CRMの選び方!選定ポイントと導入前の確認事項を紹介
顧客管理ツールとして導入する企業が増えつつあるCRM。しかし、実際に導入するとなると、どの製品を選べば良いのか迷ってしまう…ということも少なくないようです。
ここでは、後悔することのないよう、自社に合った製品を見極める「CRMの選び方のポイント」についてご紹介します。
CRMを選ぶ際のポイント
CRMはMAやSFAと同じく、導入によってそれまでのワークフローに変化を及ぼします。それだけに、製品の選定には十分な時間と手間をかけ、自社にフィットしたものを選びたいところです。
では、どのような点に注目して選べばいいのか、重要なポイントとなる箇所を挙げていきましょう。
必要な機能が備わっているか?
ただし、それ以外にどんな機能が搭載されているか、それは製品ごとに違います。
あるものは機能を絞り込み、その分手軽さや低コストを追究していますし、別のものは幅広い機能を用意して、組織の成長や用途の拡大にも容易に対応できるように作られています。AIを活用することで、専門家の手を借りなくても詳細なデータ分析を可能にしたものもあります。
機能の多寡はコストとも関連しますから、単純に「CRMは多機能・高機能であるほどいい」とはいえません。しかし導入後、長く使い続けることを考えれば、コンパクトにまとまった製品よりも、幅広い機能を備えたものを選んだほうが得策といえるでしょう。
操作性はいいか?
「よく使う機能にアクセスするのに手間がかかる」「表示が見にくい」といった些細なことでも、毎日使っているうちに大きなストレスになってしまうもの。
ですから、導入候補の製品をいくつかに絞り込めたら、導入予定部署の数人でデモ版を使ってみて、比較・検討してみるといいでしょう。
他ツールとの連携やカスタマイズ性は十分か?
たとえば、ヘルプデスクなどで使われる、CTI(電話統合システム)とCRMを連携させるとどうでしょう。ヘルプデスクに顧客から電話がかかってくると、その発信番号からCRM内の顧客情報が呼び出され、オペレーターが電話に出るときには、すでに目の前のモニターに顧客情報が映し出されています。ですから、電話口であれこれ質問をすることもなく、短時間で効率的なテレフォンサポートができます。
実店舗のPOSレジと連携させれば、顧客の購入情報がCRMに直接取り込まれ、データが更新されます。自社に関連する顧客の行動すべてを、CRMで一元管理できるようになるのです。
セキュリティ対策は十分か?
クラウドサービスを提供するベンダーにとって、セキュリティはまさに自社の命綱です。そのため、すべてのベンダーがそれぞれにコストを投下し、セキュアな環境を用意しています。
もちろん、そのレベルは当然ながら一定ではなく、ベンダーによって差はあります。しかし、信頼できるベンダーならば、自社サービスのセキュリティ状況について可能な範囲で情報を開示し、不正アクセスやフィッシングに対してどのような対策を講じているかを公開しています。
CRMは、大切な顧客の情報を預かることになるものですから、万一のことがあってはいけません。万全の環境を整えているベンダーを選ぶようにしたいものです。
サポート体制は万全か?
スマートフォンを別機種に乗り換えたり、新しいツールを入れたりすると、使い慣れるまで少々時間がかかるものです。CRMとなると、それまでのワークフローにも変化が生じますから、導入時はもちろん、安定した運用ができるようになるまでには、「どうすればいいんだ?」と右往左往することもあるでしょう。
そんなとき、ベンダー側の手厚いサポートがあれば安心です。導入時にありがちなミスや間違い、起こりやすいトラブルなどを事前に知っておけば慌てることはありませんし、何か起こっても電話やチャットですばやく解決できれば、大きな問題にならずに済みます。また、他社の導入事例を参照できれば、大いに参考にできるでしょう。
こうしたベンダー側のサポートはあまり目立たないものではありますが、とても頼りになる存在です。
導入前に自社の体制を確認しておこう
そうしたことのないよう、導入のための準備もしっかり整えておきましょう。
導入の目的が明確であるか?
まずは、CRMを導入する目的を明確にしておきましょう。これは、会社の経営課題ともリンクすることです。
たとえば、「リピーターを増やし、LTV(顧客生涯価値)を増大させたい」という目的があるならば、その目的のためにCRMをどう使うか、ということになります。
- 顧客との関係性を高めたい
- 顧客満足度を上げ、単価の向上につなげたい
- CRMを使うことで営業業務を効率化し、空いた人的リソースをカスタマーサクセスに振り分けたい
このような「CRMを使う目的」を明らかにし、関係者間で共有しておくのです。
導入目的が明確なら、それにふさわしい製品を選択できます。場合によってはCRMではなく、SFAやMAなどのツールのほうがいいということもあるでしょう。自社の経営課題に対してCRMが最適解なのかを確認する意味でも、重要なポイントです。
また、目的が明確なら、全員が共通の認識のもとで運用することができます。ここが曖昧なままでは、「何のためにこのツールを使うのか」がぼやけ、十分な活用ができなくなるおそれがありますから注意が必要です。
導入体制はできているか?
前項とも関連しますが、何のためにCRMを使うのか、それによって何がどう変わるのかということを、関係者全員が理解し、納得しておくことが大切です。導入によって、現場のワークフローは変化しますし、各メンバーが管理していた個々の情報がすべてオープンになるのですから、程度の差こそあれ、現場の抵抗感はぬぐえないでしょう。
ですから、現場のマネージャーはもちろん、企業規模によっては経営陣も先頭に立ち、CRMの導入・運用にコミットしましょう。導入・運用のプロジェクトチームを作るのも有効ですし、そこにマネージャーが関与すれば、他部門への橋渡しや経営陣への交渉などもしやすくなります。
こうして体制を整え、関係者一同が意識を統一しておくことが、スムーズな導入・運用につながります。
予算は十分か?
CRMの多くはクラウドサービスとして提供されており、その場合は1ユーザーあたりの月額料金というサブスクリプション型の料金体系がとられています。イニシャルコストは無料というものが多いため、直接的な導入コストはほとんどかかりません。
ただし、何人規模でスタートするかによって月あたりのコストが変わりますから、まずは部内の1チームでスモールスタートを切ってみて、運用ノウハウを得たところで部内全員に広げるという方法もいいでしょう。
製品によっては、オプションやアドオン機能が豊富に用意されているものもあります。これらの機能を追加していくと料金も積み上がっていきますから、自社に何が必要か、どれほどの予算を用意できるか、バランスを見ながら選定していきましょう。
また、データの分析をシステムアナリストに依頼すれば、直接的なコストが発生しますし、社内で行うにしても、そこには人件費がかかっています。そうした点も加味して判断してください。
CRMの基本機能
一貫した顧客対応ができる機能
問い合わせやクレームの電話を入れたとき、あちこちの部署をたらい回しにされ、その度に「お名前をどうぞ」を繰り返されることに、顧客は我慢できません。「もういいや」とばかりに、電話を切りたくなってしまうでしょう。このような状態では、せっかくの顧客を逃がしてしまいます。
それを防ぐには、顧客の要望に応えること、つまりあらゆる接点で一貫した対応がとれる体制を整えておくことが重要であり、それを実現できる機能は必須となります。
さまざまな場面で顧客情報の共有・活用ができる機能
企業と顧客とは、さまざまな接点を持っています。自社製品が最初に顧客の目にふれるのはウェブや屋内外の広告でしょうし、顧客が興味を持てばオフィシャルサイトを訪問して情報を得ようとするでしょう。機能や仕様について不明点があればメールで問い合わせるはずですし、カスタマーサポートへ電話するかもしれません。
そして、購入を検討する段階になれば、デモ版を使ってみたり見積書を取り寄せてみたりするはずです。そして購入した後も、使い方の確認やトラブルのクレームなど、電話やメールでやりとりを行います。
このように、企業と顧客はさまざまな形で何度も接触しています。その接点となるのはコールセンターであったりセールス部門であったり、テクニカルサポートであったりヘルプデスクであったりします。
しかし、多くの顧客は企業に対して、たとえ異なる部署であっても、自分に対して同じような対応をしてほしいと考えています。
こうした顧客の要求に応えるためには、顧客情報を入力し、一元管理するだけは不十分です。広告やマーケティング、カスタマーサポート、実店舗など、すべての接点で情報を共有・活用できる体制が必要であり、そうしたことができるように、連携・拡張機能を備えたCRMが求められるというわけです。
CRM導入で失敗しないために
どの製品を使うか、社内の準備は整っているか。これは、CRMの導入にあたり、とても大切なことです。しかし、万全を期すのであれば、「どんなところで失敗しやすいか」をあらかじめ知っておくといいでしょう。また、ベンダーからのサポートやユーザーコミュニティの情報があれば、大いに参考になるはずです。
組織の構成や規模、ワークフローなど、自社に近い事例を探して運用事例をチェックしておけば、ありがちな失敗を避けられ、スムーズな導入と定着を果たせるでしょう。
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それらのポイントを踏まえた上でCRMを導入し、その効力を存分に発揮させてください。
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