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AI導入におけるバランスの難しさ:スピードを求める経営幹部とセキュリティ確保を重視するITチーム

※本記事は2024年3月6日に米国で公開されたAI Balancing Act: Leaders Want Speed, IT Wants Securityの抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。


600人のITプロフェッショナルを対象に最近実施した調査から、経営幹部が新たな指示を出していることが分かりました。それは「生成AIをなるべく早くテクノロジースタックへ統合しましょう」というものです。それに対し、ITチームはリソース、データのセキュリティや品質への懸念を示し、統合を先送りしようとしています。調査では、ITプロフェッショナルの5人に3人近くが「新しいテクノロジーを導入する際のスピードと俊敏性に対するステークホルダーの期待は理不尽なほど高い」と回答しました。事実、「社内で押し寄せるAI関連の要求に対応することは不可能」と回答するITプロフェッショナルは88%に及んでいます。

重要な理由:生成AIの登場に伴い、私たちは生産性と効率性の変革期を迎えています。企業では生産性が向上しつつあり、経営幹部はその恩恵にあずかりたいと考えています。企業は早急に生成AIを導入して競合の一歩先を行こうとしていますが、適切なインフラストラクチャ、リソース、パートナーがなければ、投資の効果は減少しかねません。ITチームは経営幹部と協力し、データのセキュリティと品質を損なわない形で迅速に生成AIを統合する方法を模索する必要があります。

当然ながら、経営幹部はAI導入から恩恵を受けようと躍起になっています。その大きな部分を占めているのが、生産性向上に対する期待です。

Salesforce エグゼクティブバイスプレジデント兼CIO フアン・ペレス(Juan Prez)

Salesforceの視点:「当然ながら、経営幹部はAI導入から恩恵を受けようと躍起になっています。その大きな部分を占めているのが、生産性向上に対する期待です。CIOとITチームの選択肢は2つあります。尻込みしている間にAIを活用する時機を逸し競合他社に後れを取るか、他社に先駆けて社会的責任と持続性に配慮した信頼できるAI導入のあり方を見直すかのどちらかです」– Salesforce エグゼクティブバイスプレジデント 兼 CIO フアン・ペレス(Juan Perez)

Salesforce Researchの調査結果:

生成AIの早期導入に向けたプレッシャーが高まる中、ITは苦境に立たされている

調査に回答したITプロフェッショナルの大半(87%)が「生成AIは、今のところ前評判以上の成果を達成している」と考えています。そこで、ITチームは生成AIの早期導入を課せられています。 

ITチームが最も早期導入のプレッシャーを感じているのは、生成AI

AIニーズが高まる中、ITチームは最前線に立たされています。

  • ITプロフェッショナルの10人に9人が、生成AIの登場でテクノロジー戦略の変更を余儀なくされ、新しいテクノロジーの導入と利用方法に関するチームの考え方が変化したと回答。
  • ITプロフェッショナルの86%が、生成AIの導入以降、自分の仕事の重要性が高まったと回答。
  • ITプロフェッショナルの68%が、経営幹部から生成AIのエキスパートになることを期待されていると回答。 
ITチームの懸念は「経営幹部がセキュリティやデータ品質よりもスピードを重視していること」

調査によると、ITチームは「生成AIの早期導入に向けてもっとも影響力が強いのは経営幹部」と回答しています。経営幹部とITチームの優先事項の違いに関する質問に対して、ITプロフェッショナルは「経営幹部がスピードを重視しているのに対し、自分たちはデータのセキュリティと品質を重視している」と回答しています‌。

Salesforceが発表した「接続性ベンチマークレポート」には「95%以上のITリーダーはインテグレーションに関する課題がAI導入を妨げている」と書かれており、ITチームがデータについて抱えている具体的な懸念が示されています。

さまざまな優先順位がある中で、ITプロフェッショナルの半数近く(48%)が「新しいテクノロジーの導入時はスピード、ビジネス価値、セキュリティのバランスを取るのに苦慮している」と回答しています。 

 

ITチームが直面するAI導入の課題は、リスクを伴う早期導入

早期導入のプレッシャーが高まる中、IT部門ではAIをはじめとする新しいテクノロジーを導入するための予算とリソースをいかに効果的に確保するかという懸念が強まっています。 

  • ITチームが抱えるAIの課題トップ5
    • 従業員におけるAIスキルの欠如 
    • データセキュリティ
    • データ品質
    • AIの導入で他の取り組みが遅延
    • プログラミングやツールのコストが上昇

さらに、ITプロフェッショナルのほぼ3分の1(31%)がAIモデルやアルゴリズムの実装とトレーニングに費やす時間がないと回答しており、半数近くがインフラが需要に追いついていないと考えています。

  • 48%は、組織のセキュリティインフラがイノベーションの需要に追いついていないことを懸念。
  • 45%は、組織のデータ管理インフラがイノベーションの需要に追いついていないことを懸念。

「先駆的な取り組みを行う準備が整っているなら、検索拡張生成(RAG)などのアプローチがお勧めです。データを安全かつセキュアに保ちながらLLMのトレーニングにかかるコストを削減し、AIを活用したソリューションによって本格稼働への時間を短縮できるというメリットがあります」とペレスは締めくくっています。

さらに詳しく知る

  • Einstein Copilotの詳細、信頼できるAI応答の提供については、こちら
  • Slack Workforce Labの最新調査で明らかになった職場におけるAI利用はこちら、MuleSoftが最近の『2024版 接続性ベンチマークレポート』から得られたインサイトは、こちら
  • AI導入前にやっておくべきデータセキュリティ確保の手順は、こちら(英語)。

SalesforceはVanson Bourne社と協力し、オーストラリア、フランス、ドイツ、英国、米国のITプロフェッショナル600人(うちITリーダー200人、ITチームメンバー400人)を対象に二重盲検法による調査を実施しました。本調査は2023年12月と2024年1月に実施しました。