DX人材とは?必要なスキル・育成方法
DX人材とは
DX推進において重要な役割を果たすのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)に必要なスキルや適正を持つDX人材です。マネージャーやデザイナー・エンジニアなど複数の職種が含まれていて、デジタルビジネスやデジタル化・ツールなどに精通している人材が協力し合ってDX推進に取り組んでいきます。
そもそもDXとは、日本語で「デジタルによる変革」という意味で、デジタルをビジネスに取り入れて改善させていくための概念を指します。業務の部分的デジタル化を行う、デジタイゼーションやデジタライゼーションと似ていますが、DXは組織や事業などを根本的にデジタル化し、顧客起点の価値創出を目的としている点で異なっています。
そのため、DXの実施には、DXの基本的概念や目的を見据えた行動などが求められます。正しいDXを推進するには、適切な技術や知識を持ったDX人材が必要なのです。
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DX人材の役割
DX人材は、業務レベルのDX化だけではなく、組織のDX化をリードするリーダーとしての役割も持ちます。DXは社内の部署を横断して進める必要があるため、部署に関係なくDX化を取りまとめられる人材が求められます。
そのため、単にデジタル技術だけでなく、各部署の業務内容に関する知識や、部署間の調整を行うコミュニケーション能力も重視されます。DX人材を選ぶときは、技術だけでなく、広い視野やコミュニケーション能力なども兼ね備えた人物を選出しましょう。
DX人材は不足している
日本のDX化を取り巻く現状は、DX推進が叫ばれている一方で、多くの企業においてDX人材が不足しています。総務省による「令和3年版情報通信白書」によると、デジタルトランスフォーメーションの課題を問う質問に、全体の53.1%が「人材不足」と回答しています。これは、比較データのアメリカ・ドイツより大幅に高い数値です。
なお、その他の回答項目ではアメリカ・ドイツと比較しても、そこまで大きな差は付いていません。この点からも、日本のDX人材不足は特筆すべき課題と言えるでしょう。
DX人材が担う7つの職種と必要なスキル
情報処理推進機構(IPA)は、 “デジタルビジネス推進企業が保有しようとする傾向が見られる人材”として以下7種類の職種を挙げています。
1)プロダクトマネージャー
2)ビジネスデザイナー
3)テックリード(エンジニアリングマネージャー、 アーキテクト)
4)データサイエンティスト
5)先端技術エンジニア
6)UI/UXデザイナー
7)エンジニア/プログラマ
1)プロダクトマネージャー
2)ビジネスデザイナー
3)テックリード(エンジニアリングマネージャー、 アーキテクト)
4)データサイエンティスト
5)先端技術エンジニア
6)UI/UXデザイナー
7)エンジニア/プログラマ
DX人材に必要な適正・マインド
DX人材の選定は、技術だけでなくマインド面の適正を判断することも求められます。情報処理推進機構(IPA)の「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態」によれば、DXに対応する適正因子として以下の6種類が仮説付けされています。
1)不確実な未来への創造力
2)臨機応変/柔軟な対応力
3)社外や異種の巻き込み力
4)失敗したときの姿勢/思考
5)モチベーション/意味づけする力
6)いざというときの自身の突破力
これらの適正因子はすべて均一に求められるわけではなく、職種や所属する組織の風土・文化などにより強弱が付きます。
人材タイプ別の重要因子
6種類の適正因子を職種別に見ると、職種によって求められるマインドに差があることが分かります。プロダクトマネージャーやビジネスデザイナーといったコミュニケーションが重要な職種は、「不確実な未来への想像力」や「社外や異種の巻き込み力」が高い傾向にあります。
一方、UI/UXデザイナーやエンジニア/プログラマといった専門技術が必要な職種では、「臨機応変/柔軟な対応力」が高い傾向にあります。DX人材のマインドを図るときは、すべての適性を求めるのではなく、職種ごとに必要な適性を備えているかの判断が重要と言えるでしょう。
DX人材を獲得するには
DX人材を確保する方法は大きく2つあります。1つは「中途採用」、もう1つは「社内育成」です。
どちらを選ぶかは社内の人材状況によって決定しますが、前提として自社におけるDX化の道筋に適していることが求められます。それぞれの方法についてポイントを解説します。
DX人材の採用
中途採用は、社内の状況に関係なく人材を確保できる方法です。ただ、DX人材は需要の高まりにより採用が難しくなっているため、十分な時間とコストを確保して臨みましょう。また、そのほかにも、以下の点に注意が必要です。
- 求める役割やポジションが明確化されているか
- 報酬・就労環境等の待遇は十分か
- 人材受け入れの体制は整っているか
- 人材に求めるポジションと適性が整合しているか
など
中途採用の大きなメリットは、自社が抱えている課題に合わせて人材を確保できることです。また、DXに精通した人材を確保できれば、採用した社員を中心として社内のDX教育に取り組むこともできるでしょう。
DX人材の育成
DX人材を社内で育成するには、以下のような方法があります。
- 社外講師による講座や講演
- OJT
- 社外ネットワークの構築
など
DX人材の育成には、前提としてDX人材に育つ見込みのある社員が必要です。デジタル関係に明るいことを基本要素として、目指すポジションとマインドの適正も見ておくとよいでしょう。
また、社内で育成するメリットとして、人材育成のノウハウを獲得できることもあります。DX人材は継続的に必要となるだけに、社内で人材創出の基盤を作り、継続的なDX人材の創出につなげましょう。
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DXを成功させるために
DX人材は、DXを成功させるためのキーパーソンです。その人材には技術だけでなく、コミュニケーション能力やマインド適正なども求められます。DX推進に必要な要素を、総合的に判断して登用しましょう。
DXに組織全体で取り組むには、適切なツールも必要です。DX人材のマンパワーだけに頼らず、組織内で技術やノウハウを共有する仕組みを作り、DXをよりスムーズに推進させましょう。