※本記事は、2024年3月6日に米国で公開された Introducing the Data Cloud Spring ‘24 Release: Data Cloud Makes All Enterprise Data Actionable in Every Salesforce Application and Workflow の抄訳です。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
Salesforceは2024年3月6日に、Data Cloud Spring ’24 リリースを発表しました。このリリースには、Data CloudのデータをSalesforceのCRMアプリケーションやプラットフォームサービス全体でより使いやすくするためのイノベーションが含まれています。Data Cloud 関連リスト や Data Cloud 動的実行フローなどの機能により、ウェブサイトからSalesforce のすべての顧客レコードに関する顧客エンゲージメントデータを表示し、営業担当者へのアラートを自動化することが可能になります。
Data Cloudはあらゆるソースやデータレイクからデータを連携し、ビジネスユーザーが毎日使う必要のあるアプリケーションのなかで使用できるようにします。これが実現できるのは、Data Cloud が Salesforce の基盤となるメタデータレイヤ上に構築されており、すべての Salesforce アプリケーションと、ローコードプラットフォーム サービス(Einstein AI、自動化のための Flow、UI のための Lightning、詳細なプロコードカスタマイズに使うApex など)を統合する共通言語を提供するためです。
Data Cloudの重要性: 大変な努力をしているにもかかわらず、ビジネスリーダーの実に81%が、データの断片化とデータのサイロ化に悩まされていると報告しています。80%の顧客が、 企業が収集したデータに基づいたより良い体験を期待しているにもかかわらず、このように切り離された情報は、顧客体験の向上といった重要な業務の妨げとなります。
Salesforce Data Cloudは、企業全体のデータを統合するだけでなく、この調整されたデータを使って、お客様が毎日使用するAIやアプリケーションを強化する初のデータプラットフォームです。
Salesforce プレジデント 兼 最高製品責任者、デビッド・シュマイヤー(David Schmaier)
このデータとCRMの強力な組み合わせにより、お客様はより豊かでパーソナライズされた顧客体験を構築することができます。また、これらのすべてのデータをSalesforceの強力なEinstein AIサービスにリアルタイムで接続し、生成的AIをグラウンディングし、信頼できる企業データを使って予測的インサイトを提供することができます。
Data Cloud Spring ‘24の新機能
- データスペースの一般提供開始:データスペースを使用することで、お客様は部門、規制、およびコンプライアンスのニーズに合わせて、データ、メタデータ、およびプロセスを論理的に分離することができます。
- モデルビルダーの一般提供開始:顧客はLLMを選択するか、または実行する業務に基づいてAIモデルを構築することができます。モデルビルダーは、企業が Data Cloud のデータでトレーニングされた独自の予測 AI モデルを構築するための、ノーコード、ローコード、プロコードによる方法です。生成AIにおいてはの場合、モデルビルダーを使用すると、Salesforceが管理するLLMから選択するか、顧客独自のモデルを持ち込むことができます。また、Amazon Bedrock、Amazon SageMaker、Anthropic、Cohere、Databricks、Google Cloud の Vertex AI、OpenAI などのSalesforce パートナーの予測および生成 AI モデルを使用し、データを移動またはコピーすることなく、Data Cloud 上で選択したモデルをトレーニングすることもできます。
- Data Cloud関連リストの一般提供開始:Data Cloud 関連リストを使うと、Data Cloud データを任意の Salesforce オブジェクトの関連リストで表示でき、Einstein 1 Platform 全体で活用できます。現在、B2B 企業は、Data Cloud からのリアルタイムのエンゲージメントデータを使って、リード、連絡先、アカウントのレコードを即座に充実させることができます。
- Data Cloud コピー項目の一般提供開始:Data Cloud コピー項目 を使用すると、Data Cloud で生成されたインサイトをコアのCRM製品で公開できるため、複雑なデータ統合やカスタム開発が不要になります。現在は、データモデルオブジェクトまたは計算済みインサイトオブジェクトから、取引先責任者またはリードレコードのフィールドにデータをコピーできます。
- Data Cloud for Industries の機能強化:Data Cloud for Industriesを使うと、お客様は事前構築済のコネクタ、データモデル、計算済みインサイト(複数の評価指標を分析してインサイトを作成)、データキットを活用して、業界固有のAI、自動化、ワークフローを強化することができます。現在、Data Cloud for Financial Servicesが一般提供されています。
- データグラフの機能強化:Data Cloud の データグラフを使用すると、顧客はデータ ポイント間の関係を定義することができるため、SQL クエリやデータ結合を手動で作成する必要がなくなります。また、関連するフィールドを追跡し、ドラッグアンドドロップで関係を並べ替えることができるため、正しいフィールドデータがAIアプリケーションに含まれていることを簡単に確認できます。リアルタイムデータグラフは現在パイロット段階にあり、企業がミリ秒単位で主要な顧客データにアクセスし、更新することを支援します。
- サービスインテリジェンスの一般提供開始:サービスインテリジェンスを使うことで、サービス部門はAIモデルを使用して、サービスの品質に関するインサイトを簡単に導き出し、Data Cloudのデータに基づいてケースの「エスカレーションの傾向」と「解決までの時間」を予測することができます。
- Data Cloud 動的実行フローの強化:Data Cloud 動的実行フローを使用すると、Data Cloud のすべてのデータソースからのデータポイントの変更に基づいて、または計算済みインサイト条件が満たされたときに、ビジネスプロセスを自動化できます。現在、ユーザは有効化する前にフローをテストし、トラブルシューティングすることができます。
今回のリリースについて、Salesforceのプレジデント 兼 最高製品責任者のデビッド・シュマイヤー(David Schmaier)は、次のように語っています。「Salesforce Data Cloudは、企業全体のデータを統合するだけでなく、この調整されたデータを使って、お客様が毎日使用するAIやアプリケーションを強化する初のデータプラットフォームです。これにより、営業担当者、マーケティング担当者、顧客サービス担当者などが顧客との関係を深め、時間を節約し、生産性を劇的に向上させることができます。Data Cloud は閉じ込められたデータを真に解き放ち、より優れた顧客体験を実現します」
SalesforceにおけるData Cloudの威力
Data Cloud が登場する前、Sales Cloud ユーザーは、手動で入力されたデータ、システムによって作成されたデータ、または他のシステムとの API 経由で作成されたデータに基づいて操作していました。Data Cloud を使用することで、顧客はそのデータが外部ソースに存在するか、 Salesforce アプリケーション全体に存在するかに関わらず、すべてのシステムとタッチポイントにわたる包括的な顧客ビューと顧客行動に関するインサイトにより、 Sales Cloud の操作性を充実させることができます。これらのデータはすべて、ワークフローや顧客体験を強化するために活用することができます。たとえば、(a)Webエンゲージメントデータに基づいて機会を自動的に創出したり、(b)外部データレイクにあるデータから製品の使用傾向に基づいてアップセル機会に関する傾向スコアを提供したりすることができます。
世界中の顧客がData Cloudを採用
記録的な導入実績により、Data Cloud は急速に統合データ管理のための最適なソリューションになりつつあります。Salesforce の第 4 四半期の 100 万ドル規模の取引の 25% には Data Cloud が含まれており、最近では 1 四半期で 1,000 以上の新規顧客が追加されたことからも需要の高さは明らかです。Salesforceは、ガートナーのカスタマーデータプラットフォームのマジック・クアドラントのリーダーの1社として評価されました。これは、Salesforceのデータ、メタデータ、主要CRMアプリケーションと組み合わせたハイパースケールデータの威力が実証されたものです。
あらゆる業界、地域、セグメントの企業が、Data CloudとNo.1 AI CRMを利用して企業データをビジネスアプリケーションと連携させることにより成長を促進し、生産性を向上しています。
- Cognizant:世界有数のプロフェッショナル・サービス企業であるCognizantは、複数のシステムから断片化されたデータを統合し、Data Cloudによって生産性を向上させ、最終的に全社的なプロセスを合理化しています。
- ダイキン(北米):高度で高品質な空調ソリューションのリーダーであるダイキンは、Einstein と Data Cloud の力を活用して、現場の機器の状態を監視し、より良い顧客体験を実現し、販売店ネットワークを通じて新しいビジネスを加速させています。たとえば、ダイキンは、Data Cloud を使用することで各地域の在庫を把握することにより、消費者への配送を迅速化し、経年劣化した在庫を削減しています。
- Turtle Bay:オアフ島の高級バケーションリゾートであるTurtle Bayでは、顧客を理想的なペルソナにセグメント化するのを支援するためにData Cloud に投資し、Einstein Copilot を使ってオーダーメイドのレコメンデーションを提供しています。たとえば、家族向けのカテゴリーに分類されている場合、Einstein Copilot によって家族向けのアクティビティが 推奨されます。
- Xerox:オフィスおよびプロダクション プリント技術と関連ソリューションのグローバルリーダーであるXeroxは、Data Cloud を使用して、顧客に関する完全で実用的な、信頼できるビューを 1 つにまとめています。Xerox は、インサイトと自動化により、積極的かつスムーズな新たな顧客体験を実現し、クロスセルの収益も促進させています。データを1カ所で活用することで、Xeroxは顧客をより適切にセグメント化し、パーソナライズされた適切なキャンペーンを提供できるようになりました。
Data Cloudを使いこなす
TrailblazerDX では、Salesforce はすべての トレイルブレイザーが Data Cloud を活用できるよう支援し、お客様のジャーニーを支援する包括的なリソース群を提供します。
- 技術リソース: 開発センター(英語)、 開発ガイド(英語)、および Data Cloud の使用に関する詳細情報を提供するドキュメント(英語)。
- Data Cloudコンサルタント認定: 新しい Data Cloud コンサルタント認定の取得方法についてはこちら(英語)。
- 実践的なトレーニング: Trailheadでは、Data Cloudの 実践的な経験を積むためのインタラクティブな課題と学習パスを提供。
- 専門家によるコンサルテーション:Data Cloud のスペシャリストとつながり、個別のガイダンスとサポートを受けられます。
- オープンソース ツール:Calculated Insights、WebSDK、Next Best Actionといった、GitHub リポジトリにあるオープンソース コードの機能を検索すると共に、オープンソースコミュニティに貢献できます。