Salesforce、「Data Cloudベクトルデータベース」の提供開始を発表
組織は非構造化データと生成AIの力により意思決定と顧客インサイトの向上が可能に
※本資料は2024年6月6日に米国で発表されたSalesforce Announces General Availability of Data Cloud Vector Database, Giving Organizations the Power of Unstructured Data and Generative AI to Improve Decision Making and Customer Insights の抄訳です。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
米国セールスフォース(以下、 Salesforce)は、Data Cloudベクトルデータベースの提供を開始すると発表しました。PDFやメール、トランスクリプト、その他の非構造化形式に格納された90%の顧客データを統合し、その力を解放して活用することが可能となります。
Data Cloudにより、企業は、これまで活用できなかった顧客情報を価値あるインサイトへと変えることができます。企業は、通話記録、顧客からの口コミやサポートチケットなどの非構造化データソースから一人ひとりの顧客プロファイルを直接分析して、高価で手間のかかるソリューションに頼ることなく、顧客のニーズや嗜好をより深く理解できます。これらの強化された顧客プロファイルにより、チームとAIは膨大な量のデータを検索して、営業、カスタマーサービス、マーケティング、コマースの体験を強化するためのインサイトを取得できます。例えば、これらの知識を活用して、プロアクティブなカスタマーサポートの提供や、より迅速な営業チームの提案の推進、より戦略的なマーケティングキャンペーンの実行が可能となります。
Data Cloudは、非構造化データと構造化データをリンクすることで、Einstein 1 Platform のSalesforceのメタデータの力を独自に活用します。この統合されたデータの力により、アナリストはTableauで探索や可視化、開発者はSalesforce Flowによる自動化の作成、ビジネスユーザーは生成AIのプロンプトのグラウンディングができます。また、大規模言語モデル(LLM)をファインチューニングする必要性を減らすと同時に、Salesforceの企業向け対話型AIアシスタントであるEinstein Copilotが提供する結果の精度を向上させます。
より詳細な情報:
Einstein 1 Platformに統合されたData Cloudベクトルデータベースは、非構造化データを取り込み、保存、統合、インデックスを作成、セマンティックなクエリを実行することで、あらゆるアプリケーションのナレッジを活用します。
Data Cloudは、ウェブサイト、ソーシャルメディアプラットフォーム、コマースチャネルなど、複数の接点にわたる顧客とのやり取りから、構造化されていない異なる種類のコンテンツを大規模に取り込むことができます。また、生成AIの能力を活用して、ベクトルデータベースにインデックス化された非構造化データの埋め込みを作成します。さらに、企業は関連する構造化属性を含めることを選択し、ベクトルデータベースにセマンティックに問い合わせることができます。この強化されたデータ検索機能により、プロンプトとCopilotは、より適切で正確な最新の回答を提供できるようになります。
パイプラインの構築と営業活動の高速化:Data Cloudベクトルデータベースを活用することで、顧客は次のような新しいセールスおよびサービスの機会を発見できます:
- 見込み顧客獲得の改善: 営業チームは、顧客のニーズに合わせた提案商談づくり、パーソナライズされた営業計画の立案、解約リスクのある顧客を先回りして特定したいと考えています。しかし、Salesforce上で利用可能な履歴データに基づく従来のリードと商談のスコアリングでは、見込み顧客の完全な把握は不十分でした。Data Cloudベクトルデータベースでは、顧客と製品の適合性、過去の購入履歴、取引先スコア、サポートとのやり取り、使用パターン、オンライン上のやり取りなどがスコアリング要素に含まれます。リードの質が向上し、営業チームは最も機会のある商談に集中することができます。
- 営業のRFPへの迅速な対応: 営業チームは、Einstein Copilot を使用して、見込み顧客の提案依頼書 (RFP) への回答を作成し、期限内に潜在的な取引を獲得したいと考えています。しかし、現在の推奨事項では、ベンダーのドキュメントに存在するベンダーの機能を考慮していません。Data Cloudベクトルデータベースを活用することで、Einstein Copilot は過去のRFP や、ナレッジ記事やホワイトペーパーにあるその他のベンダーのデータを利用し、ベンダーの強みを示す正確な回答を提供できます。
- パーソナライズ性の高いアプローチ: 営業チームは、パーソナライズされた営業アプローチを作成したいと考えています。しかし、顧客向けのメールを作成する際に、全社的な顧客とのやり取りや行動は十分に考慮されていませんでした。Einstein Copilot は、Data Cloudベクトルデータベースを利用し、ナレッジ記事やPDF、取引先履歴、その他の非構造化データを使用して、顧客ごとにパーソナライズされたメールを作成し、成約の可能性を高めます。
サービスとサポートの強化:
- 顧客エンゲージメントのパーソナライズ: サービスチームは、顧客の好みを把握し、ニーズを予測し、ニーズに合ったサービスを提供することに努めています。しかし、現在の顧客プロファイルには通常、名前や取引先の詳細、過去の問合せなどの基本的な詳細しか含まれていません。Data Cloudベクトルデータベースを活用することで、顧客プロファイルは行動データ、嗜好、購入履歴で強化され、サービスチームは顧客に特別にパーソナライズされたケアを提供できるようになります。
- ナレッジの効率的な管理: カスタマーサービスのオペレーターやボットは、顧客のリクエストに対して、より迅速でパーソナライズされた応答を提供する必要があります。しかし、オペレーターやボットの時間の多くは、適切なソリューションを見つけるために適切なナレッジ記事を検索することに費やされます。一方、Data Cloudベクトルデータベースは、コンテキスト、ナレッジと問合せ間の関連性、顧客履歴を理解し、オペレーターやボットが最も関連性の高いトラブルシューティングのヒントを迅速かつ正確に見つけることを可能にします。
- クロスセルとアップセルの推奨の改善: 多くのサービスチームは、既存顧客に合わせた製品提案を行うことで、顧客との関係を強化し、収益を上げたいと考えています。しかし、現在の製品提案は、顧客のニーズや好みを見落としていることがよくあります。Data Cloudベクトルデータベースにより、顧客の嗜好やウェブサイトでのやり取り、ソーシャルメディアへの参加、注文履歴に基づいて、AIが担当者にインテリジェントなクロスセルおよびアップセル製品の提案を行うことを可能にします。
- 問題のプロアクティブな解決: サービスチームは、重大な問題に発展する前に潜在的な問題を特定しようとします。しかし、新たな問題や機器の故障、その他の障害の発生を示すパターンを常に見つけられるとは限りません。Data Cloudベクトルデータベースにより、年齢や使用状況、修理履歴などの詳細を考慮に入れて、アセットのヘルススコアを計算し、自動的にサービス予約を計画し、問題を発見し、修正し、老朽化したアセットにアップグレードを推奨するように動作することで、機器や資産をプロアクティブに管理できます。
Unlock trapped data with Data Cloud
Salesforceの視点:
Salesforceのユニファイドデータサービス&Einstein担当EVP兼GM、ラウール・アウラドカーは次のように述べています。
「ビジネスユーザーは初めて、これまで構造化されておらず企業内で利用されていなかった90%の未利用データをワークフローに取り込むことができます。Data Cloudの新機能により、企業はサービスや営業、マーケティング、AI、自動化、アナリティクスに渡るイノベーティブで統合された顧客体験を提供することで、コスト効率よく成長できるようになります」
関連ニュース :
Salesforceは、Data Cloudベクトルデータベースの一般提供開始に加え、AIとData Cloudからさらなる価値を引き出すための新機能を発表しました。
- 現在パイロット中のHybrid searchは、セマンティック検索と従来のキーワード検索を組み合わせることで、さらに高い検索精度を提供します。Hybrid searchは、意味的な類似性とコンテキストを理解しながら、企業固有の単語や概念も認識することで、情報発見を向上させ、構造化および非構造化データの大規模なデータベースから、より適切でカスタマイズされた検索結果を提供することができます。
- Data Cloud in Sandbox Environments は、2024年6月末にオープンベータ版として提供され、IT チームは導入前に既存の Salesforce Sandbox内でData Cloudのイノベーションを構成してテストすることができます。データストリーム、計算済みインサイト、ゼロコピー連携、検索インデックスを含むData Cloudのすべてのメタデータは、既存の Salesforce 構成とワークフローに対してカスタマイズできます。さらに、Salesforce DevOps Centerは7月からベータ版としてData Cloudをサポートし、既存のアプリケーションライフサイクル管理プロセスに統合します。