営業日報の書き方とは?メリットや注意点、管理ツールまで解説

 
最終更新日:2024.11.18

営業活動は商談や問い合わせ対応、資料作りなど業務が多岐に渡るため、営業担当者の動きや進捗を把握するには、営業日報を作成するのが効果的です。

日報といっても、ただ1日の活動を書けばよいわけではないため、どのように書くべきか悩んでいる方が多いのではないでしょうか。

本記事では、営業日報の書き方に加えて、作成のポイントや注意点を詳しく解説します。営業日報の運用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

 
 
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営業日報は意味ない?不要といわれる理由

営業日報は、営業担当者にとっては活動の振り返り、マネージャーにとってはメンバーのマネジメントに効果的です。

ただし、営業日報をうまく活用できていないと、営業担当者から「意味がない」と思われるケースがあります。

「営業日報は意味ないのでは?」といわれてしまう主な理由は、以下の3つです。

  • 作成する明確な理由が理解されていない
  • 作成する時間や手間がかかる
  • 作成したのにうまく活用されていない

不要と思われる理由を理解したうえで、効果的に営業日報を活用するための施策を検討しましょう。

作成する明確な理由が理解されていない

営業日報を作成する理由が営業担当者に浸透していないと、「何のために書いているのか」と、取り組みの意味を疑問視される場合があります。

営業日報は多くの企業で活用されており、とりあえず導入したほうがよいと考えている方もいるかもしれません。

しかし、なぜ書くかを共有できていなければ、書くこと自体が目的になり、意味がない取り組みとして日報の質が下がっていきます。

営業日報を効果的に活用するためには、作成する明確な理由を組織として共通認識をもって運用することが大切です。

作成する時間や手間がかかる

営業日報を作成する意図は伝わっているものの、作成に時間や手間がかかり、ほかの業務に影響が出ている場合には、不要と考えられる場合があります。

たとえば、営業日報の形式を紙に限定していたり、記入する項目が必要以上に多かったりすると、作成に工数をとられて、営業活動にリソースを割きにくくなります。

日報作成に工数をかけて、営業活動に支障をきたし、成約がとれなくなってしまっては本末転倒です。

営業活動のコア業務へのリソースを把握しつつ、営業担当者に負担がかからないように日報を運用する体制を構築する必要があります。

作成したのにうまく活用されていない

日々の業務の限られた時間で作成した日報を活用している様子が見られないと、営業日報に意味を見いだせなくなるおそれがあります。

営業日報には、書かれた内容をもとに個人に対してフォローしたり、全体に情報を共有したりする役割があります。

営業日報をもとにした担当者へのフォローや全体への情報共有がなかったり、記載した課題の改善に取り組まれていなかったりすると、日報作成のモチベーションは低下するでしょう。

営業日報を作成することと、記載された内容を活用することをセットにして、効果的に運用する意識が求められます。

営業日報を作成する目的・必要性

営業日報の導入を検討する前に、目的を理解する必要があります。目的を把握することで、なぜ作成するのかを念頭に置きながら、効果的に運用できるためです。

営業日報を作成する目的は、営業担当者と管理者で異なります。

  目的・必要性
営業担当者 ・1日の稼働状況や対応数などを記録するため
・目標に対する取り組みができているかを振り返るため
・顧客情報や課題などの営業に必要な情報を整理するため
管理者 ・各営業担当者の稼働状況を把握するため
・営業組織全体の稼働状況を把握するため
・顧客や案件の情報を整理するため

それぞれの視点から見た営業日報の目的を解説します。

日報の目的は以下の記事でも詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

▶ 日報の目的とは?日報を有効活用する方法について

営業担当者における目的・必要性

営業担当者における営業日報を作成する主な目的は、以下の通りです。

  • 1日の稼働状況や対応数などを記録するため
  • 目標に対する取り組みができているかを振り返るため
  • 顧客情報や課題などの営業に必要な情報を整理するため

1日の稼働状況や対応数などを記録するため

営業日報には、1日の稼働状況や対応数などを記録する役割があります。

メモや頭の中で記録しておくよりも確実で、日報という書類に取り組みの記録を残しておくことで、振り返りをおこないやすくなります。

1日の稼働状況に着目すると、その日に訪問した顧客の数や商談に向けておこなった準備など、自分が取り組んだ営業活動の可視化が可能です。

営業活動の可視化によって自身の取り組みを客観視でき、成果につながった要因や課題などを分析できます。思うように稼働ができていないと感じた場合には、日報をもとに改善に向けた取り組みを検討できます。

目標に対する取り組みができているかを振り返るため

営業日報には目標を管理する目的もあり、目標に対してどのような営業活動に取り組んだかを振り返るためにも活用されます。

たとえば、1日に3件以上訪問するという目標に立てていた場合には、訪問数を日々記録することで目標に対する進捗を把握可能です。

目標を達成できなかった場合は、日報をもとに理由を検討できます。

前日の準備が足りなかった、イレギュラーへの対応がスムーズにできなかったなどの課題を発見し、次の日に目標を達成できるように改善を図れるでしょう。

顧客情報や課題などの営業に必要な情報を整理するため

営業活動を円滑に進めるためには、商談における課題や顧客情報などさまざまな情報を活用する必要があります。

営業日報は、営業活動に必要な情報を整理した資料としても活用でき、より効果的なアプローチをするために欠かせない情報源になります。

たとえば、営業日報に顧客が抱えている課題やアプローチへの反応などを記録すれば、次回の商談で伝えるべき課題の改善策や、担当者との接し方などの検討が可能です。

管理者における目的・必要性

営業組織の管理者にとっては、以下の目的で営業日報を作成するケースが大半です。

  • 各営業担当者の稼働状況を把握するため
  • 営業組織全体の稼働状況を把握するため
  • 顧客や案件の情報を整理するため

営業日報を導入するか迷っている管理者の方は、必要性を正しく理解しましょう。

各営業担当者の稼働状況を把握するため

管理者にとって、営業日報は営業担当者の稼働状況を把握するために重要な情報源です。それぞれがどのように動いているのか、どのような成果が出ているのかを把握するうえで、営業日報が役立ちます。

稼働状況を把握するだけではなく、フォローやアドバイスを適切なタイミングでおこなうためにも営業日報は欠かせません。

営業担当者が課題に感じている部分や、管理者から見てもっとよくなる部分に働きかけることで、スキルやモチベーションが向上するきっかけが生まれるでしょう。

営業組織全体の稼働状況を把握するため

各営業担当者の日報から稼働状況を整理することで、全体の動きを把握しやすくなります。

組織の目標に対して全体の進捗に問題がないか、現状の動きで達成できるかなどを検討する材料になり、営業活動の方針や戦略の再検討に役立ちます。

目標に対して進捗が思わしくなければ、全体に状況を伝え、達成のために意識してほしいことを共有することで、目標を達成しやすくなるでしょう。

顧客や案件の情報を整理するため

営業日報には、顧客や案件に関する情報を整理する役割があります。管理者にとって、営業担当者が担当している顧客や案件の情報を把握することで、進捗に関する情報共有や戦略の検討などをおこないやすくなります。

管理者目線でとくに重視したい案件を決めたり、現在抱えている顧客の傾向を分析したりするなど、営業活動にかかわる情報を戦略の立案や方針の検討などに役立てられるでしょう。

営業日報を作成することで得られる3つの効果

営業日報を作成・運用することで、以下のような効果を期待できます。

  • 営業活動の改善スピードを高められる
  • 営業担当者やチームの底上げを図れる
  • 日報をもとに営業活動や顧客に関するデータベースを作成できる

営業活動を記録し、改善点の発見やフォローなどに活用することで、組織力の向上や個人のレベルアップなどを期待できるので、営業日報の導入を検討してみましょう。

営業活動の改善スピードを高められる

営業活動は、アクションと改善を繰り返しながら効果的なアプローチを探っていく必要があり、改善スピードを高めるために営業日報が役立ちます。

営業日報に記載された1日の取り組みや成果、課題などの情報は、営業担当者個人や組織としての課題を見つけるヒントです。

たとえば、日報を通して失注の原因や改善策を整理することで、次回の営業活動で重点的に取り組むべきポイントが明らかになります。

複数の営業担当者に共通する課題が見つかった場合には、全体に共有することで組織として改善に取り組めるでしょう。

営業担当者やチームの底上げを図れる

営業日報は、営業担当者のレベルアップやチームの底上げなどに活用できます。

営業担当者に対しては、日報に記載された内容をもとにアドバイスをしたり、改善策を一緒に考えたりすることで、成長のきっかけが生まれるでしょう。

チームに対しては、営業日報の中で有益な内容を全体に共有することで、ノウハウや知識の底上げを図れます。

たとえば、ある営業担当者がアプローチを工夫して成果を出していたときに、効果的な工夫を全体に伝えることで、営業担当者全員にアプローチのノウハウを広げられます。

営業日報を活用して、営業担当者やチームの課題解決に取り組んだり、ノウハウを共有したりすることで、一人ひとりのレベルアップと組織力の向上を実現しましょう。

日報をもとに営業活動や顧客に関するデータベースを作成できる

営業日報には、営業活動や顧客などに関する情報が記載されるため、データベースを作成する際に役立ちます。

日々の営業活動の情報を蓄積していくと、過去の営業活動や成果などを記録でき、戦略や方針を検討する際に役立つ情報源になります。

顧客に関する情報をデータベースにまとめると、データにもとづいたアプローチができるようになるでしょう。

顧客がもつ課題やニーズなど細かい情報まで記録することで、次のアプローチにつながる情報を見つけやすくなります。

【役職別】営業日報を作成する価値

営業は、顧客向けの提案書を作ったり、問い合わせを受けて回答したりと、動きの多い業務です。商談のための外出も多い上に、個々のメンバーが抱える案件は1件や2件ではありません。

さまざまな活動内容をすべて営業日報にまとめるというのは、なかなか骨の折れる作業です。「これさえなければ、営業は楽しいのに…」と思っている営業担当者も多いことでしょう。

しかし、この営業日報は、高い価値を秘めているのです。ここでは、以下の役職別に営業日報の価値を解説します。

  • 営業担当者
  • マネージャー
  • チームメンバー

立場によって異なる営業日報の価値を正しく理解したうえで、効果的に運用しましょう。

営業担当者にとっての価値

営業担当者にとっての営業日報の価値は、業務を振り返ることで得られる、自身の行動への理解と改善です。

営業担当者は何かと忙しく、精神的にも慌ただしくなりがちで、一つひとつの業務を場当たり的にこなしてしまうこともあるでしょう。

しかし、非効率な動きに気づき、改善を心掛けることで、的確な判断や無駄のない行動ができるようになります。試しに、1年前の自分が書いた営業日報を読んでみてください。そのときから大きく成長した、現在の自分に気づくはずです。

マネージャーにとっての価値

マネージャーにとっての日報は、個々のメンバーの動きと案件の進捗状況を把握するための貴重な材料です。チーム全体の動向をつかみ、今後の営業戦略に活かせます。

進捗が思わしくない場合は、なんらかの障害があることがわかり、案件を抱えた部下に適切なアドバイスを与え、クロージングに向けてサポートできるでしょう。

また、メンバーそれぞれが持っているノウハウを吸い上げ、メンバー全員に共有すれば、チーム全体の能力を高められます。

チームメンバーにとっての価値

個々の日報を上司だけではなく、メンバー全員が閲覧できるようにしておくと、チーム内で情報共有できるようになります。なんらかのトラブルにどう対処すればよいか、どのような顧客にどのようなアプローチが効果的かなどを、メンバーがお互いに学び、教え合うことが可能です。

単にナレッジの共有というだけではなく、メンバー間のコミュニケーションを活発にし、チーム意識の強化にもつながります。個人プレーになりがちな営業という仕事を、チームワークへと転換できるのです。

 
 
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営業日報の書き方

営業日報を作成する際は、基本的な書き方を押さえましょう。記載する項目や作成の手順などを理解し、営業担当者や管理者など誰でも活用できる日報を作成することが重要です。

ここでは、項目例や作成手順などを紹介します。

記載する項目・テンプレート

営業日報に記載する項目は、確認したい情報にあわせて設定する必要があります。訪問営業を例にした項目例・テンプレートは、以下の通りです。

<訪問活動の報告テンプレートの例>

  • 担当者名:
  • 日時:
  • 訪問先:
  • 訪問先ご担当様:
  • 訪問の目的:
  • 対応の内容:
  • 確度:
  • 次の行動予定:

「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」を指す「5W1H」をベースに、営業活動の全体像がわかるテンプレートを作成するのがポイントです。

テレアポやメールマーケティングなど取り組みによって必要な項目が異なるため、自社の営業スタイルにあった項目を定めましょう。

メールマーケティングについては、種類や実施方法などを以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

▶ メールマーケティングとは?種類・効果・実施の流れ・成功事例を解説

作成の手順

営業日報の作成は、1日の営業活動を記載するだけではなく、1日のはじまりから準備をする必要があります。

営業日報は、以下の手順で作成するのがよいでしょう。

  1. その日の目標を設定する
  2. 営業活動の実績を記載する
  3. 振り返りを記載する

効果的な振り返りをするためには、1日の目標設定が欠かせません。目標が明確になれば、達成するために取り組んだことや取り組みの成果などを記載しやすくなります。

目標を意識しながら1日の営業活動を終えたら、対応件数や対応内容などの実績を記載しましょう。日報の項目にあわせて、定量的な情報をシンプルに書くのがポイントです。

最後に、実績を参考に1日の振り返りを行います。目標を達成できた理由や達成できなかった原因などが可視化され、次の営業活動に向けて改善や戦略の再検討を実施しやすくなります。

例文

営業日報の例文として、訪問営業の記載例を紹介します。

  • 担当者名:〇〇営業部 〇〇 〇〇(氏名)

  • 日時:20〇〇年〇月〇日(〇曜日)

  • 訪問先:〇〇株式会社

  • 訪問先ご担当様:〇〇部 〇〇 〇〇様(氏名)

  • 訪問の目的:〇〇株式会社の〇〇様と関係を構築するため

  • 対応の内容:〇〇株式会社の〇〇様との商談を行いました。複数のサービスを検討している中で、〇〇(自社サービス)を提案しました。

  • 確度:提案の結果、〇〇(自社サービス)の〇〇(機能や特徴)に興味をもたれ、サービスの候補に含めていただきました。他社との違いをアピールできれば、契約の可能性が出てくると感じています。

  • 次の行動予定:〇月〇日に訪問する予定です。今回は関係構築が目的でしたので、次回はより詳細な提案を行い、契約への糸口を見つけていきます。

上記の書き方はあくまで例であり、使用する日報のフォーマットによって異なります。自社の日報テンプレートを作成したうえで、営業担当者に向けて記載例を共有しましょう。

 
 
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結果につながる営業日報を作成する5つのポイント

高い価値を持ち、活用しやすい営業日報を作るには、以下のポイントを意識しましょう。

  • 文章にしないことを意識する
  • 「5W3H」を必ず入れる
  • 定量的・客観的に記録する
  • 顧客情報を盛り込んだ内容を心がける
  • 中長期的な目線で記載する

書き方や内容などを意識し、誰でもわかりやすく、営業に活用できる日報を仕上げましょう。

文章にしないことを意識する

営業日報は日記のような文章にすると、要点がつかみにくくなり、作成に時間もかかるため、端的な表現を心掛けましょう。

たとえば、顧客訪問が多いセールス部門なら、訪問内容をシンプルに書き込むのがポイントです。インサイドセールスであれば、架電件数や架電先などをわかりやすく記載しましょう。

「5W3H」を必ず入れる

物事を正確に伝えるために、「5W1H」を意識しましょう。5W1Hとは、When(いつ)・Where(どこで)・Who(誰が)・What(何を)・Why(なぜ)・How(どのように)の6つを指し、営業に関する情報を伝えるために欠かせない要素です。

日報の場合、これにHow many(どれほど)・How much(いくら)を加えた「5W3H」を含めるようにすると、簡潔かつ正確な日報に仕上がります。

ただし、場合によっては「どれほど」と「いくら」の要素がかかわらない場合もあるため、その際は「5W1H」でも構いません。

定量的・客観的に記録する

営業日報は、定量的・客観的に書きましょう。

契約時期や予算感などに関しては、曖昧な見込みや推測、主観はできるだけ避けるのがポイントです。もし記載が必要ならば、「~の見込み」といった一言を添えましょう。誰が見ても誤解がないようにわかりやすく記載するのが重要です。

顧客情報を盛り込んだ内容を心がける

営業日報を次回の営業活動に生かすためには、顧客情報を紐づけた内容を心がけましょう。

たとえば、「顧客に商品を提案しました」といった記載では顧客の反応や確度がわからず、振り返る際に顧客の様子を具体的にイメージできません。

「顧客に商品を提案したところ、好意的な反応を得られ、詳しい資料を希望されました」と顧客情報を盛り込めば、営業活動の空気感が伝わります。

顧客との対話や反応以外にも、過去の購買履歴や基本情報などを記載すれば、より振り返りに役立つ営業日報に仕上がります。担当者自身の振り返りはもちろん、管理者の状況把握やチームメンバーへの共有などにも効果的です。

顧客管理の方法や便利なツールは以下の記事で紹介しているので、あわせて参考にしてみましょう。

▶ 顧客情報とは?一元化の重要性と管理に役立つ5つのツールを紹介

中長期的な目線で記載する

営業活動は継続的なアプローチや関係性の構築が成果につながるため、中長期的な目線で営業日報を書きましょう。

その日の営業活動の記録だけではなく、明日のアクションや当月の予定など将来を見据えた内容を心がけると、見通しをもって営業活動に取り組めます。

中長期的な視点は、トレンドや市場の変化に対応するためにも重要です。

契約までにトレンドや市場が変化する可能性を念頭に置き、こまめに情報収集をしながらニーズの変化を想定できれば、状況にあったアプローチができるようになります。

営業日報を運用する際の注意点

営業日報は、営業担当者や管理者などにメリットが多いものの、いくつか注意点があります。

  • 営業活動の詳細を把握しにくい
  • フィードバックや分析に活用しないと意味がない
  • 記載ルールや運用体制を整える必要がある

営業日報でわかることや活用方法を理解したうえで、効果的に運用しましょう。

営業活動の詳細を把握しにくい

営業日報は、営業活動の概要を文字で記録したものであるため、詳細な活動内容は把握しにくい点に注意が必要です。

営業活動の詳細を一つひとつ記載するのは難しく、全体像をつかめない場合があります。

管理者が具体的な営業活動を把握するためには、日報をきっかけにコミュニケーションを活発にするのが方法のひとつです。顧客の反応を確認したり、不安に感じていることを聞いたりすることで、状況や課題を把握し、フォローや改善などに役立てましょう。

フィードバックや分析に活用しないと意味がない

営業日報は書くことが目的になってルーティン化すると、十分な活用ができずにメリットを発揮できません。

営業日報を作成する目的を全体に共有したうえで、担当者自身の振り返りや管理者による分析など活用方法を明確にしましょう。

営業日報を分析に活用したい場合は、SFA(営業支援ツール)が便利です。顧客情報から顧客の傾向をつかんだり、活動状況から業務改善のヒントを得たりできます。SFAのデータ分析方法やデータの生かし方は以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

▶ SFAのデータ分析で営業部門を活性化しよう

記載ルールや運用体制を整える必要がある

営業日報を作成するには工数がかかるため、営業担当者の負担を軽減するために運用体制を整える必要があります。

通常業務と並行して効果的な運用ができるように、営業日報を書く時間を意図的に確保しましょう。

また、記載ルールや記載項目の整備も必要です。営業担当者の裁量に任せると、それぞれの負担や内容にバラつきが生まれ、生産的な運用が難しくなります。あらかじめテンプレートや記載例を用意し、全体の負担や質をコントロールしましょう。

営業日報を書く手間や管理の工数などが気になる場合は、ツールの導入がおすすめです。簡単な入力で営業に関する情報を記録でき、リアルタイムな共有を実現できるため、営業日報の効率的な運用をはじめられるでしょう。

営業日報を運用する際にマネージャーが意識すべきこと

営業日報を効果的に運用するためには、営業担当者が書く内容の質はもちろんですが、マネージャーが以下のポイントを意識することも大切です。

  • 内容に対してコメントやフィードバックを欠かさずおこなう
  • 気になったことは営業担当者に逐一確認する
  • 全体の進捗やスケジュールに目を向ける
  • 顧客情報や価値ある事例は全体に共有する

営業日報を確認する立場として、記載された内容をもとに個人や組織にフィードバックする役割が重要になります。

内容に対してコメントやフィードバックを欠かさずおこなう

営業担当者が作成した日報を受け取って終わりではなく、コメントやフィードバックを必ずおこないましょう。内容に対する反応があることで、営業担当者は日報を見てくれていると実感し、質を落とさず書いてもらえるようになります。

第三者からの声は、営業担当者にとって振り返りの機会になるでしょう。自分とは異なる視点でのコメントから課題を発見できると、改善を図りやすくなります。

紙の日報であれば提出後に取り組みや成果に対して声をかけ、データの日報ならコメントを添えて共有するなど、コメントやフィードバックをしっかり伝えましょう。

気になったことは営業担当者に逐一確認する

営業日報を確認しているときに気になることがあれば、自己解決せずに営業担当者に確認しましょう。

営業日報はテキストで情報を記載する点で、具体的な内容を把握しきれない場合があります。自己解決してしまうと、営業担当者の意図とズレているおそれがあるので、すり合わせるためにも直接確認することが大切です。

アプローチの意図や改善策の具体的な内容などを営業担当者と共有できれば、営業活動へのアドバイスや軌道修正などをおこないやすくなります。

全体の進捗やスケジュールに目を向ける

営業担当者一人ひとりの営業日報に注目しがちですが、それぞれを確認したうえで、全体に目を向けることが大切です。

たとえば、それぞれの訪問件数ばかりに注目するのではなく、全体の訪問件数が目標を達成できるかを考える必要があります。目標に対して、どのように進められば達成できるかを踏まえてスケジュールの調整をおこなうことも大切です。

各自の動きによって全体がどのように進捗しているか、目標達成に近づいているかに目を向けて、方針や戦略の検討をこまめにおこないましょう。

顧客情報や価値ある事例は全体に共有する

営業日報を営業担当者とマネージャー間で完結させるのではなく、価値ある情報は積極的に全体に共有しましょう。

たとえば、これまでと異なるアプローチで成約した事例があれば、方法を全体に伝えることで、営業の属人化を防いでスキルの平準化を図りやすくなります。

とくに力を入れたい案件がある場合は、顧客情報を全体に共有し、組織全体で成約に向けて取り組むことが大切です。

情報共有のメリットや便利なツールは以下の記事で解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

▶ 情報共有のメリットとは?具体的な方法と役立つツールを解説

営業日報を作成する媒体・ツールのメリットとデメリット

営業日報を作成・保存する媒体やツールは、きちんと選定する必要があります。かつての営業日報はプリントアウトしてファイリングするのが一般的でしたが、現在ではさまざまなソフトやアプリが登場し、選択肢が広がりました。

媒体・ツールによって保存性や閲覧性、検索性などが大きく異なるため、何を優先させるべきか、自社に合ったスタイルはどれかを考えて決める必要があります。

主な媒体・ツールは、以下の4つです。

  • 紙媒体
  • メール
  • Excel・スプレッドシート
  • SFA・CRM

各媒体のメリット・デメリットを理解し、自社にあったツールを活用しましょう。

紙媒体

営業日報を昔ながらの紙媒体で残す方法があります。営業日報を紙で残しておくメリットは、必要なときに誰でも閲覧できる点です。

PCやサーバーの中を探し回ったり、ツールにアクセスしたりする必要がなく、保存庫のキャビネットを開くだけで、過去の日報をチェックできます。

一方で、作成に手間と時間がかかることや、保存のために多くのスペースが取られることはマイナス面です。

また、検索性が低い点もデメリットと言えます。過去の事例を日報から参照し、業務改善に活かしたい場合には、相性が悪いでしょう。

メール

1日の行動を終えたところで、PCで営業日報をまとめ、そのまま上司にメールを送るスタイルも方法のひとつです。Wordなどのファイルにまとめて添付ファイルとして送る方法と、直接メールにメッセージとして書き込んで送信する方法があります。

スマートフォンやタブレットを使えば、外出先からでも営業日報を送れますので、日報を書くためだけに会社に戻らなくて済みます。外回りの多い営業担当者にとっては便利でしょう。

しかし、メールの場合、誤送信やサーバーエラーで営業日報が届かないケースや、日報メールがほかのメールに埋もれるケースも起こる恐れがあります。メンバーにとっては便利でも、マネージャーにとっては手間と時間ばかりを消費する方法です。

Excel・スプレッドシート

Excel・スプレッドシートで日報フォーマットを作り、個々の日報ファイルに日々の行動履歴を書き込んでいくというスタイルもあります。

社内のサーバーに共有フォルダを作り、個々のメンバーの日報ファイルを保存しておけば、必要な際にいつでも閲覧できます。

しかし、Excel・スプレッドシートは、テキストを扱うことにあまり適していません。検索性も高くなく、日報から顧客情報をチェックしたり、時系列での進捗を確認したりするのは不得意です。

誰でも使えるのがメリットではありますが、営業日報用のツールとしては決して優秀とはいえません。

Excel(エクセル)で日報を管理するメリットとデメリットは以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はぜひチェックしてみてください。

▶ Excel(エクセル)で日報を管理!メリット・デメリットも解説

SFA・CRM

SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理関係)といったツールでは、個々のメンバーの営業活動を商談内容や顧客データと紐づけて、一元管理できます。

簡単な操作で営業日報を作成でき、営業日報から詳しい商談内容や顧客データを参照できるのが特徴です。マネージャーにとっては、担当者のタスクや案件の進捗を把握するために便利な機能でしょう。

作成した営業日報はリアルタイムにチーム内で共有できるため、わざわざメールなどで送信する必要がありません。

PCはもちろん、スマートフォンからでもアクセスでき、外出先からの作成も簡単です。一日の外回りを終えて移動中に日報を作ったら、そのまま直帰できます。

検索性が極めて高いことも、SFAやCRMの大きなメリットです。進捗が思わしくない案件があれば、過去に同じような事例がないかを容易に探し出せます。

いわゆるグループウェアにも日報の作成・管理機能は備わっていますが、顧客データも含めた情報の一元管理ができるのがSFAやCRMの強みです。

すでにSFA・CRMが導入されていながら、メールやExcelで日報を作成しているなら、今すぐに転換を図ったほうがよいでしょう。

SFAのメリット・デメリットは以下の記事で解説しているため、あわせてチェックしてください。

▶ SFAのメリットとデメリットを知って、効果的に使いこなそう!

また、CRMのメリットと活用方法は、以下の記事で解説しています。CRMの活用を検討している方はぜひ参考にしてください。

▶ CRMのメリットは?活用方法や4つの注意点をわかりやすく解説

営業日報を作成するなら「Sales Cloud」

セールスフォースの「Sales Cloud」を利用すれば、営業に関する情報をツール内に一元管理できます。

顧客情報管理機能では、顧客の情報を記録しながら、営業担当者とのメールのやり取りを自動で同期し、入力の工数がかかりません。案件管理にも対応し、進捗状況をわかりやすく可視化でき、適切なタイミングでのフォローや売上予測などに役立ちます。

さらに、webやメールなどからの問い合わせを管理し、対応履歴をナレッジとして組織に共有することも可能です。

中小企業向けの「Starter Suite」であれば、1アカウント月額3,000円という手頃な価格で利用できます。無料トライアルを実施しているため、機能や使用感を確かめたい方はぜひお試しください。

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「Sales Cloud」のAI機能で効率的な営業を実現

Sales Cloud」には、AI機能「Einstein AI」が搭載されており、営業の効率化や優先順位の見極めなどを実現しています。

「Einstein AI」は、「Sales Cloud」に蓄積された見込み顧客の情報や営業活動の履歴などを分析し、特定のパターンを見つけたうえでスコアリングをおこないます。スコアリングによって優先的にアプローチすべきリードが抽出され、効率的な営業を支援するのが特徴です。

また、生成AI機能もあり、蓄積された情報をもとにセールスメールを自動で作成できます。見込み顧客への挨拶や商談の日程調整などのメールを作成する手間がかからないだけではなく、一人ひとりにパーソナライズされたメールを送信できるのが魅力です。

「Sales Cloud」のAI機能については以下のページで紹介しているので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

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業務に活かせる営業日報を作ろう

営業日報は、使い方次第で顧客と現場の動きをリアルに読み取ることができる貴重なツールです。その可能性を活かすためにも、最適な作成ツールを選び、記載項目や書き方などのフォーマットを決めることが求められます。

運用方法によっては書いて終わりになるケースもあるため、目的や活用方法を明確にしたうえで、組織に浸透させることが重要です。

試行錯誤を繰り返しながら、成果につながる営業日報を作り上げていきましょう。

 
 
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