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AI はアプリ開発をどのように変えるか: 主要なトレンドと変革への影響を探る

※本記事は、2024年3月6日に米国で公開された How AI Is Reshaping App Development: Key Trends and Transformative Impacts の抄訳です。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。


生成 AI と大規模言語モデル (LLM) は、企業が営業、カスタマーサービス、マーケティング、コマース、IT、財務、法務、人事チーム向けのビジネス アプリケーションを開発する方法を再構築しています。この変化の背景には、多くのアプリケーション開発者が、生成 AI を搭載した開発ツールを用いて、アプリをより迅速に構築し、従業員体験を向上させようとしていることがあります。 

IT プロフェッショナルの 86% が、生成 AIの導入以降、自分の仕事がより重要になったと答えているのもこれが大きな理由です。

本記事では、 Salesforce の プラットフォーム担当EVP 兼 ゼネラルマネージャーであるアリス・スタイングラス(Alice Steinglass)が、AI を活用したアプリケーション開発の将来、開発者と AI copilotとのコラボレーションなどについての考えを語ります。

Q. アプリケーション開発分野で見られる主なトレンドについて教えてください。

AI は、あらゆる開発者、CIO、そして率直に言うとすべての組織にいる人が話題にしています。市場で入手できるアプリケーションの種類とその構築方法に劇的な革命が起こることになるでしょう。

当初、AI はレコメンデーションシステムや音声認識などの単純なタスクに使われていました。そして、ディープラーニング(深層学習)と自然言語処理(NLP)の進歩によって、画像認識、感情分析、予測分析などの複雑なタスクを支援できるようになりました。現在、生成 AIによって、個々のユーザー向けにカスタマイズされた画像、Webページ、電子メールといった、高度にパーソナライズされたコンテンツを生成できるアプリが登場し始めています。 

これは開発に対する劇的に新しい考え方であり、エンドユーザーに新しい体験を提供します。

Salesforce プラットフォーム担当EVP 兼 ゼネラルマネージャーアリス・スタイングラス(Alice Steinglass)

AI はまた、アプリの開発方法も変化させています。現在、クリック操作型の UI から会話型 UI へ、ハードコーディングされたロジックからセマンティック LLM へ、限られた構造化データから意思決定に構造化データと非構造化データを活用するUnified Data Layers(統合データレイヤー)へと移行しています。

AI を活用したアプリケーション開発において非常に興味深いのは、予想外のことが起きることです。開発者は、エンド ユーザーがどのような新しいワークフローを必要とするかを想定し、起こりうるあらゆるシナリオを考えなければなりません。Copilotを使うことの素晴らしい点は、開発者として私がプログラムに組み込んだ機能に基づいて、アプリが実際に動作する際に、リアルタイムでユーザー向けの計画を生成できることです。これは開発に対する劇的に新しい考え方であり、エンドユーザーに新しい体験を提供します。

AI があらゆる段階で開発者を支援することで、経験豊富な開発者は、より迅速にコーディングと開発を行うことができます。そして同時に、AI は開発への参入障壁を下げ、より多くのビジネスユーザーが自らアプリケーションを構築できるようになり、アプリ開発の場を民主化することができます。 

Q. アプリケーション開発に AI を活用する際の最大の課題は何ですか?

AI革命はデータ革命です。企業は、あまりにも多くのアプリやサイロにわたって保存されている膨大な量の「閉じ込められた」データに悩まされており、単一の有用なデータセットに統合することは困難になっています。Salesforce Data Cloudのようなハイパースケールなデータエンジンを使用して大量のデータにアクセスし、特に新しい AI 機能と非構造化データを組み合わせることで、AI の可能性は広がります。

データについて話すとき、その約 20% は構造化データです。これは、スプレッドシートやトランザクションデータベースに含まれる名前、顧客情報、注文の詳細です。しかし、残りの 80% は、PDF、電子メール、トランスクリプト(会話の書き起こし)、ソーシャル メディアコンテンツといった非構造化データです。以前は、この非構造化データから関連情報を見つけるのは困難で、キーワードが正確に一致している必要がありました。 

しかしAI によって、検索拡張生成(RAG)の手法が利用可能になり、企業がデータの所在に関係なくデータを取得して使用し、より良い AI 出力を実現できるようになりました。 

これにより、ソフトウェアの開発方法が変化し、これにより企業が今日提供できる顧客と従業員の体験を強化することができるようになります。

Q. 強力な AI アプリケーションを開発するのに必要なものは何ですか。 

まず、アプリケーションは適切なデータとメタデータにアクセスできる必要があります。必要なデータがなければ、AI アプリは単なる「余興」に終わってしまいます。たとえば、チャットボットに単に「電子メールを生成して」と依頼したとしても、必要な情報がなければ、そのメールは文脈上の関連性を欠いたものになってしまうでしょう。誰に対する電子メールなのか、どのような詳細を含める必要があるのかといった、これらの情報をすべて収集するのはエンド ユーザーにとって、面倒な作業です。 

そこで重要な役割を果たすのがアプリケーション開発です。アプリ開発者として、私たちはユーザーに対し、必要なデータとメタデータを収集する責任を負うことができます。ある特定のシナリオで AI を効果的に使用するために、私たちは構造化データと非構造化データ、そしてあらゆる関連情報を特定することができます。

Q. 企業内で AI を活用したアプリケーションを開発または統合する場合、開発者が考慮しておくべきことは他にありますか。

完璧な電子メールを作成するだけでは十分ではありません。もし営業担当者やカスタマーサービス担当者が、電子メールを送信するために他の場所からコンテンツを手動でコピー&ペーストしなければならないとしたら、それは余分な手順となり、生産性が妨げられます。だからこそ、ワークフローそのものにAI を組み込むことが決定的に重要なのです。これは、AI 機能をページ上のボタンとして、copilotの一部として、組織の既存のワークフローに組み込むことを意味します。 

さらに、AI アプリケーションは、アクションが実行されるシステムと深く統合されている必要があります。企業では、発注書の作成、出荷状況の確認、発注といったさまざまなタスクに900 以上の異なるシステムが使用されており、多くのシステムが関係しています。強力な AI アプリケーションは、データを分析してインテリジェントなインサイトを提供するだけでなく、ユーザーのワークフロー内で動作し、ユーザーに代わって実際のアクションを実行します。テキストを生成するだけでなく、ユーザーにとって意味のあるアクションを実行することができるのです。

たとえば、Salesforce のEinstein Copilot を使用すると、企業は CRM データと既存のワークフロー、API、コードを活用してカスタムアクションを作成することができます。

Q. 開発者と AI copilotの間のコラボレーションは、アプリ開発の未来をどのように形作りますか? 

複雑なコードの書き方を知っている経験豊富な開発者は、AI とコラボレーションすることで開発プロセスのスピードをあげることができます。多くの場合、定型コードを大量に記述する必要がありますが、開発者コミュニティからの最も多いリクエストの 1 つは、AI を使用したテストケースの作成です。これはAIが真に支援できる領域です。開発者はユーザーにとって重要なコードを書くことができ、それによってAI がテストケースの開始点を提供して時間を節約し、開発者が自社に特化したコードを書くことに集中できるようになります。

次に、AI copilotとのコラボレーションにより、より多くの人がアプリケーションにアクセスできるようになり、アプリ開発が民主化されます。AIは、初心者が開発を始めるのを支援し、不足している情報を補い、概念や機能を説明したりすることもできます。Apex コールアウトの作成など、新しいテクノロジーを学習するとき、AI は強力なアシスタントとして機能し、プロセス全体を通じてガイダンスとサポートを提供します。

最後に、AI は、開発者が書くコードの種類とその信頼性を高め、書かれるコードの品質を向上させる機会を提供します。これはほんの始まりにすぎません。パフォーマンスの最適化、拡張性、バグの検出、コードの信頼性向上など、 AI の活用には未開拓の可能性があります。

Q. ローコード開発は AI とどのように関係し、それはどのような意味があるのでしょうか。 

ローコード開発者は、AI の中でアクションを実行可能にするという、エキサイティングな役割を果たします。

企業で AI を実装する場合、AI 機能を組み込む場所とcopilotが実行できるアクションを決定することが極めて重要になります。ローコード開発者は多くの場合、ビジネスニーズとより密接なつながりのあるビジネスユーザーや管理者です。この近接性により、ビジネス関係者と協力してニーズを理解し、それに応じて AI ソリューションを実装することができます。

電子メールの送信、発注の開始、注文依頼の作成など、ローコード開発者は事業部門と緊密に連携して、各アクションに必要な具体的なデータ要件を理解することができます。その後、必要なデータ ソースを特定し、AI システムに統合できます。 

Prompt Builder のようなローコード ツールを使用すると、Salesforce 管理者は体験、アプリ、ワークフロー全体で AI を作成、グラウンディング、テスト、実装できます。また、AI はこれらのワークフローの構築にも役立ちます。Salesforce のCodeGen (対話型 AI プログラミングの概念に基づいて構築された新しい大規模言語モデル)のようなツールによって、ローコード開発者はビジネスのニーズに応えることができます。

Q. AI を活用したアプリの開発の将来に対するビジョンを教えてください。 

AI はあらゆるアプリに不可欠な要素となり、ユーザーと協力してインテリジェントなインサイトを提供し、タスクを達成する真にパーソナライズされた UX を生み出すでしょう。また、マルチモーダル入力は、特にモバイルにおけるソフトウェアとの関わり方を一変させるでしょう。

さらに、アプリケーションの開発方法も変わることでしょう。 AI を搭載したアプリ開発プラットフォームは、コードを通じて私たちの目標を実現する手助けをし、開発を民主化すると同時に、より多くのサポート、より優れたテスト、より高品質なコードによってエンジニアリングの生産性を大幅に向上させます。基本的に、開発者、管理者、アーキテクトは創造と開発という楽しい部分に多くの時間を費やせるようになり、ライブラリの仕組みを調べたり、難解な問題をデバッグしたり、定型的なテストの作成にかかる時間を減らすことができます。開発者としては楽しい時代になっていくでしょう。

AI が進化し続けるにつれて、アプリ開発への影響はますます大きくなるでしょう。機能強化からセキュリティ対策の改善に至るまで、AI はアプリケーションの開発と体験の方法をあり方を変えつつあります。開発者と AI copilotのコラボレーション、AI 開発の民主化、ローコード開発と AI の融合により、AI を活用したアプリケーション開発の未来は有望です。

詳細情報

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