DMP(データマネジメントプラットフォーム)とは?活用法を解説

投稿日:2019.10.3
マーケティング施策を、より効率的に実施できるDMP(データマネジメントプラットフォーム)。しかし、その内容や活用する意味となると、まだまだ十分知られてはいないようで、誤解や勘違いも多く残っているようです。
ここでは、マーケティングを大きく変えるDMPの概略と使い方のほか、導入時のポイントなどについて解説します。

DMPはデータを管理するプラットフォーム

DMPとは、データマネジメントプラットフォーム(Data Management Platform)の略称です。
過去のマーケティングは、マーケティング理論やマーケターの個人的な経験則にもとづいて施策が決められていった面があります。しかし、個人の行動、ひいては市場の動向までが目に見える形で定量化されてくると、施策ひとつに対しても、明確な根拠が求められるようになります。
そこで、オンライン上で収集された膨大なデータを整理、分析し、それを踏まえたアクションが必要になります。この、「アクション」部分を中心に機能するのがDMPです。

DWHは倉庫、DMPは司令塔

DMPはしばしば「DWH」という言葉と混同して語られることがあるようですが、この2つはまったくの別物です。

DWH(データウェアハウス)は、「ウェアハウス=倉庫」という意味のとおり、収集したデータの倉庫です。また、そのデータの管理システムを指す場合もあります。マーケティングの場合、収集するデータの大部分は顧客情報ということになりますが、1人の顧客に関する情報といっても実にさまざまです。
年齢や性別、住所などの個人情報のほか、最終購買履歴や累積購入額などの販売・購入情報。さらに、自社サイトへの流入チャネルや訪問頻度、閲覧したページなどの行動情報など。これら、各分野の情報を横断的に時系列に沿って保管し、必要な切り口で抽出・分析する。それがDWHのおもな役割です。

しかし、データを分析しただけでは、それを実際のマーケティング施策につなげることができません。そこで登場するのがDMPです。
DMPは、DWHが分析した情報を統合し、MAツールや広告配信ツールなどのマーケティングソリューソンが読み込める形に整え、送信します。つまり、DWHという倉庫に入っている情報を分析し、マーケティング施策を決定したら、司令塔となって施策どおりにソリューションを動かしていく。それが、DMPの本来の役割ということになります。

プライベートDMPとオープンDMP

DMPには「プライベートDMP」と「オープンDMP」の2種類があります。この違いについてもご説明します。

  • プライベートDMP
    プライベートDMPは、自社が収集した情報を対象にしたプラットフォームです。ウェブ上から集めたデータや、CRMから移行したデータのほか、実店舗やコールセンター、営業部の顧客リストなど、オフラインからの情報も含まれています。規模の大小を問わず、企業にとっては独自資産といえるもので、既存顧客へのクロスセルやアップセル、LTV(ライフタイムバリュー)の向上などに威力を発揮します。
  • オープンDMP
    オープンDMPは「パブリックDMP」とも呼ばれ、デモグラフィック情報やウェブ上での行動履歴などを蓄積した、データ提供企業が持っているビッグデータです。 自社の収集した情報だけではカバーしきれない範囲のデータを集めることができます。

DMPで何ができるのか?

では、このDMPによって何ができるのでしょうか? DMPのおもな役割については先程少しふれましたが、あらためて見ていくことにしましょう。

分野別にバラバラに存在する情報の統合

DMPの本質的な機能は、データの統合です。
その多くはDWHによって収集された膨大なデータですが、これらのデータは顧客の個人情報のほか、行動履歴や販売・購入履歴など、いくつもの分野に分かれていて、それぞれがバラバラに存在している状態です。
たとえば、これらのデータを「顧客ID」によって統合すると、顧客一人ひとりの姿が明確になっていきます。また、「過去1年の購入総額が◯万円で、最後のウェブ訪問が1ヵ月以内」というようにセグメントすることができ、この条件にあてはまる顧客に最適なアプローチをかけることができます。

データを変換してマーケティングツールに指示

DMPのもうひとつの役割は、統合したデータを変換し、マーケティングツールに送信すると同時に、指示を出すことです。もちろん、セグメント分けされた各グループに対して、最適化された訴求を行えます。
たとえば、「顧客の属性に合わせて、サイト上のバナー画像を切り替える」「購入総額や入会からの年数によって、メルマガの文面を変える」「サイトへの訪問頻度が高い顧客に対してプッシュ通知を飛ばす」といったきめ細かなアクションが、DMPによって可能となります。

製品によってはDWHと重複する部分も

DMPの基本機能は、データを統合し、それをアクションにつなげることです。しかし、製品によっては、DWHと重複する機能を持つものもあります。そうした製品では、DMPのみの導入でデータの蓄積・分析から施策の実行までを行えるため、使う側も便利でしょう。十分な機能を備えているのであれば、DMPとDWHの両方が必要というわけではありません。
ただ、冒頭でもお話ししたように、DMPとDWHは基本的には別物です。近年では、DMPとDWHの境界が曖昧になっていたり、混同してしまったりというケースも見受けられますが、元々は違うものだということは、知っておいたほうがいいでしょう。

DMPの導入で生まれるメリット

膨大なデータを整理して、メールやウェブなどの各チャネルに反映していく作業を人の手で行っていたら、たいへんな時間がかかりますし、ミスをする可能性も高まります。その点だけを見ても、DMPの導入で大幅な効率化が実現することは間違いありません。
ここからは、DMPの導入によるメリットをいくつかご紹介します。

顧客の行動を可視化できる

DMPは、オンライン・オフラインを問わず、あらゆるチャネルからの情報を統合できます。もちろん、外部から提供されたデータがあれば、それも加えて1つのデータにまとめ上げます。
このデータは、それぞれ顧客IDによって管理されていれば、顧客一人ひとりがどのような行動をとったかがわかり、興味の対象や趣味嗜好の傾向が分析できます。
こうした行動の可視化によって、個々の顧客に合わせたマーケティングが可能になり、施策の効果をより高めることができるようになるのです。

顧客の属性情報を補完できる

オープンDMPが保有する、いわゆる「3rd partyデータ」を利用すれば、アノニマスのCookie情報や自社で取得した顧客情報(1st partyデータ)に、自社では取り切れなかった、職種や住んでいる地域といった推計した属性情報などを付与することができます。
また、最近では「2nd partyデータ」の活用も進んでいます。2nd partyデータとは、1st partyデータのうち、自社以外の共有も許可したデータを指します。つまり、元々共有を前提として取得されている3rd partyデータに比べ、より詳細な情報を得ることができるというわけです。
自社で取れる顧客情報には限界がありますが、これらのデータを活用することで、新たなセグメントを基にした施策の実行が可能になります。

PDCAを高速化できる

施策の結果は、顧客の反応となって表れ、その結果をスピーディーに分析・検証することで、次の施策に活かすことができます。たとえば、CVRの高いセグメントに集中的な広告配信を行うなど、結果をベースにした精度の高い施策を、素早く打っていくことができます。
従来、コンサルティング会社や広告会社に頼らざるをえなかった効果検証作業を社内で行えるようになれば、マーケティング活動全体においてPDCAをより高速で回せるようになります。

最適な施策を打つことができる

PDCAが高速化すると、より短期間のうちに顧客に対する最適なマーケティング施策が見えてきます。たとえば、優良顧客に対してどのようにクロスセルやアップセルを促すべきか、定着しきっていない顧客をつなぎとめておくにはどんな施策が良いか、見込み顧客の段階にある層の背中を押すにはどんな手法が効果的なのかといったことです。
実行した施策とその結果を検証することで、各セグメントに対する、最も効率的なマーケティング施策がわかれば、広告コストの削減と顧客体験の向上を同時に実現することができます。そして、さらに顧客へのケアやフォローを手厚くし、LTVの最大化につなげていくことができるようになるはずです。

DMP導入における注意点

このように、大きなメリットがあるDMPですが、導入にあたってはいくつかの注意点があります。 ここを押さえておかないと、「こんなはずでは…」と後悔することにもなりかねませんので、注意しましょう。

DMP導入の目的を明確にしておく

これは、どんなツールにも共通することですが「DMPを使って何をしたいか」という目的は、導入前に明確にしておきましょう。そして、そのためにどんな準備が必要かというところまで、想定しておくことが大切です。
「One to Oneマーケティングをやりたい」とDMPを導入したものの、どんなデータを使い施策につなげていくかという点が白紙のままでは、思うような活用はできません。また、DMPによっては、考えていたことが機能的にできないというケースもありえます。
「DMPのこの機能を使って、こうしたデータをこのようにマーケティングに活かしたい」というように、できるだけ具体的に想定しておきましょう。

どんなDMPが必要なのかを検討する

「何をやりたいか」が明確になれば、それを実現できるDMPを選定します。
DMPは、多種多様な製品が登場しており、多機能・高機能なものからシンプルなものまで、機能という面だけを見ても多くのバリエーションがあります。それら多くの製品群から、必要なスペックを満たしているものを探しましょう。
「Excelで管理している大量のデータを統合したい」というように、具体的なニーズがあるなら、ベンダーに問い合わせるようにしてください。もしも、将来的に発展的な使い方をしたいなら、それも併せて相談するといいでしょう。

機能とコストのバランスは十分な検討を

DMPの中には、「基本料金無料」というものもありますが、DMPは概して高価で、初期費用にもランニングにも、それなりのコストがかかります。また、高い機能を求める場合は、さらにコストも大きくなります。やりたいことを見据えながら、機能とコストのバランスについて十分検討しましょう。 また、DMPはMAやBIなどのマーケティングツールと連携してこそ威力を発揮します。これらのツールの調達にもコストが必要ですから、それと併せて検討してください。

DMPを活用できる人材は十分か

DMPの活用は、マーケティングを効率化する有効な手段ですが、データから施策を導き出し、意思決定を行うのはあくまでも人間です。ですから、DMPを使いこなせるマーケターや、分析担当者などのスタッフは不可欠です。もちろん、外部の専門会社に外注するという選択もあります。いずれにしても、マーケティングに強い人材がいなければ、せっかくのDMPもその威力を発揮してくれません。 この人材の問題をクリアできるかどうかという点も、導入前に検討が必要なところです。

マーケティングを激変させるDMP

DMPは導入コストが高く、マーケティング知識を備えた人材も必要なため、導入は簡単ではありません。そのため、まだまだ「大手企業だけが使いこなせるもの」というイメージもありますが、それも時間とともに変わっていくでしょう。
DMPを有効に、存分に活用することができれば、今以上に精密で、コスト的にも効率的なマーケティング施策が実現します。それは、劇的な変化となるでしょう。今すぐ導入に至らなくても、情報を収集しておき、いつでも対応できるよう準備しておくのも賢い方法ではないでしょうか。
 

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