SFAかERPの違いは?どちらがいいか迷ったときのポイント

投稿日:2021.9.27

SFAとERPは、似た機能を持っています。しかし、本来はまったく別々の目的で開発されたものです。そのため、使う用途や目的に沿ったものを選ぶことが大切です。
ここでは、SFAとERPの違いと、どちらを選べばいいのか迷った際の、選択のポイントについて解説します。

 
 
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SFAとERPの違いを知ることが大切

営業の効率化のために、業務システムを導入したい。これは、多くのマネージャーが考えることではないでしょうか。しかし、そこで問題になるのが、「SFAとERP、どちらを選べばいいのか」ということです。
SFAとERPは、機能の上では重複する部分も多くありますが、そもそもSFAは、営業領域の情報を管理するツールであり、ERPは営業を含めたより広い領域の情報を一元管理し、経営判断に活かすためのツールであるという違いがあります。ですから、どちらがいいかを考える前に、まずはそれぞれの特徴について知っておくことが必要です。

営業業務を強化するSFA

SFAは「Sales Force Automation」の頭文字を取った略語で、日本語では「営業支援システム」と呼ばれています。営業業務をサポートし、効率化することを目的としたツールです。

SFAが生まれた背景

SFAが登場したのは、1990年代のアメリカです。当時、デジタルツールとしては、すでにOA(オフィスオートメーション)が実用化されており、広く普及していました。しかし、OAはオフィス内でやりとりされる情報管理には有効ですが、利益を上げる重要なポイントである、顧客への営業活動をカバーしきれません。また、営業は「顧客に対してどのようにアプローチしたか」「それによって、どのような反応を得られたのか」という、最も重要な部分が個人のスキルに任されがちで、属人性の高い業務です。これでは、組織としての品質向上や効率化がなかなかできない状況でした。
そこで生まれたのが、営業業務に関するあらゆる情報を集約するSFAです。顧客情報や案件情報、活動履歴、商談の進捗などを記録し、分析やレポーティングなどの機能で営業業務をサポートしてくれます。

SFAでできること

SFAには、営業業務を効率化してくれる、さまざまな機能が実装されています、細かな点は製品によって違いがあるものの、基本となる機能はほぼ共通です。
ただし、SFAは導入するだけで成果が上がるというものではありません。情報を漏れなく入力し、それを分析することで真価を発揮してくれます。では、SFAでどのようなことができるのか、いくつかご紹介します。

 

  • 営業部門の情報を一元管理できる
    営業という業務は、顧客情報や毎月あるいは期ごとの売上情報のほか、数値化できない情報など、多くの情報を扱います。これらの情報を、SFAを使うことで一元管理できます。
    SFAがあれば、過去の取引履歴を調べるために古いファイルをめくったり、PCの隅々を探し回ったりする必要がありません。また、一度入力した情報はさまざまなデータに自動反映されますから、再入力の手間がなく、生産性の向上にも寄与します。
  • チーム内でリアルタイムの情報共有ができる
    入力したデータは、チーム内の全員にリアルタイムに共有されます。これは、時間効率の向上の実現につながります。
    たとえば、進行中の案件の見積額や成約確度を入力しておけば、いつでも簡単に売上予測を立てることが可能です。多くのSFAはクラウドサービスの形で提供されているので、外出先からでも最新の情報をチェックし、次の行動に反映することができるのです。
  • 分析結果を営業・経営戦略に反映できる
    SFAに蓄積された情報を分析して、営業戦略や経営戦略に活かすことができます。これは、SFAの最も重要な用途のひとつです。
    顧客情報を分析すれば、「どのような層を狙えば、成約につながりやすいのか」が見えてきますし、トップセールスの行動履歴を分析すれば「売れる営業のノウハウは何か」がわかります。これらの分析結果を業務に反映すれば、ターゲット層を絞り込んだ効率的なアプローチができますし、営業部門の能力を底上げすることも可能です。さらに、経営陣が常に最新の情報をチェックしておけば、それを基に中長期的な見通しを立て、スピーディな経営判断を下すこともできます。
  • 他ツールとの連携ができる
    SFAは、営業業務に関わる情報を蓄積し、一元管理できます。しかし、業務は営業部門だけで完結するものではありません。そこで重要になるのが、ほかの部門で使われるツールとの連携です。
    マーケティング部門で使われているMAや、アフターセールスで使われるCRM。メーカーであれば、生産管理や在庫管理の各ツールと連携させれば、すべてのプロセスの情報を見通し、業務をいっそうスムーズに進めることが可能です。

社内システムを統合するERP

ERPは、「Enterprise Resource Planning」の略語です。日本語では「企業資源計画」と呼ばれ、経営資源である「ヒト」「カネ」「モノ」を適切に管理し、配分していく手法を指します。ただし現在では、そうした経営手法を実現するためのシステムを指すことのほうが多く、こちらは「統合基幹業務システム」と呼ばれます。

ERPが生まれた背景

ビジネスの現場でコンピューターが使われるようになったのは、1960年代頃です。当時のコンピューターは大型で高価でしたから、とても「1人1台」というわけにはいきません。用途にしても、製造・販売管理、在庫管理、受発注管理など、各業務の基幹部分に用いられていました。
しかし、それぞれの業務に特化した機能しか持っていませんから、部門間の連携がとれません。そこで登場したのが、各部門で使われている基幹システムを統合し、一元管理するERPでした。

ERPでできること

ERPの目的は、企業の資源を適切に配分し、活用していくことで、効率的な企業活動をサポートすることです。そのため、SFAとは異なり、顧客の存在は大きくはありません。あくまでも、「自社のリソースの最適化」を目指し、そのための機能を実装しています。

 

  • 部門を横断した情報を一元管理できる
    ERPを使うと、社内の至る所に分散している情報を、すべて一元管理できます。営業部門だけでなく、調達から製造、在庫、販売、さらに財務や会計、人事など、複数部門にまたがる情報をリアルタイムで一元管理することが可能です。そのため、自社のリソース状況を俯瞰した上で、効率的な配分ができるようになるのです。
  • 社内全体の業務効率の向上が図れる
    ERPは経営だけでなく、現場にとっても有用です。部門の壁を気にせず、欲しい情報にアクセスできますから、顧客からの急なオーダーにも、「生産・在庫状況をチェックしてすぐに納期を回答する」といったスピーディな反応をとることができ、業務効率が大きく向上します。
  • 迅速な経営判断ができる
    ERPは社内全体の経営資源と、その配分状況をリアルタイムで見ることができます。これは、経営者にとっては大きな武器でしょう。生産・販売の状況や、中期的な売上見込みなど、最新の正確な数値を踏まえ、業界や市場の変化の見逃さないタイムリーな経営判断を下すことができるからです。

SFAとERPを選択する際のポイント

SFAとERPは、誕生の背景からして違います。しかし、重複する機能も多いため、「どちらを導入すればいいのだろうか」と悩んでしまうこともあるでしょう。
続いては、SFAかERPを選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。

導入の目的を明確にしておく

各種ビジネスツールやシステムを導入する際には、それを使って「何をしたいのか」を明確にすることが大切です。そうでないと、「思っていた効果が得られない」ということにもなりかねません。
SFAかERPかで迷った場合は、「フロントオフィスを強化したいのか」もしくは「バックオフィスの最適化を図りたいのか」を考えるといいでしょう。

どこまでの情報を扱いたいのかを決めておく

SFAとERPでは、扱う情報の幅が違います。SFAは営業業務に関連する情報に特化して管理しますが、ERPは財務や会計など、営業とは直接関わりの薄い情報まで扱います。ですから、前項の「導入の目的」とともに、どの領域の情報を管理統合したいのかという面で考えてみるのもいいでしょう。
なお、SFAとERPは重複する機能もあるとはいえ、元々の設計思想が異なります。SFAは営業業務の自動化・効率化、ERPは経営資源の可視化や異部門間での情報統合を目指したものですから、似た機能があっても、まったく同じに使えるとは限らないと認識しておいてください。

SFAとERPの連携も視野に入れる

SFAとERPにはさまざまな違いがあり、同じものではありません。ですが、ERPの本来の目的のように、SFAとERPを連携させたらどうでしょうか。
まず、経営者からすれば、短中期の正確な売上予測を基に、社内リソースを考慮した上ですばやい経営判断を下すことができます。また、現場のメンバーにとっては、社内の各部署に散らばっている情報を、必要なときに、すぐに手に入れることが可能です。

 
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自社の課題やニーズに合ったツールを選ぼう

今回ご紹介したとおり、SFAとERPは、誕生した背景だけでなく、設計思想も異なります。しかし、近年ではほかのツールと同じように機能が強化され、その境界が曖昧になっており、どちらにすべきか迷うこともあるでしょう。
ですが、「導入の目的は何か」「どのような課題を解決したいのか」を明らかにすれば、どちらを選べばいいのか明確になります。自社のニーズに合ったツールで、課題解決を図ってください。
 
 
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