※本記事は、米国で公開された More than Half of Generative AI Adopters Use Unapproved Tools at Workの抄訳です。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
概要
- Salesforce は、14 か国、 14,000 人を超える世界の就業者を対象に、生成 AI スナップショット調査 「仕事で使うAIへの期待と落とし穴(The Promises and Pitfalls of AI at Work)」を実施しました。この調査では、従業員と雇用主が生成AIの可能性に期待をかける一方で、その使用に関して明確に定義されたポリシーが欠如していることで、ビジネスを危険にさらしている可能性があることが明らかになりました。
米国やEUを含む世界中の政府がリスクを軽減し、AIの責任ある利用に取り組むための明確かつ協調的な行動をとる一方、企業がAIの利用に関する明確なポリシーを導入しておらず、これに追随していないことがわかりました。
14 カ国、 14,000 人以上の就業者を対象とした最新の調査結果では、職場における生成 AIユーザーの多くが、雇用主によるトレーニング、指導、承認なしにこのテクノロジーを利用していることが明らかになりました。就業者は、自身がキャリアアップをする上で生成 AI がいかに重要であるかを認識しており、企業はこのテクノロジーに対応し、責任を持って使用されることを担保するために、明確で信頼できるガイドラインを策定する必要があります。
生成 AI ツールは管理されることなく職場に浸透
現在、就業者の 4 分の 1 以上(28%)が職場で生成 AI を使っており、半数以上は雇用主の正式な承認を得ずに使用しています。さらに 32% が、近いうちに仕事で生成 AI を使用すると予想しており、管理の有無にかかわらず、このテクノロジーの普及が今後も続くことは明らかです。
職場におけるユーザーは、生成 AI の倫理的かつ安全な使用とは、会社が承認したプログラムを採用することを意味すると認識しながら、職場で未承認の生成 AI ツールを利用しています。
また、ユーザーは、生成 AI を使う際、倫理的に問題のある行動もとっています。たとえば、生成AIによって生成されたものを自分がした仕事として偽ったり、AIテクノロジーの使用スキルを誇張したりすることなどです。
- 就業者の64% が生成AIによって生成されたものを自分がした仕事として偽っています。
- 就業者の 41% は、仕事の機会を確保するために自分の生成 AI のスキルを誇張するだろうと答えています。
この責任はすべて就業者自身にあるわけではありません。世界の就業者の 10 人中 7 人近くは、職場で安全かつ倫理的に生成 AI を使うためのトレーニングを一度も修了したことがないか、もしくは、受けたこともありません。
世界の就業者は職場における生成 AI ポリシーが曖昧、または存在しないと報告
世界の就業者はトレーニングの不足を指摘しているだけでなく、雇用主の生成 AI ポリシーが明確に定義されていないか、もしくは存在しないと答えています。
特定の業界は他の業界よりも遅れをとっており、たとえば、世界の医療業界で働く就業者の 87% が、自社には明確なポリシーが欠如していると答えています。同業界を含めその他の業界でも機密データが大量に扱われているため、責任ある使用に関する従業員のスキルアップが急務となっています。
実際、世界の就業者の 10 人に 4 人近く(39%)が、職場での生成型 AI の使用について雇用主の見解が明確ではないと回答しています。
生成 AI の利点を活かすには、企業は責任ある使用について従業員を指導する必要がある
職場で生成 AI を使用するかどうかに関係なく、就業者はこのテクノロジーが自分のキャリアに与える影響を認識しています。就業者のほぼ半数(47%)が、生成 AI を習得すれば職場でより求められる人材になると考えており、半数以上(1%)は、そうすることで仕事の満足度が高まると考えています。また、44% はこのテクノロジーを習得していない人よりも高給が得られるだろうと答えています。
また、ユーザーはAIテクノロジーを使用することにより、生産性が向上し、エンゲージメントが向上したとも述べています。
そして、調査対象となった世界の就業者の半数が、生成 AI を使用しているかどうかに関係なく、生成 AI を習得すると次の結果が得られると信じています。
- 仕事の満足度の向上(51%)
- 職場で求められる人材になれる (47%)
- テクノロジーを習得していない人よりも高給が得られる (44%)
明確なガイドラインがあれば、従業員は AI のリスクを理解し、対処することができると同時に、AI のイノベーションを生かしてキャリアを強化することができます。
Salesforce 倫理的および人道的利用最高責任者、ポーラ・ゴールドマン(Paula Goldeman)
Salesforce で倫理的および人道利用最高責任者を務めるポーラ・ゴールドマン(Paula Goldman)は、次のように述べています。「AI の可能性を最大限に発揮するには、テクノロジーそのものだけでなく、そのテクノロジーを使用する従業員にも投資することが重要です。明確なガイドラインがあれば、従業員は AI のリスクを理解し、対処できると同時に、AI のイノベーションを生かしてキャリアを強化することができます」
詳細情報
- 2024年:生成AIスナップショット調査「職場におけるAIへの期待と落とし穴」の日本の調査結果はこちら。
- Salesforceの倫理的な生成AIの開発方法については、こちら。
- Salesforce のデータ&アナリティクス最新事情はこちら(英語)。
調査方法
Salesforce は、2023年10月18日から31日にかけて、YouGov と共同で、二重匿名化調査を実施しました。本調査はオンラインで行われ、調査対象は、米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スイス、北欧、インド、日本、ブラジル、メキシコ、アラブ首長国連邦の計14カ国における多様な規模・業種の企業を代表する 14,000 人以上の正社員です。