ABMとは?アカウントベースドマーケティングの手法・導入手順・おすすめツール
ABMとは「Account Based Marketing(アカウントベースドマーケティング)」の略で、企業を対象とし戦略的にアプローチをしていく、BtoBマーケティングの手法です。ABMの手法やメリット、導入プロセス、おすすめのツールまでご紹介します。
ABMを行う上では企業のマーケティング戦略にどう組み込んでいくかが重要になります。「失敗しない!ABM実践のための7つのステップ」では、ABMの組み込み方や導入に向けたステップをわかりやすく解説しています。この記事とあわせてぜひご覧ください。
そもそもABMとは何か
展示会やセミナーでは、優良リードを見込める一方でブースやセッションに参加してもらうまで相手がわからない。WEBマーケティングでは、リードを大量に獲得できても相手の温度感がわからない。
ABMはこのような課題に対して、営業とマーケ担当が足並みをそろえて優良リードを獲得しようとする取り組みになります。
ABMという言葉が定着してきたのは最近のことですが、じつは日本では以前から「営業が繰り返し訪問して課題をくみ取る」形で自然とABMと似た営業活動が行われてきました。
とはいえ、この手法には多くのリソースが必要なため、マーケティング段階から商談したい企業にアプローチできるABMが注目されるようになりました。ABMの概要をわかりやすい資料にまとめました。ぜひご活用ください。
リードベースドマーケティングとの違い
「リードベースドマーケティング」とは、リード(見込み顧客=個人)を単位とした営業手法です。リードベースの営業手法は、広く見込み客を獲得するところからスタートしますが、アカウントベースの営業手法は、対象企業の課題特定からスタートさせる、もとから営業対象を絞り込んだモデルになっています。
また、営業対象との接点数についても、リードベースドマーケティングが徐々に絞り込まれていくのに対し、ABMは信頼を獲得していきながら徐々に拡大してく違いがあります。
デマンドジェネレーションとの違い
「デマンドジェネレーション」とは、“需要の創出”を意味し、営業対象が内包している隠れた需要を掘り起こす活動のことです。内包された需要に対して営業をかけていく点でABMと似ていますが、デマンドジェネレーションは営業対象を1社のみに限定せず、スコアリングに基づいて徐々に見込み客を絞っていくという点で異なっています。
それぞれ顧客へのアプローチの方法から、漁業に例えて、デマンドジェネレーションは「網」、ABMは「銛(もり)」とよくいわれます。
ABMが必要とされている背景
1)顧客側の意思決定プロセスの変化
これまで日本の企業の多くは、トップダウン方式で意思決定が行われてきました。しかし近年では、現場からのデータ・提案によるボトムアップ方式も採り入れられるようになっています。
その結果、企業の意思決定に関わる人間は増えていますが、営業としてすべての人にアプローチするわけにはいきません。その点、企業全体を1つの塊として考えたABMは最適な手法と言えます。
2)技術の進歩による環境の整備
ABMには、提案までに多くのリソースを必要とする弱点がありました。しかし、近年はMA(マーケティングオートメーション)やCRM(顧客関係管理)といったツールの普及したことで、この弱点が克服されつつあります。
営業単位を企業全体とすると、その裏に膨大なデータや分析などが必要になります。マーケティングツールは、データベースから課題や傾向を導き出すことが得意なので、活用次第で効率的にABMが可能となります。
ABMのメリット・デメリット
ABMのメリット
ABMの代表的なメリットは以下の3つです。
- 効率的なアプローチが可能
- PDCAを高速化できる
- 自社リソースを集中できる
ABMの大きな特徴として、「最初からターゲットを絞っている」点があります。この特徴がもたらすメリットは大きく、営業対象に対して的を射たアプローチができたり、成約後に効果測定がしやすかったりと、スピード感のある行動を可能とします。
また、1社と長期的かつ大口での付き合いが見込めれば、自社リソースを集中してつぎ込めるメリットもあります。
ABMのデメリット
メリットの多いABMも、すべての企業に対して効果が見込めるわけではありません。ABMの代表的なデメリットとして以下の2点があります。
- 複数商材がない企業では成果を上げにくい
- ターゲットが大企業でないと成果を上げにくい
そもそもABMはターゲット企業に対して、クロスセルで売上の最大化を目指す手法です。
そのため、自社の商材・サービスが少なかったり、ターゲット企業の規模が小さかったりすると、営業に必要なリソースに対する成果が少なくなってしまう可能性があります。
ABMの具体的な手順
ここからは、ABM導入の一般的なプロセスを説明します。ターゲットとする業界によってカスタマイズは必要ですが、基本的には以下の4ステップで行っていきます。
- 対象企業とキーパーソンを選定する
- アプローチの方法とその内容を決める
- 必要ならば、補強手段を打つ
- 効果測定しPDCAを回す
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 対象企業とキーパーソンを選定する
まずは営業対象となりうる企業に目星をつけ、優先順位を設定します。ここで重要になるのは、期待できる取引額やリピートの可能性です。なるべく高いLTV(顧客生涯価値)が見込める企業を優先していきましょう。
企業に目星がついたら、企業内における意思決定のキーパーソンを確認します。ABMは企業全体を対象としていますが、やはり意思決定権を持つ相手にアプローチをすることは重要です。
2. アプローチの方法とその内容を決める
ターゲット企業とキーパーソンが決まったら、アプローチ方法を考えましょう。このプロセスで重要な点は、ターゲットに適したシナリオとコンテンツの作成です。
対象企業のニーズを具体的に想定するには、ペルソナの設定とカスタマージャーニーマップの作成が有用です。対象企業がどのような立場にあるかを想定し、そこから生まれる課題解決への道筋、そしてその先にあるベネフィットを見せることで、営業対象の興味・関心を引いていきます。
注意点としては、資料や営業トークに一貫性を持たせることです。データに裏打ちされた提案に信頼性を持たせるためにも、芯のあるアプローチを最適なチャネルで行いましょう。
【関連コンテンツ】
3. 必要ならば、補強手段を打つ
自社が発信した情報を見てもらえるよう、補強手段を活用することも有効です。たとえば、パーソナライズド広告機能を活用すれば、自社製品に興味を持ちそうな層に、優先的に関連性の高い広告を表示したりすることができます。
こうした補強手段は、ウェブやメールをはじめ、オフラインの媒体なども絡めて実施することができますので、必要に応じて実施するといいでしょう。ただし、そのタイミングとメッセージの一貫性には、十分な配慮が必要です。
4. 効果測定しPDCAを回す
一通りのアプローチが完了したら、効果測定を行い、PDCAを回します。ABMは、闇雲に電話営業を行い、反応が今ひとつであればすぐ次に移るような質より量を優先するやり方とは考え方が違います。
ABMは「価値が高く、しかも優良顧客となりうる企業」に対象をしぼったマーケティング手法です。そのため、分母は小さくても、案件化・顧客化する確度は高く、ある程度の時間と労力をかけてアプローチすることができます。
最初のアクションで好反応が得られなかったからといって終了してはいけません。結果を分析して、次のアプローチにつなげることが重要です。それらを何度も繰り返すことで、優良リードを優良顧客へと導いていくのです。
ABM推進に役立つツール
ABMは、提案1件に多くのリソースを費やすため、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)といったツールが不可欠になってきます。
SFAは、データの一元管理により営業活動の効率化を目的としたツールです。導入すると、営業メンバーの行動管理や、進捗状況管理などが可能になります。CRMは、顧客情報の一元管理により、顧客のLTV向上を目的としたツールです。顧客データに基づいた傾向や、見通しの分析などを得意とします。
企業全体を考えた提案を作成するにあたり、大量のデータを取りあつかうことになります。SFAやCRMのような、ビッグデータに適したツールを用いて、効率的なABMを実現しましょう。
SFAやCRMの具体的な機能や使い方はこちらの記事で解説しています。
【関連コンテンツ】
テクノロジーが実現したABM
日々進化するデジタルツールは、それによって営業スタイルに新たな変化をもたらし、さらなる効率化へと導いてくれます。自社のさらなる拡大のための手法のひとつとして、ABMとともに、MAやSFAの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
Salesforceの製品はABMを導入する上で必要な機能をひととおり揃えることができます。ABMの手法を自社に取り入れ、業績を上げるために必要なステップをこちらの資料でまとめています。ぜひご覧ください。