※本記事は2024年6月18日に米国で公開されたSalesforce Accelerates Energy Transition with New Climate Investmentsの抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
Salesforceは公正なエネルギー転換を加速させる気候変動対策として3つの大規模な投資を行うことを発表しました。当社は、2030年までに総額10億ドル以上の永久炭素除去を共同購入する 事前買取制度(AMC: Advance Market Commitment)であるFrontierに加盟しました。同メンバーシップを通じて、Salesforceは最も有望な炭素除去技術の促進、拡大、商業化に2500万ドルを拠出します。
さらに、Salesforceは再生可能エネルギーの投資、管理、開発における世界大手のプラットフォームである Qualitas Energy と契約し、イタリアに新設される27メガワット(MW)の太陽光発電を調達、再生可能エネルギーのポートフォリオを拡大しました。本契約は、Salesforceにとって欧州で初のバーチャルPPA(電力購入契約))となり、当社の100%再生可能エネルギー化のコミットメント*に寄与します。
また、Salesforceはクリーンエネルギーソリューションを推進する7つの団体に対し、使途を限定しない助成金として新たに395万ドルを拠出することも発表しました。
重要な理由:気候変動がもたらす深刻な影響を回避し、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑える努力を追求するという1.5 度目標を確実に達成するためには、温室効果ガス排出量の削減だけでは不十分です。
- すでに大気や海洋に放出された大量の二酸化炭素(CO₂)を除去することが必要です。
- 再生可能エネルギーをはじめとするクリーンエネルギー技術を大規模に普及させるために、官民が投資を行う必要があります。
- あらゆるコミュニティが環境に配慮しつつ経済的な繁栄を実現するためには、社会全体でクリーンエネルギーへの移行の最前線にいる組織や団体を支援しなければなりません。
さらに詳しく:
Salesforceは、Frontierと協力し、炭素除去技術の開発を推進します:気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)は、2050年の気候目標を達成するためには、世界全体で毎年数十億トンの炭素を除去する必要があると推定しています。これまでに永久除去された炭素は数万トンに過ぎず、この技術の迅速な拡大が急務です。FrontierなどのAMCモデルは、業界が確信を持って短期間でソリューションを構築し、新規に購入する企業を引き付けるようにすることを目的としています。
- Salesforceは2022年5月、排出削減が困難な産業の脱炭素化を企業の購買力を活用して推進する First Movers Coalition(FMC)の創設メンバーとして野心的な誓約を発表しました。
- 今回Frontierに加盟することで、Salesforceは1億ドルの炭素除去技術を契約するというFMCのコミットメントの実現に向けて取り組んでいます。
Frontierの専門家チームは、Salesforceに代わり、初期段階の炭素除去技術を開発する有望な企業が提供するソリューションの購入に2500万ドルを拠出します。その際に、1000年以上炭素を貯蔵し、規模に応じて手頃な価格で購入でき、耕作地と競合しないソリューションが選定されます。
Salesforceは再生可能エネルギーのポートフォリオを拡大します:Qualitas Energyとの15年間にわたるバーチャルPPAにより、イタリアの6つの地域に新しい太陽光発電ポートフォリオを構築します。
- このポートフォリオにより、年間4200世帯分以上への電力供給が可能になり、毎年21,500トン以上の排出削減が見込まれています。これらのプロジェクトは2024年と2025年初頭に稼働を開始する予定です。
- また、Qualitas Energyは契約の一環として、自治体のプロジェクトやNGOを支援するコミュニティ基金に約40万ユーロの資金を提供します。
- 支援対象となる自治体のプロジェクトは、地域社会のニーズに基づいており、都市樹木の再生や公園、緑地、自転車道の再整備などの活動が含まれています。
- 例えば、バルトリーニ(Bartolini)では廃棄物投機の影響を受けることの多い公共公園エリアの再整備に取り組む予定です。同様に、サンティア(Santhià)では劣悪な環境にある並木道の再整備に重点が置かれます。
Salesforceは公正なエネルギー転換を推進する非営利団体に395万ドルの助成金を提供します:助成金の対象は、代表の数が不十分なコミュニティに手頃な価格のクリーンエネルギーを公平に提供する団体、初期段階の気候テック企業を支援する団体、グリーン雇用を創出する団体です。
- 助成団体は、RE-volv、Groundswell、GRID Alternatives、Planet Reimagined、Working Power、Honnold Foundation、Evergreen Climate Innovations です。
- この助成金は使途の制限がなく、プログラムを拡大して新たなオーディエンスを獲得する、新たな解決策を見つけて壮大なアイデアを試す、追加資金の確保するなどの様々な用途に使っていただけます。
ステークホルダーの視点:
- 「気候危機に正面から取り組むためには、企業は包括的な気候変動移行計画を策定する必要があります。当社にとって、これは新しい気候変動対策テクノロジーへの投資と拡大、十分にサービスが行き届いていない地域におけるクリーンエネルギーへのアクセスの確保を意味し、誰一人取り残さないという当社の社会貢献戦略に基づいています。」– Salesforce、EVP 兼 チーフ・インパクト・オフィサー、スザンヌ・ディビアンカ(Suzanne DiBianca)
- 「需要は、炭素除去を気候変動に効果的な影響を及ぼす規模にまで拡大させるうえで重要な要素です。Salesforceがコミットメントを実行に移して契約を締結し、次世代の炭素除去技術の商用化を支援するのは素晴らしいことです。」– Frontier 責任者、Nan Ransohoff氏
- 「バーチャルPPAは、再生可能エネルギーへの移行を加速させる上で極めて重要な役割を担っています。イタリアでは他のEU諸国よりもVPPAが普及していません。しかし、当社はイノベーションに対して積極的な姿勢を持ってソリューションを提供しており、Salesforceをはじめとする企業の気候目標の達成を支援しています。」–Qualitas Energy、ポートフォリオ管理担当VP、Carlos Gutiérrez氏
- 「Honnold Foundationは、クリーンエネルギーの力を活用してコミュニティと環境に貢献できると信じています。Salesforceからの支援は、私たちのような組織がインパクトの大きいソリューションを大規模に展開し、クリーンエネルギーを最も必要としている人々に届けるのに役立ちます。両者が手を取り合うことで気候危機に立ち向かい、コミュニティの繁栄とレジリエンスの強化を図ることができるのです。」– Honnold Foundation創設者、Alex Honnold氏
- 「Groundswellは力強いコミュニティを構築することを使命としており、クリーンエネルギーの恩恵がすべての人に公平に提供されるよう尽力しています。Salesforceの再生可能エネルギーと脱炭素技術への戦略的投資は、公正なエネルギー転換を推進するために必要な企業のリーダーシップの好例です。」– Groundswell、CEO、Michelle Moore氏
詳細情報:
- 公益事業向けのSalesforceクリーンエネルギー管理プログラムについては、こちら(英語)。
- Salesforceが世界中で提供するクリーンエネルギーへのアクセスについては、こちら(英語)。
- AIを持続可能かつ公平にするためのSalesforceの取り組みについては、こちら。
- 企業における資本を活用した気候変動対策に役立つSalesforceの気候変動ファイナンスハンドブックはこちら(英語)。
* Salesforceでは再生可能エネルギーを活用するか、または年間の世界消費電力量に相当するまたは再生可能エネルギー証明書を購入しています。