顧客管理とは?メリット・デメリット、役立つツールの特徴と選び方も解説

更新日:2024.2.26

近年、顧客ニーズの多様化が進み、優れた商品・サービスを単に提供しても、なかなか売上アップには結びつかない状況になっています。売上を伸ばすためには、自社の顧客情報を管理し、顧客ニーズを把握していく必要があります。

その上で、最適な製品・サービスを顧客に提案することで、営業力や販売力が強化されるのです。

本記事では、顧客管理に必要な項目や重要性、メリット・デメリットを解説します。便利な顧客管理ツールやツールの選び方も解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

 
 

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顧客管理とは?

顧客管理とは、単に顧客情報を記録するだけではなく、商品やサービスを継続購入してもらうために、顧客とのエンゲージメントを維持することも指します。顧客のLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)を最大化させることが、顧客管理の大きな目的です。

顧客のさまざまな情報を一元管理できれば、対応品質を高めながら人件費や新規顧客獲得にかかるコストなどの削減を目指せます。

顧客情報をもとにニーズを分析することによって、ニーズに沿った商品・サービスを提供できるようになります。顧客と良好な関係を築いていければ、継続購入・利用してもらうことも期待できるでしょう。『SaaS ビジネス成功の基礎「The Model」』では、顧客満足度を高め、単発案件で終わらせずにLTV(顧客生涯価値)を向上させる方法として、数値や情報を正確かつリアルタイムに共有する方法をわかりやすく紹介していますので、あわせてご活用ください。

顧客管理に必要な項目

顧客管理を行う上で、顧客に関する情報をやみくもに記録すればよいわけではなく、必要な項目に絞り込むことが大切です。

顧客管理を行う上で最低限必要な情報として、以下のようなものがあります。

 
項目 主な情報
顧客・消費者の属性
  • 企業名
  • 役職
  • 年齢
  • 連絡先
顧客・消費者の趣向
  • 購買理由
  • 購買志向
  • ライフスタイル
商品・サービスの購買履歴
  • 購買した商品・サービス
  • 購入時期
  • 購入価格
  • 購入回数
収益性
  • 累計売上
  • 平均購買単価
接触履歴
  • 商談数
  • アポイント数
  • サイトへのアクセス数
  • 来店回数
その他
  • トラブル履歴
  • クレーム履歴

会社名や連絡先といった基本情報に加えて、ニーズを把握するための購買情報も用いられています。

顧客管理に必要な項目は企業によって異なるため、自社に合った項目を設定する必要があります。顧客管理で取り扱う顧客情報については以下の記事で解説しているので、あわせて参考にしてみましょう。

顧客管理が重要な3つの理由

顧客管理の重要性を3つのポイントに分けて詳しく解説します。

  • 顧客獲得にかかるコストを抑えるため
  • 顧客データを営業活動やマーケティングに活かすため
  • 顧客も適切な顧客管理を求めているため

顧客管理に力を入れたいと考えている管理者の方は、重要性を正しく理解しましょう。

顧客獲得にかかるコストを抑えるため

顧客管理は、顧客獲得にかかるコストを抑えるために重要な取り組みです。顧客情報を蓄積し、顧客へのアプローチやフォローに活用することで、従来よりも効率的な営業活動を実現できます。

現在、新規顧客を獲得するコストは高騰しています。国内市場が飽和してきたことや、顧客の母数が頭打ちになってきたことなどが主な理由です。

インターネットの普及によって顧客自身で情報収集できるようになり、新規営業のハードルが高くなっていることもコスト上昇の要因のひとつと考えられています。

顧客管理はこれまでも重要な取り組みでしたが、顧客獲得コストを抑えるためにさらに重要性が増しています。

顧客データを営業活動やマーケティングに活かすため

顧客管理は、顧客データを営業活動やマーケティングに活用するためにも重要です。うまく活用することで、購買情報や行動情報などからニーズを見つけ、適切なアプローチ方法を検討できるようになります。

また、蓄積されたデータから課題や強みを発見し、営業活動やマーケティングの改善を図ることも可能です。たとえば、顧客が契約をストップした理由を収集すれば、商品・サービスの改善点が見える可能性があります。

顧客情報と商談状況を結びつけて管理すれば、売上の予想や、商談数に合わせたリソースの調整など、さまざまな行動につなげられます。

顧客も適切な顧客管理を求めているため

顧客や消費者からも、きちんと顧客管理がなされていて、その情報がきちんと企業内で共有されていることを求める声が増えてきています。

セールスフォース・ジャパンでは、2023年5月から7月にかけて全世界14,300人以上を対象にした調査を行いました。

調査によると、79%の顧客が「部署を超えて一貫したや り取りを期待する」と回答しました。

また、70%の顧客が「企業のすべての担当者に自分について同じ情報を共有してほしいと考えている」と答えました。

調査結果から、顧客情報が適切に管理され、自分に適したサービスが受けられることを顧客は望んでいるといえます。反対に、顧客管理がきちんとなされていなければ、企業に対する信頼や期待は低くなってしまうとも言い換えられます。

顧客管理による5つのメリット

顧客管理を実施することで、以下のメリットを期待できます。

  • データにもとづいた顧客へのアプローチができる
  • 商品・サービスの改善に役立つデータを得られる
  • 休眠顧客や失注案件を掘り起こせる
  • 業務の効率化を実現できる
  • 他部署との情報共有がしやすくなる

メリットを把握することで、自社で顧客管理を実施すべきかどうかを判断できるようになりますので、以下を読んでみましょう。

データにもとづいた顧客へのアプローチができる

顧客管理を実施することで、顧客に対してデータを根拠に適切なアプローチができます。

顧客管理によって顧客情報を記録・管理できていると、データからさまざまなヒントを得られます。

たとえば、メールマガジンを配信する際に、顧客の課題や嗜好などをもとに文面を最適化すれば、すべての顧客に共通のメールを送るよりも反応を得る確率を向上させることができるでしょう。

商談履歴や購買履歴からニーズを分析すれば、課題に対してピンポイントな提案ができるようになります。

商品・サービスの改善に役立つデータを得られる

顧客管理によって、商品・サービスの改善に役立つデータを得られるメリットもあります。

営業活動で成果が出ない場合に商品・サービスに課題があることも考えられますが、顧客の感想や使用用途などを把握できれば、データを商材の改善に役立てられます。

たとえば、想定していなかった用途での評判が高かった場合は、顧客に支持されている用途を積極的に訴求することで、より顧客に刺さる商品・サービスにすることができます。顧客目線の商材に改善されれば、顧客満足度の向上も期待でき、既存顧客を維持しやすくなります。

休眠顧客や失注案件を掘り起こせる

これまで接してきた顧客の情報を記録することによって、以下の顧客や案件の掘り起こしが可能です。

  • 一度きりの購入で終わってしまった休眠顧客
  • アクションが不十分で成果につなげられなかった失注案件

休眠顧客や失注案件は以前に興味・関心をもってくれた顧客であるため、ゼロからアプローチする新規顧客よりも成果につなげやすいのがメリットです。問い合わせや商談の内容も管理できていると、前回とは異なるアプローチで提案できるようになります。

業務の効率化を実現できる

顧客情報が一元管理され、所在地が明確になると、業務効率が大幅に改善されます。必要な情報を探す時間と手間が軽減されるため、営業活動や引継ぎなどがスムーズになるのがメリットです。

また、属人化の解消にもつながります。業務の進め方や詳細情報が属人化すると連携や引継ぎに支障が出ますが、誰でも顧客情報を管理・確認できる体制を構築することで、円滑な情報共有が可能です。

顧客情報は営業の生命線であり、会社の財産でもあります。担当者が異動や退社になっても、会社として保存・共有する手段を整備することが重要です。

参考:今すぐSFAが必要な5つの理由

他部署との情報共有がしやすくなる

顧客情報を管理することで、複数の部署で情報を確認・共有できます。

複数の部署・部門が関わるプロジェクトでは各部署との連携が重要です。顧客情報が部署・部門を問わず横断的に管理されていれば、必要な情報をすばやく共有できます。

部署・部門間での連携を円滑にするためには、顧客情報の一元管理が欠かせません。業務に関わる顧客情報をできるだけまとめ、一度で必要な情報を手に入れられる体制を構築することで生産性の向上を図れます。

顧客管理で気をつけたい2つのデメリット

顧客管理によるメリットは多くありますが、注意したいデメリットが2つあります。

  • 初期費用やランニングコストが発生する
  • 運用が浸透するまで時間がかかる

コストや浸透までにかかる時間などを理解した上で、円滑な顧客管理を実践できる体制を整えましょう。

初期費用やランニングコストが発生する

顧客管理にはツールを使用することが多く、導入時の初期費用やランニングコストがかかります。機能やオプションなどが充実するほどコストが高くなるため、使用するツールを慎重に選ばなくてはいけません。

必要な機能をリストアップし、自社の状況や顧客管理の方針に合ったツールを選びましょう。

運用が浸透するまで時間がかかる

顧客管理を組織に落とし込むまでには、時間がかかる場合が大半です。顧客情報の管理では、以下のような業務に時間を要します。

  • 顧客情報の入力
  • ツールを使いこなすための教育
  • 分析やマーケティングに活かすためのスキルの習得

顧客管理の浸透を焦らず、運用目的の共有や運用方法などを全体ですり合わせることが大切です。顧客管理の重要性を組織として理解した上で、徐々に定着させていく姿勢が求められます。

顧客管理に役立つ4つのツール

顧客管理に役立つツールにはいくつか種類があり、特徴が異なるため、目的や課題に合わせたツールを選ぶことが大切です。

ここでは、顧客管理に役立つツールを5つピックアップし、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。

  • CRM (Customer Relationship Management)
  • SFA (Sales Force Automation)
  • MA (Marketing Automation)
  • Excel・Google スプレッドシート

自社に必要なツールが何かを具体的に把握できるかもしれませんので、読んでみましょう。

顧客管理ソフトの機能や導入のポイントを知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。

CRM (Customer Relationship Management)

CRMとは顧客の基本情報に加え、これまでの購買履歴や問い合わせ、クレームとその対応など顧客とのコミュニケーションを記録・管理できるツールです。『決定版CRM入門ガイド』では、CRMが必要になる際に見られるサインやCRMのROIを最大化する方法を解説しています。すぐにCRMに投資すべきか見極めるための情報をまとめていますので、CRM導入の決断にお役立てください。

CRMのメリット・デメリットは次のとおりです。

<CRMのメリット>

  • 顧客情報を一元管理できる
  • データの集計や分析がしやすい
  • リアルタイムで更新できる
  • 他のツールとの連携が可能

CRMなら顧客情報をすべて集約し、社内や部門全体で共有できます。さまざまな切り口でデータを抽出・集計でき、多彩な顧客分析が可能です。

複数人での作業にも対応し、リアルタイムで更新されるため、すばやい判断と行動ができます。SFAやMAなど、他のツールと連携することで、さらなる売上アップにつなげることもできます。

<CRMのデメリット>

  • 導入・運用のコストがかかる
  • 効果が表れるまでに時間がかかる
  • 習得のための教育が必要

CRMによる顧客管理は長期的な施策であるため、多くのコストや時間を要します。

ただし、成果を焦らず、将来に向けての投資と考えれば、導入を前向きに検討できるのではないでしょうか。

CRMは種類が多いため、どのCRMがよいか迷っている方は、以下の記事を参考に自社にマッチしたCRMを選びましょう。

また、Sales Cloudのように営業支援ツールの機能もあるCRMもあります。

商談の進捗や達成状況からAIが最適な提案をしてくれ、データにもとづいた意思決定がしやすい点に強みがあります。

Sales Cloudでは体験デモと無料トライアルを実施しているので、営業効率を高めたい方は以下のフォームから気軽にお申し込みください。

SFA (Sales Force Automation)

SFAは顧客の基本情報に加え、以下のような営業活動全般の情報を記録・管理します。「なぜ買ってもらえたか」「なぜ買ってもらえなかったのか」を記録する基幹システムといえます。ここに蓄積された情報を最大限に活かすことで、営業力を飛躍的に強化できるようになります。

参考:eBook いまから始める営業支援システム

  • 商談の状況や内容
  • 提案したプランと回答
  • 顧客の要望

機能の上ではCRMと重なる部分が多く、それぞれを統合したツールも存在します。

SFAのメリット・デメリットは次のとおりです。

<SFAのメリット>

  • 顧客情報を案件や商談ごとに一元管理できる
  • 入力した情報をリアルタイムで共有できる
  • 営業ノウハウや情報の属人化を防げる

SFAは営業活動の進捗を管理し、可視化できます。また、記録された内容はリアルタイムで共有されるので、マネージャーがタイミング良くアドバイスをしたり、担当者不在の際のトラブルにもすばやく対応したりすることも可能です。

営業ノウハウもメンバー間で共有することで、営業活動の属人化を防ぎ、部門全体のパフォーマンスを底上げする効果が期待できます。

<SFAのデメリット>

  • 導入・運用のコストがかかる
  • データ入力の手間がかかる
  • 習得のための教育が必要となる

SFAのデメリットは、CRMとほぼ共通ですが「データ入力の手間」が挙げられます。集計や分析を行う際、より多くの情報があれば精密で多彩な分析が可能です。しかし、入力すべき情報を増やしすぎると、作業負荷が大きくなってしまいます。

結果「入力が面倒だから、使いたくない」となっては導入しても効果が得られなくなるので、注意が必要です。

SFAのメリット・デメリットは以下の記事でも詳しく解説しているため、あわせて確認してみてください。

 
 

5分で学ぶシリーズ
SFA・CRM編

 
こちらの5分で学ぶウェブセミナーでは、SFA・CRMの基本的なポイントである次の4つのポイントをデモンストレーションでご紹介します。

MA (Marketing Automation)

MAは見込み顧客を管理するためのツールです。個々の見込み顧客の基本情報に加え、マーケティング活動の状況と結果を記録し、一元管理します。見込み顧客の行動に合わせてメールを自動送信する機能もあり、マーケティング業務の自動化が可能です。

MAのメリット・デメリットは次のとおりです。

<MAのメリット>

  • マーケティング業務の自動化ができる
  • 見込み顧客の情報を一元管理できる
  • CRMやSFAとの連携が可能

MAは以下のような情報を管理できます。

  • 見込み顧客の属性
  • 商品・サービスへの興味関心の度合い
  • 行動履歴

それぞれの情報を分析することで、ニーズに合ったメールマガジンやDMなどを自動配信できます。

見込み顧客の段階から顧客情報を蓄積・管理しておくことで、顧客となった場合にも一貫した対応が可能です。CRMやSFAと接続すれば、マーケティング部門とセールス部門の連携が強まり、より高い効果が得られるでしょう。

<MAのデメリット>

  • 導入・運用のコストがかかる
  • マーケティングスキルが求められる
  • 継続的なブラッシュアップが必要

MAもCRMやSFAと同様、導入と運用にコストがかかります。また、データの分析や施策立案など、運用のためには一定のマーケティングスキルが必要です。

なお、MAによるメールの自動送信は「どんな条件を満たしたら、どのメールを送るか」を定義した「シナリオ」に従って行われます。このシナリオはマーケティング活動の成果を左右するものであるため、常にブラッシュアップし、精度を高めていく必要があります。『いまから始めるマーケティングオートメーション 定番シナリオ20選』では、はじめての方にとってハードルが高いMAのシナリオ立案について分かりやすく解説していますので、短期間での成果創出にご活用ください。

MAとCRM・SFAの違いは以下の記事でまとめているため、ツール選びや使い分けで悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

Excel・Google スプレッドシート

ExcelやGoogle スプレッドシートに代表される表計算ソフトは、データベースとしても使えます。顧客数がさほど多くない中小企業であれば、顧客管理が可能です。

ExcelやGoogle スプレッドシートのメリット・デメリットは次のとおりです。

<Excel・Google スプレッドシートのメリット>

  • 導入と運用のハードルが低い
  • 教育の必要がほとんどない
  • 必要最低限の機能を備えている

大抵の企業であればExcelを導入しており、Google スプレッドシートならGoogle アカウントを取得すれば無料で使えます。また、多くの従業員が業務で使っているので、使い方を習得するための教育もほとんどいりません。

関数やマクロを使えば複雑な計算ができ、グラフ化して視覚的にわかりやすいレポートにまとめるのも容易です。

<Excel・Google スプレッドシートのデメリット>

  • 過去のデータとの比較がしにくい
  • 複数人での作業には不向き(Excelの場合)
  • 管理機能が十分ではない

Excelは数値や情報を更新してしまうと、過去の履歴をさかのぼるのに手間がかかります。更新した後は、過去との比較がしにくくなる場合も考えられます。

担当者が進捗状況や数値を更新するまで状況把握ができず、マネジメント上の判断が遅れる可能性もあるでしょう。

Google スプレッドシートはリアルタイムで更新でき、複数人での作業にも対応していますが、過去データとの比較という点では難があります。

いずれも専用ツールではないため、顧客管理の機能は決して十分とはいえません。

ExcelとSFAどちらを顧客管理に活用するか迷っている方は、両者の違いをまとめた以下の記事も参考にしてみてください。

顧客管理ツールを選ぶ6つのポイント

顧客管理ツールは種類が多く、製品によって特徴が異なるため、どのツールが自社に適しているか悩むことも多いのではないでしょうか。

顧客管理ツールを選ぶ6つのポイントを解説しますので、ぜひツール選びに役立ててみてください。

  • クラウドとオンプレミスどちらと相性がよいか
  • 目的や課題に合っているか
  • 導入と運用に必要なコストは適切か
  • 必要な機能が搭載されているか
  • 既存のシステムと連携できるか
  • セキュリティ対策が整っているか

どのような顧客管理ツールを利用しようか迷っている方は、ぜひ選び方を参考にしてみてください。

クラウドとオンプレミスどちらと相性がよいか

顧客管理ツールは、自社のサーバーにツールをインストールする「オンプレミスタイプ」と、インターネットを通じて利用する「クラウドタイプ」の2つに大別されます。

オンプレミスタイプの場合は、クラウドに比べてカスタマイズが自由にしやすいといったメリットがあります。一方、導入・運用のコストがかかる点はデメリットです。

クラウドで顧客管理をする場合は、以下のようなメリットがあります。

  • 自社でサーバーを用意する必要がない
  • ツールのアップデートを利用者側でしなくてよい
  • オンプレミスタイプに比べて導入スピードが早い

かつては大事な顧客情報をインターネット上に預けることから、クラウドタイプのセキュリティ面が問題として挙げられることもありました。しかし、最近ではセキュリティや安全性に関する第三者認証を取得し、安全性向上を図っているクラウドタイプのツールも存在します。 現在は、クラウドタイプのセキュリティ面を心配する必要はないといえるでしょう。

目的や課題に合っているか

導入前に「顧客管理を行う目的は何か」を考えておく必要があります。「何の指標を改善したいのか」「どうなることで目標達成といえるのか」を整理しておきましょう。

マーケティング活動や営業活動など、定性的なデータを把握したいのに、定量的なデータを把握する会計ツールで顧客管理をするのは適切ではありません。

もしすでに顧客管理を行っているのであれば「現状の顧客管理における課題はどこにあるのか」について、明確にしておくことが大切です。

導入と運用に必要なコストは適切か

導入・運用のコストを十分に回収できるかどうか、精査することも必要です。

顧客管理ツールの多くはクラウドサービスとして提供され、月額課金制をとっています。しかし、ツールによっては機能の習得に向けた教育や、専門知識をもつスタッフの確保も必要になるでしょう。それらも含めた運用コストがいくらかかるのか、十分にシミュレーションしておくことが大切です。

必要な機能が搭載されているか

顧客管理ツールの機能は種類によって異なるため、目的や課題に合った機能を搭載したツールを選びましょう。

たとえば、顧客情報を幅広く収集し関係構築に活かしたい場合はCRMが適しています。顧客情報を管理する機能を多く搭載しているため、リピーター獲得や顧客との関係の維持に役立てられるでしょう。

顧客情報をマーケティングに活用したい場合は、メールマガジンやダイレクトメールの配信機能が特徴的なMAが向いています。

さまざまな機能が搭載されているからという理由で導入すると、操作が複雑になるため自社に必要な機能を搭載しただけのツールを選ぶのがポイントです。

既存のシステムと連携できるか

営業活動の管理にSFA、マーケティングの自動化にMAなどをすでに利用している場合は、既存システムと連携できるツールを選びましょう。

顧客情報は営業活動やマーケティングなどさまざま業務と関わりが強いため、関連するツールからも確認できる体制を整えることが大切です。

連携させたい既存システムを社内全体で洗い出し、対応しているものを選ぶことをおすすめします。

セキュリティ対策が整っているか

顧客情報は個人情報を含んでおり、決して漏えいさせてはならないため、セキュリティ対策がしっかりとなされたツールを選びましょう。

ツールでよく搭載されているセキュリティ機能として、以下のようなものがあります。

  • 権限制御
  • 不正アクセスの防止
  • データの暗号化

権限制御ではユーザーごとに権限を割り当てられ、そのユーザーに必要なデータにのみアクセスできるように制御できます。

不正アクセスの防止機能は、2つ以上の要素で認証する「多要素認証」や、特定のIPアドレスからのアクセスに制限するIPアドレス制限などのことです。

また、通信やデータなどを暗号化することで、データの盗難や不正なアクセスを防止できます。

 

以上の機能を備えているツールを選び、大切な顧客情報を漏れることなく管理できる体制を整えましょう。

顧客管理の質を高める3つのポイント

顧客管理ツールを導入しただけでは十分ではなく、適切に活用することによって顧客管理が成果につながっていきます。

顧客情報を効果的に活用できるように、顧客管理の質を高める3つのポイントを実践しましょう。

  • 顧客情報をこまめに更新する
  • スモールスタートで定着を図る
  • セキュリティ対策を徹底する

より効果的な顧客管理を実施したい方は、ポイントを正しく理解し、運用に活かしましょう。

顧客情報をこまめに更新する

顧客情報は登録したときの内容から変わる場合があるため、その都度最新の状態に更新しましょう。

顧客から変更を知らせてもらえることもありますが、顧客の所属する部門や役職など、気づかないうちに変わっていることもあるため、定期的な更新が必要です。

担当者が異動したときや変更になったときなど、見直しのタイミングを決めておくと、更新漏れが少なくなります。

スモールスタートで定着を図る

顧客管理は浸透に時間がかかるため、徐々に定着を図る姿勢が大切です。はじめは特定の部署のみで運用を開始し、運用の流れや成果を確認した上で、他の部署・部門へ広げていくと、顧客管理を組織全体に浸透しやすくなります。

顧客管理の失敗で多いのは、情報の入力の手間から十分に運用されなくなったり、入力しただけで終わったりしてしまうことです。スモールスタートで顧客管理の前例をつくり、効果的な顧客管理を社内全体で実践しましょう。

セキュリティ対策を徹底する

セキュリティ性に優れた顧客管理ツールを利用していても、運用者のセキュリティ意識が低いと、重大な情報漏えいが起きるリスクが高まります。

「社外では不特定多数の人がいる環境で確認しない」「安易に情報を口外しない」など、ルールを念入りに共有しましょう。

限られた人物だけに利用を許可するアクセス制限や利用履歴の記録など、セキュリティ機能を駆使して顧客情報を保護し、企業への信頼が損なわれないようにしましょう。

まとめ:適切な顧客管理が企業の発展につながる

顧客情報をいかに適切に管理し、活用するかによって、今後の企業の発展が左右されます。顧客管理がきちんとできていれば、ターゲットに対して適切なタイミングで顧客ニーズに沿った商品やサービスを提供・提案できます。結果、営業活動が効率化され、顧客満足度や売上の向上へとつながっていくわけです。

顧客管理する目的を明確にし、自社に合ったツール、自社に合ったスタイルを採用しつつ、上手に顧客管理を行いましょう。

セールスフォースでは、営業支援に効果的なCRM「Sales Cloud」を提供しています。体験デモや無料トライアルを実施しているので、営業の成果を高めたい方はぜひ以下のフォームから気軽にお問い合わせください。

 
 

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