CRMとSCMの違いは?連携させることで得られるメリットを解説

 
最終更新日:2024.4.23
CRMとSCMは、それぞれまったく異なる性質と機能を持つシステムです。この2つを組み合わせ、連携させることで、サプライチェーン全体に大きなメリットが生まれます。
ここでは、CRMとSCMがどのようなツールなのか、連携によってどのようなメリットが生まれるのか解説していきます。

CRMとは、顧客満足度を高め、売上につなげようという考え方

CRMはCustomer Relationship Managementの略で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。企業と顧客とのコミュニケーションを管理し、良好な関係を継続的に築くことで顧客満足度を高め、売上につなげようという考え方です。また、それを実現するために用いるツールもCRMと呼ばれます。

<CRMの3つの機能>

  • 顧客に関するあらゆる情報を一元管理する
  • 一貫した組織営業を実現し、顧客満足度を高める
  • 顧客情報の分析で、営業業務を改善できる

顧客に関するあらゆる情報を一元管理する

CRMは、顧客に関する情報のほか、自社とのコミュニケーション履歴をすべて蓄積し、一元管理します。たとえば、顧客の会社名・住所・担当者とその役職といった基礎的な情報から、これまでの商談の記録、販売履歴、さらに、問い合わせやクレーム、相談などが入っていれば、すべて履歴として残されます。ですから、CRMのデータベースから特定の顧客を呼び出すと、これまで自社とどのようなやりとりがあったのか、ひと目でわかるというわけです。
なお、CRMと同様に、営業部門でよく使われるツールにSFAが挙げられます。SFAも顧客に関する情報を一元管理するツールで、CRMとは機能の上で重複する部分が多々あります。しかし、CRMが「顧客との関係」を軸としているのに対し、SFAは「営業活動」を軸としている点で違いがあるのです。

一貫した組織営業を実現し、顧客満足度を高める

CRMを導入すると、部門を越えてリアルタイムの情報共有が可能になります。すると、マーケティング、営業、サポート部門のそれぞれが最新の顧客情報を共有した、「組織営業」を実現できるのです。
マーケティングから営業へ確度の高い見込み顧客を渡す際に、マーケティング領域での見込み顧客の行動履歴を、そのままCRMに反映しておけば、営業は見込み顧客の関心や興味に応じた提案が可能となります。
また、サポート部門に苦情や要望、問い合わせなどの連絡が入ったら、過去の購買履歴や商談中のやりとりをチェックした上で、営業がすばやくフォローに回れます。こうした対応は、顧客満足度の向上につながります。

顧客情報の分析で、営業業務を改善できる

CRMに蓄積された顧客情報を分析することで、営業業務をより効率化することができます。
たとえば、数ある自社の顧客の中から、共通する特徴や属性を見つけ出していく方法があります。「企業規模、事業規模はどれほどか」「どのような業界、業種に受け入れられているのか」「最終的な決裁者の役職は誰か」といった項目について分析していき、どこかに顕著な傾向がないかを見つけるのです。
そして、「従業員数◯◯人程度」「年間売上◯◯億円以上」というような傾向が見られたら、その属性を持つ見込み顧客を優先的に育成すれば、より効率的に案件化することができるでしょう。同様に、クロスセルやアップセルをしやすい層や、取引が長期継続しやすい層など、確度の高いターゲット層を策定し、営業リソースをそこに集中するという、営業業務の改善を図ることが可能となります。
 
 
顧客管理(CRM)で生産性を最大化する方法
 

単にCRMを導入しただけでは効果は得られず、適切な目標・目的の設定と、具体的な行動が必要です。
このガイドでは、CRMを活用して生産性を向上させる方法を、CRM活用で得られる「4つの効果」に着目して紹介します。

  • 自動化による時間の節約
  • チーム力の向上
  • 業務効率の向上
  • コストの削減

SCMとは、すべてのプロセスを統括的に管理する手法

SCMはSupply Chain Managementの略で、日本語では「供給連鎖管理」と呼ばれます。原材料の調達から製造・加工、在庫管理、物流、販売までのすべてのプロセスを、統括的に管理する手法のことです。また、SCMを実現するために使われるシステムも、SCMと呼ばれます。
SCMでは、製造から販売までの全プロセスを管理するのですから、社内だけで完結するものではありません。親会社と子会社、あるいは複数の企業にまたがる、統合的な一元管理システムとなります。

<SCMの3つの機能>

  • 需給の変化を予測し、すばやく対応できる
  • サプライチェーン全体で在庫の最適化が可能
  • リソースの適正配分とコスト削減

需給の変化を予測し、すばやく対応できる

SCMの目的は、需要と供給のバランスを常にチェックし、その変化を予測して、すばやく対応することです。システムとしてのSCMには、過去の業務データが蓄積されており、さまざまな要素を織り込んだ上で、精密な需要予測をはじき出します。その予測にもとづいて、仕入れ・生産・出荷計画を立て、無駄のない生産管理を行います。
もしもSCMを使わなかったとしたら、必要以上の発注によって原材料を無駄にしてしまったり、生産が需要に追いつかなかったりといった事態になりかねません。これは、企業にとって大きなロスであると同時に、必要量の製品を市場に供給するという、企業の社会的責任の不履行にもなってしまいます。

サプライチェーン全体で在庫の最適化が可能

SCMによってサプライチェーン全体が一元管理されると、製造部門から販売部門まで、すべての段階での情報共有が可能になります。すると、最終的な商品の販売状況を製造部門でも確認することができるため、サプライチェーン全体で在庫の最適化が進みます。
「在庫」とは、完成品だけを指すわけではありません。まだ製品になる前の「仕掛品」も含まれます。これらの在庫が適正に保たれれば、需要に変化があった際に、すばやい対応が可能です。販売部門から発注があれば、スピーディに納品できますから、市場での競争力は高まり、顧客満足の向上にもつなげることができます。

リソースの適正配分とコスト削減

SCMで情報を一元管理すると、サプライチェーン全体のプロセスが可視化されます。すると、設備や人的リソースの不足・過剰配置といった、プロセス全体が抱えている課題や問題も、同時に可視化できます。これは、SCMで全体を俯瞰するからこそわかることです。
人手不足が続いている現在、「ヒト」は貴重なリソースです。サプライチェーンを効率的に動かすためには、人的リソースの最適化は必須でしょう。これは、設備の適正配置と同じく、全体的なコストの削減と効果的な活用という効果も生み出します。

CRMとSCMを連携させる3つのメリット

それぞれ異なる機能と役割を持つCRMとSCM。この2つを連携させると、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。

<3つのメリット>

  • 顧客ニーズを満たす製品を供給できる
  • 販売機会の逸失を防げる
  • 顧客ニーズを踏まえた事業強化ができる

顧客ニーズを満たす製品を供給できる

CRMは購買履歴をはじめとする顧客情報を扱い、SCMは生産から販売までのサプライチェーン全体を管理するシステムです。この2つを連携させれば「顧客が求める製品を適切に生産し、市場に投入する」というアクションをとりやすくなります。
顧客を理解し、そのニーズを知った上で、そのニーズを満たす製品を、原材料を仕入れるところから管理し、生産する。こうした仕組みを活用すれば、高い顧客満足とともに、サプライチェーンの全プロセスで無駄を排除できます。

販売機会の逸失を防げる

需要は常に大小の波を描き動いています。需要の少ない時期に商品を大量投入すれば過剰在庫が出てしまいますし、需要の多い時期に品薄では、販売機会を逃してしまうでしょう。
しかし、CRMとSCMを連携させれば、顧客が求めている製品を需要が高まるタイミングで、しかも需要量に合わせて市場に投入できます。過剰在庫や店頭での売れ残りを極力抑えつつ、販売機会を逃さず、売上につなげることができるというわけです。

顧客ニーズを踏まえた事業強化ができる

CRMによって、顧客が何を求めているのかを理解できれば、それを製品開発につなげることができます。さらに、その製品を効率的に生産・供給するための仕組みをサプライチェーン全体で構築し、SCMで管理が可能です。
こうすることで、顧客ニーズを踏まえた供給体制を整えることができます。このような事業強化が、CRMとSCMの連携で可能になるのです。

CRMとSCMの連携で、ひとつながりの流れをさらに豊かに

生産と販売は、川の上流と下流であり、離れた印象があるかもしれません。しかしそれは、断ち切れることのない、ひとつながりの流れです。
CRMとSCMとの連携で、その流れをより太く、豊かなものへと育て上げてください。
 
 
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