大きなトラブルを事前に防ぐインシデント管理の基礎知識
大きな障害に発展する前に、その芽を摘み取るインシデント管理。今や多くの企業にとって重要な課題となっています。では、どのようにインシデントを処理していけばいいのでしょうか。
ここでは、インシデント管理を行うことのメリットや管理方法について解説します。さらに、インシデント管理にツールを活用するメリットについてもご紹介します。
インシデント管理とは何か?
そうした事態を未然に防ぐため、トラブルがまだ表面化する前の「インシデント」の段階で察知し、回避するのがインシデント管理の目的です。
インシデントの意味
ちなみに、インシデントは国際的な規格である「ISO 22300」でも定義されており、「中断・阻害、損失、緊急事態又は危機になり得る又はそれらを引き起こし得る状況」とされています。
インシデント管理によるメリット
サービス提供側のメリット
各種ITサービスの提供企業から見れば、自社提供のサービスに何らかの障害が起こるということは、なんとしても避けたいところです。何より、ユーザーに迷惑をかけることになりますし、自社の信用にも関わります。
そうした事態を未然に防ぐインシデント管理は、まさに「転ばぬ先の杖」といえます。大事に至る前に対応することができれば、大きな安心感につながります。
また、過去に起こったインシデントの事例をデータベース化して一元管理しておけば、ユーザー側のシステム等に起因するトラブルにも、すばやく正確に対応することができます。ユーザーからの問い合わせに対して最短距離で解決にたどり着くことができれば、サポートの業務効率が高まりますし、ユーザー側の満足度も向上するでしょう。
さらに、インシデントに対する管理体制をきちんと構築しておけば、インシデント発生時の状況に応じて対応レベルを変えることができます。つまり、日常的に起こるものはユーザーサポートの担当者レベルで解消し、より大きなインシデントや状況の分析などはマネージャークラスが担当するという具合に、役割を分担することができるのです。
「問題が起こったら解決する」という場当たり的な処置の繰り返しではなく、分析結果をフィードバックして、さらに品質と安全性を高めることにつなげられます。
ユーザー側のメリット
トラブルとはいえないほどの出来事であっても、迅速で的確なサポートによって大事に至る前に解決することができれば、ユーザーにとっても歓迎すべきことです。
それが信頼となって、サービスやサポートに対する安心感につながります。
インシデント管理の方法
ここからは、インシデント管理の方法を、順を追って解説していきます。
1. インシデントの検出
2. インシデントの分類
ここでいう「レベル」とは、業務への影響などを踏まえた、緊急度や優先度を指します。これらのレベルが高くないなら現場担当者が対応することになりますが、レベルが高ければ上位レベルに報告し、対応をゆだねる「エスカレーション」の必要があるでしょう。それらを判断するのが、このプロセスです。
3. インシデントの解決
なお、現場担当者では解決できないインシデントの場合は、マネージャーにエスカレーションします。状況によっては、マネージャーとシステム責任者で問題の解決にあたることもあるでしょう。
4. インシデントの記録・登録、経過観察など
ユーザーへのフォローを行い、必要であれば経過観察を行いましょう。この場合は、すべてのフォローが完了するまで、管理が続くことになります。
5. 報告・終了
管理ツールを活用してインシデント管理するメリット
インシデントの管理ツールにはいくつもの種類があり、それぞれ使い勝手や細かな機能の上で違いがあるものの、基本的な機能はほぼ共通しています。最後に、インシデント管理にツールを使うメリットをご紹介しましょう。
状況を可視化できる
対応フローを標準化できる
作業を自動化できる
インシデント管理には、常に「今以上の備え」を
自社の体制を見直し、万全なインシデント管理を行ってください。
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