顧客情報を管理する方法と6つのツール|管理や活用のポイントも解説
顧客情報をきちんと管理して有効活用することは、営業業務において大きな利益をもたらします。上手に活用できれば、営業プロセスの問題点を洗い出したり、正確な売上予測を立てたりできます。しかし、情報の管理方法によっては、必要な場面で十分に利活用できないことにもなりかねません。
本記事では、顧客情報を管理する重要性やメリット・デメリット、活用のポイントを解説します。管理に役立つツールも紹介するため、顧客情報をより正確かつ効率的に管理したい方はぜひ参考にしてみてください。
顧客情報とは
顧客情報とは、顧客に関連するあらゆる情報を指します。氏名や住所のような基本情報に加えて、購入や問い合わせなどの行動情報も顧客情報のひとつです。
顧客情報には明確な定義がなく、企業によって具体的な項目は異なります。たとえば、BtoB向けの商品を取り扱う企業では、以下のような項目を扱っているのが特徴です。
- 企業の所在地
- 担当者の連絡先
- 決裁者の役職
一般の顧客を対象にするBtoC企業であれば、以下のような情報を管理しています。
- 顧客の年齢
- 家族構成
- 趣味
自社で収集すべき情報は何かを慎重に検討し、必要な顧客情報を明確にした上で管理することが重要です。
顧客情報を管理する重要性
ほとんどの企業に顧客情報は蓄積されていますが、管理の状況や情報量、使われている管理ツールは、企業によってまちまちでしょう。
どのような形でも顧客情報は会社の財産であり、活用次第で多くの成果を上げられるため、活用しやすい状態で管理することが重要です。
顧客情報の管理が重要である理由として、以下の3つを紹介します。
- 「嫌われた理由」は分析でわかる
- 既存顧客へ効果的なアプローチができる
- 売上予測は経営判断の拠り所になる
さまざまな企業で顧客情報が利用されている背景を把握できますので、以下を読んで理解しておきましょう。
顧客管理については以下の記事でも解説しているため、あわせてお読みください。
「嫌われた理由」は分析でわかる
以下のように顧客から「嫌われている」かもしれないと感じることは、営業業務の中でしばしば起こるものです。
- 商談が途中でストップし、そのまま立ち消えになった
- リピーターが育たない
- クロスセルやアップセルがうまくいかない
しかし、どのような場合でも何かしらの理由があり、顧客情報をうまく活用することで把握できる可能性があります。
たとえば、顧客とのコミュニケーションを記録しておけば、うまくいかなかった事例を抽出・分析することで、原因を見つけられるでしょう。
顧客情報に基づいて改善策を講じて営業プロセスの弱点を克服したり、離れてしまった顧客に適切なアプローチをかけて呼び戻したりといった行動が可能になります。
既存顧客へ効果的なアプローチができる
既存顧客のつなぎとめや売上の最大化を図る上でも、顧客情報の管理は重要です。
ネット上で多くの情報を入手できる現在では、多数の既存顧客を抱えていても安心できません。競合する製品の大幅なディスカウントが行われたり、他社から強力な新製品が発売されたりすれば、他社に移行されてしまう可能性もあります。
しかし、日頃から細かな対応を心がけ、タイミングのよい提案や有利なキャンペーンを展開することで、顧客との良好な関係を維持していれば、離脱を防ぎ、長く取引を続けてもらえます。既存顧客への効果的なアプローチも、顧客情報の管理から生まれるのです。
売上予測は経営判断の拠り所になる
経営者にとって、利益の源泉である営業部門の成績は常に気になる情報です。営業部門の状況や今後の予測によって、さまざまな経営判断をくださなければならないため、情報の把握が欠かせません。
顧客情報を十分に管理しておけば、個々の案件から正確な売上予測をスピーディにはじき出せ、迅速な経営判断ができるようになります。
また、案件情報や購買履歴を分析すれば、今後の生産計画や商品開発、人事計画など、経営戦略全般に活用できます。
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顧客情報を管理するメリット・デメリット
どの企業にも蓄積されている顧客情報は、正しく管理することでさまざまなメリットを得られます。一方でデメリットもあるので、あらかじめ対策が必要です。
ここでは、顧客情報を管理するメリットとデメリットを解説します。
メリット
顧客情報を管理するメリットは、以下の4つです。
- 顧客情報を社内で共有しやすくなる
- マーケティングや営業などの戦略立案に活かせる
- 商品・サービスの改善に役立てられる
- 顧客管理の効率が向上する
顧客情報をツールで管理することによって、社内での情報共有が円滑になります。詳細な情報を全体で把握することで、顧客情報をもとに最適な営業戦略やマーケティング戦略の立案を行えるのがメリットです。
また、蓄積した顧客情報をさまざまな視点から分析し、営業活動や商品・サービスの改善につなげられます。商品・サービスを利用した顧客の声や実際に対話した顧客の反応などを把握することで、より精度の高い分析を可能にし、改善を図れるのも顧客管理の利点です。
デメリット
顧客情報を管理するデメリットとして、以下の3つがあるので注意が必要です。
- システムやツールの導入にコストがかかる
- 管理リソースを確保する必要がある
- 適切に運用できないと管理や連携に問題が発生する
顧客情報管理にはシステムやツールを導入する場合が多く、導入や運用に費用がかかります。顧客情報の入力や更新などの管理も必要になるため、リソースの確保も欠かせません。
また、顧客情報管理は運用次第ではあまり効果が得られないこともあります。「必要なときに顧客情報が見つからない」「他部署・部門から確認しにくい」などの問題が起きる恐れもあるため、体制を整えた上で運用することが大切です。
顧客情報として管理したい主な項目
ビジネスモデルの種類 | 主な管理項目 |
BtoB |
|
BtoC |
|
顧客情報を管理する手順
顧客情報を管理する手順は、以下のとおりです。
- 管理する項目を選定する
- 項目に合わせて顧客データを入力する
- 顧客情報をデータベース化する
顧客情報として取り扱う項目は企業によって異なるため、選定からはじめます。項目を増やしすぎると入力や管理に手間がかかるため、業務に必要なものだけに絞り込むのがポイントです。
項目が決まったら顧客データを入力し、データベースを作成します。エクセルや顧客管理システムなどを用いて、情報を管理できる体制を整えましょう。
顧客情報を管理に役立つ5つのツール
顧客情報の管理を効率化するためには、ツールを活用するのが効果的です。顧客情報の管理に用いられるツールは主に以下の5つの種類があり、できることが異なるため用途に合ったツールを選ぶ必要があります。
- CRM
- SFA
- MA
- 名刺管理ツール
- エクセル・Googleスプレッドシート
それぞれ詳しく解説しますので、どのように管理したいか悩んでいる方は読んでみましょう。
以下の記事では顧客管理ソフトについて詳しく解説しているため、機能や導入のポイントを知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
CRM
CRMは「顧客関係管理」と訳され、自社と顧客との関係という点から情報を管理できるツールです。顧客との関係を良好に保つことでリピートを増やし、クロスセルやアップセルによって売上増大に結びつけていく目的で活用されます。
システムの性質上、顧客情報管理には最も適しており、基本情報はもちろん、顧客の行動履歴や問い合わせ履歴など、幅広い情報を紐づけて管理できます。
CRMはマーケティング部門やカスタマーサポート部門でも利用可能です。最初の顧客接点からアフターサポートまで、より広い領域で顧客の情報を管理できます。
蓄積された情報は、さまざまな切り口で抽出・分析でき、顧客へのきめ細かな対応を実現したり、自社の営業プロセス改善に役立てたりと、多彩な活用方法があります。
製品によってはSFAやMAとの連携も可能です。
CRMにはさまざまな種類があり、Salesforce Sales Cloudのような営業活動に向けた顧客情報管理ができるものもあります。
多種多様な種類があるので、選び方で悩んでいる方は以下の記事をチェックしてみましょう。
SFA
SFAは日本語では「営業支援システム」と呼ばれ、営業業務をサポートし効率化するためのツールです。
扱う情報は以下のように顧客との取引、案件に関するものが主軸になります。
- 進行中の商談の状況
- 取引の履歴
- 訪問履歴
- 商談の結果
顧客の基本情報や行動履歴も記録されているため、日々の営業活動の視点から顧客情報を管理するのに適しています。
CRMとともに営業活動の支援ツールとして使われており、お互いに重なり合う機能が多いため、その境界は曖昧です。製品によってはCRMやMAとリンクして、シームレスな運用ができます。
SFAのメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみましょう。
MA
MAとは、見込み顧客の獲得や育成、商談化などのマーケティング活動を効率化できるツールです。
MAでは、広告やセミナーなどさまざまな方法で獲得した見込み顧客の情報を一元管理できます。ただ記録するだけではなく、確度を数値化したスコアリングや行動などで顧客を分類でき、効果的な情報管理が可能です。
管理している顧客に対して、ツールからメールマガジンやダイレクトメールを送信できます。一斉送信はもちろん、顧客の反応や行動に合わせたピンポイントなアプローチが可能なこともメリットです。顧客の反応はデータで可視化できるため、反応に応じたメールの最適化も実現できます。
さらに、顧客獲得に欠かせないデータ分析もできるのも特徴です。Webサイトや問い合わせフォームなどさまざまな手段で接点が生まれた顧客を把握でき、購入確度やアプローチのタイミングを検討できます。
見込み顧客の獲得から商談化までをMA、受注後の営業活動や顧客管理をSFA・CRMといった使い分けができるので、SFAやCRMとリンクさせて活用するのもよいでしょう。
なお、SalesforceでもMAツール「Marketing Cloud」を提供しております。AIによる顧客情報の分析機能が搭載されており、マーケティング戦略を効率的に立案できるようになります。
現在、MAの導入を検討している人に向けて、デモ動画を提供をしております。以下からMarketing Cloudに関する情報を詳しく把握できますので、マーケティング効果をより高めたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
名刺管理ツール
名刺管理ツールは、各部署の社員たちが交換した名刺の情報を管理できるツールです。社内に眠る人脈を活かすツールとして急速に普及し、多くの企業で活用されるようになりました。
名刺には持ち主の個人情報と、企業の基本情報が凝縮されているので、顧客管理によい方法です。最近では名刺情報だけでなく、商談中の案件情報なども紐づけて管理できる製品も登場しています。
しかし、顧客情報管理に特化して開発された製品と比較すると、機能面では簡易的なレベルにとどまっています。複雑な条件による抽出・分析や、MA・SFAなどの外部ツールとの連携という点では、積極的な運用には向きません。
名刺管理の方法やツールは以下の記事で解説しているため、あわせて参考にしてみてください。
エクセル・Googleスプレッドシート
顧客情報の管理に、おそらく最も広く使われているのがExcelやGoogleスプレッドシートでしょう。
ほとんどのPCにインストールされており、基本的な機能であれば誰でも使えることから、導入のハードルが低いというメリットがあります。
顧客リストそのものをExcelやGoogleスプレッドシートで作っているケースは少なくありません。新たな記入項目を増やす形で「とりあえずはじめてみよう」というスタンスで手をつける企業も多いのではないでしょうか。
ただし、ExcelやGoogleスプレッドシートは時間軸に沿った情報管理が苦手です。新たな情報を書き込んで更新してしまうと、以前の状況がわからなくなってしまいます。
書き込みの度にバックアップを取っておくとファイル数がすぐに膨大なものになり、管理も大変です。データを分析する際も複雑な条件設定ができないこともあり、顧客情報管理ツールとしては、機能と使い勝手の点で多くの難点があります。
営業管理におけるSFAとエクセルの違いは以下の記事にまとめているので、どちらを活用しようか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
顧客情報を適切に管理する5つのポイント
顧客情報を適切に管理するためには、以下のポイントを実践しましょう。
- ルールを明確にする
- 定期的にアップデートする
- 一元管理できる体制を整える
- セキュリティ対策を実施する
- 自社に合ったツールを活用する
管理をはじめただけ、ツールを導入しただけではうまく運用できないため、ポイントを押さえて顧客情報を管理しましょう。
ルールを明確にする
顧客情報をデータベース化する際は、あらかじめルールを決める必要があります。
各々のやり方で入力すると表記のブレや記入漏れなどが多くなりやすく、正しいデータを蓄積しにくいためルール設定が欠かせません。
あらかじめルールを全体に共有したり、入力できる内容をあらかじめ制限したり、入力担当者を決めたりするなど、顧客情報の管理方法を統一しましょう。
定期的にアップデートする
事業を継続していくと、取り扱う顧客情報が増えたり当初から情報が変更したりするため、定期的な更新が必要です。
アップデートを怠ると顧客情報が必要になったときに情報が古くなり、適切な情報を使った営業活動ができなくなります。
顧客情報は常にアップデートし、最新の状態で管理することを心がけましょう。
一元管理できる体制を整える
すでにツールやソフトを導入している場合は、顧客情報とまとめて一元管理できる体制を構築しましょう。
情報が散らばっていると必要な情報がどこにあるかわかりにくくなるため、ひとつのツールで一元管理できると、データの管理や分析の手間を軽減できます。
顧客情報管理にツールを使用する場合は、既存のシステムと連携できるツールを選びましょう。
セキュリティ対策を実施する
顧客情報には個人情報が含まれるため、セキュリティ対策の実施が欠かせません。
情報漏えいが起きると顧客や社会からの信頼を失い、大きな損失につながってしまうため、個人情報や機密情報の保護に力を入れましょう。
誰がデータを閲覧したか把握できる体制を整えたり、担当者にあわせて閲覧権限を付与したりするなど、情報が漏えいしない仕組みを構築するのがポイントです。
自社に合ったツールを活用する
顧客情報の管理はツールを活用する際は、自社に合ったものを選びましょう。
SFAやCRMなどのツールはサービスを提供する企業によって異なります。顧客情報管理に必要な機能はもちろん、自社の規模やコストなどにマッチしたツールを選ぶことで、管理効率を高められます。
連携できるシステムやセキュリティ対策なども確認し、自社の課題を解決できるツールを選びましょう。
適切なツールや方法で顧客情報を管理しよう
顧客情報の重要性は多くの企業が認識していますが、適切なツールを使わなければ、それを十分に活用することはできません。会社の重要な資産である顧客情報を眠らせないためにも、目的に合ったツールを選び、ムダなく活用してください。
なお、現在さまざまなツールがあるため、選ぶのが難しいという方もいるでしょう。もしツール選びで悩んでいましたら、Sales Cloudを導入してみてはいかがでしょうか。
Sales Cloudは顧客情報の管理や営業支援に適したCRMツールです。商談管理や売上予測などの機能で営業活動を効率化できます。顧客情報の管理にも活用でき、活動記録やワークフローによる業務の自動化も可能です。
売上予測機能では、商談の進捗や達成状況に関するインサイトをAIが提供するため、データにもとづいた正確な意思決定ができるようになります。
Sales Cloudの体験デモと無料トライアルを実施しています。以下から申し込めますので、より効果的な営業活動をしたい方はお気軽にお問い合わせください。
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