BtoB企業は、CDPをどのように活用すべきか
CDPというと、「BtoC領域で使うもの」という印象が強いかもしれません。しかし、そこに蓄積した詳細な顧客情報は、BtoBの領域であっても、十分に活用できます。
ここでは、BtoBにおけるCDPの活用について解説していきましょう。
BtoB領域ではCDPの活用が難しいと考えられるのはなぜ?
確かに、CDPはBtoCとの親和性が高く、それもあって「CDPはBtoBでは使い道がない」と考えている人は少なくはありません。しかし、そのような現状だからこそ、CDPを活用し、他社の一歩先を行くチャンスがあるのです。
BtoBとBtoCの違い
「CDPはBtoBでは使いにくい」と思われている理由として、BtoBとBtoCの特性の違いが考えられます。一般的にBtoBとBtoCでは、次のような特性の違いがあります。
<BtoBの特性>
- 決裁プロセスが複雑で、購入決定までに時間がかかる
- 決裁者が複数存在する
- 機能や投資対効果などが、論理的にチェックされる
<BtoCの特性>
- 購入決定までの時間が短い
- 消費者自身が決裁者であることがほとんど
- 感覚的に購入を決める「衝動買い」がある
このように、BtoBとBtoCそれぞれの特性は、相反するものであることが多いといえます。特に、BtoBは複数の決裁者が関わり、投資対効果などが論理的に検討される特性があるため、個人単位のマーケティングのベースとなるCDPの活用は難しいようにも見えるでしょう。
とはいえ、BtoBの領域であっても、決裁を下すのはあくまでも複数の「個人」です。であれば、複数存在する決裁者ひとりひとりに、適切なアプローチをかけることができれば、個人を対象にしたマーケティング施策は成立し、CDPを活用できる余地が見つかるはずです。
BtoBとBtoCのあいだにある、個人体験の乖離
BtoCの領域では、見込み顧客や既存顧客ひとりひとりの行動履歴をベースに、タイムリーできめ細やかなマーケティング施策が実施されています。ですがBtoB領域となると、BtoCのような細やかな配慮は、なかなかなされていないのが現状です。
そもそもBtoBでは、購買に関わる人数が多く、個人の興味や行動にフォーカスしても成果を上げにくいという前提があります。そのため、イメージ先行で感情に訴えるよりも、コストパフォーマンスや機能をアピールして、製品・サービスの有用性を訴求するという手法がとられがちです。
ですが、そうした手法がBtoCでのマーケティング手法との大きなずれを生み、結果として両者のあいだに個人体験の乖離が生じてしまうのです。
新しいスニーカーを買うときは、ショップからさまざまな提案があり、買った後でもきめ細かなフォローがある。でも、会社でビジネスツールを導入しようとしても、ベンダーからの対応は紋切り型で、どこか味気ない。こうした「個人体験の違い」に違和感を抱いている人は、決して少なくないのではないでしょうか。
CDPに求められる役割
CDPは、自社の顧客データを蓄積したもので、顧客とのコミュニケーションを図る際には有効活用することができます。大規模な消費者のデータを集めたデータプラットフォームに「DMP」が挙げられますが、CDPは、自社顧客のデータだけを集めたものである点、そして個人を識別できる情報を含んで運用される点がDMPと大きく異なります。
CDPの役割について、日本における代表的なCDPである「Salesforce CDP」を例に詳しく解説していきます。
データを統合し、顧客理解を深める
Salesforce CDPでは、あらゆるルートから個人に紐づく情報を探り、あいまい一致などの照合機能を併用して、ひとつのIDに集約します。こうして統合された顧客像を構築し、さまざまな角度から検証することで、顧客に対する理解を深めることができるのです。
顧客へのアクションとエンゲージにつなげる
顧客の行動情報を統合し、分析することで、その背後にあるインサイトに応え、顧客のエンゲージメントを大きく向上させることができます。
Salesforce CDPは、マーケティングインテリジェンスを提供する「Datorama」や世界的にもトップクラスの機能を持つビジュアル分析プラットフォーム「Tableau」に接続できますから、顧客情報を精密に解析し、可視化することが可能です。
その結果を踏まえてマーケティング施策に落とし込むことで、データを無駄にすることなく、最大の効果を目指すことができるでしょう。
BtoBでCDPを活用するためのポイント
ここでは、CDPに蓄積された情報をどのように活用すればいいのか解説します。
MA、SFA、CRMなどのツールを活用する
ただし、どのようなツールであっても、「それを使って、何をするのか」という目的は、明確にしておかなければなりません。その目的に合わせてツールを選び、導入すれば、CDPに蓄積された顧客データをさまざまな形で有効活用できます。
個人の情報を統合し、部門ごと・レイヤーごとにアプローチをかける
たとえば、SFAやCRMのようなツールを顧客が導入しようとする場合、同じ営業部門であっても、立場によって気にするポイントが違ってきます。現場のスタッフは使い勝手や機能にこだわるでしょうし、マネージャーは運用コストや投資対効果を気にするでしょう。さらに上のレイヤーになれば、経営判断がどれほどスピードアップできるか、興味を持つかもしれません。
こうした、それぞれの興味や関心をフォローするには、CDPに眠っている個人の情報を統合することが必要です。その上でセグメンテーションを行い、さらに分析することで、担当者1人だけではなく、組織に対するアプローチが可能になります。
ファーストパーティデータを活かす
CDPは、顧客自身の基本情報や趣味嗜好、行動パターンなど、個人を深掘りできる多くの情報を含んでいます。そのため、BtoCでの有用性ばかりが注目され、BtoBではあまり顧みられることはありませんでした。
ですが、組織の中の個人に着目し、部門ごとあるいはレイヤーごとに分類していけば、それぞれにどのようなアプローチをかければいいかが見えてきます。
多品目を扱う企業の場合、顧客が気づいていないインサイトを顕在化させる
CDPは多くの顧客情報を収集・管理できるため、顧客をより深く理解することが可能です。それは、顧客自身も気づいていないインサイトを顕在化することにもつながります。この特性は、多品目を扱う企業に向いています。
扱う商材が何であれ、ラインナップが多いと、顧客は「どれが自社に必要なのかわからない」ということになりがちです。また、「これがいい」と選定した製品・サービスが、必ずしも自社にフィットするとは限りません。どれがいいのか決めかねて、商談期間ばかりが長くなってしまう…ということにもつながります。
ですが、CDPによって顧客のニーズやインサイトを明確にすれば、顧客が迷う時間が短くなります。「御社にはこの製品がぴったりです」と、合理的な理由とともに説明されれば、社内での決裁もスムーズですし、顧客満足も高まるでしょう。
多品目を扱う企業こそパーソナライゼーションが重要であり、そこにCDPの活用の場があるのです。
CDPの特性を知り、BtoBでも活用しよう
役割や機能を理解し、使い方を見極めた上で、CDPをBtoBのフィールドで十二分に活用してください。
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