CRMのシナリオとは?設計方法や意識すべき4つのポイントを解説

投稿日:2023.12.26
CRMは、顧客との良好な関係を築き、維持するためのものです。シナリオを活用することで、その効果をさらに高め、成果につなげることが可能です。

ここでは、CRMにおけるシナリオの役割や作り方のほか、必要となる分析法について解説します。

CRMはシナリオを活用して、最大の成果を狙おう

CRMのシナリオ設計とは、「誰に対してどのようなアプローチをかけていくか」を設定したもの

ビジネスシーン、特にマーケティングの領域においては、「誰に対してどのようなアプローチをかけていくか」を設定したものがシナリオと呼ばれています。

たとえば、MA(マーケティングオートメーション)には、顧客ひとりひとりの状況や行動に合わせて、メールを自動送信する機能があります。ウェブサイトで商品を購入すると送られてくるサンキューメールや、誕生月に届くバースデーメールなどは、この機能を使って送信されていますが、これらのメールでは、その内容や送信のタイミングが、すべてシナリオで設定されています。

CRMにおいても、考え方は同じです。蓄積された顧客の属性情報や行動履歴を分析し、どのような顧客にどんなアプローチをかけていくかを決めておく。それが、CRMにおけるシナリオ設計です。

 
 

CRMの効果を最大化させる4つのカギ

 
ビジネスプロセスをつなぐ要としてCRMを活用し、以下のような未来を現実にするためのヒントを得ましょう。
  • 自動化を取り入れて、従業員をルーティン作業から解放し、重要度の高い業務に専念
  • CRMの活用で従業員が部署の垣根を超えてつながり、顧客理解の解像度を高める
  • データの統合で無駄を省いた効率性の高いビジネスプロセスを実現
  • 顧客データの可視化でビジネスポテンシャルの高いエリアに注力

CRMにおけるシナリオの4つのプロセス

CRMにおけるシナリオの4つのプロセス

CRMのシナリオは、顧客の状況やニーズに合わせて、最適なコミュニケーションをとるために作成するものです。これからご紹介する4つのプロセスを経て、自社ブランドや自社製品・サービスのファンになってもらうというのが、CRMにおけるシナリオの目的です。

<4つのプロセス>

  1. 製品・サービスへの理解を促進する
  2. 製品・サービスを使うメリットを訴求する
  3. 製品・サービスの継続使用を促進する
  4. 自社ブランドへのエンゲージメントを高める

1. 製品・サービスへの理解を促進する

どのような製品・サービスにも、競合が存在します。それらの競合にはそれぞれに特徴があり、どれがベストなのかは顧客によって違います。コストを優先する人もいれば、機能性を重視する人もいるからです。

ですから、自社の製品・サービスにどのような特徴があり、競合と比較して何が優れているのか顧客に理解してもらうことが、販売促進につながります。

2. 製品・サービスを使うメリットを訴求する

自社の製品・サービスを理解してもらったら、それによってどのようなメリットが得られるのかを訴求します。ダイエット食品であれば、短期間で効果が出ることがユーザーのメリットになりますし、健康食品ならば、長く使い続けられるコストパフォーマンスがメリットになるでしょう。

このプロセスで、顧客が得られるメリットと、それを最大化するための方法や使い方を、しっかり訴求していきます。

3. 製品・サービスの継続使用を促進する

製品・サービスを理解させ、それによって得られるメリットとそのための方法を知ってもらったら、今度は継続使用を促していきます。つまり、顧客のリピーター化を促すのです。

このプロセスでは、購買単価や購買頻度などによって、顧客をグループ分けしておくのがポイントです。購買頻度は低いけれども単価が高い顧客と、単価は低いけれども頻繁に購入してくれる顧客。それぞれに適したアプローチを行い、継続使用を促します。

4. 自社ブランドへのエンゲージメントを高める

最後のプロセスでは、自社の製品・サービスを長く使い続けてもらう中で、自社のポリシーやブランドの理念、製品・サービスに対する考え方などを理解してもらいます。エンゲージメントを高めるための、最終段階です。この段階を通じて、顧客が「このブランドでなければいけない」と考える、つまり顧客が自社ブランドや自社製品・サービスのファンになってくれれば成功といえます。

CRMのシナリオ作成で意識しておくべき4つのポイント

CRMのシナリオ作成で意識しておくべきポイント

CRMのシナリオは、ポイントを押さえずに作ってしまうと、期待した成果が得られないということにもなりかねません。続いては、CRMのシナリオ作成で意識しておくべきポイントを説明します。

<意識すべき4つのポイント>

  • セグメント:対象は誰か
  • タイミング:いつアプローチするか
  • メッセージ:何を伝えるのか
  • アプローチ方法:どのチャネルを使うか

セグメント:対象は誰か

まず、誰に対してアプローチするのか、ターゲットとなるセグメントを決めます。これは、施策の目的と直結しています。

リピーターの育成を図りたいなら、新規に購入してくれた顧客が対象になります。LTV(顧客生涯価値)の増大を狙うなら、すでにリピーターとなっている顧客、あるいは過去に購入履歴のある休眠顧客がターゲットとなるでしょう。特定の商品をプッシュしたいのなら、その商品の特徴に合わせ、性別や年代、居住地域など、顧客の属性から対象となるグループを抽出することになります。

蓄積したデータを丁寧に分析し、最適なセグメントを決めるよう心掛けてください。

タイミング:いつアプローチするか

顧客へのアプローチでは、タイミングが重要です。商品購入の直後にサンキューメールを送信したり、数日経ったところでフォローのメールを送ったりすることもあります。誕生月に合わせてクーポンや優待の案内を送り、リピートを狙うというのもよく使われる方法です。

このアプローチのタイミングと頻度は、CRMでは重要な要素です。ほんの少しタイミングがずれると顧客が離れてしまったり、反応してくれなくなったりしますし、頻度が高すぎるとわずらわしく感じられ、登録を解除されやすくなります。試行錯誤を繰り返しながら、最適なタイミングと頻度を摸索してください。

メッセージ:何を伝えるのか

相手にどんなメッセージを伝えるか。これは、セグメントとタイミングにも深く関係する重要な要素です。顧客からすれば、自分の興味のない情報が送られてきても、邪魔なばかりです。これでは、成果が上がらないどころか、逆効果にもなりかねません。

新規の顧客に対しては、自社の製品やサービスを幅広く紹介して理解を深めてもらい、リピーターには関連商品や新しいモデルを案内する。このように、顧客の属性と行動、心理状態にフィットした、最適なメッセージを送ることが大切です。

アプローチ方法:どのチャネルを使うか

メッセージをタイミング良く、確実に顧客に届けるためには、アプローチの方法、つまり、どのチャネルを使うかという点も見逃せません。メールでのやりとりやウェブサイトを使ったものが一般的ですが、アプリやSNS、さらに電話やダイレクトメールという方法もあります。

どのチャネルが適しているかは、ターゲットの年齢層や生活スタイル、好みによって違います。メッセージの内容によっても変わってくるでしょう。タイムセールのお知らせや臨時休業の告知などは、SNSやアプリを経由したほうがいいでしょうし、新製品の紹介など、多くの情報を伝えたいときには、メールやダイレクトメールの郵送が適しているかもしれません。

セグメントとメッセージの内容に合わせてチャネルを選ぶことで、より効果的なアプローチができます。

シナリオ設計には、明確な根拠が必要

シナリオ設計には、明確な根拠が必要
シナリオを設計するためには、その「拠り所」が必要です。どのセグメントに、どのタイミングで、どんなメッセージを届けるのか。その根拠が必要なのです。それには、顧客の状況や心理状態を行動履歴から読み取り、分析することが不可欠です。

顧客行動の把握が何よりも重要に

個々の顧客の行動履歴は、その顧客のニーズの結果です。自社のウェブサイトを訪れ、新製品のページを何度も閲覧していたなら、その製品に興味があり、詳しい情報を知りたがっているのかもしれません。似た製品のページを行き来していたら、どちらにしようか迷っているのかもしれません。
こうした情報を顧客視点で紐解き、把握することは、シナリオ設計において必要なことです。その上で、顧客の置かれた状況や心理状態を想像しながら分析し、「誰に、いつ、どんなメッセージを送るか」というシナリオに、落とし込んでいくのです。
 
 

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シナリオ設計に使えるRFM分析

シナリオ設計の根拠となる行動履歴は、顧客データを分析することで紐解くことができます。データの分析法には多くの種類がありますが、ここでは、顧客の購買行動に関連が深く、シナリオ設計に活用できる「RFM分析」を紹介します。これは、最新購買日(Recency)、購買頻度(Frequency)、累計購買金額(Monetary)という3つの要素を軸にして個々の顧客をスコアリングし、グループ分けする手法です。

  • 最新購買日(Recency)
    最新購買日は、最後に自社の製品・サービスを購入した日付です。購入から間もないタイミングは、顧客からの反応を得やすい時期です。ですから、購入後の数日間のうちに、「使い心地はいかがですか?」というようなフォローを送ったり、関連商品をプッシュしたりすると、高い反応率が期待できます。
  • 購買頻度(Frequency)
    購買頻度は、これまでに製品・サービスを何回購入したかを示す数値です。この数値が小さい場合は、まだ製品・サービスへの理解が浅いかもしれません。ですので、次回の購入を促すためのアプローチが必要です。
    反対に、購買頻度が高いリピーターは、優良顧客といえます。「お得意様セール」などの特典を用意したり、購入履歴のない製品をおすすめしたりと、リピーターならではのメリットや、新たな発見を得られる提案が適しています。
  • 累計購買金額(Monetary)
    累計購買金額は、顧客のこれまでの購入額の総額、つまりLTVと同義です。この数値が高い顧客は優良顧客といえますから、特別感のあるサービスを用意したいところです。また、メールの文章にも注意し、現在の状態を維持するコミュニケーションを心掛けましょう。
    数値が低い顧客に対しては、無理に引き上げようとせず、「あと3,000円の購入で◯◯をプレゼント」という具合に、小さなゴールを設定していくと効果的です。

CRMのシナリオを活用して、LTVの最大化を目指そう

CRMは、顧客との良好な関係を築き、LTVを最大化するという考え方であり、そのために使うツールです。しかし、CRMは漫然と使っていても、効果は上がりません。顧客行動を正しく把握し、それを根拠として施策を構築してこそ、十分な成果を発揮してくれます。
CRMでのシナリオを積極的に活用して、顧客満足度とともに売上の向上、LTVの最大化を図ってください。
 
 

CRMの効果を最大化させる4つのカギ

 
ビジネスプロセスをつなぐ要としてCRMを活用し、以下のような未来を現実にするためのヒントを得ましょう。
  • 自動化を取り入れて、従業員をルーティン作業から解放し、重要度の高い業務に専念
  • CRMの活用で従業員が部署の垣根を超えてつながり、顧客理解の解像度を高める
  • データの統合で無駄を省いた効率性の高いビジネスプロセスを実現
  • 顧客データの可視化でビジネスポテンシャルの高いエリアに注力
 

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