CRM戦略により、効率的に売上アップを目指そう

 
最終更新日:2024.3.6

自社に利益をもたらしてくれる顧客の情報を管理・分析し、売上につなげていく。CRM戦略を効果的に活用できれば、十分なリピーターを確保し、安定的な利益を得られます。しかし、やり方を間違えてしまうと、思ったような効果を上げることはできません。では、どのような戦略をどのように進めていけばいいのでしょうか。

ここでは、CRM戦略の必要性やメリットのほか、戦略を進める際のポイントなどを解説します。

CRM戦略とは?

CRMとは「Customer Relationship Management」の略称で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。自社と顧客とのコミュニケーションに着目し、その関係性を管理することで、お互いの関係を良好に保ち、継続的な取引を重ねて安定的な売上につなげようという考え方です。
こうした概念をCRMと呼び、その概念を基礎として構築される戦略をCRM戦略と呼びます。そして、CRMの成果を高めるため、自社と顧客との関係性を記録・管理・分析するツールも、CRMと呼ばれています。

このように、CRMという言葉の定義は、曖昧なところもあるのですが、自社と顧客との関係性を重視し、その履歴を管理・分析すること、さらにそれらの作業を行うツールや、結果として導き出される戦略などを含めて、広い意味でのCRMと言い表されています。

CRMを活用した戦略的施策と活動

では、CRM戦略のもとで行われる施策や活動とは、どのようなものなのでしょうか。一言で表すと、それはリピーター戦略です。
まず、顧客の情報を蓄積し、ツールで管理しておきます。この情報には顧客自身の情報に加えて、商品の購買履歴や購買累計額、BtoBであれば商談の件数や内容、契約の成否など、あらゆるコミュニケーション情報が含まれます。つまり、顧客の属性情報や行動情報を記録しておくのです。

続いて、これらの情報を必要に応じて抽出・分析し、顧客から信頼され、より良好な関係を深めていくためにどのような課題があるか、それを解決するためにどのような施策が必要かを検討します。そうして導き出したプランを実施し、その結果を検証して再び新たな課題を設定します。
このように、顧客との関係を管理し、関係向上のための活動を繰り返していきましょう。

 
 

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  • CRM が必要なサイン
  • なぜ CRM で生産性が伸びるのか
  • CRM 戦略の立て方とは
  • CRM の ROI を最大化するには

CRM戦略が必要な理由

それではなぜ、CRM戦略が必要となってくるのでしょうか。現代は、大量の製品やサービスがあふれ、しかもそれらの情報に誰でも簡単にアクセスできる時代です。この状況の中で、他社との競争に打ち勝ち、企業を存続させるためには、まず安定した収益が必要です。
そのためには、自社商品を継続的に購入してくれるリピーターを育成することと、ほかの商品では代わりの利かない自社ならではの商品を開発し、差別化を図ることが大切になってきます。

  1. リピーターの育成
  2. 他社との差別化

CRM戦略には2つが必要となります。それぞれについて解説します。

リピーターの育成

リピーターの維持と比べると、新規顧客の獲得には6、7倍のコストがかかります。そのため、どんなビジネスでも、リピーターは貴重な存在です。自社と自社商品を気に入り、定期的に購入してくれますから、安定的な売上につながります。また、すでに自社商品の価値を認めてくれているので、クロスセルやアップセルがしやすく、LTV(顧客生涯価値)の向上もしやすいなど、多くのメリットがあります。
リピーターを育成し、囲い込むためには、CRM戦略が非常に有効で、かつ、重要になります。

他社との差別化

新たな商品、新たなサービスが次々と登場する環境では、製品やサービスのコモディティ化(高い価値の製品・サービスの市場価値が低下し、一般的なものになること)が急速に進みます。しかし、顧客が求めているのは、単に「新しいもの」ではありません。顧客が抱えている課題や問題を適切に解決でき、満足を得られるものを欲しているのです。
CRMを活用すると、顧客とのコミュニケーションの中から、顧客自身が気づいていない、深層的なニーズを知ることができます。そして、それに応えることで、競合他社とは違った価値を提供でき、他社との差別化を図れます。

CRM戦略を導入するメリット

CRM戦略の実践は、リピーターの育成や、他社との差別化が目的ですが、その過程でさまざまなメリットが生まれます。続いては、CRM戦略のメリットを解説していきます。

顧客に合わせたアプローチができる

顧客の属性やこれまでの履歴を分析することで、顧客が何を求めているのか、何を必要としているのかを、具体的に知ることができます。それを製品やサービスに落とし込むことができれば、顧客のニーズにフィットし、課題解決を図ることができます。
また、非常に強い競合優位性となり、自社と自社商品の価値を高めることにもつながります。

顧客満足度を高められる

顧客のニーズに正確に応えられるということは、顧客に大きな満足を与えることにつながります。これも、CRMの大きな成果といえます。
また、顧客情報を購入履歴等も含めて一元管理しておくと、顧客からの問い合わせに素早く応じることができます。たとえば、過去に起こったトラブルの事例をチェックしておけば、同じ間違いを繰り返すこともなくなるでしょう。顧客に対しスムーズな対応がとれ、それだけ顧客満足度を高めることができます。

データを基準にしたビジネスができる

近年、データにもとづいたビジネス展開が注目されています。CRMを活用すれば、まさにこの「データドリブンビジネス」が実現します。
顧客ごとに集積したデータを抽出・分析し、それに対するマーケティング手法や最適なアプローチをとっていくことで、確実性が高く効率の良い営業活動が可能になるのです。

CRM戦略の重要な6つのポイント

  • 目標・目的の設定
  • 目標・目的に応じたKPI設定
  • 顧客のセグメンテーション
  • 顧客ニーズを把握し、アクションを立案する
  • 施策や行動の優先順位をつける
  • PDCAを回し改善していく

CRM戦略を進めるにあたり、気をつけておきたいポイントが6つあります。施策の効果をさらに高めるためにも、これからご紹介するポイントをしっかり押さえておきましょう。

目標・目的の設定

企業活動の大きな目的のひとつに「利益の最大化」があります。利益を最大化するために、どのような戦略をとるかということになると、選択肢は一気に広がります。
たとえば、「リピーターの育成・囲い込み」の場合でも、優良顧客に対するアップセル・クロスセルを強化したいのか、休眠顧客を掘り起こして復活させたいのか、あるいは、顧客の休眠を防いだり、返品・キャンセル率を抑えたりすることでリピート率を高めたいのか。
目標・目的によって手段は変わりますから、まずは、きちんと目標・目的を設定することが大切です。

目標・目的に応じたKPI設定

設定した目標・目的に応じて、適切なKPIを設定しておくことも重要です。1回あたりの購入額、リピート率、購入頻度、返品率など、関連の深い指標をいくつか設定しておき、施策の結果と数値の動きをチェックしていきます。もしも成果が表れていない、あるいは十分でない場合は、その要因を突きとめ、改善して、次の施策へとつなげていくのです。

顧客のセグメンテーション

戦略を立てるにあたって、対象とする顧客層を抽出するため、セグメント化を行います。目的や目標に合わせて、施策対象とする顧客層の条件を設定し、顧客をセグメンテーションしておきます。

顧客ニーズを把握し、アクションを立案する

ターゲット層を明確にできたら、彼らが何を求めているのかを分析し、ニーズを把握します。データ分析だけでは不十分ならば、アンケート調査を行うなどして、顧客理解を深めていきましょう。
こうして顧客ニーズを把握できたら、それにどう応えるかを企画立案します。

施策や行動の優先順位をつける

一言でCRM戦略といっても、その活動内容はとても幅広く、すべてをカバーしようとするには無理があるかもしれません。人的リソースや予算との兼ね合いもあるでしょう。ですから、CRM活動として何が有効かをあらかじめ挙げておいて、その中から優先順位をつけておく必要があります。
短期で効果が表れるものや、長期の継続が必要なものがありますから、そうした時間軸の要素も勘案しながら、プランを選択して練り上げていきましょう。

PDCAを回し改善していく

CRM戦略の成功の鍵は、PDCAサイクルを効果的に回し続けることにあります。計画段階で設定したKPIを定期的に分析し、戦略の成果を客観的に評価します。期待通りの成果が得られない場合は、CRM戦略自体の見直しやKPI設定の誤りを柔軟に修正します。CRM戦略は短期間での結果を期待するものではなく、中長期的な視野での運用が必要です。顧客データの収集・活用を根底に置き、継続的な改善を通じて、戦略の最適化を図ることが重要。このPDCAサイクルの繰り返しにより、CRM戦略の成果はより高まります。
 
 

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CRM戦略に不可欠なCRMツールを活用しよう

CRM戦略を推進するためには、顧客情報を一元管理できるCRMツールが不可欠です。現在、多くのツールが市場に登場していますが、スムーズに導入し存分に活用するには、押さえておきたいポイントがいくつかあります。

自社のニーズに合ったツールを選ぶ

どの製品もCRMの基本機能は押さえてありますから、その点は心配いりません。ただし、CRMを使って何をしたいかという点は、あらかじめ固めておいたほうがいいでしょう。
価格が手頃なコンパクトな製品を導入したものの、ほかのツールとの連携や機能の拡張ができず、後悔することになりかねません。

導入プランを作っておく

CRMを導入したものの、あまり使われないまま放置されている…。残念ながら、こうしたことも実際にあります。そのようなことにならないためにも、導入プランを策定しておきましょう。現場のメンバー、あるいはマネージャーが旗振り役となり、CRMの利用を前提としたワークフローを作るなどして、積極的に導入を図ります。
まずは少人数で使い始め、使い方のルールが出来上がったところでほかのメンバーに広げていくという、スモールスタートも効果的です。

蓄積したデータを活用する

CRMは単なるデータベースではありません。入力したデータをさまざまな形で抽出・分析し、活用してこそ、その本領を発揮してくれます。
もちろん、最初から機能のすべてを活用するのは難しいものです。しかし、CRMで何をしたいのかという目的がはっきりしていれば、「どのように使えばいいか」も見えてきます。

ほかのツールとの連携も視野に入れる

拡張性の高い製品では、ほかのツールとの連携を前提に設計されているものもあります。MA(マーケティングオートメーション)やカスタマーサポートツールといった多くのツールとシームレスに連携できれば、より幅広い範囲の情報を一元管理できますし、安定したサービスを提供することができます。
それは顧客満足に、さらには売上にもつながる大切な要素です。

適切なCRMツールの導入は、CRM戦略の初めの一歩

CRM戦略を実践するには、顧客とのコミュニケーションを一元管理するツールが不可欠です。しかしツールの導入は、いわば初めの一歩。それだけで利益が増えるわけではありません。
CRMに日々蓄積されるデータを分析し、十分に活用して戦略的な行動に落とし込み、売上につなげていくことが重要です。
 
 

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