コールセンターの分析手法とは?おすすめ分析ツールや注意点を解説
企業と顧客のタッチポイントであるコールセンター。その業務を分析・評価し、改善することは、顧客満足度の向上につながります。
ここでは、コールセンター業務をどのように分析すればいいのか、ご紹介しましょう。また、分析のポイントや、どんなツールを使って分析すればいいのかについても解説します。
コールセンターにおける3つの分析手法
コールセンター業務を改善するためには、業務内容をさまざまな指標で数値化し、分析する必要があります。その方法はそれぞれ特徴があり、目的に応じて使うことが大切です。
まずは、コールセンターで使われる3つの分析手法から見ていきましょう。
<コールセンターにおける3つの分析手法>
- KPI分析:業務効率を評価する
- トーク分析:応対品質を評価する
- VOC分析:顧客ニーズを収集する
KPI分析:業務効率を評価する
KPIとは「重要業績評価指標」であり、さまざまな業務で指標として用いられるものです。コールセンター業務では、応答率や平均処理時間、サービスレベルなどがKPIとして用いられます。
KPI分析は、複数の指標を組み合わせて使うことが多いのですが、実際にどの指標を重視するかは企業ごとに違うでしょう。応対品質を高めたいならば応答率やサービスレベルがポイントになりますし、効率化を果たしたいなら、稼働率や平均処理時間など、業務効率に関する指標が重要になります。
セールスフォース・ジャパンが全国のコールセンター関係者515人に行ったアンケート調査によれば、明確なKPIを設定しているコールセンターは、全体の半数以下でした。このことから、多くのコールセンターが「業務改善したいけれど、どこをチェックすればいいのかわからない」という状態に陥っているものと推察されます。
トーク分析:応対品質を評価する
トーク分析とは、その名のとおり、オペレーターの会話内容そのものを分析・評価する方法です。この方法での分析のポイントは2つあります。
まずは、言葉遣いも含めて、会話の流れが適切かどうか。1つの質問に対して1つの回答をきちんと返しているかが大切で、ここがうまく整理できていないと、相手は「知りたいことに答えてもらえない」と感じてしまいます。
もうひとつは、回答がわかりやすいかどうか。これは、会話内容をテキスト化することで、より明確な分析へとつながります。
トーク分析は、着電数や処理時間のように、明確な数値として計測できるものではありません。そのため、会話内容をチェックするために標準化された、「コールチェックシート」で評価するのが一般的です。
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VOC分析:顧客ニーズを収集する
VOCとは「Voice of Customer」、つまり「お客様の声」のこと。VOC分析は、顧客からの意見や要望を基に、サービスを改善していく手法です。
コールセンターには、商材に関する問い合わせのほか、多くの意見や要望が集積されます。その中には、良い意見も悪い意見もあり、またコールセンターそのものに対する意見も含まれています。
しかし、どのような意見であっても、それは顧客がわざわざ電話やメール、チャットの手間をかけて発信したもので、自社にとって重要な情報です。適切に分析し、自社製品やサービスに反映しましょう。
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コールセンター業務を分析する際の5つの注意点
どのような分析をするにしろ、分析の際にはいくつか注意すべきポイントがあります。ここをおろそかにすると、分析結果にぶれが生じることもありますから、注意が必要です。
<コールセンター業務を分析する際の5つの注意点>
- 正確なデータを使う
- グラフなどを使って視覚化する
- 適切な測定期間を設定する
- 全体の「振れ幅」にも注目する
- 全体を見て総合的に評価する
正確なデータを使う
当然ながら、分析には正確なデータを使わなくてはなりません。ただ、ここでいう「正確さ」には、いくつかの要素が含まれます。
まずは、文字通りの正確さです。数値として測定できるものは、その数値が正しいものであることが大前提です。また、正確さを追求するなら、母数が多いほど良いのですが、あまりに多すぎる場合には、正確性を担保できる程度のサンプル調査とするのもいいでしょう。
グラフなどを使って視覚化する
数値として収集された、着信件数や平均処理時間。これを時間ごと、さらに曜日ごとにまとめるには、グラフに落とし込み、視覚化するのが一番です。
たとえば、着信件数であれば、横軸に時間、縦軸に件数をとって折れ線グラフで表示すれば、時間帯ごとの傾向がひと目でわかります。折れ線の色を変えて月曜から日曜までのグラフを重ねれば、1週間を通じての傾向がさらに明確になるでしょう。
視覚的にわかりやすくなれば、どこに改善すべき課題があるのか、見つけやすくなります。棒グラフや円グラフなど、各種のグラフを使い分け、分析しやすい形で表現しましょう。
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適切な測定期間を設定する
測定対象となる情報に対して、それぞれに適した測定期間を取ることは不可欠です。
たとえば着信数は、休日と平日とでかなりの差があります。この差は、平均処理時間や応答率にも影響してきます。ですから、これらの正確なデータを測定するなら、最低でも1週間は測定する必要があるでしょう。月末と月初でも動きが変わる場合もありますから、1か月間の測定期間があれば、なお良いかもしれません。
また、分析による改善傾向を見る場合には、改善の前後を比較するだけでは十分ではありません。改善の効果が表れるまでには、ある程度の時間がかかります。ですから、最短でも3か月、できれば6か月、1年と追跡することが望ましいといえます。変化のトレンドを把握するには、測定期間が長いほど誤差が少なく、より正確な判断を下すことが可能です。
全体の「振れ幅」にも注目する
数値化されたデータを分析していると、数値の大小、高低ばかりに注目してしまうということは、ありがちなことです。しかし、最高値や最大値に目を奪われてしまうと、本質を見誤ることにもなりかねません。
たとえば、AさんとBさん、2人のオペレーターのパフォーマンスを測定して数値化したところ、Aさんの最高値が90点、Bさんの最高値が75点だったとしましょう。これだけ見ればAさんの優秀さが際立ちます。しかし、最低点を見るとAさんは55点、Bさんが70点だったらどうでしょうか。AさんよりもBさんのほうが、安定したパフォーマンスを発揮できているということになります。
顧客目線で考えれば、良し悪しの差が大きいコールセンターは、好ましいとはいえません。常に変わらない、安定した対応を期待できるほうが、顧客にとっての安心感は大きいのです。
全体を見て総合的に評価する
コールセンターの業務目的を簡潔にいえば、「顧客のストレスを最小限に抑えつつ、必要な情報を提供し、それによって満足を与えるもの」ということになります。この目的を達成するためには、単に応答率を高めたり、処理時間を短縮したりするだけでは、十分ではありません。つまり、コールセンター業務を分析・評価するには、1つのKPIだけで判断することはできないのです。
「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、コールセンターの業務分析は、まさにこの言葉のとおりです。業務全体を見渡し、複合的・総合的に評価しないと、正しい判断を下すことはできません。
どの指標を重視すべきかは、企業によって異なりますが、広い視野を持って分析・評価し、改善にあたることが大切です。
コールセンター業務の分析に使える3つのツール
コールセンター業務の分析をサポートするために、さまざまな分析ツールが開発されています。それぞれ特徴が異なり、分析の目的によって、どのツールが適しているかが変わってきますから、目的に合ったツールを使うことが大切です。
<コールセンター業務の分析に使える3つのツール>
- KPI分析ツール
- VOC分析ツール
- コールセンターシステム
KPI分析ツール
KPI分析ツールとは、コールセンターでKPIとして使われる、さまざまな指標を測定し、分析するものです。着信件数から応答までの保留時間、対応時間など、数値として測定できるほぼすべての要素を収集することができます。業務を定量的に分析したいときに役立つツールといえるでしょう。
収集したデータは、グラフなどに変換し表示できるので、業務の全体あるいは特定の要素について、視覚的に把握することができます。そのため、マネージャーやスーパーバイザーは、データの収集・分析に時間と手間を取られることなく、ひとりひとりのオペレーターへの評価、必要に応じた指導、業務改善のためのプランニングなどに集中することが可能です。
設定したKPIの改善を目指して、高速でPDCAを回していくためには、まさに最適なツールといえます。
VOC分析ツール
VOC分析ツールは、顧客からの声を収集し、その内容を分析するためのものです。コールセンター向けのVOC分析ツールは、電話はもちろん、メールやチャットなどで入力された顧客の声を分析対象とします。
こうしたツールの多くは、オペレーターとの会話を録音した音声をテキスト化できる「テキストマイニング機能」を持っています。この機能により、蓄積された文字情報を分析することで、業務改善をサポートすることが可能です。
近年では、AIを組み合わせたものも使われており、音声をそのまま認識して顧客の感情の動きを解析したり、顧客の質問に対して最適化された回答を用意したりと、高度な機能を持つツールも登場していますので、自社に適したものを選びましょう。
コールセンターシステム
コールセンターの基幹システムとして広く使われているコールセンターシステム。これには、会話を録音する機能や情報管理の機能などが搭載されており、個々のオペレーターの業務状況を管理し、項目ごとに収集・分析します。
顧客情報を一元管理するCRMや、よくある質問と回答をデータベース化したFAQシステムなどと組み合わせることで、業務効率をさらに高めることができます。
また、製品の中には、これらの機能を組み込んだものもあり、コールセンターシステムという名称は同じでも、機能の面ではかなりの幅があるようです。導入を検討する際には、このような機能面にも注意する必要があるでしょう。
評価分析と改善を重ね、コールセンター業務の品質を向上させよう
継続的な評価分析と分析結果にもとづく改善を重ねて、コールセンター業務の品質向上を目指してください。
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