案件管理とは?メリットや管理ツールの種類、選び方も詳しく解説
企業の成長に伴い多くの案件を獲得できるようになったものの、管理が行き届かず営業活動に影響が出ている方も多いのではないでしょうか。
営業活動では案件を適切に管理し、進捗状況や顧客情報などを把握する「案件管理」が重要です。正しく管理することで、適切なタイミングで効果的なアプローチができるようになります。
本記事では、案件管理の目的や必要性に加え、実施するメリット・デメリットを解説します。案件管理に役立つツールの種類や選び方も説明するため、ぜひ参考にしてください。
案件管理とは案件の進捗状況や顧客情報を管理すること
案件管理とは、営業活動で獲得した案件の進捗や顧客情報を管理する取り組みです。案件に関する情報は多岐に渡り、自社製品の情報や企画書、顧客とのコミュニケーションなどアプローチに活用できる材料を正しく管理する必要があります。
案件管理を実施するうえでは、目的・必要性や管理に必要な情報を理解することが大切です。
以下で案件管理の目的や必要な管理項目について紹介します。
案件管理の目的・必要性
案件管理は、営業活動の進捗や顧客情報など案件に関わる情報を可視化するために必要な業務です。
案件に関する情報がどこにあるかわからない状態では、案件の進捗やアプローチに必要な情報を把握できません。
進捗に応じて適切なタイミングでアプローチしたり、顧客情報からアプローチ方法を検討したりするために案件の情報を整理するのが、案件管理の目的です。
より効果的なアプローチを実施するためには、案件一つひとつを正しく管理し、営業活動に必要な情報をすべて把握できている状態にしましょう。
案件管理に必要な項目
案件管理に必要な項目の例は、以下のとおりです。
- 取引先名
- 商談日
- 担当営業
- 対象商材
- 商談の経緯
- 商談の内容
- 受注予定日
- 見込額
- 受注角度
- 商談の進捗
- 担当営業の行動履歴
顧客情報や提案する商材、担当営業の行動履歴などを管理し、案件の現状が一目でわかるように整理します。
案件別に管理できていると管理者が各案件の進捗をチェックでき、担当営業が不在の場合も別のスタッフが対応できるようになります。
上記の項目はあくまで例であり、案件によって管理すべき情報が変わる点に注意が必要です。各企業で取り扱う情報が異なるため、自社が必要とする情報に絞り込んで案件を管理しましょう。
案件管理と商談管理の違い
案件管理と商談管理は同じ意味で使われる場合もありますが、異なる業務として捉える場合もある点に注意しましょう。
案件管理は各案件に関わるすべての情報を管理するため、案件名や顧客の基本情報など幅広い項目を取り扱います。各案件の記録を残し、アプローチの質向上や失注の防止などを図るのが主な目的です。
一方、商談管理は商談に関する情報を中心に取り扱います。商談の進捗状況や受注確率などが主な項目で、商談化から成立までのプロセスを管理し、成約率を高めるのが目的です。
「案件管理は案件全体の情報」「商談管理は商談のみの情報」と管理する範囲が異なる点を理解し、正しく使い分けましょう。
案件管理の実施による5つのメリット
案件管理の実施で、以下のメリットが期待されます。
- 案件の性質を見極め、受注確度を高める
- 属人性を排除し、営業を組織化できる
- 高精度の確度と見込契約額で、経営上の意思決定がしやすくなる
- 他部署・部門と円滑に連携できる
- 案件の分析結果を業務・体制の改善に役立てられる
受注確度の向上や属人化の防止以外にも、情報共有や体制の改善などにも役立つため、メリットを理解したうえで案件管理を営業組織に取り入れましょう。
案件の性質を見極め、受注確度を高める
案件管理で顧客から得た情報を整理することで、案件の性質を見極められます。先方のニーズや興味・関心などに合わせて、適切なタイミングで最適なアクションを取れるようになるのがメリットです。
マネージャーも、営業担当者へ状況に合った的確な指示やアドバイスができるため、受注確度の向上が見込めます。
属人性を排除し、営業を組織化できる
案件情報の可視化・共有で、営業組織の属人性を排除できます。担当者しか案件情報を知らない状態を避けられ、営業活動の質を均一化できるのがメリットです。
どの担当者も案件情報を駆使した営業ができるだけでなく、担当者不在時に別のスタッフが柔軟に対応できるようになります。案件管理によって組織的な営業活動を可能にし、チームで成果を高められる営業組織を実現できるでしょう。
高精度の確度と見込契約額で、経営上の意思決定がしやすくなる
各案件の見込額と精度の高い受注確度があれば、高精度の売上予測が立てられます。
営業担当者、営業部門全体での目標設定が適切にできるようになり、組織の意思決定の円滑化が可能です。
また、結果として残る数字だけでなく、プロセスも記録することで、一人ひとりの行動や実績を正しく評価できます。
他部署・部門と円滑に連携できる
複数の部署・部門にまたがる案件を抱えている場合は、案件管理で円滑な連携を図れるのがメリットです。
案件に関連する情報をすべてまとめ、全体で連携できる体制を整えると、どの部署・部門からも必要な情報を確認できます。
進捗も全体で共有できるため案件を円滑に進められ、行き当たりばったりの判断でトラブルが起きるリスクを抑えられます。
案件の分析結果を業務・体制の改善に役立てられる
案件管理を実施すると、営業活動に役立つデータが蓄積され、業務や体制の改善を進められます。
たとえば、案件の失注が増えている場合にアプローチまでの期間にバラつきがあったとすると「〇日以内に初回アプローチ」といった対策を講じられます。
また、顧客情報も業務改善に効果的なデータであり、案件の傾向を見極める際に便利です。顧客の業種や課題などの共通点が明らかになれば、より効果的な戦略を検討できます。
案件管理で気をつけたい3つのデメリット
案件管理には多くのメリットがありますが、運用次第では以下のデメリットが生じるため気をつけなければいけません。
- 運用体制が整っていないと機能しない
- 要件定義が甘いと状況を正しく把握できない
- セキュリティ意識が低いとトラブルのリスクが高まる
メリットを得られないだけではなく、トラブルにつながるおそれもあるため、あらかじめデメリットへの対策を講じましょう。
運用体制が整っていないと機能しない
案件管理は案件に関わる情報を入力・更新しなければ機能しません。導入当初はこまめに入力していても、徐々に頻度が減り、活用されなくなる場合もあります。
案件管理を機能させるためには、運用体制の構築が欠かせません。営業担当者の負担が大きくならないよう簡単に入力できるよう、入力項目や入力内容を工夫したり、入力の時間を確保したりするなど、組織全体で取り組みましょう。
また、案件管理を開始する際に目的を共有することも大切です。運用目的が明らかになれば、案件管理に必要性が生まれ、こまめに入力する習慣をつくりやすくなります。
要件定義が甘いと状況を正しく把握できない
要件定義とは、言葉の意味や条件などを明確に定義することで、不十分なまま案件管理を実施すると運用が難しくなります。
たとえば、案件の進捗を「商談中」と入力する際に、何を商談とするかを明確に決めなくてはなりません。Aさんは資料の受け渡し、Bさんは電話での説明のように個人の認識が異なると、進捗管理の精度が低くなります。
営業組織全体で案件の認識を統一するためには「商談中」「成約」といった言葉の定義を明確にすることが重要です。
セキュリティ意識が低いとトラブルのリスクが高まる
案件管理で取り扱う情報は、外部に漏洩してはいけない機密情報を多く含んでいます。担当者のセキュリティ意識が低いと、重要な情報が漏えいするリスクがある点に注意が必要です。
営業担当者個人のパソコンで管理したり、不特定多数が集まる場所で管理画面を見たりした場合、案件情報の紛失や流出を起こすおそれがあります。
とくにパソコンのローカルディスクやUSBメモリのようなポータブルメディアは危険です。盗難や紛失、ウイルス感染などによって情報漏えいするリスクも少なくありません。
機密情報を守りながら案件管理するには、セキュリティ性に優れたSaaaSを導入することも検討しましょう。
案件管理ツールの種類
案件管理を実施する際は、ツールを活用するのが一般的です。ツール上に顧客情報や進捗などを記録し、必要に応じて情報の確認や更新を行います。
ツールには種類があり、特徴や使い方が異なるため、効率的な案件管理を実施するためにはツール選びが重要です。
主な案件管理ツールには、以下の5つが挙げられます。
- Excel
- タスク管理ツール
- CRM
- SFA
- MA+SFA
各ツールのメリット・デメリットを理解し、課題や目的にあったツールを検討しましょう。
営業管理ツールを使用する目的や選び方は以下の記事で解説しているため、あわせて参考にしてください。
Excel
Excelは、大半のPCにインストール済みで誰でも扱えるため、比較的簡単に案件管理を行えます。
しかし、Excelはあくまでも表計算ソフトです。案件管理で必要な「時系列での管理」ができず、入力したデータの紐づけや分析には対応できません。複数のファイルに分割されていると、データの検索も不自由です。
また「客観的評価がしにくい」のもデメリットです。各案件の受注確度や営業活動による案件フェーズは、おもにマネージャーによる客観的評価によって、その精度を高めていきます。
しかし、Excelによる管理では、これらの項目評価は担当者の主観的な感覚と判断に頼るほかなく、「管理上のフェーズは進んでいるが、内実が伴っていない」という乖離が起こる危険性があります。
Excelによる案件管理の利点は、「導入の手軽さ」を除いてほとんどなく、むしろデメリットばかりが目についてしまうのです。
デメリットが目立つものの、活用方法によっては顧客管理に役立てられます。エクセルを用いた顧客管理は以下の記事で解説しているため、ぜひ参考にしてください。
▶ エクセル(Excel)を活用した顧客管理方法|データベースの作り方も解説
また、Excelは営業管理にも使用できるため、営業支援ツールであるSFAとどちらがよいか迷っている方も多いのではないでしょうか。SFAとExcelの違いは、以下の記事をチェックしましょう。
タスク管理ツール
タスク管理ツールには、さまざまな種類があります。いずれも複数メンバーが協働するプロジェクト全体の進行を管理し、さらに個々のメンバーの行動を管理するための実用的な機能が備わっています。
ガントチャートやバーンダウンチャートなど、時系列に沿って行動を記録する機能は、チームワークの管理ツールとして有用です。チームと個人それぞれのタスクを明確にでき、入力した情報は即時に共有できるため、プロジェクトの進行管理に十分なパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。
しかし、あくまでもタスク管理、個人と組織の行動を管理するものであって、案件の管理の機能は不十分です。
新規導入の候補に入っているなら「そのツールを何のために導入するのか」という原点に立ち返り、改めて検討し直す必要があるでしょう。
タスク管理の方法は以下の記事で解説しているため、あわせて確認しましょう。
CRM
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)は、顧客情報の管理に優れたツールです。顧客の基本情報をはじめとして、購買履歴や購入額などの詳細なデータも管理できます。
顧客に関わる情報を一元管理できるため、営業活動に必要な情報を全体に共有しながら、他部署・部門との連携も図れるのがメリットです。蓄積した顧客情報は新規顧客へのアプローチに活用できるだけではなく、既存顧客へのフォローにも効果を発揮します。顧客の行動に応じて適切なフォローを行えば、優良な既存顧客へと育成できるでしょう。
案件管理との相性がよいものの、導入しただけでは効果を発揮できません。案件情報をこまめに入力・更新する体制を整え、データの活用・分析を積極的に行うことが重要です。
CRMのメリットと効果を発揮する方法は以下の記事で解説しているため、あわせて参考にしてください。
さまざまなCRMがある中で、案件管理に活用しやすいのが「Starter Suite」です。月額3,000円のリーズナブルな料金で導入でき、案件の進捗状況や顧客情報を管理できます。
顧客のメールを自動で同期したり、顧客の問い合わせを管理したりできるのも特徴です。無料トライアルを実施しているため、案件や顧客の管理を効率化したい方はお気軽にお試しください。
SFA
SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)は、営業活動全般に関わる情報を一元管理し、チームメンバー間で共有できるツールです。案件管理の機能はもちろん、入力された情報はお互いに関連づけられ、リアルタイムで更新・共有されます。
SFAは、単に案件の進捗を管理するだけでなく、受注確度や見込額などの管理も可能です。そのため、受注確度に合わせた対応策を打ったり、特定期間での売上予測を立てて経営に活かしたりと、データを行動に結びつけやすくなります。
ただ、ほかの多くのツールと同様、導入してもきちんと運用できないとメリットを発揮してくれません。導入にあたっては無理のない規模を設定し、サポートが充実した製品を選ぶなどの工夫も必要です。
SFAのメリット・デメリットは以下の記事で解説しているため、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
MA+SFA
SFAは案件を管理するには最適なツールですが、マーケティングの段階から管理できれば、マーケティングとセールスを横断した案件の一元管理が可能になります。
案件の一元管理を実現するには、SFAに加えてMA(マーケティングオートメーション)を導入するのが効果的です。
MAは、見込み顧客を獲得・育成し、受注確度の高いホットリードとしてセールスに引き渡すまでのプロセスを管理します。
SFAとMAを導入することで、クライアントと接触してから商談を経て成約に至るまでのプロセスを記録・管理できます。アフターセールスの領域でも存分に活用でき、LTV(顧客生涯価値)の増大にも貢献してくれるでしょう。
MAのメリット・デメリットや運用方法は以下の記事で解説しているため、SFAとの併用を検討する際にぜひチェックしてください。
案件管理ツールの選び方
自社に導入する案件管理ツールを検討する際は、以下のポイントに注目しましょう。
- スムーズに導入できるか
- スマホやタブレットでも使用できるか
- 誰でも使いやすく見やすいか
- 既存システム・ツールと連携できるか
導入のしやすさや使いやすさなどを確認し、自社と相性のよいツールを選びましょう。
スムーズに導入できるか
案件管理は、顧客情報管理や営業活動の効率化などに欠かせないため、できるだけスムーズに導入できるツールを選びましょう。
ツールには自社サーバーに設置するオンプレミス型、インターネット上で利用できるクラウド型に分けられます。
オンプレミス型は自社サーバーの設置に費用や時間がかかるため、導入コストを抑えたい方はクラウド型がおすすめです。設定の手間や時間が少なく、初期費用も抑えやすいため、スムーズな導入が可能です。
スマホやタブレットでも使用できるか
案件に関する情報を必要なタイミングで確認したり、すき間時間に入力したりするためには、モバイル対応したツールが便利です。
スマホやタブレットからツールにアクセスできると、訪問前に顧客情報を確認でき、営業活動後すぐに情報を入力できます。
モバイルデバイスから迅速に案件情報を記録できると、各部門・スタッフとのリアルタイムな情報共有が可能です。
注意点として、多機能なツールはモバイルデバイスでは視認性が低下するおそれがあります。スマホやタブレットに対応しているだけではなく、見やすさや使いやすさも確認しましょう。
誰でも使いやすく見やすいか
案件管理の効果を発揮するためには、誰でも使いやすく見やすいツールを選びましょう。データが入力しやすいか、画面が見やすいかなどを確認し、スキルに関わらず使いこなせるツールを選ぶのが重要です。
使いやすさや見やすさをチェックするためには、体験デモや無料トライアルなどで使用してみるとよいでしょう。いくつかツールを試し、もっとも使いやすいツールを選ぶのがポイントです。
既存システム・ツールと連携できるか
すでにシステム・ツールを活用している場合は、それらと連携できる案件管理ツールを選びましょう。
連携できるツールを選べば、導入時に必要なデータを一括で移行できます。導入後もひとつのツールに案件の情報を統合できるため、情報共有に効果的です。
既存のシステム・ツールを確認したうえで、連携に対応している案件管理ツールを選びましょう。
正確な案件管理には目的に沿ったツールの選択が重要
案件管理は商談の進捗や顧客情報を管理する業務で、適切なタイミングで、効果的なアプローチを実施するために欠かせません。
案件管理の実施で受注確度を見極めたり、営業組織全体で情報を共有したりでき、成約率アップや体制の改善などに効果的です。
一方で、運用体制や要件定義、セキュリティ対策などに不備があるとメリットを期待できないため、案件管理の実施方法・体制をしっかり構築しましょう。
案件管理に活用できるツールはさまざまありますが、どれを選べばいいかわからない人もいるでしょう。
もし悩んでいましたら、月額3,000円で利用できる「Starter Suite」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。案件の進捗状況や顧客情報を管理できるだけではなく、顧客からの問い合わせも漏れなく把握できます。30日間の無料トライアルを実施しているため、まず使ってみたい方は気軽にお申込みください。
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