DXの定義
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタルテクノロジーを用いて、ビジネスの変化と市場の要求を満たす新しいビジネスプロセスや文化や顧客体験を生み出したり、既存のものを修正したりするプロセスです。DXは、デジタル時代におけるビジネスの見直しと言えます。
DXは、営業、マーケティング、カスタマーサービスなどの既存の枠組みを超えるものです。DXでは、顧客について考え、顧客とのエンゲージメントに集中します。ビジネス管理の手法も紙ベースから表計算ソフトへ、さらにスマートアプリケーションへと移行しましたが、ビジネスモデル、例えば顧客との関わり方も同様に、デジタルテクノロジーの力を得て大きく変貌を遂げようとしています。
起業したばかりの中堅・中小企業は、最初に設定したビジネスプロセスを後になって大きく変える必要はありません。初めから未来対応型の組織作りを実行できます。付箋や手書きの帳簿で21世紀型のビジネスを構築しても、持続可能性は実現できません。デジタルで考え、計画し、構築することで、俊敏さと柔軟性と拡張性の高さを得られます。
多くの企業はDXを進めていく過程で自社の方向性が正しいのかどうかを大局的な視点から検討しています。果たして方向性が正しいのか、そのヒントを本稿でご確認ください。
DXは顧客に始まり顧客に終わる
DXとIT化の違いとは?
DX導入の3つメリット
社会課題へのスピーディーな対応
業務効率化と生産性の向上
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デジタイゼーション、デジタライゼーション、DX(デジタルトランスフォーメーション)の違い
デジタイゼーションとは、アナログからデジタルへの移行
企業が紙の帳簿を使っていたのは、それほど昔のことではありません。手書きの帳簿にしろ、タイプライターで打った文書にしろ、ビジネスデータはアナログでした。情報の収集や共有は、紙、バインダー、コピー、Faxなどの物理的なドキュメントを使って行われていました。
その後、コンピューターが主流になり、大半の企業が手書きのデータからコンピューターのデジタルファイルへの変換を開始しました。これがデジタイゼーションと呼ばれる、アナログからデジタルへの情報変換のプロセスです。
デジタライゼーションでは、デジタルデータを活用して業務を効率化
デジタル化された情報を使って既存の業務プロセスを簡素化、効率化するのが、デジタライゼーションとよばれるプロセスです。この定義においては、「既存の」というワードがポイントです。デジタライゼーションでは、ビジネス手法の変革や新たなビジネスの創出は行われません。ビジネス手法を変えることなく、迅速化と効率化を図るのがデジタライゼーションです。記録保管所のファイルキャビネットを探しまわることなく、データを即座に取得できます。
小売、現場サービス、コールセンターにおけるカスタマーサービスを考えてみましょう。コンピューターを使って顧客レコードをすばやく簡単に取得できるようになったため、サービスが大きく変わりました。カスタマーサービスの基本的な手法は変わりませんが、問い合わせの処理プロセスや、関連データの検索、解決方法の提案が、大幅に効率アップしました。紙の帳簿を探し回らなくても、必要なデータをキーボード操作だけでコンピューターの画面やモバイルデバイスに表示できます。
そしてデジタルテクノロジーが進化するにともない、ビジネステクノロジーを古い業務手法の単なるスピードアップのためだけでなく、まったく新しいやり方で活用するための、さまざまなアイデアが生まれるようになりました。これがDXという概念が具現化され始めた際の状況です。新たなテクノロジーの出現で、新たな物事とそれを行う新しい方法が突如として可能になったのです。
DXは顧客とのあらゆるやり取りに価値を付加
DXはビジネスの手法に変革をもたらしています。そして、まったく新しいビジネス分野を生み出している事例もあります。DXを通じて、社内システムから顧客対応まで、オンラインとオフラインを含めた従来のビジネスの進め方が大局的な視点から再検討されています。企業は「自社のビジネスプロセスを変革することで、より適切な意思決定や、業務効率の革新的な向上、よりパーソナライズされた顧客体験による満足度の向上などを実現するにはどうすればいいか」という大きな問題に取り組んでいます。
現在、私たちはデジタル時代にどっぷりと浸かっています。さまざまなビジネスが、常識を打ち破る、賢くて効果的な方法でテクノロジーを活用する手法を生み出しています。Netflixはその典型です。郵便によるレンタルビデオサービスとしてスタートしたNetflixは、実店舗によるレンタルビデオ事業を破壊しました。その後、デジタルイノベーションが起こり、動画の大規模なストリーミングが可能になりました。現在、Netflixは豊富なコンテンツを圧倒的な低価格でオンデマンド配信することで、既存の放送局や、ケーブルテレビネットワークや制作スタジオなどすべてと競合しています。
デジタル化によって、Netflixはビデオコンテンツを顧客に直接ストリーミング配信できるようになっただけでなく、顧客の視聴習慣や好みについての詳細なデータを得られるようになりました。現在は、そのデータをユーザーエクスペリエンス(UX)の設計から、自社スタジオでのオリジナル番組や映画の製作にまで活用しています。これが、最新テクノロジーの利点を生かして、ビジネスのやり方を変えていったDXの実例です。
真のDXとは何か?その可能性を理解する
DXにおいて重要な点は、自社テクノロジーの潜在的な可能性を理解することにあります。繰り返しになりますが、これは「既存のビジネスプロセスを同じ方法でいかにスピードアップするのか」を解明することではありません。潜在的可能性を理解するとは、「自社のテクノロジーを使って何ができるのか。テクノロジーの威力を最大限に発揮するためには、自社のビジネスやプロセスをどのように適応させていけばいいか」を考えることです。
Netflixが登場する前、消費者は実店舗で借りたいビデオを選んでいました。陳列棚のテープやディスクをあれこれと見て回り、興味をひかれるものを探していたのです。現在では、豊富なデジタルコンテンツが個人のデバイスに表示され、そこにはユーザーの好みに応じたおすすめやレビューが掲載されています。
サブスクリプションベースで、視聴者のテレビやコンピューター、モバイルデバイスにコンテンツを直接ストリーミングするというビジネスモデルは、従来のレンタルビデオビジネスに大きな衝撃を与えました。ストリーミングサービスを開始したNetflixは、このテクノロジーを生かして別のサービスも提供できないかと考えました。それが、AI(人工知能)によるコンテンツ推奨システムのようなイノベーションに結実したのです。自社のIT部門の能力を最大限まで活用することを検討しましょう!
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