社内制度が作られ、業務プロセスを動かすのが本来の姿であるはずです。
しかし、社内の分業化・専門化が進むと、各部門では個々の責任範囲ばかりが重視されるようになります。会社全体の業務の効率化の意識が希薄になり、業務プロセスの分断化が起きるのです。
各部門内での小さな効率化が、結果的に企業目標達成の手段であるはずの全体業務の非効率化を招いてしまいます。
こうした状況を打破し、全体としての最適化を追求するために行われるのがBPRです。BPRによって、企業は顧客と市場に対する本来の目標を果たすために、最適化された組織へと変貌します。
BPRと業務改善との違い
「業務改革」とも表現されるBPRは、「業務改善」と混同されることもあります。
業務改善とは、現状の業務フローから無理やムダを取り除くことで、さらなる効率化を果たそうとすることです。つまり、現状を肯定し、よりよい状況を目指すものです。
一方の業務改革(BPR)は、必ずしも現状を肯定しません。むしろ疑問視し、あらゆる企業活動を「利益」ではなく「顧客・市場」に立脚し再構築します。
そのため、既存の業務フローが必要なものか考え、問題があれば改善し、不要と判断されれば廃止することもありえます。見方を変えれば、「業務改善はBPRの一環である」ともいえるでしょう。
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BPRとDXとの違い
BPRとデジタルトランスフォーメーション(DX)は、何に焦点をあてて会社を改革していくかという点で違いがあります。BPRは仕事の流れをよくすることに焦点をあて、DXはデジタル技術を使って会社全体を変えることに焦点をあてています。
BPRは、会社の仕事のやり方を一から見直して、よりスムーズに仕事ができるように変えることを目指すのが目的です。日々の業務を効率的にするために、どの仕事をどうやって進めるかを変えることに注目しています。
DXはデジタルの力を使って、会社の全体的なやり方・ビジネスモデルを変えようとするものです。インターネットやコンピュータ技術を使って、会社をもっとよくしようとする大きな変化を目指しています。昨今では、生成AIを活用したDXにも大きな注目が注がれています。
BPRが注目されている理由

技術の進歩や顧客の期待の変化、グローバル化による新たな競争相手の出現など、ビジネス環境は常に変化しています。
急速な変化に対処するため、多くの組織が業務内容を根本から見直し、より効率的で柔軟な運営モデルへと移行する必要があるのです。
BPRが注目を集めている背景として、以下の2つの理由を解説します。
- 少子高齢化によって労働力が減少している
- デジタル化により企業を取り巻く環境が変わってきている
詳しく解説するので参考にしてみてください。
少子高齢化によって労働力が減少している
経済産業省が公表している「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について(P.3)」によると、2050年の日本の総人口はおよそ1億人まで減少すると予測されています。
また、経済産業省が公表する「未来人材ビジョン(P.9)」では、生産年齢人口が2050年には約5,300万人になり、2020年と比較すると約2,000万人も少なくなると公表されています。
働き手である若手人材が減少することで、当然、今までと同じやり方でビジネスを展開するのは困難であり、むしろ業績縮小すると考えられるのです。さらに、グローバル化の影響もあり、企業間での競争も激しくなると予測されます。
今後、労働力が減少するなかでビジネスをより発展させるには、社内制度や業務プロセスといった、組織の抜本的な改革が必要になります。
デジタル化により企業を取り巻く環境が変わってきている
近年、IoTやAI、ビッグデータなどのデジタル技術の急速な進歩により、企業を取り巻く環境は劇的に変化しています。デジタル技術の発展は、企業において業務の効率化だけでなく、新たな顧客体験の創出や、革新的なビジネスモデルの構築を可能にするでしょう。
しかし、デジタル技術を取り入れる際には、既存の組織構成や社内の業務プロセスを見直す必要があります。既存の業務プロセスに対して業務改善ツールやシステムを導入しても、根本的な改善にはならないためです。
従来の業務プロセスを抜本的に見直し、最適な環境で企業のデジタル化を進めるには、BPRが必要になるのです。
BPRに必要な7つの基本姿勢

部門ごとに縦割りにされた組織でBPRを実行すると、大小の混乱が起こることが予測されます。また、実行にあたって、どのような考え方で何を行えばいいのか、判断に迷うことも出てきます。そのため、まずBPRに対する基本的な姿勢を確認しておくことが大切です。
ここでは、株式会社日本能率協会コンサルティングが提唱している、BPRにおける7つの基本姿勢をご紹介します。BPRを実践する際には、これら7つの項目を常に念頭に置き、基本姿勢から外れないように作業を進めていきましょう。
白紙姿勢(ゼロ・リセット)
経営力と現場力の連携
段階的な成果の実現
組織の構造改革は、そう簡単にできるものではありませんし、一度に成果が表れるものでもありません。ですから、短期・中長期に分け、段階的に成果を実現していきます。
現場の成果を経営的な成果につなげ、オペレーションの成果をマネジメントやマーケティング、さらには事業創出へと結びつけるイメージで進めます。
ITの活用
業務面・情報面の基盤整備
人材変革の重視
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業務改革の徹底実施
BPRに取り組むメリット

抜本的な改革であるBPRの具体的なメリットは、以下の4つです。
- 全体レベルでの業務効率化を図れる
- 従業員と顧客の満足度を高められる
- 人件費や材料費などのコストが削減できる
- 意思決定のスピードをアップできる
それぞれ詳しく解説します。
全体レベルでの業務効率化を図れる
BPRを導入することで、各部門を横断した広い視野から業務を見渡せて、企業全体で業務の効率化を図れます。広い視野で業務を見てみることで、不要な業務を見つけることが可能です。
このような不要な業務は、部門ごとの内部検証では発見が困難ですが、この余計な作業が全体の業務にブレーキをかけ、効率化を阻んでいる原因ともなっています。こうした組織構造のボトルネックを見つけ再構築することで、全体業務の流れが効率化できます。
従業員と顧客の満足度を高められる
全体業務が効率化されると、企業の業務の目的と、各部門が手掛ける業務の目的が一致し、個々人のなかで「何のためにこの作業を行うのか」が明確になります。
これは、従業員のモチベーションアップを生み、従業員の意識改革にもつながっていきます。また、具体的な業務の効率化やコスト削減も行われますから、生産性が高まり、満足度の向上も期待できるでしょう。
こうした成果は、それまで以上に高品質な製品やサービスの提供を可能にし、顧客満足度の向上にも役立ちます。
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人件費や材料費などのコストが削減できる
BPRは業務の効率化により、コストの削減ができます。作業の自動化により必要な人員数を減らし、人件費の削減にもつながります。
もっとも効率のよい作業の最適化によって資源のムダ遣いを減らし、在庫コストを削減することも可能です。コスト削減は組織の利益率を向上させ、より競争力のある価格に設定できます。
意思決定のスピードが早くなる
BPRに取り組むことで、従来の複雑な組織構造や煩雑なプロセスの見直しができ、業務のボトルネックを明確にできます。そのため、意思決定に要する時間を大幅に短縮することが可能です。
BPRを通じた意思決定プロセスの改革は、企業の俊敏性と競争力の向上に大きく貢献できるでしょう。
BPRに取り組むデメリット

BPRには、メリットがある一方で以下のようなデメリットもあります。
- 工数と時間の負担がかかる
- 計画・実行に失敗すると大きな損失につながる
- 従業員の混乱を招く恐れがある
それぞれ詳しく解説します。
工数と時間の負担がかかる
BPRを成功させるためには、業務の詳細な分析と再設計が必要となります。問題点の把握や新しいシステムの導入、テストから実装まで、多大な時間と労力がかかるのです。
とくに、組織が大きくて導入までが複雑な場合、作業はさらに困難になります。BPRを実施すると予想以上の時間とリソースを消費するため、計画段階で十分に考慮することが大切です。
計画・実行に失敗すると大きな損失につながる
BPRは組織に大きな変化をもたらすため、計画や実行に失敗すると影響は甚大です。不十分な計画や不適切な設計、または従業員の不平不満により、プロジェクトが失敗に終わることがあります。
失敗は投資した時間と資金の損失だけでなく、業務の混乱や生産性の低下を引き起こす可能性が高いです。最悪の場合、組織の信頼性や市場での競争力にも悪影響を及ぼします。
そのため、リスク管理と変更管理の戦略を事前に確認し、計画的にプロジェクトを進めることが重要です。
従業員の混乱を招く恐れがある
BPRは従業員にとっても大きな変化を意味します。
業務内容の変更は、従業員の日常業務に直接影響を及ぼし、不安や混乱を引き起こす可能性があります。とくに、変更の理由やメリットが十分に伝えられない場合、従業員は新しい業務に対して抵抗感をもつこともあるでしょう。
そのため、変更の初期段階から従業員を巻き込み、コミュニケーションを通じて理解と協力を得ることが大切です。従業員が変更を受け入れ、新しい業務に積極的に参加することで、BPRプロジェクトの成功率を高められます。
BPRが進まない原因

社内の業務プロセスの見直しと改善を行うBPRは、活用次第で大きな成果につながりますが、導入に課題を感じている企業も少なくありません。中小企業庁が公表している「生産性向上の鍵となる業務プロセスの見直し(P.159)」によると、業務の見直しに関して以下のような課題が挙げられています。
- 業務に追われ、業務見直しの時間が取れない
- 取組を主導できる人材が社内にいない
- 取組の目的や目標が上手く設定できない
- 取組を進めるノウハウがない
- 取組の目的や目標が従業員に、伝わらず協力を得られない
- 適切な相談相手がいない・相談料が高い
日々の業務のなかで業務改善を行うには、一度に大きく改善しようとするのではなく、段階的に進めることが大切です。そのためにも、まずはBPRを実施する目的を社内ですり合わせて、業務課題の分析からはじめてみましょう。
BPRの進め方5ステップ

BPRの実施にあたり、どんな手順を踏むかは企業によって異なります。
大きな組織をもち、いくつもの事業を展開するような大企業が一気にBPRを実施してしまうと、混乱が起こったときに収拾がつきません。そのため、BPRの対象とする事業をひとつ選び、成功させたところでそれをモデルとし、他の事業にも適用していくという手順が一般的です。
中規模以下の組織規模の企業の場合は、同様のやり方をとるか、あるいは全社一斉に実施するかのいずれかとなります。 どちらの方法をとるにせよ、経営陣をはじめ、各部門のリーダーによる協力と、従業員の理解が必須です。
ここでは、BPRの実施にあたっての基本的な手順をご紹介します。
1. 基本計画の立案
まずは基本計画を策定します。
社内の一部を対象とする場合には、その対象範囲を確定させます。 また、改革によってどのような成果を目標とするかを設定し、改革後の姿を描き出くことが大切です。「組織」「システム」「人」の3つの領域に分け、それぞれをどのように改革するのか、方針を明確にしておきましょう。
改革の方針を明確にしたあとは、方針に沿った実行シナリオを作成します。
改革すべきテーマには優先順位がありますし、成果が出るまでの期間にも差があるため、それに合わせた実行手順をとらなければなりません。そのほか、改革推進の体制や投下できる予算など、さまざまな事情を勘案しながら、現実的に成功する確率の高いシナリオにまとめましょう。 こうして出来上がった基本計画はトップの承認をとり、改革推進の関係者全員で共有します。
2. 各業務の仕分けと分析
ステップ2では、実際の改革作業をはじめます。
まずは、現在行われている各業務を可視化して、より小さな単位に仕分けます。BPRは組織全体に関わる変革なので、組織全体の業務フローを可視化し、見渡せるようにすることが大切です。
次に、各業務の内容を分析し、優先順位をつけます。社内の各部署では、日々さまざまな業務が行われています。しかし、それぞれの業務を細かく分析していくと、「この業務は何のために行っているんだ?」というものも出てくるでしょう。半ば、慣習のように行われているものもあるかもしれません。
つまり、一連の業務を仕分けして分析することで、各業務の重要度と優先順位が見えてくるのです。
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3. 戦略や方針の策定とビジネスプロセスの設計
各業務の仕分けと分析が完了したあとは、洗い出した現状や課題から、業務プロセスの改善に向けた戦略・方針の策定を行います。
具体的には、以下のような問題を抱える業務の抜本的な見直しが必要です。
- 企業全体の業務の流れを阻害してしまっている業務
- 他部門と重複している業務
- 意思決定のしくみが複雑になってしまっている業務
- 必要ではあるが優先順位が低く、人的リソースを圧迫している業務
業務そのものの改善で対応できれば問題ありませんし、他部門との重複であればいずれか一方を残します。
優先度が低い業務なら、アウトソースを利用するという選択肢もあります。そもそも必要性が低いのであれば、廃止してもいいかもしれません。
ビジネスプロセスの設計においては、不要なプロセスの削除を行い、必要なプロセスがスムーズにつながるかを考えてみましょう。
4.具体的なアクション推進
今後の戦略と方針が決定したら、具体的なアクションを推進します。
アクションを実施するうえで重要なのは、実際に行動する従業員への落とし込みです。経営陣は、従業員に向けてBPRを導入する必要性や目的、ゴールについて説明することが大切です。
BPRの最終的なゴールは現状の大改革になるため、方向性にズレが生じないように、進捗率やアクションの達成率を確認しながら進めましょう。
5. 改革後の定着化と検証
各業務の改革が完了したら、新しい組織構造と、新しい業務プロセスを定着させることも重要です。
人は環境の変化を嫌う傾向がありますから、しばらくは「前のやり方のほうがよかった」という不満が出てくるかもしれません。そうした声を頭ごなしに押さえつけるのではなく、新たな方法の長所を伝え、現場の業務にどのようなメリットが生まれるかを説明していきましょう。
また、改革の効果を検証することも大切です。BPRが完了しても、生産性向上の余地はまだ残っているかもしれません。その際は、継続的にBPRを行うことで、効果をさらに高められます。
BPRを進める7つの手法

組織の変革を実現するためには、以下のような特定の手法や技術が効果的です。
- ERP
- BPO
- CRM
- RPA
- 業務仕分け
- プロセス再設計
- シェアードサービス
上記の手法を適切に組み合わせて使用することで、業務プロセスの効率化やコスト削減が可能になります。それぞれ詳しく解説します。
ERP
ERP(エンタープライズリソースプランニング)とは、会社のさまざまな部門で使われている情報をひとつのシステムで管理する考え方です。
ERPを使うことで、以下にまとめた会社の重要な業務の情報が一元的に管理され、各部門間での情報共有がスムーズになります。
- 販売
- 購買
- 在庫
- 人事
- 財務
ERPを会社に導入するためには、専用のソフトウェアやクラウド型のサービスを利用して、情報をひとつのデータベースに集約します。導入することでリアルタイムでの情報の更新とアクセスが可能になり、意思決定の迅速化や業務の効率化が期待できるでしょう。
また、会社のリソースを最適に配分するための計画を立てるのにも役立ちます。つまり、導入すれば会社の運営がより統合的で効率的になり、競争力の強化につながるのです。
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BPO
BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)は、業務を外部に委託する経営戦略になります。
BPOを活用することで、顧客サービスや財務会計、人事管理などの利益に直結しない補助的な業務全般を効率的に運営することが可能です。
たとえば、財務会計や人事管理を専門業者に委託すれば、専門知識を活用しながらコスト削減と業務の質の向上が期待できます。ほかにも、顧客サービス業務を委託すれば、24時間365日のサポート体制を確立できるでしょう。
とくに、企業が急成長している場合やコアビジネスに集中したい場合にBPOは活用すべきです。BPOを活用することで業務の効率化やコスト削減、サービス品質の向上といった複数の利点を得られ、競争力の強化につながります。
CRM
CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)は、顧客との関係を管理し、強化するための経営戦略です。
CRMの目的は、顧客のニーズや好みに合わせたサービスやコミュニケーションを提供して顧客満足度を高め、長期的な顧客関係を築くことです。
戦略を実施する際には顧客データの収集や分析が重要となり、効率的にデータをとるためにCRMツールが活用されます。CRMツールは、顧客情報の一元管理や顧客とのコミュニケーション履歴の記録など、顧客情報を管理するものです。
ツールにより、企業は顧客に合わせたサービスを提供できるようになり、顧客ロイヤルティの向上やリピート購入の促進が期待できます。CRM戦略とCRMツールの組み合わせにより、企業は顧客データを活用して顧客満足度を高め、売上の増加につなげられるのです。
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RPA
RPA(ロボティックプロセスオートメーション)は、反復的な作業が求められる業務を自動化する技術です。RPAを利用することで人的ミスを減らし、作業の速度と正確性を向上させられます。
RPAを活用することで、労働集約的な業務を効率化し、従業員がより価値の高い作業に集中できます。RPAは、BPRの目標達成を加速し、組織のデジタル化を支援する重要な要素です。
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業務仕分け
業務仕分けは、BPRの初期段階において非常に重要な作業です。企業が実行しているすべての業務を詳細に分析し、それぞれの業務が組織の目標達成にどの程度貢献しているかを評価します。
重要度が低い、または非効率的な業務は削減または外部委託され、より価値の高い業務にリソースが再配分されます。業務の優先順位を明確にし、効率化や生産性向上のための具体的な行動計画を立てることが可能です。
業務仕分けは、組織がリソースをもっとも効果的に活用し、競争優位性を高めるための基盤を築きます。
プロセス再設計
プロセス再設計は、既存の業務プロセスを根本から見直し、より効率的かつ効果的な方法で再構築することを目指す手法です。プロセスの各ステップを詳細に分析し、ムダや問題点を特定します。
その後、特定した問題点を解決するために、まったく新しい方法で設計し直します。プロセスの再設計は顧客満足度の向上や市場での競争力の強化、最終的には企業の収益性の向上に直結するでしょう。
シェアードサービス
シェアードサービスは、効率性とコスト削減を実現するBPRの戦略です。組織内の複数の部門が、共通の業務内容や機能を共有します。
たとえば、人事や財務、ITサポートなどの機能は、シェアードサービスセンターを通じて組織全体で共有されます。その結果、各部門は同じ質の高いサービスをより低いコストで利用可能です。
導入すれば重複する業務を削減し、専門知識の集約を促進し、全体としてのサービスの効率性と品質を向上させられます。
BPRに取り組む際の注意点

BPRに取り組む際には、以下の点に注意しましょう。
- 何を目的として実施するかを明確
- 対象業務を慎重に選定する
- 従業員の理解と協力を得る
- 計画をしっかりと立てる
- 効果測定の結果にもとづいて改善策を検討する
これらの注意点を意識して取り組まないと、時間やコストをかけたのに成果に結びつかなかったり、従業員が前向きに改善に取り組んでくれなかったりします。
それぞれ詳しく解説するので、参考にしてみてください。
BPRを実施する目的を明確にする
BPRを開始する前に、プロジェクトの目的を明確に定義することが重要です。目的が不明確だと、プロジェクトの方向性がぶれやすく、期待される成果を達成することが難しくなります。
目的を明確にすることで、プロジェクトチームは共通の目標に向かって努力でき、プロセス改善の取り組みがより効果的になります。
対象業務を慎重に選定する
BPRを成功させるためには、対象となる業務を選定することが大切です。
すべてのプロセスがBPRの対象となるわけではないため、どのプロセスをBPRの対象とするかで、効果も導入コストも大きく変動します。
選定過程では、現状分析や影響評価、改善の可能性などを総合的に検討します。また、選定時には組織全体に最大の利益をもたらす過程に焦点をあてるべきでしょう。
大雑把に走り出しても従業員からの理解が得られないため、もっとも効果的な改善方法となるのかを慎重に選定しなくてはいけません。
従業員の理解と協力を得る
BPRは組織内の多くの変更を伴うため、従業員の理解と協力が不可欠です。変更に対する不安や抵抗をなくすためには、プロジェクトの目的や変更内容、期待される成果などを従業員にシェアしていく必要があります。
従業員への理解が得られれば、業務負担の軽減やスキルアップの機会提供、職場環境の改善といった利益獲得につながります。そのためにも、情報を透明にして積極的にコミュニケーションをとることが大切です。
従業員が変更の意義を理解し、プロジェクトに積極的に関与することで、BPRの成功率を高められます。
業務改善に必要な詳細な計画を立てる
BPRプロジェクトの成功は、しっかりとした計画にもとづいています。スケジュールやリソース、リスク管理計画など、プロジェクトの各側面を詳細に計画することが重要です。
計画段階での徹底した検討と準備は、プロジェクトの進行中に発生する問題を最小限に抑え、スムーズな実行を支援します。
効果測定の結果にもとづいて改善策を検討する
BPRの取り組みが終了したあと、効果を正確に測定し、結果にもとづいてさらなる改善策を検討することが重要です。効果測定にはコスト削減や生産性向上など、具体的な指標を示します。
測定結果を分析し、目標達成に向けて必要な調整を行うことで、組織の持続的な改善と成長を促進できます。
国内でのBPR導入の成功事例
デジタル業務基盤を構築し生産性の向上を実現|株式会社大林組

大林組は、従来の非定型・個人依存型の業務プロセスを根本から見直し、全社的な業務プロセスの再構築に取り組んでいます。この取り組みの中核として、Salesforceを活用したデジタル業務基盤「BizXBase」を構築し、営業見積から竣工後のアフターサービスまでを一気通貫で管理できるシステムを実現しています。
業務プロセス再構築により、各本支店や部門で異なっていた業務の進め方や情報管理方法が標準化され、全社で一貫したプロセスを確立しました。また、情報を一元管理できたことで、複数システムへの重複入力や紙ベースの承認プロセスが大幅に簡素化でき、ミスの減少と作業効率の向上を実現しています。
Salesforce上で詳細な情報を確認できるようになったことで、情報収集を担っていた企画部門の負担が実質ゼロにできたのです。さらに、年間目標や実績、見込みなどの数値集計が自動化され、リアルタイムに把握できるようになりました。これにより、データに基づいた的確な判断と指示が可能となり、マネジメントの質が向上しています。
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審査業務にかかる時間を約50%削減 |農林水産省

農林水産省は約3,000の行政手続きをオンライン化する「eMAFF」プロジェクトを推進し、業務プロセス改革(BPR)を進めました。取り組みを実施したことにより、審査業務にかかる時間を約50%削減する成果を上げました。
成功の背景には、職員がみずからシステム開発に関わることで、ユーザー体験の向上と業務効率化を実現した点が挙げられます。また、若手職員が積極的に業務見直しに取り組み、組織全体のデジタル化への意識改革が進んだことも大きな要因です。
デジタル化がもたらす業務改革の可能性を示すとともに、職員みずからが改革の主体となることの重要性を教えてくれた事例です。
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AIを用いた組織の再構築も検討してみる

既存の組織構造や業務プロセスの改革を行う際には、AIツールを用いて組織の再構築を行うのもおすすめです。
AIツールであれば、組織改革に必要な時間や手間を減らしつつ、業務効率の改善や少子高齢化社会へ対応した働き方を実現できます。たとえば、AIツールを導入して業務効率を改善しつつ、人材の配置変えや組織体系を柔軟に変革することが可能です。
Salesforceでは、CRMデータの分析を可能としたAI「Einstein」を提供しています。予測AIと生成AIの両方を活用し、顧客データの分析や見込み客のリストアップなどを行えるので、バックオフィスやセールスで大きな力を発揮します。
今後予測される人材不足への対策にもなるので、ぜひ導入を検討してみてください。
BPRを行う際は綿密な計画を立ててからはじめよう
BPRは、業務プロセスや組織構造に対して、一般的な業務改善以上の大規模な変更・再構築を伴います。そのため、BPRを進めていくなかで、混乱が起こることもありますし、やり方によっては期待した効果が出ないことも考えられます。
そうしたことを避けるためには、まず何のためにBPRを行うのか、目的を明確にしておき、目的に沿った形で進めていくことが大切です。十分な準備を整えたうえで、実行に踏み切ってください。
セールスフォース・ジャパンは、BPRに適したカスタマーサービスプラットフォーム「Service Cloud」やSFA/CRMツール「Sales Cloud」を提供しています。DXを実現する組織の作り方も紹介しているため、お気軽にお問い合わせください。
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