コールセンターによく見られる課題とその解決策

 
2023.6.8

コールセンターは、企業のイメージを個々の顧客に直接印象づける重要な接点です。受け答えひとつで顧客に対して良くも悪くも強い印象を与えますから、高いクオリティが求められます。それだけに、多くの課題も抱えています。

ここでは、コールセンターによく見られる課題と、その解決策について解説します。

コールセンターはCRM上、重要なポイント

一般にいわれる「コールセンター」には、2種類あります。
ひとつは、顧客からの問い合わせやクレームを受けるサポートデスク。これは、インバウンド型のコールセンターです。もうひとつは、見込み顧客にアプローチする、アウトバウンド型のコールセンターです。

具体的な業務内容はそれぞれ異なりますが、共通しているのは、 コールセンターが顧客あるいは見込み顧客との直接の接点となり、企業の印象を大きく左右するポイントであるということです。顧客との良好な関係を維持する「CRM」の概念からすると、とても重要な部署ですが、その内側に抱えている課題もいくつかあります。
しかし、それらの課題を解決できれば、顔の見えない電話先の相手に好印象を与え、同時にセールス部門と効率的な連携を果たして、業務をスムーズに回していくことができます。

コールセンターが抱える課題とは?

コールセンターが抱えている課題は、顧客側が感じるものと組織内に存在するものの2種類に分けられます。おもなものを挙げてみましょう。

<顧客側が感じるコールセンターの課題>

  • 電話がつながりにくい
  • つながった後で長く待たされる

<組織内に存在するコールセンターの課題>

  • 優れたオペレーターが少ない
  • 離職率が高い
  • 繁閑の差が大きい
  • セールス部門との連携が非効率的

前者は企業の印象の良し悪しを大きく左右するものですし、後者は業務のクオリティやコスト、作業効率などに関わってきます。

ここではコールセンターが抱えるこれらの課題について、お話ししましょう。

電話がつながりにくい

サポートデスクに電話をかけてもなかなかつながらず、「後程おかけ直しください」といった自動音声が延々と流れる…。これは顧客にとって、大きなイライラのもとです。顧客からすれば、何らかのトラブルや不具合を解決したくて電話をかけているのに、つながりさえしないとなると「どうなっているんだ、この会社は!」と怒鳴りたくもなってしまいます。

一般的に、コールセンターは人手不足になりやすい傾向があるといわれますが、こうした状況が続いていては、企業の評価を下げるばかりです。

つながった後で長く待たされる

「担当におつなぎします」と言われてから顧客が延々と待たされるというのも、コールセンターにありがちなことです。また、複数の担当者をたらい回しにされ、その度に同じ説明を繰り返さなければならないとなれば、どんなに温厚な顧客でもうんざりしてしまうでしょう。

スマートなコールセンターならば、入電と同時に、専用のソフトから顧客情報を開き、問い合わせの内容を聞き出して入力。そのまま適切な部署につなぐことができるはずです。この作業が効率良くできれば、顧客は待たされることもありません。

しかし、オペレーターの質が高くなかったり情報管理が効率的でなかったりすると、長く待たされるという状況になってしまいます。

優れたオペレーターが少ない

コールセンター業務は顔の見えないコミュニケーションですから、声の調子ひとつで相手を安心させたり、反対に不安にさせたりします。こうした違いが、優秀なオペレーターとそうでないオペレーターの違いということもできますが、その違いがあまりに大きいのは問題です。

コールセンターに限らず、企業が行う業務には、一定レベル以上の安定した品質が必要です

「100点満点か60点か、どちらか」というように、オペレーターによるムラがあっては、顧客も安心できません。それよりも、「常に80点」という品質を維持していたほうが、安定感があります。 しかし現実には、優れたオペレーターは少なく、コールセンター業務の品質のばらつきが生まれてしまいます。

離職率が高い

コールセンターのオペレーターは、離職率が高い傾向があります。その要因はいろいろと考えられます。 連日のクレーム電話によるストレス、部署内でのコミュニケーションの不足…。必要な品質レベルがあいまいだったり、オペレーター個人への評価が明確でなかったりするために、組織に対して不安や不信が募り、ある日突然「辞めます」となってしまうこともあるでしょう。 このような状況では、時間をかけて経験を積ませ、優れたオペレーターを育てることができません。そのために優秀なオペレーターが少ないという、悪循環に陥ってしまうのです。

繁閑の差が大きい

月末・月初、曜日、時間帯などによって、コールセンターへの入電数は大きく変化します。オペレーターのキャパシティに対して、入電が多すぎると電話に対応できず、「つながらない!」という状況を招きます。反対に、入電数がキャパシティ以下だと余剰人員が出てしまい、人件費の無駄になってしまいます。

こうした繁閑の差は直接コントロールすることができませんから、過去の数値を基に入電数を予測して人員配置を変えるなど、対応を工夫するしかありません。

セールス部門との連携が非効率的

コールセンターは、セールス部門との密接な連携が欠かせません。これは、インバウンドとアウトバウンド、どちらのタイプのコールセンターにも共通していえることです。

顧客からの入電は、ちょっとした問い合わせや資料請求であっても、その先にクロスセルやアップセルのチャンスが眠っているかもしれません。また、アウトバウンドの場合でも、相手の反応が良ければ、セールス部門からアプローチをかけることができるでしょう。クレームが来た場合は、セールス部門が内容をすぐに把握し、迅速にケアすれば、トラブルの解決によって顧客からの信頼を高めることもできるはずです。

コールセンターとセールス部門の連携が非効率的では、こうしたアクションを起こしにくく、せっかくのチャンスをみすみす逃してしまうことが起こりやすくなります。

コールセンターの課題をどう解決するか?

コールセンターが抱える課題や問題を解決するには、どうすればいいのでしょうか。最適な解決方法は、企業によって異なります。また、コールセンター業務にどれほどの比重を置いているか、どこまでコストを割けるかによっても違ってくるでしょう。

まずは当面の課題を見極め、どのように解決するかを検討してください。

アウトソースへの移行

コールセンター部門を社内に置く「インハウス」から、外部委託へと移行する解決方法があります。 インハウスのコールセンターは、従業員がオペレーターとなるため、自社製品やサービスについての知識が豊富であり、顧客満足度を上げやすいといえます。しかし、人材不足や繁閑の差などの課題を解決するには、アウトソースするのが現実的な解決方法でしょう。

アウトソースを活用すると、人員配置の変更がしやすいという利点があります。繁閑の差を気にしなくて済みますし、大規模なキャンペーンを打つときなど、一時的に増員することもできます。もしも、クオリティに不満があれば、別の会社に乗り換えるという切り替えもできます。 なお、これまでインハウスで運営していた場合には、設備はそのまま社内に残し、オペレーターだけをアウトソースするケースもあります。また、平日はインハウスで対応し、夜間や休日だけアウトソースを使うということも可能です。こうした柔軟さがアウトソースの魅力でしょう。

チャットボットを使う

チャットボットとは、チャットでの問い合わせに対してAIが自動応答するシステムを指します。 現在でも電話が主流のコールセンター業務ですが、企業と顧客との接点が増えるとともに、電話での会話だけでなくメールやチャットによる問い合わせが増えています。チャットボットはこうしたニーズに応えるとともに、いくつかのメリットを生み出しています。

まず、ボットによってチャットでの問い合わせに対する回答を完全に自動化していますから、24時間の対応が可能です。多くはクラウドサービスとして提供されていますから、企業にとっては導入しやすいというのも利点です。

ただし現状では、チャットボットは複雑な質問や問い合わせに対して、完全に回答することはできません。そのため、オペレーターとの併用は不可欠です。

人間にしかできない難しい対応はオペレーターが直接対応し、簡単な質問にはチャットボットが答えるという業務の棲み分けができれば、コールセンターの人手不足の解決に役立つでしょう。

CTIを活用する

CTI(Computer Telephony Integration)とは、コールセンター業務に欠かせない、電話やFAXとPCを連携させたシステムです。大企業やコールセンターサービス会社などでは、自前で作成したCTIを使用しているところもあります。

CTIでは、顧客から入電すると、その電話番号に紐づけられた顧客情報が目の前のモニターに瞬時に表示されます。そのため、「お調べいたします」と相手を待たせることがありません。また、担当部署に電話をつなぐ場合にも、必要な顧客情報をそのまま受け渡すことができます。電話をかけてきた顧客に、「同じ話を何度も繰り返す」ということをさせずに済むのです。 コールセンター業務を通じて顧客満足度を高めるには、とても有益なツールだといえます。

多くの課題を解決するCTIインテグレーション

コールセンター業務に不可欠なCTI。これを、CRMの機能の一部として組み込んだものが「Salesforce」です。

Salesforceには、顧客対応支援機能として「CTIインテグレーション」が搭載されています。これによってコールセンターとCRMを連携させ、その結果として次に挙げるようなメリットを生み出すことができるのです。

作業負荷を軽減し時間も短縮できる

CTIには、個々のオペレーターの稼働状況を認識し、それによって入電を振り分ける機能があります。そのため、オペレーター間の業務量の差を均等化して、重すぎる作業負荷を軽減できます。 また、CRMとの連携によって、オペレーターは必要な顧客情報にすばやくアクセスできますから、顧客のどんな問い合わせに対しても、これまでの経緯を踏まえた上での対応を迅速にとることが可能です。顧客からの質問に対して、別の部署に問い合わせたり、過去の履歴を探したりといった手間と時間が不要になりますから、全体の作業時間も短縮することができます。

ユーザーエクスペリエンスが向上する

オペレーターが顧客の質問を正しくくみ取り、迅速かつ的確に答えてくれる。これは、コールセンター業務の基本ですが、CTIとCRMが直結すれば、オペレーターは必要な情報に瞬時にアクセスできます。顧客からの電話がコールセンターにつながったとき、すでにオペレーターの目の前には、CRMに蓄積された顧客の名前や購入履歴、これまでの問い合わせ・クレームの内容といった情報が出ているのです。

瞬時に必要な情報が見渡せるこの環境のもとで顧客と応対すれば、顧客は「自分のことをちゃんと知ってくれている」と感じます。これは、ユーザーエクスペリエンスの向上であり、大きな顧客満足へとつながります。

営業部門との即時連携が可能

CTIとCRMの連携は、コールセンター部門とセールス部門の連携ということです。コールセンターに集まった問い合わせやクレーム、要望などは、オペレーターの手でCTIに入力され、そのままCRMにリアルタイムで反映されます。緊急度の高い案件であればセールス部門が即時対応することができますし、それによってますます顧客満足度を高めることができるでしょう。 CTIとCRMの組み合わせは、顧客満足度の向上という共通の目的のために、部門を超えた連携を可能にするのです。

部門間の連携がコールセンターの成果向上のカギに!

コールセンターが抱える課題のすべてを解決することは、簡単ではありません。しかし、そのいくつかを解消すれば、業務は大きく改善され、ユーザーエクスペリエンスとともに顧客満足度の向上に役立ちます。

さらに、ツールの連携によって部門を超えた連携ができれば、最小限の手間と時間で、より大きな成果を手にすることもできるはずです。

 

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