※本記事は2024年5月24日に米国で公開されたHow Salesforce Zero Copy Integrations Help Companies Connect and Act on Any data Without Duplicating Sourcesの抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
Salesforceは、Zero Copy Partner Networkを発表しました。Zero Copy Partner Networkを使用すると、企業はData Cloudと外部のデータプラットフォームを容易に接続できるようになり、データの複製や他のデータセットの管理の手間を省くことができます。 今回は、ビジネス開発および戦略担当バイスプレジデントのタイラー・カールソン(Tyler Carlson)と、顧客の全体像を把握するうえでゼロコピーデータアクセス(ZCDA)が重要である理由と、組織がSalesforceやそれ以外のプラットフォームに格納されたデータからインサイトを収集するうえで、新しいエコシステムのZero Copy Partner Networkがどのように役立つかについて対談を行いました。
Q. ゼロコピーとは何ですか?
ゼロコピー統合では、データを移動、コピー、再フォーマットすることなく、アプリケーションがさまざまな外部データベースにアクセスできるようになります。
多くの顧客がアプリケーション、データレイク、データウェアハウスなど、Salesforceのエコシステム以外のさまざまな場所にデータを保管していることを受け、Salesforceは他社に先駆けてアプリケーションレイヤーのゼロコピー技術を開発しました。
これまでは、SnowflakeなどのデータウェアハウスからSalesforceにデータを取り込み、顧客データにもとづいて生成AIにメールを作成させる場合、あらかじめそのデータをSalesforceに移動する必要がありました。そのためには、データをコピーし、そのデータをSalesforceに抽出するための抽出パイプラインを作成してから、同期ベースでそのデータを最新の状態に維持する必要があります。
ほとんどの場合、それは簡単ではありませんでした。私が普段接しているビジネスリーダーやITリーダーの多くは、顧客の全体像を把握したいと言っていますが、それを実現するために一つひとつのプラットフォームからデータを複製する手間をかけたがっていません。ゼロコピー統合を導入すれば、顧客はSalesforce Einstein 1 Platformでデータにアクセスすることで、データを使用できるようになります。つまり、何もコピーしなくても、データがそこにあるということです。
ゼロコピー統合を導入すれば、顧客はSalesforce Einstein 1プラットフォームでデータにアクセスすることで、データを使用できるようになります。つまり、何もコピーしなくても、データがそこにあるということです。
Salesforce ビジネス開発および戦略担当バイスプレジデント、 タイラー・カールソン(Tyler Carlson)
Q. 企業にとってゼロコピーが重要なのはなぜですか?
企業は、メールの開封率、財務データ、顧客とのやり取り、製品カタログなど、膨大なデータをデータレイクやデータウェアハウスに蓄積しています。問題は、そうしたデータが主に分析のためにそこにあるということです。営業チーム、サービスチーム、マーケティングチームなどのビジネスユーザーは、Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloudなどのアプリでの作業の流れの中でそうしたデータを必要としているにもかかわらず、データを利用できません。
ゼロコピーが登場する前は、自社ブランドとのあらゆるエンゲージメントで顧客の行動を把握するために、データをコピーしてData Cloudに読み込む必要がありました。
しかし、データのコピーでは多くの問題が発生します。データの複製が終わったら、次はデータを管理する必要があります。具体的には、外部プラットフォームの最新データとの同期、プラットフォーム間のETL(抽出、変換、読み込み)プロセスとデータパイプラインの指示、コピーされたデータに対する新しいセキュリティとガバナンスのルール設定などです。これはコストと時間のかかる、継続的なプロセスです。
こうした課題を解消するのが、ゼロコピー統合です。ゼロコピー統合では、パイプラインの抽出も読み込みも不要です。データが常に同期されているからです。しかも、データは1か所に保存されているため、より安全です。
Q. Zero Copy Partner Networkとは何ですか?どのような仕組みですか?
Zero Copy Partner Networkは、Salesforceとのゼロコピー統合に取り組んでいるパートナーで構成されており、すべてのデータに接続してアクションを実行するための安全でコスト効率の高い方法を、価値を共有する顧客に提供します。
これらの統合は、いわゆる「双方向」でもあります。データがSalesforceに一方的に流れるだけでなく、パートナーネットワークのメンバーはSalesforce内に格納された豊富な顧客データを利用することができます。パートナーには、Amazon Web Services(AWS)、Databricks、Google Cloud、IBM、Microsoft、Snowflakeなどが含まれます。
また、このパートナーのエコシステムはさらに拡大しており、データプロバイダーやSaaS(Software as a Service)アプリケーションなども加わって、ゼロコピー統合の実現に寄与しています。
独立系ソフトウェアベンダー(ISV)とシステムインテグレーター(SI)もゼロコピーパートナーネットワークの中心的な存在となっています。ISVは、Moody’s、The Weather Company、Workdayなどの企業のサードパーティデータセットをゼロコピーの顧客に提供する素晴らしいアプリケーションを開発しようとしています。
SIも、専門知識を活かして、顧客が閉じ込められたデータをゼロコピー統合を通じて解放できるようにサポートすることで、ゼロコピーパートナーネットワークで大きな役割を果たすことになるでしょう。
Q. ゼロコピーパートナーネットワークとデータクラウドの関係は?
Data Cloudは、構造化/非構造化を問わず、すべての顧客データを統合し、Salesforce内でアクセス可能な360度のビューを提供します。
Data Cloudは、構造化/非構造化を問わず、すべての顧客データを統合し、Salesforce内でアクセス可能な360度のビューを提供します。
Salesforce ビジネス開発および戦略担当バイスプレジデント、 タイラー・カールソン(Tyler Carlson)
Q. ゼロコピーはSalesforceのAI戦略にどのように役立ちますか?
SalesforceのAI戦略を推進する原動力は、顧客データとメタデータの解放です。Salesforceでは、そうしたデータの多くがSalesforceの外部にあると考えています。
Salesforceのゼロコピーのアプローチでは、「オープンなテーブルフォーマット」、すなわちデータテーブルを標準化し定義する手法を採用しています。このオープンなアプローチは、顧客が日常業務で使用するアプリケーションからそうしたデータへのアクセスを拡張するデータパートナーネットワークを構築するうえで、重要な役割を果たします。このアプローチこそ、Salesforceが自社のAI戦略を実現する方法なのです。
この戦略の鍵を握るのが、Zero Copy Partner Networkです。これにより、組織内に閉じ込められた企業データをさらに解放し、Salesforce内で利用できるようにして、生成AIや予測AIのユースケースに活用できるようになります。データを解放しなければ、顧客プロファイルを統合してAIへの投資から最大限の価値を引き出すことが非常に難しくなります。
それこそ、私がこのイノベーションに対してもっとも胸が躍る点です。Salesforceでは一貫してオープンで拡張可能であることを戦略として掲げてきました。ゼロコピーは、私たちが長年取り組んできたデータとAIの戦略の成果なのです。そして今、当社が価値を分け合うすべての顧客、すなわちゼロコピーを利用する顧客とパートナーネットワークのすべてのメンバーの両方に、その特別な価値を提供するときがやって来ました。
詳細情報:
- ゼロコピーが時間とコストの削減に役立つ理由を確認する。(英語)
- Salesforceゼロコピーパートナーネットワークに参加している企業は、こちらとこちら。
- Data Cloudを入手して、データにもとづいてアクションを開始する。