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※本記事は、2024年4月15日に米国で公開された How Data, Trust, and Contextual UX Deliver AI Success の抄訳です。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。


AI(人工知能)は、私たちが生きている間に目にする最も有望な破壊的技術であり、営業やサービス、マーケティング、財務、法務、人事に至るまで、企業経営のあらゆる側面に大きな影響を与えるでしょう。グローバル企業の AIへの 投資は、2025 年までに 2,000 億ドルに達すると見込まれており、昨年(2023年)から生成 AI は驚くべき進歩を遂げていますが、その一方で、多くの企業リーダーから、生成AIはパイロット版から本格的な運用への移行と価値の実現に至るまでの方法がいまだ明確になっていないという声を聞いています。

Salesforce がこのほど実施した「あなたのデータ、あなたのAI(Your Data, Your AI)」調査によると、調査対象となった従業員の 4 分の 3 が、AI の信頼構築には精度が高く、完全かつ安全なデータが不可欠であると考えている一方、半数以上が今日のAI システムのトレーニングに使用されているデータを信頼していません。また、世界中の AI ユーザーの 60% 近くが、AI からは望むものを得ることが難しいと感じていることがわかりました。

しかしながら朗報は、アーリーアダプターとの協力により、AI の成功に必要な3 つの要素である、データ基盤、AI トラストレイヤー、コンテキストに応じた UX ワークフローを構築できたことです。AAAADPTurtle Bayといった業界や地域を超えた企業がこれらを合わせて採用することで、大規模なエンタープライズ組織における導入を実現し、AI の自動化、パーソナライゼーション、パフォーマンス最適化によって、営業生産性の向上、より迅速な顧客サービスの改善、さらにコンバージョン率の高いマーケティング キャンペーンといった、目に見える成果を上げています。

優れた AI は優れたデータに依存する

まず、AI が宣伝文句に恥じない最高品質の結果を出し、具体的なビジネスの価値を提供するためには、大規模言語モデル (LLM)  が、顧客データ、IoT、テレメトリ データなどの信頼できる企業データよってグラウンディング(言語モデルの生成内容を裏付けるプロセス)されている必要があります。残念ながら、今日の企業データのほとんどは、さまざまなクラウドやオンプレミスのアプリケーション、データベース、データウェアハウス、データレイクなど、切り離されたサイロに閉じ込められています。このため、全社的なデジタルトランスフォーメーション(DX)達成やその価値実現に至るのは容易ではありません。さらには、AI モデルを構築するために使用されるデータは不完全、不正確、または無関係であることが多く、一貫性のない不正確な結果につながっています。

Salesforce が、 Einstein 1 Platform の中核となり、Einstein の予測や生成 AI を強化する Data Cloud を開発した理由はそこにあります。 Data Cloud はデータのサイロを排除し、すべての企業データにアクセスして使用するための単一のプラットフォームを構築します。コネクタのライブラリを使って、構造化データと非構造化データ(PDF、電子メール、通話記録、ビデオなど)の両方を Salesforce に簡単に統合し、ゼロコピー統合によって、 Snowflake 、 Redshift 、 BigQuery 、 Databricks などのデータレイクに安全に接続します。 そのうえData Cloud は、データをクレンジングおよび調整して、従業員ならびにアナリティクスや各種AI システムが使えるよう準備します。

Data Cloud は、顧客データやビジネスデータを基盤として、より優れた分析、意思決定、AIによる自動化を実現するために、閉じ込められたデータの力を解放します。そして、すべての Salesforce アプリケーションを統合する共通言語である顧客データやビジネスデータ、メタデータを、高価なモデルトレーニング不要のまま、信頼できる成果志向の結果につなげます。

たとえば、見込み顧客が Webサイトにアクセスしたり、あるいはモバイルアプリをダウンロードしたりといったリアルタイム データが、Snowflake などのデータウェアハウスに存在する可能性があります。以前であれば、営業担当者が手動でデータを取得し、カスタムレポートを作成しない限り、それを知る方法はありませんでした。また、仮に同じようなことができたとしても、それはリアルタイムではありえませんでした。しかし、Data Cloud を使用すると、Snowflake にあるリアルタイム データをシームレスに取り込み、そこでフローをトリガーし、営業担当者にタイムリーに連絡するように通知できます。これが、Einstein 1 Platformの一部であるデータ、AI、フローによって駆動する Customer 360 の威力です。

Data Cloud は、こうして明らかになった実用的なインサイトを基に、 Salesforce の中でオーガニックに最も急成長している製品となっています。。昨年の 1 四半期で、7 兆件以上のレコードが Data Cloud に取り込まれ、1 兆件以上のアクティベーションが顧客エンゲージメントを促進しました。その結果、コンバージョン率と収益の増加、顧客満足度の向上をもたらしています。

エンタープライズ AI にとって信頼は前提条件

信頼はエンタープライズ AI の展開を成功させるための重要な要素です。私たちは、 Einstein 1 Platform の中核部分である Einstein Trust Layer を通じて、すべての Salesforce アプリケーションに信頼を組み込んでいます。 Einstein Trust Layer には、データプライバシー保護を保証するデータマスキング、 AI モデルによってデータが学習されたり、 Salesforce の外部に保存されたりしないことを保証するゼロリテンションアーキテクチャ、LLM 監査証跡が含まれており、あらゆる AI インタラクションの舵取りを人間が行います。また、モデルの精度と関連性を継続的に向上させるフィードバックループも組み込まれており、フィードバックデータは自動的に Data Cloud に記録される仕組みです。

業務の流れの中に AI を組み込むことが企業導入の鍵 

AI活用成功のための最後の要素は、営業、サービス、マーケティング、コマース、開発者、その他の従業員が、切り離された別のシステムや画面に移動するよう求めるのではなく、業務の流れの中に AI を組み込むことです。Einstein Copilot は、従業員が企業内のあらゆるデータやワークフローを CRM や Slack の作業フロー内で直接操作できる対話型アシスタントです。

Einstein Copilot は、有用な応答を生成するための特定の顧客データが不足している他のcoplilot製品とは異なり、組織内の信頼できるすべてのデータとメタデータに自動的にグラウンディングされます。これにより、従業員は自然言語を使って顧客キャンペーン、サービスの回答、アクション、ワークフローを生成し、すべての Salesforce アプリケーションと Slack にまたがる単一の対話型インターフェースから、質問への回答、コンテンツの作成や要約、複雑な会話の解釈、タスクの自動化などを行うことができます。Einstein Copilot は、企業のデータとビジネスプロセスの範囲内で安全に動作し、あらゆるステップで Einstein Trust Layer によってサポートされます。

旅行やホスピタリティ分野で信頼できるデータを活用した好例が、高級リゾートのタートルベイ リゾートです。これまで、島巡りのツアー予約に使っていた既存システムは、閉じ込められたデータの「島」状態であり、顧客の詳細な好みや過去のやり取りに基づいてセグメント化できるほど洗練されたものではありませんでした。

そこでタートルベイ リゾートは、データをシームレスに調和させてゲストプロフィールを充実させるために、Salesforce Data Cloud を導入しました。 Data Cloud によってゲストの好み、予約履歴、リゾートでのやりとりといったデータをすべて 1 カ所にまとめることができるため、現在では、ターゲットを絞ったゲストセグメントを即座に作成できるようになりました。またゲストの滞在をさらにより良いものにするために、関連性の高いツアーをおすすめとして提示しています。こうして既存ユーザー向けにパーソナライズされた Web コンテンツを作成したことで、エンゲージメントは 40% 増加しました。たとえば冒険好きなカップルには周遊ツアー、好奇心旺盛な家族には別のツアーなど、すべてが統合されたデータに基づいてパーソナライズされています。

ほとんどの企業にとって、生成 AI はまだ初期段階にありますが、真の企業変革の可能性は計り知れません。データと信頼の基盤を築き、従業員の業務の中に AI を組み込める企業は、パイロット運用から本番環境へと移行し、多大な価値、従業員の満足度、顧客ロイヤルティ、ビジネスの成長を実現することができるでしょう。

詳細情報

  • Salesforce の「あなたのデータ、あなたのAI(Your Data, Your AI)」調査からのインサイトはこちら