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Agentforceの内側:職場を一変させるAIエージェントの構築

※本記事は2024年9月12日に米国で公開されたInside Agentforce: Creating AI Agents That Will Change Everything at Workの抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。


概要:Salesforceは、AI革命の第3の波を起こし、企業が全社に人間の労働者とともにAIエージェントを配備できるようにサポートしています。これらカスタマイズ可能なAIエージェントは人と共に働くことにより、アクションやタスクを自律的に実行し、人間の労働者の時間を解放します。人は人にしかできない仕事に集中できるようにすることができます。

車を運転する時は、どの運転手もハンドルを握り続ける必要があると認識しています。しかし、車がスマートになるにつれて、自律的な車の運転手は、徐々に、用心して、恐る恐るではありますが、車に運転を任せ始めています。

企業は自律的な 人工知能(AI)に向かっていると、Salesforce AIのCEOであるクララ・シャイ(Clara Shih)は言います。自律的なAIエージェント、つまり人が介入しなくてもアクションを起こすことができる高度なデジタル従業員の台頭によって、変化が起き始めています。 

シャイは次のように述べています。「自動運転の世界では、さまざまなサポートが得られます。たとえば、レベル0ではサポートは得られません。レベル1では少しサポートが得られます。レベル5ではフルサポートまたは自律性が得られます。企業の自律的なAIについてもまったく同じように考えることができます」

自律化の波

AI革命にはいくつかの波があります。第1の波は、AIモデルがパターンや履歴データにもとづいて将来を予測する予測AIです。たとえば予測AIは、エンゲージメント履歴にもとづいて営業担当者が見込み顧客に次に取るべきベストアクションを提示できます。そうしたテクノロジーは、契約者の視聴習慣をモニタリングして、契約者が好むであろうコンテンツを勧めるストリーミングサービスでも一般的になっています。

第2の波は生成AIです。大規模言語モデル(LLM)によって、人間らしいテキストの理解と生成が可能な生成AIモデルでは、マーケティングコピーから、キャンペーンイメージ、営業メール、カスタマーサービスに至るまで、あらゆる新しいコンテンツを作成できます。この波は、ChatGPTのような一般消費者むけボットの開発につながりました。一般消費者むけ ボットでは本質的にタスクは自動化されていますが、依然としてプロンプトを通じて人が入力する必要があります。

そして今、私たちは第3の波に入りつつあります。これは自律的なAIエージェントエージェント型システムが、アクションを勧めるだけでなく、多面的なプロジェクトに対処し、人が全段階を監視する必要がないというものです。 

AIエージェントは、システムに明示的にプログラムされた特定のクエリのみに対処し、状況やニュアンスを理解しない従来のチャットボットとは異なり、インテリジェントで動的です。たとえばSalesforceは、Salesforce Platform上に構築された一連の自律的なAIエージェントをリリースしています。これは、顧客のメッセージ、これまでのやり取り、嗜好といったコンテキスト全体を分析することで、LLMとやり取りして次に取るべきアクションを自律的に決定します。この自律的なAIエージェントは生成AIを活用し、Data Cloudを通じて企業独自のビジネスデータやメタデータにもとづく対話型の応答を作成し、問い合わせに対して関連性の高い、コンテキストに即した、対話型の応答を提供します。さらに、企業がSalesforceで定義する明確なガードレールの範囲内でプロアクティブにタスクを実行します。 

「コンテンツの生成と分析から、アクションの自動化へと進んでいます」

Salesforce AI、CEO、クララ・シャイ

「コンテンツの生成と分析から、アクションの自動化へと進んでいます」とシャイは言います。「生成フェーズでは、Copilotに自分の代わりに顧客にメールを書くように指示できます。AIエージェントフェーズでは、『お客様に何をするべきか』といったもっと難しい質問ができます。メールの送信かもしれませんし、電話かもしれませんし、テキストメッセージの送信かもしれません。それこそまさにAIエージェントの機能です。つまり、AIエージェントは高次の質問を受けて、それを一連のステップに分解し、そうしたステップを実行することができます」

AIエージェントとの連携による影響 

こうした生成AIからエージェント型AIへの飛躍が人の働き方を一変させると、倫理的および人道的利用最高責任者であるポーラ・ゴールドマン(Paula Goldman)は言います。 

「私たちは、AIの機能がますます高度化し、コンテンツを作成できるだけでなく、アクションを実行できるようになっていく瀬戸際にいます。それは私たちの働き方の潮目でもあります。私たちの仕事をより楽しく、クリエイティブで、生産的にするチャンスが無限に広がっています」

ゴールドマンが、人間とAIのパートナーシップが不可欠な理由を説明します。

では、どのように変わるのでしょうか?Salesforce Futures担当バイスプレジデントであるミック・コスティガン(Mick Costigan)は、AIエージェントと連携することは、高度なツールボックスを備えることと同義になると言います。Salesforce Futuresはチームで、テクノロジーがビジネスと世界をどのように形成していくかを調査研究しています。

「通常はアクセスできない強力なツールセットにアクセスできるようになり、現在、多くの時間を費やしているのにあまり価値を生み出していない日常的なタスクを自動化できると考えてください」とコスティガンは言います。

だからこそ、AIエージェントを作成し、カスタマイズできるSalesforceツールセットを具備し、すぐに導入可能なAIエージェントも備えたAgentforceが、大きな効果を発揮するのです。

営業やサービスの担当者は、他部門に先駆けてAIエージェントをチームに試験的に導入できます。Salesforceは2つのAI Sales Agentを発表しました。インバウンドリードに自律的に働きかけることができるAgentforce Sales Development Rep(SDR)と、営業担当者がさまざまな営業シナリオのロールプレイをしてスキルをレベルアップできるAgentforce Sales Coachです。 Salesforceは7月に、セルフサービスポータルとメッセージングチャネルを通じて24時間年中無休で顧客をサポートするAgentforce Service Agentもリリースしました。このエージェントによって人間の労働者は、顧客との関係構築など、より戦略的な優先事項に集中することができます。

AIエージェントが基本的な質問を引き受けることで、コンタクトセンターの担当者は顧客とパーソナルにつながり、関係を構築し、カスタマージャーニーにおいてより大きな役割を果たすことに時間を割けるようにします

Salesforce AI、CEO、クララ・シャイ
シャイが、エージェントが職場をどのように一変させるか説明します。

ゴールドマンは、人とAIエージェントの競合ではなく、いかに連携するかが大切だと述べています。 

「職場でのAIエージェントの役割を、人とAIのパートナーシップとして考えることが非常に重要です。人とAIであって、人対AIではありません。それは、こうした補完関係にあるスキルとインテリジェンスを確保して、さらに大きなビジネス成果をあげる手段です」

「ユーザーのこれまでの判断や好みから学習して、有益な提案や判断をするAIエージェントを想像してみてください」と、Salesforce AIのシニアAIリサーチマネージャーであるシェルビー・ハイネッケ(Shelby Heinecke)は言います。 

ハイネッケが、パーソナライズされたAIエージェントの未来について説明します。

Salesforce Platform上に構築されたAIエージェント

こうしたAIエージェントの独自性はSalesforce Platformにあります。Salesforceの顧客は20年以上にわたってこのプラットフォームを使用してアプリケーションをカスタマイズし、拡張してきました。Flowでワークフローを作成し、Apexコードを書いて複雑なロジックを作成し、最近では生成AIを実行するプロンプトを構築してきました。現在、こうした個々のプラットフォーム要素が、AIエージェントの構成要素にもなっています。 

Salesforce Agent Builderでは、こうした構成要素を使用して、顧客がローコードでAIエージェントを作成し、カスタマイズすることができます。こうした要素は、「注文管理」のような新しいトピックを追加し、「返信メールを生成する」のようなトピックアクションを提供することによって、AIエージェントに新しい機能を提供します。 

シャイは次のように言います。「私たちは、サービスに関する返信から顧客企業のサマリ要約に至るまで、これまで100以上のすぐに使用できる自律的なAIのユースケースを作成してきました。お客様はこうしたユースケースを選択して、最後の10%をノーコードでカスタマイズして独自のユースケースにして、数か月や数年ではなく数週間で導入できるため、お客様から大変好評です」

ボンバルディア、ヒースロー空港、ウィンダムホテルズなどがすでにSalesforceを活用してAIの投資効果を最大限引き出しており、OpenTableなどの企業がAgentforceの導入に取り組んでいます。

安全かつセキュアにAIエージェントを導入する方法

多くの企業がAIを積極的に試験導入しているにも関わらず、依然として安全な導入方法について懸念しています。SalesforceのAI-IT Demand Gapレポートによると、実際に、ITリーダーはセキュリティをAI導入時の最上位の懸念事項とみなしています。

ゴールドマンは次のように言います。「AIに関する最上位の懸念事項はデータの保全だとお客様から聞いています。ITリーダーはデータの安全性を常に確保し、データがサードパーティモデルのトレーニングに使用されていないかどうかを確実に把握し、データを確実に自社のコントロール下に置きたい、AIのアウトプットを確実に信頼できるようにしたいと考えています」

そのためにもSalesforceは、企業がニーズに最も適したAIモデルを見つけられるように、またはAIアクションを構築できるようにサポートするだけでなく、責任を持ってそうしたことを実行できるようにインフラストラクチャとデータのセキュリティを提供しています。Einstein Trust Layerは、AIエージェントが従うべき明確なパラメーターやガードレールを定義することで、AIエージェントが企業データを危険にさらすことなく、信頼性の高い方法でデータとAIを使用できるようにします。  

シャイは次のように言います。「これが企業で使用されている消費者向けのAIとは大きく異なっている点です。データセキュリティ、データプライバシー、企業ポリシーがあり、さまざま人がさまざまなデータやさまざまなワークフローにアクセスします。Salesforceで企業はそうしたガードレールを簡単に指定して、さまざまなタイプのAIエージェントにとって何が規定内で何が規定外かを特定できます。そして、そのAIエージェントが期待通りに動作しているかを簡単に監視し、監査できます」

「AIエージェントは非常に効果的です。AIエージェントにはガードレールが必要です。監視して、すべきことをしているか確認する必要があります」

人とAIエージェントの次のステップ 

AIエージェントはまだ初期段階にありますが、コスティガンは、従業員だけがAIエージェントとやり取りするのではなく、AIエージェント同士が相互にやり取りしてさらに大幅な効率化を推進する未来を予測(英語)しています。 

「現時点で、AIは既存のプロセスにごくわずかな生産性向上しかもたらしていませんが、ゆくゆくは仕事を本当に一変させるようになると私たちは予測しています。私たちは今後、AIエージェントに相互監視させるようになるでしょう。複数のAIエージェントをネットワーク上で稼働させて、1つのAIエージェントに別のAIエージェントのアクションをチェックさせて成果を高める初期研究がすでに行われています」

コスティガンが、企業はAIの未来にどのように備えるべきかアドバイスをシェアします。

最終的な成果は何でしょう?皮肉なことに、それは人間らしさだとコスティガンは言います。

「人とAIの連携によって、人にとって本当に重要なことを向上することができます。それはつまるところ人間関係です」

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