リードクオリフィケーションとは?3つの手法や注意点、効果を解説
様々なチャネルから獲得する見込み顧客(リード)には、製品やサービスへの関心度や購買意欲に大きな差があります。多くのリードの中から、どのようにして有望なリードを見極め、営業の成果につなげていくか。
この記事では、従来のリード選別だけでなく、データやAIなどのテクノロジーを活用して営業プロセス全体の効率化や顧客理解を深める、リードクオリフィケーションの考え方と進め方について解説します。
リードクオリフィケーションとは
リードクオリフィケーションとは、獲得した見込み顧客(リード)の中から、将来的に顧客となる可能性が高いと考えられる層、いわゆるホットリードを見つけ出すプロセスを指します。
企業のウェブサイトや製品サイトには、情報を求める多くのユーザーが訪れ、資料請求やホワイトペーパーのダウンロードなどを行います。これらのアクションはすべて、将来の顧客となり得る可能性を示しています。
しかし、これらの見込み顧客は、自社製品やサービスに対する関心の度合いや導入の必要性においてかなりの幅があり、すべてがすぐに購入に至る有望なリードであるとは限りません。そのため、すべての見込み顧客に同じように営業アプローチを行うのは非効率であり、現実的とは言えません。
そこで、見込み顧客全体を客観的な基準で評価し、より可能性の高いリードに優先的にアプローチするために、リードクオリフィケーションが行われます。近年では、AIなどの技術を活用して評価の自動化や精度向上を図り、営業活動全体の効率化を目指す動きも広がっています。これにより、顧客にとってもより適切なタイミングで必要な情報提供を受けられるといった、良好な関係構築にも繋がります。
セールスとマーケティングから見たリードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションに関しては、セールス部門とマーケティング部門とのあいだで、少々の認識のずれが起こりやすいようです。その要因には、見込み顧客に対する捉え方の違いがあります。 元々、BtoBの領域では、アウトバウンドセールスが一般的でした。この場合、成約の可能性が高いターゲットを選別してからセールスを行うため、それなりの成約率が得られます。
しかし、マーケティング部門が主体となり、インバウンドセールスを行う場合、自社にアクセスしてきたユーザーを見込み顧客として集めることになります。そのため、成約の可能性が低いユーザーまでもが、見込み顧客としてまぎれ込む可能性があるのです。
こうしたずれを補整するには、セールスとマーケティングとのあいだで、共通のホットリードの定義を作ることです。そうすれば、リードクオリフィケーションに対して両部門が共通認識を持つことができ、商談のクローズという同じ目的に向かって連携することができます。
リードクオリフィケーションをセールスプロセスに加える3つのメリット

有望な見込み顧客への効率的なアプローチができる
リードクオリフィケーションを行うことで、見込み顧客を関心の度合いや購買意欲に応じてランク分けしたり、セグメント化したりすることができます。これにより、それぞれのグループに適したアプローチを選択できます。
例えば、AIを活用したスコアリングシステムを導入すれば、成約見込みの高いリードを自動的に特定し、優先的にアプローチすることも可能です。結果として、画一的なマーケティング施策では取りこぼしていた可能性のある見込み顧客にも効果的に働きかけ、コンバージョン率の向上が期待できます。マーケティングや営業のコスト効率を高める上でも有効です。
低確度の見込み顧客の掘り起こしができる
リード全体を分類することで、ホットリードだけでなく、現時点では優先度が低いと判断されるコールドリード層も明確になります。この層に対しても、マーケティングオートメーション(MA)などを活用して、継続的に情報提供を行ったり、関心を高めるための育成(ナーチャリング)を行ったりすることで、将来的にホットリードへと転換させることができます。
つまり、すぐには成果に結びつかないリードも、中長期的な視点で育成し、将来の顧客として掘り起こす機会が生まれます。
見込み顧客のデータベース化と活用ができる
リードクオリフィケーションによって分類された見込み顧客の情報は、CRMなどのシステムに蓄積し、データベースとして管理・活用できます。営業部門は、このデータベースから必要に応じて有望な見込み顧客を抽出し、個別にアプローチできます。
また、データを定期的に更新・蓄積していくことで、どのような属性や行動履歴を持つリードが成約に至りやすいかといった分析が可能になり、マーケティング施策や営業手法の効果検証、さらには顧客理解を深める上でも役立ちます。データの一元管理は、部門間の情報共有を促進し、顧客への対応品質向上にも繋がります。
リードクオリフィケーションの3つの手法

見込み顧客のスコアリング
見込み顧客の購買意欲や成約確度を客観的に評価する手法の一つがスコアリングです。見込み顧客の属性(企業規模、業種、役職など)や行動(ウェブサイトでの特定のページの閲覧、資料ダウンロード、セミナー参加、問い合わせなど)に対して点数を付け、合計点でリードの優先度を判断します。
AIを活用して過去の成約パターンからスコアリングのロジックを最適化したり、スコアが高い理由・低い理由を分析したりする仕組みも登場しています。スコアが一定の基準に達したら営業部門がアプローチを開始するなど、具体的なルールを決めて運用します。
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ナーチャリングシナリオの設計
情報収集段階のリードや、すぐには購入に至らないリード(コールドリードやウォームリード)を、時間をかけて育成し、ホットリードへと転換させるためには、計画的なアプローチが必要です。そのための道筋となるのがナーチャリングシナリオです。
顧客が製品やサービスを購入するまでの一般的なプロセス(カスタマージャーニー)を考慮し、リードの状況や関心度に合わせて、どのような情報を提供し、どのようなコミュニケーションをとるか、段階的なシナリオを設計します。MAツールなどを活用して、シナリオに基づいたメール配信やコンテンツ提供を自動化することも有効です。
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見込み顧客の状況確認
スコアリングやシナリオ設計はリードクオリフィケーションの重要な要素ですが、見込み顧客は常に変化する生身の人間や組織です。
数値データだけでは捉えきれない状況の変化もあります。そのため、定期的なコミュニケーションを通じて、見込み顧客の最新の状況やニーズ、課題などを直接確認することも大切です。電話やメールでのフォローアップ、アンケートの実施などが考えられます。
また、実際の顧客の状況とスコアリングの結果に大きなずれがないかを確認し、必要に応じてスコアリングのルールやシナリオを見直すことで、リードクオリフィケーションの精度を継続的に高めていくことができます。CRMにこれらのコミュニケーション履歴を記録・共有することも、チーム全体での状況把握に役立ちます。
リードクオリフィケーションをMAで行う際の3つの注意点

スコアリングされた点数は、個人の行動に基づく傾向がある
MAによるスコアリングでは、リード担当者が個人的な興味や情報収集目的で自社サイトに頻繁にアクセスした場合、実際の購入確度はそれほど高くないにもかかわらず、スコアだけが高く算出されてしまうことがあります。
このようなケースを判別するためにも、スコアだけに依存せず、企業の属性情報や役職、他の行動データと組み合わせて多角的に判断したり、営業担当者が直接状況を確認したりするプロセスが重要になります。
購買の最適なタイミングを正確に計ることは難しい
リードクオリフィケーションによって、個々の見込み顧客がどの程度の関心度を持っているかを分類することはできます。
しかし、数値上「購買の確度が高い」と判断されたとしても、そのリードが具体的にいつ購入を決断するのか、その最適なタイミングまで正確に予測することは困難です。アプローチが早すぎると「まだ検討中」と敬遠され、逆に慎重になりすぎると他社に先行されてしまう可能性もあります。
顧客の行動変化を継続的にトラッキングし、AIによる予測なども参考にしつつ、営業担当者の経験や判断も加味してアプローチのタイミングを見極める必要があります。
過剰な選別は機会損失につながる可能性
スコアを基準にしたリードクオリフィケーションでは、選別の基準が厳しすぎる場合、実際には購入意欲があるにもかかわらず、スコアが基準値にわずかに満たないためにアプローチ対象から漏れてしまう、といった機会損失が発生する可能性があります。特に新しい市場や製品の場合、初期のデータが少ないために最適な基準値を見極めるのが難しいこともあります。
定期的に選別基準の妥当性を見直し、例えば、あえて基準を少し下げてアプローチ対象を広げてみるなど、テスト的な取り組みを通じて最適なバランスを見つける努力も必要です。
ポイントを押さえたリードクオリフィケーションを実現しよう
収集した見込み顧客の情報をどのように扱い、どのようなアプローチをかければ成果につなげることができるのか。常に考え、必要に応じて調整していき、最善の結果を追求していくことが大切です。
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