DX人材とは?必要なスキル・育成方法

 
2022.12.22
DX人材とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を担う人材の総称で、DXに必要とされるスキルや知識、適正を備えた人材を指します。DX人材が担う7つのポジションに必要なスキルやマインド、そしてDX人材の獲得方法をまとめました。

DX人材とは

DX推進において重要な役割を果たすのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)に必要なスキルや適正を持つDX人材です。マネージャーやデザイナー・エンジニアなど複数の職種が含まれていて、デジタルビジネスやデジタル化・ツールなどに精通している人材が協力し合ってDX推進に取り組んでいきます。

そもそもDXとは、日本語で「デジタルによる変革」という意味で、デジタルをビジネスに取り入れて改善させていくための概念を指します。業務の部分的デジタル化を行う、デジタイゼーションやデジタライゼーションと似ていますが、DXは組織や事業などを根本的にデジタル化し、顧客起点の価値創出を目的としている点で異なっています。

そのため、DXの実施には、DXの基本的概念や目的を見据えた行動などが求められます。正しいDXを推進するには、適切な技術や知識を持ったDX人材が必要なのです。

DX人材の役割

DX人材は、業務レベルのDX化だけではなく、組織のDX化をリードするリーダーとしての役割も持ちます。DXは社内の部署を横断して進める必要があるため、部署に関係なくDX化を取りまとめられる人材が求められます。

そのため、単にデジタル技術だけでなく、各部署の業務内容に関する知識や、部署間の調整を行うコミュニケーション能力も重視されます。DX人材を選ぶときは、技術だけでなく、広い視野やコミュニケーション能力なども兼ね備えた人物を選出しましょう。

 
 
 
 
 
デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する組織の作り方
企業が必要とするデジタルトランスフォーメーションを実現する組織作りのために、従業員にどのように動いてもらえば良いのかを説明します。優れた顧客体験を生み出す組織作りについてご確認ください。

DX人材は不足している

日本のDX化を取り巻く現状は、DX推進が叫ばれている一方で、多くの企業においてDX人材が不足しています。総務省による「令和3年版情報通信白書」によると、デジタルトランスフォーメーションの課題を問う質問に、全体の53.1%が「人材不足」と回答しています。これは、比較データのアメリカ・ドイツより大幅に高い数値です。

なお、その他の回答項目ではアメリカ・ドイツと比較しても、そこまで大きな差は付いていません。この点からも、日本のDX人材不足は特筆すべき課題と言えるでしょう。

DX人材が担う7つの職種と必要なスキル

情報処理推進機構(IPA)は、 “デジタルビジネス推進企業が保有しようとする傾向が見られる人材”として以下7種類の職種を挙げています。

1)プロダクトマネージャー
2)ビジネスデザイナー
3)テックリード(エンジニアリングマネージャー、 アーキテクト)
4)データサイエンティスト
5)先端技術エンジニア
6)UI/UXデザイナー
7)エンジニア/プログラマ

重要度はDXを行う企業タイプによって異なりますが、いずれもDX推進に必要な職種です。各職種について、詳しく見ていきましょう。

1)プロダクトマネージャー

プロダクトマネージャーとは、DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格となる職種です。DX推進の中核を担う職種なので、管理職や事業のエースから登用されるケースが多いです。DX推進の軸となるビジョンの提唱や、そのための課題設定力・行動力、幅広いデジタルビジネスへの知識などが求められる能力として挙げられます。

2)ビジネスデザイナー

ビジネスデザイナーとは、DXやデジタルビジネスの企画・推進などを行う職種です。ビジネスデザイナーには、DXに関連する技術力のほか、ビジネスの知識も強く求められます。また、ビジネスを開拓するチャレンジ精神や自発性も必要です。

3)テックリード(エンジニアリングマネージャー、 アーキテクト)

テックリード(エンジニアリングマネージャー、 アーキテクト)とは、DXやデジタルビジネスの設計から実装までを担当できる職種です。実務的な作業が多くなるので、高い技術力を持った人材が登用されます。社内に適性のある人物が見つからない場合、新規採用で人材を確保するケースも多いです。

4)データサイエンティスト

データサイエンティストとは、データの解析・分析を専門とする職種です。DXの効果を分析するときだけでなく、DX化後に蓄積されるデジタルデータを活用するためにも重要な働きをします。専門性が高い職種だけに、社内で人材を育成するほか、新入社員で採用するケースもあります。

5)先端技術エンジニア

先端技術エンジニアとは、AIやブロックチェーン技術といった最新デジタル技術に精通した職種です。デジタル業界は技術の入れ替わりが早く、業務がデジタル中心で進むDX化後に、とくに必要とされる人材となります。人材確保の難易度が高いこともあり、社内に必要な技術を持った人材がいなければ、外部連携で確保するのが現実的です。

6)UI/UXデザイナー

UI/UXデザイナーとは、デジタル関連のユーザー向けデザインを担当する職種です。UI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)は、デジタルとユーザーの接点であり、設計次第でデジタル環境の使い勝手が大きく異なるだけに、ユーザーとの接点が多い企業ではとくに重要度が高くなります。専門性の高い職種なので、人材は外部連携で確保するケースも多いです。

7)エンジニア/プログラマ

エンジニア/プログラマとは、DXに必要なシステムやインフラ環境などの実装・保守を行う職種です。DX環境の根底部分を担当するため、確かな技術力やトラブル対応力などが求められます。人材の確保は、SIer(システムインテグレーター)という、システム開発や運用を専門とする事業者に依頼することが多いです。

DX人材に必要な適正・マインド

DX人材の選定は、技術だけでなくマインド面の適正を判断することも求められます。情報処理推進機構(IPA)の「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態」によれば、DXに対応する適正因子として以下の6種類が仮説付けされています。

1)不確実な未来への創造力
2)臨機応変/柔軟な対応力
3)社外や異種の巻き込み力
4)失敗したときの姿勢/思考
5)モチベーション/意味づけする力
6)いざというときの自身の突破力

これらの適正因子はすべて均一に求められるわけではなく、職種や所属する組織の風土・文化などにより強弱が付きます。

人材タイプ別の重要因子

6種類の適正因子を職種別に見ると、職種によって求められるマインドに差があることが分かります。プロダクトマネージャーやビジネスデザイナーといったコミュニケーションが重要な職種は、「不確実な未来への想像力」や「社外や異種の巻き込み力」が高い傾向にあります。

一方、UI/UXデザイナーやエンジニア/プログラマといった専門技術が必要な職種では、「臨機応変/柔軟な対応力」が高い傾向にあります。DX人材のマインドを図るときは、すべての適性を求めるのではなく、職種ごとに必要な適性を備えているかの判断が重要と言えるでしょう。

DX人材を獲得するには

DX人材を確保する方法は大きく2つあります。1つは「中途採用」、もう1つは「社内育成」です。

どちらを選ぶかは社内の人材状況によって決定しますが、前提として自社におけるDX化の道筋に適していることが求められます。それぞれの方法についてポイントを解説します。

DX人材の採用

中途採用は、社内の状況に関係なく人材を確保できる方法です。ただ、DX人材は需要の高まりにより採用が難しくなっているため、十分な時間とコストを確保して臨みましょう。また、そのほかにも、以下の点に注意が必要です。

  • 求める役割やポジションが明確化されているか
  • 報酬・就労環境等の待遇は十分か
  • 人材受け入れの体制は整っているか
  • 人材に求めるポジションと適性が整合しているか
    など

中途採用の大きなメリットは、自社が抱えている課題に合わせて人材を確保できることです。また、DXに精通した人材を確保できれば、採用した社員を中心として社内のDX教育に取り組むこともできるでしょう。

DX人材の育成

DX人材を社内で育成するには、以下のような方法があります。

  • 社外講師による講座や講演
  • OJT
  • 社外ネットワークの構築

など

DX人材の育成には、前提としてDX人材に育つ見込みのある社員が必要です。デジタル関係に明るいことを基本要素として、目指すポジションとマインドの適正も見ておくとよいでしょう。

また、社内で育成するメリットとして、人材育成のノウハウを獲得できることもあります。DX人材は継続的に必要となるだけに、社内で人材創出の基盤を作り、継続的なDX人材の創出につなげましょう。

 
 
 
 
 
デジタルトランスフォーメーションへの取り組み
変革を成功させている企業が取り入れている5つのトレンド
本ebookでは、数多くのデジタルトランスフォーメーションへの取り組みを見てきたSalesforceが、道を切り拓いた進歩的な企業が実践している5つのトレンドについてご紹介します。

DXを成功させるために

DX人材は、DXを成功させるためのキーパーソンです。その人材には技術だけでなく、コミュニケーション能力やマインド適正なども求められます。DX推進に必要な要素を、総合的に判断して登用しましょう。

DXに組織全体で取り組むには、適切なツールも必要です。DX人材のマンパワーだけに頼らず、組織内で技術やノウハウを共有する仕組みを作り、DXをよりスムーズに推進させましょう。

 

関連記事・リソース

 
eBook
企業のお悩みを部門別に処方!中小事業者 困ったときのDX事典
Article
中小企業のDX導入 完全ガイド(事例付き)
 
 

最新情報と斬新なアイデアを
メールでお届けします