LTVの向上に貢献する、ロイヤルカスタマーの育て方
自社の製品やサービスを愛用してくれるリピーターは、企業にとって優良顧客です。中でも、ロイヤルカスタマーと呼ばれる層は、LTV(顧客生涯価値)を高くし、安定的な売上に貢献してくれます。
では、こうした顧客を育てるには、どうすればいいのでしょうか。ここでは、ロイヤルカスタマーが企業にもたらすメリットと、ロイヤルカスタマーの増やし方について解説します。
ロイヤルカスタマーとは?
ロイヤルカスタマーの定義
ロイヤルカスタマーには、明確な定義はありません。ですが、一般的なイメージとして、次の条件にあてはまればロイヤルカスタマーであるととらえていいでしょう。
<ロイヤルカスタマーのイメージ>
・自社製品あるいはサービスを、繰り返し購入・利用している
・競合他社への離脱を起こさない
・周りの人に自社製品やサービスを推奨している
つまり、企業から見たロイヤルカスタマーとは、「ロイヤリティとLTVが、ともに高レベルにある顧客」ということになります。
ロイヤルカスタマーがもたらすメリット
スマートフォンの普及と通信環境の整備によって、人は膨大な情報を瞬時に手にすることができるようになりました。それとともに、ビジネスの高速化が進み、何らかのヒット商品が登場すると、すぐさまより優れた類似商品が現れるということが繰り返されています。少子化と人口減少による市場の縮小もあって、ほぼすべての業界で企業は厳しい競争にさらされています。
この状況では、ロイヤルカスタマーは極めて重要な存在です。ロイヤルカスタマーは定期的な購入を続け、途中離脱することもありません。彼らから得られる収益は、企業にとって安定収入そのものです。長期間にわたって購入し続けてくれれば、利益の額は高まるばかりです。さらに、友人や同僚など、周囲への波及効果も期待できるのですから、手放したくない顧客に違いありません。
そのため、多くの企業がロイヤルカスタマーを育成し、維持することを重要課題に設定しているのです。
ロイヤルカスタマーに関する注意点
優良顧客とロイヤルカスタマーの違い
一般的に、企業にとっての優良顧客はリピーターです。
自社製品を繰り返し購入する、あるいは自社サービスを長く使ってくれる。収益は安定しており、LTVも高い。そうした購買行動をとりながら、ロイヤリティが低い場合があります。それはおもに、次のパターンに該当するケースです。
<購買行動とロイヤリティが相反するケース>
(1)長期契約のため、解約したくてもできない
(2)解約手続きに手間がかかり、つい面倒で解約していない
(3)不満はあるが代替製品やサービスがなく、仕方なく継続使用している
最初の2つのケースは継続的な購買・利用契約がある場合です。「1」は契約期間の長さに加えて、期間内の解約に違約金が発生するなどのケースも該当します。「2」は「契約はネットで5分、解約は店頭へ」というような場合です。いずれも顧客は継続購買していますが、反面ロイヤリティは下がるばかりだというのは容易に想像できるのではないでしょうか。「3」は洗練された競合製品が登場したら、あっという間に乗り換えられてしまう可能性をはらんでいます。
これらの事例を想定すれば、継続率とLTVがともに高い優良顧客が必ずしもロイヤルカスタマーではない、ということがわかるかと思います。
見かけのロイヤリティに惑わされない
売上と利益を追求するのは営利組織として当然のことですが、顧客が本当に満足しているかどうかを可視化し、さらに向上を図ることを怠ってはいけません。そうした行動の蓄積があって、真にロイヤリティの高い顧客を育成することが可能になります。
ロイヤルカスタマーを育成するには?
LTVとNPSでセグメント分類する
ロイヤルカスタマーの育成の第一歩は、顧客のセグメンテーションからです。一般的にいわれているロイヤルカスタマーは、「LTVの高い顧客」ということになりますが、前項で紹介した内容を踏まえると、この層をさらにロイヤリティの高低で分類する必要があります。
ロイヤリティを測るには、「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」を活用するといいでしょう。自社製品を「友人や同僚にすすめたいかどうか」という設問に対し、最低の0点から最高の10点までで顧客に評価してもらい、9点・10点の評価を下した顧客を「推奨者」として最もロイヤリティの高い顧客に分類する手法です。
この方法をとれば「真のロイヤルカスタマー」がどこにいるか明確になるだけでなく、購買量は少ないけれどもロイヤリティは高い「潜在的ロイヤルカスタマー」の存在も明らかになります。この層こそ、最優先でロイヤルカスタマーへと育成したい顧客層となります。
各部門での対応策を考える
「製品やサービスに不備がないか」「ニーズに応えられていないところはないか」「ユーザーサポートに不足はないか」「価格設定が妥当なものか」など、幅広い範囲で「なぜNPSが低いのか」を検討し、部門の垣根を越えて改善に取り組むことが必要でしょう。
CRMでエンゲージメントの向上を図る
ただし、ここで注意したいのは、顧客が自社製品を購入した、あるいはしなかったという「行動履歴」を追うだけでは不十分だということです。エンゲージメントを高めるには「なぜその行動に至ったのか」を掘り下げ、原因を改善しなくてはなりません。そのためには、深い顧客理解とともに、顧客の心理を探っていくことが重要です。
アンバサダーマーケティングを活用する
著名人をインフルエンサーとして活用する場合、影響力は大きいものの、どうしても広告くささが感じられてしまいます。その点、一般人のアンバサダーなら、本人の思い入れも作用して、口コミでの拡散はもちろん、各種キャンペーンにも積極的な参加が期待できます。
コミュニティマーケティングを展開する
このコミュニティは、前述のアンバサダーの集合体ともいえ、そこでは製品に関するさまざまな関心や情報が飛び交い、コミュニケーションが交わされています。そうした動きの中でファンが増えていくとともに、製品に対する評価や意見が発せられ、より優れた製品を生み出すきっかけにもなります。
ファンがファンを呼んでコミュニティを拡大し、その中でロイヤルカスタマーが育ち、さらに企業側へのフィードバックも得られる。これまでにないマーケティング手法として、コミュニティマーケティングは注目を集めています。
ロイヤルカスタマーの育成・拡大が安定化のカギ
自社に信頼と愛着を感じてくれる顧客を大切に育て、増やしていくことで、売上の安定化に大きく貢献してくれることでしょう。
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