オムニチャネルとは?メリットやO2Oとの違い、実現させるための手順を解説
ここでは、オムニチャネルとはどのようなものなのか、メリット、実現するための手順について解説します。
オムニチャネルとは、自社と顧客との接点を統合・連携させるマーケティングの手法
オムニチャネルを最初に実践したのは、アメリカの百貨店Macy'sだといわれています。それまで実店舗とECサイトで別々に稼働していた情報管理システムを統合することで、あらゆる経路をカバーし、販売機会の逸失を防ごうという取り組みを始めたのです。やがてこの手法が、個々の顧客に最適化された体験を提供することで、顧客満足度を高めるという認識が広がり、世界中へと普及していきました。
O2Oやマルチチャネル、OMOとの違いは?
オムニチャネルと似た言葉として「O2O」や「マルチチャネル」、さらに「OMO」というものがあります。オムニチャネルについて詳しく解説する前に、これらの言葉についてご説明しましょう。
- O2O
O2Oは、「オーツーオー」と読み、Online to Offlineを意味します。オンラインでのコミュニケーションからオフライン、つまり実店舗へ誘導するというマーケティング手法です。メールやアプリで割引クーポンを発行し、実店舗への来店を促すという手法がO2Oにあたります。
オムニチャネルは必ずしも実店舗への誘導を伴わず、むしろ実店舗とECショップとの境界を取り去った戦略ですから、その点がO2Oとは異なります。 - マルチチャネル
マルチチャネルは、顧客の好みに合わせて販路を使い分けられるよう、複数の販路を用意しておく手法です。顧客は実店舗でもネットショップでも、都合の良い販路で情報を集め、商品を購入できます。
ただし、マルチチャネルの場合、オムニチャネルのような「複数のチャネル同士の連携」は考慮されません。つまり、オムニチャネルは、マルチチャネルの進化版ということができます。 - OMO
OMOとは、Online Merges with Offlineの略語です。オンラインとオフラインを区別せず、すべてを統合したサービスを顧客に提供しようというマーケティング手法というわけです。
顧客の購買行動だけではなく、あらゆるタッチポイントで上質な顧客体験を設計していくことが、OMOの際立った特徴といえます。
オムニチャネルが注目されるようになった背景は、スマートフォンの普及と高速通信インフラの整備
そのため、企業側で顧客接点となるすべての経路を統合して、マーケティング活動を展開する必要性が高まり、オムニチャネルが注目されるようになりました。
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オムニチャネルの3つのメリット
オムニチャネルは、企業にとっていくつものメリットをもたらします。ここでは、代表的なオムニチャネルのメリットをご紹介します。
<オムニチャネルのメリット>
- 顧客満足度の向上
- 一貫したサービスを提供できる
- 販売機会を逃さない
顧客満足度の向上
しかし、オムニチャネルであれば、顧客が来店したその場で他店やネットショップの在庫をチェックし、後日自宅に配送するというアクションが可能になります。これは、顧客満足度を高め、エンゲージメントを高めてくれる大きな要素となります。
一貫したサービスを提供できる
たとえば、ある顧客がPCでチェックしていた商品が、数日後にSNS広告で表示され、さらにメルマガのセール告知にも掲載されるという具合です。個々の顧客に最適化されたマーケティング施策が、すべてのタッチポイントで展開されます。それが、顧客に強い印象を与えるとともに、タッチポイントの違いを意識させずに購入へと導くことができるのです。
販売機会を逃さない
しかし、オムニチャネルを展開していれば、そうした不安は解消できます。実店舗とECショップとの在庫管理を統合し、あらゆるタッチポイントが販路になるため、どんな瞬間でも、販売機会を逃さない環境を作り上げることが可能です。
オムニチャネルを実現するための5ステップの手順
多くのメリットを持つオムニチャネルですが、その環境を整えるには、いくつかの段階を踏み、手順に従って進めていく必要があります。ここからは、オムニチャネルを実現するための手順をご紹介します。
<オムニチャネルを実現するための手順>
- 現状を分析し、ロードマップを作る
- どこで、どのような体験を提供するかを決める
- 社内の体制を整える
- データ連携できるよう、システムを見直す
- 効果検証と改善を施す
1.現状を分析し、ロードマップを作る
これら、内外の状況を調査・分析したら、課題解決や環境構築を進めるロードマップを作成します。
2.どこで、どのような体験を提供するかを決める
ここで役立つのが、カスタマージャーニーマップです。自社の顧客モデルをペルソナとして、購入までにどのような行動をとるのかを可視化したものです。
このマップを、文字どおり「地図」として、どこでどのような体験を提供していくかを検討します。その場合、まず現在の状況を洗い出し、その内容を修整・変更していく作業と、新たな価値提供のポイントを追加していく作業を、両輪で進めていきます。
3.社内の体制を整える
オムニチャネルでは、顧客に関するあらゆるデータ、たとえば、基本情報に加えて、接客履歴や購入履歴、ECショップでの商品閲覧履歴など、詳細なデータが必要です。これら、多くの情報を一元管理する、顧客管理システムの導入を検討すべきでしょう。
また、社内の体制整備の一環として、人材の配置やスタッフの意識変革も必要になるかもしれません。特に、自社内に販売チャネルごとの「囲い込み意識」があると、顧客の奪い合いに発展してしまう可能性があります。そうした状況を避けるには、時間をかけて軌道修正していかなければなりません。
実店舗とECショップそれぞれの担当者間で競争心が膨らむのは、無理のないことかもしれません。しかしそれは、社内の事情であって、顧客には関係のないことです。重要なのは、「どのチャネルで売るか」ではなく、どのように買ってもらうのかという点です。そうした考えを、時間をかけて社内に浸透させる努力が求められます。
4.データ連携できるよう、システムを見直す
そこで有用なのが、MAの活用です。MAを自社のSFAやCRMといったシステムと連携させると、そこに蓄積された顧客の属性情報や購買履歴を一元管理することができ、各タッチポイントで個々の顧客に最適化された対応がとれます。
5.効果検証と改善を施す
検証と改善は、施策の内容のみではありません。もしも、想定どおりに事が運んでいないとすれば、施策の内容でなく、そもそもの仮説に誤りがあったのかもしれません。その場合は、カスタマージャーニーの見直しや修正が必要になるでしょう。
オムニチャネルは、あらゆる接点をとらえて販売機会を逃さない戦略ではありますが、同時に、快適な顧客体験を提供するものでもあります。決して、顧客にとってわかりにくいもの、困惑させるものであってはなりません。顧客の立場で検証し、ブラッシュアップを重ねていくことが大切です。
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改善の繰り返しで、理想のオムニチャネルを実現しよう
長期的な視点に立って試行錯誤を繰り返しつつ、理想的なオムニチャネルの実現を目指してください。
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