- Salesforceの生成AI スナップショット調査の最新版「職場におけるAIへの期待と落とし穴(The Promises and Pitfalls of Generative AI at Work)」では、世界中の就業者が会社のポリシーに関係なく、生成AIの利用を進めていることが明らかに
- 生成AIに対する企業の方針やトレーニングは明確に規定されておらず、極めて曖昧だという結果に
- 一方、就業者は自身のキャリアを向上させる上で生成AIが重要だと認識
- 生成AIが拓くキャリアアップの可能性と、ポリシーやトレーニング、明確に定義された方針なしに生成AIを使うことへのリスクとのバランスをどうとるかが課題に
- 本調査からは、企業が生成AIを導入するか否かではなく、どのように効果的、安全、かつ倫理的に導入するかが重要であることが明らかに
生成AIが拓くキャリアアップの可能性
生成AIは、仕事の風景を恒久的に変えつつあります。仕事で生成AIを使ったり、試用している日本の労働者は28%にすぎませんが、そのうちの68%はAIによって生産性が上がったと答えています。
- 日本の就業者の28%は、すでに生成AIを導入済みか、仕事で試用しています。
- 日本のユーザーの61%は、生成AIによって以前より仕事に熱心に取り組めるようになり、68%は生産性が向上したと答えています。
- 日本の就業者の42%は、生成AIに積極的な先進企業に魅力を感じると回答しています。
- 日本の就業者は、仕事で生成AIを使いこなすことで、以下のメリットが得られると回答しています。
- 42% – 仕事の満足度が高まる
- 31% – 生成AIを習得していない人よりも高給が得られる
- 29% – 職場で求められる人材になれる
- 24% – 昇進/キャリアアップにつながる
- 一方で、日本の就業者の3分の1以上(37%)は、生成AIの導入によって雇用市場の競争がさらに激化することを懸念しています。
- また、日本の就業者の37%が、仕事で生成AIを使うことについて遅れをとること、または適応できないことを心配しています。
生成AIの倫理と安全性の落とし穴
本調査によると、日本の就業者は雇用主の方針に関係なく、生成AIツールを試したり使ったりしており、信頼性と安全性に関して潜在的なギャップが生まれています。実際、日本の生成AIユーザーは、ヨーロッパ全域における英国のユーザーよりも、禁止されている生成AIツールを使う割合が高くなっています。
- 日本の生成AIユーザーの58%が、現在、または以前の会社に正式に承認されていない生成AIツールを使用したことがあると回答しています。
- 37%のユーザーは、会社が禁止している生成AIツールを使ったことがあると回答しています。
- 世界の就業者の30%が、自らの地位を確保するために生成AIのスキルを誇張することを考えている一方で、日本のユーザーの57%は、生成AIによって生成されたものを自分がした仕事として偽ったことがあると回答しています。
- 日本の就業者の76%は、生成AIのトレーニングを受けていないか、修了していません。
- 日本の就業者の77%は、生成AIを倫理的に使うためのトレーニングを受けていないか、修了していません。
- 日本の就業者の77%は、生成AIを安全に使うためのトレーニングを受けていないか、修了していません。
職場における生成AIの方針
本調査により、これらの問題は単に厳格なポリシーや全面的な禁止だけではなく、職場での生成AIの使用に関する明確なポリシーが定義されていないことに起因していることが明らかになりました。日本の雇用主は、他国よりも企業方針を明文化しているにもかかわらず、就業者が生成AIを使うことに対する見解は明確ではありません。
- 日本の就業者の89%が、職場においてAIを使用するための明確な方針がないと回答しています。
- 実際、33%は雇用主には何の方針もないと答えています。
- AIに関するポリシーを導入している企業で働く日本の就業者の約10人に4人(39%)が、生成AIを業務で使用することについて、会社には明確な見解がないと答えています。
企業は、安全かつ倫理的で信頼できる生成AIツールに投資する必要があります。企業は、時代を先取りし続け、キャリアアップと信頼を育む適切なテクノロジーに投資し、就業者に安全で倫理的な使用方法を習得するためのトレーニングを提供することが急務です。
- 日本の就業者の64%が、現在、生成AIを職場で使用する上で障壁があると回答しています。
詳細情報
調査方法
Salesforce は、2023年10月18日から31日にかけて、YouGov と共同で、二重匿名化調査を実施しました。本調査はオンラインで行われ、調査対象は、米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スイス、北欧、インド、日本、ブラジル、メキシコ、アラブ首長国連邦の計14カ国における多様な規模・業種の企業を代表する 14,000 人以上の正社員です。