※本記事は、米国で公開された Top Generative AI Statistics for 2024の抄訳です。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
編集部注:最新情報を反映するため、本記事は 2023 年 9 月に更新されました。
重要なポイント
- 生成 AI は、IT、マーケティング、営業、サービス全体で就業者にエキサイティングで新しい機会をもたらしています。本記事で取り上げる Salesforceの生成 AI に関する調査は、これらの職種の人々がテクノロジーをどのように使用しているか、または、なぜ使用していないのかといった、企業が将来に備えるのに役立つ多くの示唆を明らかにします。
現在、生成AIはほぼすべての人の関心事となっており、Salesforceはそれを裏付けるための統計データを保有しています。
Salesforceでは、リーダーが生成 AIに関する情報を提供し、それが営業、中小企業、CRMの未来に及ぼす影響を共有することに加え、数か月にわたってこの新しいテクノロジーに関する傾向とそれに対する従業員の心理を調査してきました。
Salesforceの生成AIスナップショット調査シリーズ は、さまざまな業界の 4,000 人を超えるフルタイムの就業者を対象とした継続的な調査で、IT、マーケティング、セールス、サービス全体にわたる生成 AIの力と展望を明らかにしています。また、米国、英国、オーストラリア、インドで 4,000 人を超える一般成人を対象とした追加調査も行っています。
業界や生成 AIに関する調査の包括的な概要については、Salesforce 統計ライブラリをご覧ください。生成 AI に関する業界固有のインサイトについては、以下の関連セクションをご参照ください。
一般生活者のデータから明らかになった新たなインサイト
米国、英国、オーストラリア、インドの一般生活者における生成 AI の使用に関する Salesforce の最新の調査では、一般生活者は生成AIを使っているユーザーと使わないユーザーに分かれていることが明らかになりました。各国で調査対象となったオンライン人口の使用状況は以下の通りです (注: 文化的なバイアスが結果に影響を与えている可能性があります)。
- インドの調査対象者の 73% が生成 AI を使用しています。
- オーストラリアの調査対象者の 49% が生成 AI を使用しています。
- 米国の調査対象者の 45% が生成 AI を使用しています。
- 英国の調査対象者の 29% が生成 AI を使用しています。
調査で明らかになった注目すべきポイントは、 ここで言うAI ユーザーは「スーパー ユーザー」であることです。これは、彼らの大多数がこのテクノロジーを頻繁に使用し、うまく使いこなしていると信じていることを意味します。
- 生成 AI ユーザーの 65% はミレニアル世代かZ 世代で、72% が雇用されています。
- ユーザー 10 人に 6 人近くが、自分はこのテクノロジーを習得中であると考えています。
- Z 世代の 70% がこのテクノロジーを使用しており、そのうちの 52% が十分な情報に基づいた意思決定をするにあたって、このテクノロジーを信頼しています。。
- 52% は、最初に生成 AI を使い始めた時よりも、現在のほうがより多く使用していると回答しています。
これらのアーリーアダプターは、生成 AI のユースケースを娯楽やゲーム、また職場やエンタープライズ アプリケーションへと拡大しようとしています。
- 生成 AI ユーザーの 75% は、仕事におけるタスクを自動化し、仕事上のコミュニケーションに生成 AI を使うことを検討しています。
- 生成 AI ユーザーの 38% は、生成 AI を遊びや娯楽目的で使い、34% は興味のあるトピックについて学ぶために使っています。
しかし、誰もが AI を支持しているわけではありません。AI の使い方は世代間で異なる傾向があります。AI を使うユーザーは若くて積極的ですが、AIを使わないユーザーは年齢が高く、テクノロジーにあまり馴染みがなく、その利点についてより懐疑的です。
- 生成 AIを使わないユーザーの 68% は X 世代か、ベビーブーマー世代です。
- 88% は、生成 AI が自分たちの生活にどのような影響を与えるかについてわからないと答えています。
- 40% がこのテクノロジーについて十分な知識がないと回答し、32% がこのテクノロジーは役に立たないと答えています。
生成AIを使っていないユーザーは、アーリーアダプターよりも慎重で、生成 AI を試す前に、さらなる安全性と教育、そして、それがより生活に身近なものになることを求めています。
- 生成AIを使っていないユーザーの 70% は、そのテクノロジーについてもっと詳しく知っていれば、もっと生成 AI を使うと考えています。
- 64% は、安全性が高ければ、もっと生成 AI を使うと考えています。
- 45% は、すでに使っているテクノロジーに生成 AI が統合されていれば、さらに利用すると考えています。
生成 AI に対するデスク ワーカーの認識
Salesforce の調査によると、生成 AI に関して就業者には 2 つの考えがあることが明らかになりました。彼らは生成 AI の利点を理解する一方で、リスクを回避し、急速に進化するテクノロジーを最大限に活用するために必要なスキルを習得できるかどうかを心配しています。
- 就業者の 5 人に 3 人(61%)が現在、生成 AI を使用しているか、使用する予定です。
- 3 人に 2 人以上(68%)が、生成 AI が顧客サービスの向上に役立つと回答しています。
- 3 人に 2 人(67%)が、生成 AI は他の AI や機械学習モデルといった他のテクノロジー投資からより多くの成果を得るのに役立つと回答しています。
しかし、多くの就業者は、まだ生成AIを責任を持って使う方法を知りません。調査対象となった就業者の半数 (54%)は、生成 AI が不正確であることを心配しており、59% は偏っていることを心配していると回答しました。
- 回答者の 4 分の 3近く(73%)は、生成 AI が新たなセキュリティリスクをもたらすと考えています。
- 生成 AI の利用計画があると回答した人のうち、60%近くが信頼できるデータソースを使用する方法、または機密データの安全性を確保しながら使用する方法がわからないと回答しました。
ビジネスリーダーもまた、責任あるかたちで生成 AI を使用する自らの能力を過大評価しているようです。 Salesforce の調査によると、データを安全に保ちながら生成 AI を使う方法を知っていると主張する経営幹部(83%)が大半を占める一方で、そう考える一般就業者はわずか(29%)にとどまっています。
生成 AI の効果的な導入と使用に関して、企業に埋めなければならないギャップがあることは明らかです。幸いなことに、データはいくつかのインサイトを与えてくれました。生成 AI を信頼できるテクノロジーとして確立する方法を尋ねたところ、従業員は自分の仕事でそれをうまく活用するための 4 つの重要な要素を挙げました。
- 人間による監督(60%)
- セキュリティ対策の強化(59%)
- 信頼できる顧客データ(58%)
- 倫理的使用のためのガイドライン(58%)
IT プロフェッショナルは生成 AI に大きなチャンスを見出している
Salesforce のIT 最新事情によると、IT リーダーの 86% が、生成 AI が近いうちに組織で重要な役割を果たすと期待していることがわかりました。また、 IT 意思決定者 500 名を対象とした 3 月の調査では、過半数以上(57%)が生成 AI が「ゲームチェンジャー」になると考えていることが明らかになりました。
- 調査対象となった IT リーダーの 67% が、今後 18 カ月以内に自社のビジネスに生成 AI を優先的に導入すると回答しました。
- 33% はそれが最優先事項であると回答しました。
IT リーダーには意欲があると同時に、3 月の調査ではほぼ全員の回答者(99%)が、自社のビジネスは責任を持って生成 AI を活用するための対策を講じる必要があると回答しており、シニア IT リーダーのほとんどが、自社の組織では生成 AI を導入する準備ができていないと答えています。
回答者の 3 分の2 近く(65%)が、生成 AI の導入をまだ正当化できないと答えています。 IT 意思決定者は、生成 AI を使うための障壁として、次の点を挙げています。
- 生成 AI は自社データに新たなセキュリティ上の脅威をもたらす(71%)
- 自社の従業員には生成AIをうまく活用するスキルがない(66%)
- 生成 AI をまだ自社の技術スタックと統合できない(60%)
- 自社の組織に統一されたデータ戦略がない(59%)
マーケティング担当者は、生成 AI が自分たちの役割を変えると信じているが、正確性について懸念
生成 AI は主流のテクノロジーとして比較的新しいものですが、Salesforce が最近調査した1,000 人以上のマーケティング担当者の半数(51%)が、すでに生成AIを使用しているか、あるいは仕事上で試していると答えています。また、回答者の 22% は、近いうちに生成 AI の利用を計画していると回答しており、これが実現すれば、調査対象のマーケティング担当者の 4 分の3 近くが現在、生成 AI を使っていることになります。
マーケティング担当者の間で最も一般的な生成 AI のユースケースは次のとおりです。
- 基本的なコンテンツ作成(76%)
- コピーライティング(76%)
- クリエイティブな思考の刺激(71%)
- 市場データの分析(63%)
- 画像アセットの生成(62%)
マーケティング担当者もまた、生成 AI は自分たちの役割を変革し、自分たちはより戦略的な仕事に集中できるようになると考えています。
- 生成 AI によって、週 5 時間、年間で言うと 1 カ月以上*相当の労働時間が削減されると予測しています。
- マーケティング担当者の 10 人中 7 人(71%)は、生成 AI によって煩雑な作業が排除され、戦略的な仕事により集中できるようになると期待しています。
マーケティング担当者に懸念がないわけではありません。彼らは正確性と品質を最大の懸念事項として挙げており(31%)、次いで信頼(20%)、スキル( 19%)、仕事の安全性(18%)となっています。
Salesforce の調査では、多くのマーケティング担当者が生成 AI を最大限に活用するためのトレーニングを必要としていることも明らかになりました。
- マーケティング担当者の 39% は、生成 AI を安全に使う方法を知りません。
- 43% は、その価値を最大限に引き出す方法がわからないと回答しました。
- 54% は、自分の仕事でうまく生成 AI を活用するためには、トレーニングプログラムが重要であると考えています。
- それにもかかわらず、マーケティング担当者の 10 人中 7 人は、雇用主がまだ生成 AI のトレーニングを提供していないと回答しています。
生成 AI スナップショット調査シリーズ
米国、英国、オーストラリア、インドの 4,000 人を超えるフルタイム従業員への調査から、生成 AI に関するインサイトをTableau で明らかにします。
営業担当者は、営業効率の向上に生成 AI が役立つと考えている
生成 AI を使っている、または使う予定であると回答したのは、マーケティング担当者が 51% であったのに対し、調査対象となった営業担当者は約 3 分の 1 にとどまりました。一方で、営業担当者の 61% が、生成 AI は顧客へのサービス向上に役立ち、営業効率の向上にも役立つと回答しました。
Salesforce の調査によると、スキルのギャップによって営業担当者に2つの影響が出ている可能性があります。一つは、スキルのギャップが営業担当者の生成AIの利用を妨げる原因になっている可能性と、もう一つは雇用に対する不安を煽っている可能性です。
- 営業担当者の過半数以上(53%)は、仕事で生成 AI から最大限の価値を引き出す方法がわからないと回答しています。
- 半数弱が、生成 AI の安全な使い方や、効果的な使い方がわからないと回答しており、それぞれ 49% と 47% でした。
- 営業担当者の 5 分の2 近く(39%)は、仕事で生成 AI の使い方を学ばなければ、職を失うのではないかと心配しています。
このように、営業担当者は生成 AI の使用に対して比較的抵抗感を持っていますが、その一方でこのテクノロジーを早期に導入した企業は成功をおさめていることが証明されています。現在、生成AIを使用していると答えた回答者の84% が、顧客とのやり取りを強化し、スピードアップすることで、自社の売上増加につながったと回答しています。
- 営業担当者は、生成 AI を以下の用途に使う可能性が高くなっています。
- 基本的なコンテンツ作成82%)
- 市場データの分析(74%)
- パーソナライズされた営業コミュニケーションの自動化(71%)
- 営業担当者は、以下の業務において生成 AI が自分たちの役割を変革することを期待しています。
- 営業レポートの作成支援(51%)
- 基本的なコンテンツ作成(48%)
- 市場データの分析(47%)
サービス担当者は、生成 AI が顧客への迅速な対応に役立つと考えている
Salesforce の調査シリーズで調査対象となった就業者のうち、サービス担当者は生成 AI の利用が最も低いという結果が出ました。
- 業務に生成 AI を使っていると答えたカスタマーサービス担当者はわずか 24% でした。
- 将来的に生成 AI を使う予定があると答えたのはわずか 15% でした。
営業担当者と同様、サービス担当者における生成AIの導入率の低さの背景には、スキルのギャップがある可能性があります。
- サービス担当者の 5 人に 3 人(60%)が、仕事で生成 AI の価値を最大限に引き出す方法がわからないと回答しました。
- 回答者の半数強(それぞれ 55% と 54%)が、仕事でこのテクノロジーを効果的または安全に使用する方法がわからないと回答しました。
生成 AI の使用をためらっているにもかかわらず、調査対象となったサービス担当者の半数近く(48%)は、テクノロジーの使い方を学ばなければ、職を失うのではないかと心配しています。しかし、現在、生成 AI を使っているサービス担当者のうち、10 人中 9 人が生成 AI はより迅速な顧客対応に役立っていると回答しています。
生成 AI を使っているサービス担当者は、そのテクノロジーの適用方法について、驚くほど一貫していました。 Salesforce の調査によると、サービス担当者が主に生成 AI を使うのは次の場合です。
- 基本的なコンテンツ作成(68%)
- サービスに関連する顧客とのコミュニケーションの作成とパーソナライズ(68%)
- サービスに関連する顧客とのコミュニケーションの自動化(67%)
生成 AI が顧客の役割をどのように変容させるかについても同様に一貫していました。
- サービス担当者の 48% が、生成 AI は顧客のセルフサービスの選択肢を増やすと回答しています。
- 47% は、サービスに関する顧客とのコミュニケーションの自動化に役立つと回答しました。
- 46% が、サービスデータの分析に役立つと回答しました。
重要なポイント
各業界には生成 AI をめぐる独自のユースケースと視点がありますが、Salesforce の生成 AI に関する調査ではいくつか共通の結論が導き出されました。
- 就業者は、煩雑な業務に費やす時間を節約することで、顧客エクスペリエンスを向上させ、収益を増加させる可能性があるという、生成 AI の潜在的な利点を認識している。
- 生成 AI におけるデータの安全性、正確性、信頼性は、就業者の懸念事項であり、各々の役割においてこのテクノロジーをうまく使うために必要になる。
- 回答者の大半が、雇用主が生成 AI の導入に必要なトレーニングを提供していないと回答している。
Salesforce AI の CEO、クララ・シャイ(Clara Shih) は、次のように述べています。「私たちは日々、お客様が AI で何を解決できるのかを自問しています。たとえば、マーケティングでは、AI を使ってオーディエンスのセグメントを特定し、ランディングページの画像やコピーを自動生成します。営業では、主要な取引先の変更事項を要約し、開封と返信を促す見込み客向けメールを自動生成します。顧客サポートでは、問題解決に成功したケースの概要とナレッジ記事を自動生成します。開発者にとっては、テストケースやコメント、さらにはコードそのものが自動生成されます」
彼女はさらに、次のように続けます。「ビジネス上の価値は、効率性を高めるだけでなく、あらゆる場面ですべての従業員を『強化』し、一貫して高い品質を維持し続けることによってもたらされます」
詳細情報
- Salesforce の業界関連調査の詳細については、こちら(英語)。
- 生成 AI が中小企業のよりスマートな営業にどのように役立つかはこちら(英語)。
- ビジネスリーダー向け生成 AI 用語集はこちら(英語)。
- CRM にとって生成 AI が何を意味するかはこちら(英語)。
*(「生成 AI」を使って週に平均 5 時間の節約 x 1年 52 週間) / 1 日の労働時間 8 時間 = 年間平均 32.5 日、もしくは 1カ月以上の節約