カスタマーエフォートスコアとは?計算方法や向上させる方法、注意点を解説
ここでは、カスタマーエフォートスコアの概略や必要性のほか、向上させるためのポイントを解説します。
カスタマーエフォートスコアとは、顧客が何らかのサービスを利用した際に、顧客自身がどれほどの努力が必要だったのかを示す指標
顧客が少しの努力で、そのサービスを利用できればスコアが大きく、かなり努力が必要だったならスコアは小さくなります。もちろん顧客としては、見やすく、わかりやすく、使いやすいサービスのほうが好ましく、今後も利用したいと考えるでしょう。ですから、サービスを提供する企業にとっては、カスタマーエフォートスコアをいかに下げさせるかを重視する必要があります。
カスタマーエフォートスコアの計測方法
回答は、「まったく努力しなかった」から「非常に努力した」までの、7段階に分けるのが一般的です。場合によっては、5段階あるいは11段階に分ける方法もあります。
スコアの計測は、サービス利用の記憶が新鮮なうちに行ったほうが良いため、カスタマーサポートツールで自動的に収集し、数値を算出・分析する方法がとられることもあります。
カスタマーエフォートスコアはオンボーディングでも重要な指標
顧客がツールにふれ、日常的に使えるようになるまでのプロセスをオンボーディングと呼びますが、カスタマーエフォートスコアが低いと、このオンボーディングに支障をきたします。これは、サブスクリプション型モデルでは収益に直結する問題ですから、常にカスタマーエフォートスコアを注視しておき、製品の改善改良に反映することが重要です。
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カスタマーエフォートスコアが重要な2つの理由
具体的には、「優れた顧客体験の提供」「リテンション率の向上」の2点です。ひとつずつ解説していきましょう。
優れた顧客体験を提供できる
顧客の立場に立ってカスタマーエフォートスコアを収集し分析すると、こうした顧客の感情が明らかになります。さらに、「◯◯についての説明がわかりにくかった」「△△の操作が複雑で難しい」などの具体的な回答が得られれば、指摘された箇所に早急な対策を施すことも可能です。
こうした分析と改善を繰り返すことで、優れた顧客体験(CX)を提供し、満足度を高めることができます。
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リテンション率との相関が強い
カスタマーエフォートスコアは、顧客を維持し続ける割合、つまりリテンション率との関連が深いとされます。SaaSのような、サブスクリプション型モデルの場合、その傾向はいっそう顕著に表れるでしょう。
サブスクリプション型のサービスは、顧客にいかに使い続けてもらうかが重要ですが、利用する度に顧客が使いづらいと感じてしまうと、解約の可能性が高まります。結果、リテンション率も下がってしまうのです。
これは、SaaS以外のサービスにもあてはまるでしょう。何度か利用してみて、手間や面倒くささ、居心地の悪さ、使用感の悪さを感じると、顧客は「次はもういいや」と思ってしまいます。こうしたことを避けるために、常にカスタマーエフォートスコアを注視する必要があるのです。
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カスタマーエフォートスコアを向上させるための4つのポイント
それでは、カスタマーエフォートスコアを向上させるためには、どのような方法があるのでしょうか。扱う商材、提供するサービスによって具体的な方法は変わってきますが、ここではSaaSによるウェブサービスを想定して解説していきます。
<向上させる4つの方法>
- 特定の問題点を見つけ、改善を図る
- サポートを手厚くする
- ヘルプやチュートリアルを充実させる
- 少ないやりとりでの解決を目指す
特定の問題点を見つけ、改善を図る
もしかすると、過去のサポート履歴を掘り起こしてみれば、別の問題も見つかるかもしれません。これらのデータも無駄にせず、問題の解決に活用しましょう。
サポートを手厚くする
これら複数のチャネルを用意して、スピーディかつ正確な回答を行うことが大切です。
ヘルプやチュートリアルを充実させる
電話での会話だと構えてしまうし、メールは文面を書き上げるのが面倒。かといって、短文のチャットでは、こちらの意図を正しく伝えるのが難しい…。疑問や不安に直面し、助けが欲しいと感じながらも、顧客はこのような状況にあります。
ですから、疑問や不安をはじめとするトラブルを、自己解決できる方法が手厚く用意されていれば、顧客はより簡単に、スムーズに問題解決を図ることができるのです。
少ないやりとりでの解決を目指す
どのチャネルを使うにしても、最初のアクションで問題を解決させるのがベストです。一度の電話、一往復のメールのやりとりで顧客の問題を解決できれば、それだけ顧客の手間が減るからです。
ただし、すべての顧客が一度の電話あるいはメールで、みずからが直面している疑問や問題を正確に伝えられるとは限りません。電話の受け答えやメールの文面を見て、サポート側が「どういう状況なのかわからない」と頭を抱えてしまうこともあります。こうした場合には、顧客の状況を推察して、先回りしながら解決策を探っていくことが大切です。
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カスタマーエフォートスコアを使う際の4つの注意点
最後に、カスタマーエフォートスコアを使う場合の注意点について解説しましょう。カスタマーエフォートスコアの精度を高め、有効活用するために必要なことですから、ぜひ覚えておいてください。
<4つの注意点>
- 顧客体験の直後に計測する
- 質問のしかたは適切に
- 自動化のしくみを作っておく
- 一度だけでなく、何度も測定する
顧客体験の直後に計測する
サービスを導入した直後や、使用を始めて間もない頃、サポートを利用した直後など、サービスの印象が顧客の脳裏に強く残っているあいだに、タイミング良く聞き取りを行ってください。
質問のしかたは適切に
また、質問そのものは短く簡潔にし、誘導的な問いかけは避けましょう。自社アプリについての意見を問う質問に「◯◯は、2021年度のベストアプリに選ばれましたが…」というような文言を使うと、回答者にバイアスをかけてしまう危険があります。
また、「当社のサービスはご満足いただけたでしょうか?」というような漠然とした質問は、少ない問いかけで全体の傾向をつかむためには適していますが、より具体的な聞き方にしたほうが、回答者が答えやすくなるでしょう。
自動化のしくみを作っておく
「サポートデスクへの問い合わせ」「ツールやシステムの使用開始」など、顧客側の行動に合わせて、自動的にアンケートを送信するしくみを作っておきましょう。データが標準化されて精度が高まりますし、何より作業負荷が軽くなり、業務効率の向上が図れます。
一度だけでなく、何度も測定する
企業が提供するサービスは、常にブラッシュアップを重ね、より良いものへと改善し続けるべきものです。ですから、カスタマーエフォートスコアは重要な指針となります。
顧客が自社サービスのどこに不満を持ち、どの部分に使いにくさを感じているのか。カスタマーエフォートスコアを測定すれば、不満点や使いにくい部分が明確になり、それを改善していくことで、顧客のリテンション率を高く維持し続けることが可能です。
顧客は常に、今以上のものを求めます。現状を正しく把握するためにも、カスタマーエフォートスコアの測定は継続的に何度も行いましょう。
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カスタマーエフォートスコアで顧客満足度の向上を
まずは自社サービスのカスタマーエフォートスコアを計測してみましょう。そして、適切な改善を図り、顧客満足度の向上につなげていってください。
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