ヘルプデスクは、自社のブランド力向上に活用できる!

投稿日:2020.09.23
社内外からのテクニカルな質問に答え、トラブルを解決するヘルプデスク。企業によって運営形態は異なりますが、近年ではその運用によって業務全体の効率化、さらには企業のブランド力の向上につなげようとする傾向もあります。 ここでは、ヘルプデスクの業務内容や改善の方法についてご紹介します。

ヘルプデスクとは?

ヘルプデスクは、コールセンターと混同されることもあるようです。「疑問・質問に対する受け皿」という点は同じで、兼務としている企業もありますが、本来は似て非なるものです。

ヘルプデスクは基本的に、社外あるいは社内からの問い合わせに対応する窓口であり、ソフトウェアやハードウェアに関する技術的な質問、あるいはトラブルに対応する部門です。その業務内容について、もう少し具体的に解説していきましょう。

社外からの問い合わせに答えるヘルプデスクの役割

ヘルプデスクの業務のひとつは、社外からの問い合わせや質問への対応です。
自社製品やサービスについて、技術的な質問やトラブルの解決を図ることがおもな役割で、この点でコールセンターとは異なります。しかし、顧客から見ればそうした区別がつきにくいため、クレームが持ち込まれることもしばしばあります。

そのため、コールセンターがヘルプデスクの役割を担ったり、窓口を一本化しておいて、問い合わせの内容によってヘルプデスクに電話をつないだりといった方法をとる企業も多いようです。
技術的な話が多く、内容が細かくなりやすいため、電話だけでなくメールでの回答も一般的です。近年ではコールセンターと同様、チャットボットを使う企業も増えています。

社内で機能するヘルプデスクの役割

システムがうまく動かない、PCの挙動がおかしい…。社内で起こるこうしたトラブルの解決を図るのも、ヘルプデスクの重要な業務です。企業によっては、むしろこちらのほうがメインとなる場合が多いかもしれません。
社内システムやハードウェアの保守管理、導入したツールやパソコンのセットアップ、さらに各種操作マニュアルの作成・配布、社内教育など、ソフトウェアとハードウェアに関するあらゆる業務に関わります。

自社内にヘルプデスクを設置する場合には、一般的に情報システムの一部門として設けられますが、外部委託するケースもあり、その場合はリモートでトラブルの解決や質問への回答を行います。
また、企業規模が大きくなると、情報システム部の中でヘルプデスクと社内SEを明確に分離し、ヘルプデスクは問い合わせやトラブルの解決だけに特化するというケースもあります。

ヘルプデスクを設置するメリット

ここからは、ヘルプデスクを設置するメリットについて解説します。対外的には顧客満足の向上、対内的には業務の円滑化がメリットとして挙げられます。

顧客満足度を向上させる

企業が市場に対して提供する製品やサービスには、ほぼ例外なくマニュアルが付属しています。また、家電の取扱説明書を見てもわかるように、トラブルの際に顧客自身が解決を図れるよう、詳細なFAQが掲載されていたりもします。
しかし、当初想定されていない不具合やトラブルが起こる可能性は常にありますし、そうしたときに提供側が問題を解決できないのでは、企業の信用を大きく損ねることになります。
反対に、どのような問題でも専門知識を備えたスタッフが万全の対応を行えば、顧客からの信頼は向上することになります。
ヘルプデスクもコールセンターと同様、対応ひとつで顧客満足度を大きく左右することになるのです。

円滑な社内業務を支える

社内業務のあらゆる部分がデジタル化され、多くのITツールが日常的に使用されている現在では、これらが動作不良や障害を起こすと、業務全般が止まってしまいます。そんなとき、早急に復旧を図れるヘルプデスクは心強い味方です。障害による被害を最小限に食い止め、時間的なロスを抑えることもできます。
また、日頃からソフトウェアとハードウェアの保守管理を行い、技術的なケアやサポートを行うことで、トラブルを未然に防ぎ、業務の円滑化に大きく貢献してくれます。
今日も何事もなく仕事ができる。そこには、縁の下の力持ちともいえる、ヘルプデスクの存在があるのです。

ヘルプデスクの課題

ヘルプデスクには多くのメリットがある一方、課題もあります。

ヘルプデスクがコールセンターと兼務になっている場合、本来の業務である「技術的なケアとサポート」とはかけ離れた、苦情やクレームの対処も行わなくてはならないことが挙げられます。これではせっかくのスキルを活かすことができず、人材のロスになります。
反対にとらえると、コールセンター業務の質を下げることにもつながります。

対内的なヘルプデスクは、ともすると「何でも屋」になりやすく、業務範囲の線引きが曖昧になり、全体のパフォーマンスが落ちてしまうことになるでしょう。
こうした場合、専門知識を必要としない業務については外部に委託するか、コールセンター業務だけを切り離して、コンタクトセンターとして再編成することも考えるべきでしょう。

ヘルプデスクに有効なツール

ヘルプデスクの業務を効率化し生産性を高めるには、紹介した課題を解決することで、根本的な改善につながります。それとともに、ヘルプデスク向けの各種ツールを導入すれば、業務のさらなる改善が図れるでしょう。

対外的か対内的か、あるいは両方の領域をこなしているのか。ヘルプデスクの業務範囲によって、必要なツールは異なります。これらのツールは基本的な機能はほぼ共通ながら、細かな部分で違いがあります。また、複数のツールをまとめた統合型ヘルプデスクツールもあります。
ツールを選定する際には、日々の業務内容に照らし合わせ、製品に対する利用者の評価なども参考にしながら、必要十分なものをチョイスするようにしましょう。

FAQシステム

多くの企業では、自社製品やサービスに関するFAQを「よくある質問」としてサイト内にまとめています。しかしこの方法では、新たなFAQを追加する度にページを書き換えなくてはならず、数が増えると利用者が探し出すのがたいへんです。
FAQシステムでは、FAQナレッジをデータベースとして蓄積しておき、いくつかのカテゴリーごとに表示することができますから、大量の質問とその回答をスピーディに検索できます。また、新たにFAQを追加する際にも、データベースを書き加えるだけですから手間がかかりません。

チャットボット

チャットボットは、FAQのデータベースとAIを組み合わせ、入力された質問に対して最も有用と思われる回答を返すというものです。会話形式で回答するため、FAQのように「利用者自身が探す」というアクションが不要です。 反面、スムーズで的確な回答を出力するためには、大量のデータをAIに読み込ませ、十分に学習させておく必要があります。

チャットツール

チャットツールは顧客とのやりとりにも使うこともありますが、ヘルプデスクの場合は、おもに社内でのトラブル報告や回答に使います。リアルタイムで会話ができますから、すばやい状況把握や迅速な改善・解決に大いに役立ちます。スピーディーにコミュニケーションがと取れる一方、やりとりした情報が会話の中に埋もれ、あとで遡ってさかのぼって探すのに不便というデメリットがあります。しかし、チャットツールとCRMやFAQシステムを連携することでエビデンスを残せます。

ヘルプデスクツールの活用で何が変わる?

ご紹介したツールは、ヘルプデスク業務にさまざまなメリットをもたらします。その一例をご紹介しましょう。

顧客情報の管理性の向上

ツールによっては、外部からの問い合わせについて、顧客名や問い合わせ内容をリアルタイムで記録できものがあります。これは、対応が終わってからExcelなどに書き込む方法とは、手間とスピードの面で比較になりません。
いつ、誰からどんな問い合わせがあったのか、誰が担当し、対応状況はどうなのか、すべてを記録することができますし、対応の遅れがあればアラートを飛ばすなどの設定をすることもできます。
さらに、電話だけでなくメールやSNSなど、複数のチャネルから入った問い合わせを一元管理することも可能です。

質疑応答のテンプレート化

ヘルプデスクでは、細かな回答はメールで返すことが多いです。そのようなときのためにテンプレートを管理できるツールを使えば、退会や解約などに対する回答は丸ごとテンプレートにできます。また、挨拶文やお詫び文、多く寄せられる質問への回答などはパーツとして作っておき、必要に応じて組み合わせることですばやく返信することも可能です。
さらには、タイプミスを防ぐことにつながりますし、担当者の作業負荷軽減に大きく貢献します。

運用の効率化

ツールによって対応スピードが加速し、担当者の負荷が軽くなれば、ヘルプデスクの生産性が高まります。さらに、問い合わせの本数や1件あたりに要した回答までの平均タイムなど、運営データを詳しく分析するツールを活用すれば、より効率的な運用が可能となります。

ヘルプデスクの品質が企業のブランド力を高める

社内向けか、あるいは社外向けかによって、ヘルプデスクの役割や在り方は大きく変わってきます。しかし、いずれも有用なツールを活用し、積極的な改善策を打っていくことで、業務効率を高めることが可能です。
その結果、対外的なヘルプデスクのクオリティが高まれば、顧客満足度を高め、企業のブランド力をさらに向上させることができるでしょう。

 

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