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AI出力の有用性がデータに依存する理由

Einstein Copilot

※本記事は、2023年12月14日に米国で公開された Why Data Is the Difference Between ‘Useful and Useless’ AI Outputの抄訳です。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。


テック業界で10年、SalesforceのAIプロダクトマーケティングチームで6年を過ごしてきたサンジャナ・パルレカー(Sanjna Parulekar)は、最近盛んに飛び交っているAIの話題について、これまでとは何かが違うと感じています。「今日、人々は生成AIを身近に体験することができます。それに伴って、私たちにも『生成AIを自分たちのビジネスにどのように適用したら良いか』といった質問が寄せられます。AIはついに、大きなインパクトを与えるのに十分なほど成熟してきているのです」

パルレカーは、生成AIがいかに強力かを知る一方で、AIによる有用な出力と無用な出力との間には驚くほど微妙な境界線があることを知っています。パルレカーは、その違いはAIが生成した回答が適切なデータに基づいたものであるかどうか、そしてユーザーがそれを信頼できるかどうかにかかっていると説明します。

今回、パルレカーにエンタープライズAIの出力を改善するEinstein Copilotのアップデートや、顧客がすぐに生成AIを立ち上げて実行する際にすぐに使える機能について聞きました。

Q. Einsteinは、私たちの世界No.1 CRM に組み込まれた AI 機能群です。そのEinsteinに今度はCopilotが追加されました。具体的にはどういうことなのでしょうか?

Einstein Copilotは、ChatGPTのような生成AI LLMのパワーをSalesforceに取り入れた対話型AIアシスタントです。お客様の質問に応じて、CopilotはCRMのさまざまなユースケースに対して、文脈に応じたインサイト、アクションプラン、コンテンツを生成します。デジタルストアの構築やカスタムコードの作成、データの可視化、営業担当者への案件成約のための推奨ステップの提供といった、様々なタスクを実行できます。

お客様は、Einstein Copilot内で任意のLLMを選択できるので、ユースケースに応じて異なるモデルを使うことができます。また、Einstein CopilotはすべてのSalesforceのクラウド製品に組み込まれているため、Salesforceテクノロジーを使っているすべての人が、既存の作業プロセスの中で生成AIにアクセスできます。

Q. Einstein Copilotの特徴は?

データなくしてAIは存在しないので、AIとデータ機能を製品に深く組み込むことは非常に重要です。

LLMは、トレーニングされたデータの質を超えることはありません。公開されている生成AIツールに自分のビジネスに関する質問をしてみると、いくつかの問題にぶつかります。まず、公開モデルには企業固有のデータが連携されていないため、パーソナライズされ、正確で有用な出力を提供するためのコンテンツと文脈が欠けています。次に、機密性の高い企業情報が公開モデルに漏洩するのを避けるためには、安全かつセキュアに作業する方法が必要となります。

Einstein Copilotでは、Salesforceに保存された信頼できる企業データを基に構築された、高度で信頼性の高い生成AI機能を利用できます。Salesforce Data Cloudと統合することで、あらゆるソースからのデータを統合して調和させ、既存のSalesforceのプロセスやアプリケーションからのデータやインサイトに基づいてアクションをとれるようになります。Einstein CopilotとData Cloudを使うことで、顧客データ、遠隔測定データ、Slackの会話、その他の構造化及び非構造化データなど、すべてのデータにアクセスし、AIの出力を可能な限り意味のあるものにできます。

例えるならば、ある分野の専門家、査読付き論文、書籍など、すべての適切な情報源にアクセスして論文を書くようなものです。

Q. Einstein Copilotは、Einstein 1 PlatformにおけるSalesforceのデータとAI機能をどのように構築しているのですか?

新しいテクノロジーが業界を席巻するたび、私たちは、お客様がそのテクノロジーを Salesforce内で最大限に活用できるようプラットフォームを更新してきました。

今年は、Einstein 1 PlatformにData Cloudを追加しました。これによって、お客様は様々なシステムから大量のデータを接続でき、Salesforceの外(Google Cloud、Amazon、Snowflakeなど)から送られてくるデータを、拡張されたメタデータフレームワークを使ってカスタマイズすることができます。Data Cloud を当社のプラットフォームに深く組み込むことで、セールス、サービス、コマース、およびマーケティングなどの幅広いユースケースに対応し、Einstein Copilot の機能を強化しています。

以前、予測AI機能のSalesforce Einsteinを開発した際、Salesforce内にAIエンジンを立ちあげ、あらゆるユースケースにおいてAIを構築、導入できるようにしました。追加されたEinstein Copilotによって、お客様は予測AIと生成AIを導入し、ビジネスに関する十分な情報に基づいた正確な意思決定を行う競争力を得ることができます。

Q. 信頼はSalesforceの最も大切なコアバリューであり、すべての製品がこの価値観を元に作られています。Einstein Trust Layerは、どのように顧客データを安全かつセキュアに保ちますか?

Einstein Trust Layer は、Einstein 1 Platformインフラストラクチャのコンポーネントの一つで、お客様に生成AIツールを安全に提供するためのものです。サードパーティのLLMプロバイダーが企業データを保持することを防ぎ、個人を特定できる情報(PII)と支払いデータにはデータマスキングを使用してデータプライバシーを強化しています。また、生成AIモデルによって作成された出力を評価するために有害性スコアを組み込み、暴力的、冒涜的、または憎悪的なコンテンツにフラグを付けます。

Salesforceはまた、人間が関与することの重要性も信じています。結局のところ、生成AIは私たちの仕事をより良くするためのツールであり、私たちにスーパーパワー(隣にいつも座っている親切な同僚)を与えてくれます。

生成AIは私たちの仕事をより良くするためのツールであり、隣にいつも座っている親切な同僚というスーパーパワーを私たちに与えてくれます。

Q. Salesforceは、新しい非構造化データ機能とEinstein AI Searchを発表しました。これらの機能はEinstein Copilotをどのように向上させますか?

これらの機能強化は最終的に、Einstein Copilotにより多くの文脈を与えます。Einstein Copilotのデータ理解と処理能力を向上させ、より複雑なユーザークエリを理解するのに役立ちます。

これらをすべて可能にしているのがベクトルデータベースと呼ばれるものです。これは、通話メモやPDFのような非構造化データを、ベクトル埋め込みと呼ばれる数値表現に変換するもので、これにより、AIシステムがデータを処理し、クエリと照らし合わせて、有用な回答を返すことが容易になります。

企業データの90%もが非構造化形式のデータに閉じ込められていることを考えると、これは非常に重要なことです。Data Cloudにベクトルデータベースをネイティブに組み込んだのもこれが理由です。Data Cloudは、初めて非構造化データを処理できるようになり、Einstein Copilotはそのデータを取得し、お客様はSalesforce上でそのデータを利用できるようになります。

Einstein Copilot Searchも同様に、ベクトル埋め込み表現を使って、プロンプトや検索の背後にある文脈を理解します。例えば、顧客が「最近引っ越したので、クレジットカードに紐づく住所を変更するにはどうしたらよいか?」と尋ねてきたとします。この質問はベクトルに変換され、ナレッジ記事のような企業のデータからのインデックス付きのベクトルと比較されます。これらのベクトルは数字のため、そのデータが顧客の質問にどの程度関連しているかについては機械学習を使って理解することができます。「クレジットカード」が含まれるすべてのデータを取得するキーワード検索のみを使用する代わりに、Einstein Copilot Searchは、セマンティック検索を使用して、これが支払いに関するクエリであることを理解し、その質問に最も関連性の高い情報を正確に取得することができます。

Q. お客様が、Einstein Copilotを使い始めるのに最も簡単な方法は?

生成AIは、大量の情報を消費して検索し、そこから新しいコンテンツを素早く生成するのが得意です。

たとえば営業の場合を考えてみましょう。Einstein Copilotを使用すれば、特定の顧客へのメールを、より迅速かつパーソナライズされたものにカスタマイズすることができます。Einstein Copilotは、顧客との対話履歴、購入した製品、今後のマーケティングイベントなどを考慮し、その顧客に関連性が高いメールを作成します。これにより、営業担当者はメールのカスタマイズに過剰な時間を費やすことなく、関係構築と営業活動に集中できるようになります。

ではカスタマーサービスの場合はどうでしょうか。多くの企業では、サービス担当者が顧客の質問に答えるために利用するナレッジ記事のデータベースを持っています。正しい情報を見つけるのには時間がかかり、特に顧客が不満を感じているときには時間は貴重です。今はサービス担当者が Einstein Copilot に問い合わせケースや製品についてヘルプを求めることができるようになり、Einstein Copilot は情報を取得し、ケースを解決するためのアクションプランをエージェントに提供することができます。これにより、サービス担当者はより迅速で効果的に顧客サービスを提供し、全体的な顧客満足度を高めることができるようになります。

詳細情報 

  • Salesforceの新しい非構造化データおよび検索機能についてはこちら
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