グリーントランスフォーメーション(GX)とは?わかりやすい取り組み事例を解説

 
2023.5.9
グリーントランスフォーメーション(GX)とは、気候変動の主な要因となっている温室効果ガスの排出量の削減と経済成長の両立を実現するため、経済社会システムの変革を目指す取り組みです。カーボンニュートラルやDXとの関係から、企業がGXを推進する重要性、取り組み事例までご紹介します。

グリーントランスフォーメーション(GX)とは

グリーントランスフォーメーション(GX)とは、地球環境を健全に保つことを目的に、経済・社会・産業構造を化石燃料中心からクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システムの変革を目指す取り組みです。

この動きは国や企業、個人などさまざまな単位で行われていますが、企業による取り組みの重要性は近年注目を集めています。国内外を問わず、エネルギー関連から金融まで幅広い分野の企業が、このGXに取り組んでいます。

カーボンニュートラルとの違い

カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、排出量をプラスマイナスゼロにすることを意味します。全体を対象としたエネルギー転換に取り組むカーボンニュートラルは、GXの基盤となる施策のひとつといえるでしょう。

デジタルトランスフォーメーション(DX)との関係

GXとDXは似た言葉ですが、どのような関連があるのでしょうか。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術の活用により、人々の生活をより良くするための変革です。たとえば、企業における資料のペーパーレス化やテレワークの推進、マーケティング活動のデジタル化などが該当します。

DXの取り組みのなかには、GXに貢献する部分も多く存在します。たとえば、デジタル活用による省エネルギー化や省資源化です。ペーパーレス化は資源の節約につながり、テレワークの推進は移動に必要な燃料の減少や、オフィスの小規模化による省電力化などに効果的です。

そして、GXの実現のためにDXを活用し、環境データを収集・分析・報告して、データ・ドリブンに環境領域の取り組みを進めていくことが重要です。

 
 
 
 
 
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GXが注目されている理由

GXが注目されている理由は、おもに以下の3点です。

  1. 環境問題に対する意識の高まり
  2. 国際情勢の変化
  3. 政府の重点投資分野の一つに指定

グローバル化が進む現代社会では、SDGsへの関心の高まりからも分かるように、国や地域といった枠組みを超えて、世界各国が環境問題に取り組み、世界的に地球環境を保全しようという考えが一般化してきているのです。ここでは、その考えのベースにある環境問題を含め、GXを加速させている3つの理由を解説します。

1)環境問題に対する意識の高まり

GXが推進される根底には、「環境問題への意識の高まり」があります。地球規模で起こっている地球温暖化や生物多様性の喪失といった深刻な環境問題を認識し、スピード感を持って具体的にアクションに取り組んでいこうという機運が高まってきています。

健全な経済の発展には安定した環境が不可欠であり、また、持続可能な資源の獲得も重要です。地球という限りある資源を枯渇させないためにも、GXを含めた環境対策が盛んに叫ばれているのです。

2)国際情勢の変化

GX推進を加速させた国際的な動きの1つが、中国とアメリカの姿勢の変化です。両国は世界におけるCO2排出量第1位と第2位の国にもかかわらず、かつては経済優先の姿勢を見せていました。しかし、近年はその姿勢を変え、GXに協力的になっています。

両国の姿勢は、他国の取り組み姿勢にも影響をおよぼしています。2019年時点において、両国のCO2排出量を合わせたものは、3~10位の国の合計CO2排出量よりも多い状態です。GXの成功は、両国の姿勢にかかっていると言っても過言ではありません。そのため、中国とアメリカ以外の国からすれば、両国の姿勢は自国のモチベーションに直結する要素なのです。

3)政府の重点投資分野の一つに指定

日本国内では、2022年6月に政府が発表した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ」において、重点投資分野の1つとしてGXへの投資が掲げられています。

2050年にカーボンニュートラル実現を掲げていて、その背景にはロシア・ウクライナ問題に端を発した自国の資源・エネルギー問題の解決も組み込まれています。自動車や住宅・建築物、カーボンリサイクルなど、複数の分野ごとに具体的な方向性や目標が定められていて、日本社会全体の動きを後押しする指針となっています。

政府の取り組み「GXリーグ」とは

「GXリーグ」とは、GXに取り組む企業がセクターを超えて協働し、経済社会システム全体の変革のための議論と新たな市場の想像のための実践を行う場です。経済産業省が2022年2月に発表、2023年4月以降に本格稼働される予定です。参加企業にはGXに取り組むリーダーシップが求められ、温室効果ガス排出量削減に貢献しつつ、外部から正しく評価されて成長できる社会の実現を目指します。

参加企業には、以下3つの取り組みが求められます。

  • 排出量削減の取り組み
  • サプライチェーンでの炭素中立に向けた取り組み
  • 製品・サービスを通じた市場での取り組み

GXリーグに参加することで、幅広い業種から構成される参画企業とともに新たな市場を想像するためのルール形成をすることなどが可能になります。

 
 
 
 
 
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企業のGX取り組み事例

ここからは、企業のGXの実践例として、本田技研工業株式会社とSalesforceの2社をご紹介します。

それぞれの業界は異なりますが、CO2排出の回避と削減は企業活動の極めて重要な課題です。実際に自社でGXに取り組む際の、参考事例としてご利用ください。

ホンダの取り組み事例

世界的な自動車企業である本田技研工業株式会社(ホンダ)は、2021年4月に「2040年までに世界での新車販売全てを電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)に切り替える」と発表しました。

2040年までとした理由には、2050年を目標としたカーボンニュートラルの達成が背景にあります。同社では自動車の保有期間を10年と見込んでいて、2050年の10年前である2040年を目標としました。具体的な達成方法としては、EV車を中心としながら、水素とCO2の合成燃料「e-fuel(イーフュエル)」のような新技術の活用も検討し、さまざまな手法を組み合わせて目標を達成する姿勢を見せています。

Salesforceの取り組み事例

Salesforceでは2021年に、バリューチェーン全体における温室効果ガスの残余排出量のネットゼロと、電力使用量に相当する再生可能エネルギーの調達を通じて世界全体の事業活動で再生可能エネルギー化100%を達成しています。

また、同社では顧客企業のネットゼロ達成に向けた支援にも取り組んでいて、温室効果ガス排出量を追跡・把握し、サステナビリティの取り組みを加速するためのソリューション「Net Zero Cloud」を国内でも展開し、顧客企業への導入を進めています。気候変動を「地球上でもっとも差し迫った危機のひとつ」と位置づけ、GXを積極的に推進しています。

GXを実現する方法はさまざまですが、まずは、ツールを用いた温室効果ガスの可視化から始めてみてはいかがでしょうか。正しい評価方法を手に入れることが、GX実現の近道です。

 
 
 
 
 
サステナビリティ
Salesforceは、ネットゼロの企業としてカーボンニュートラルのクラウドを提供し、事業における再生エネルギーの使用率100%を達成しています。また、1t.orgの創設パートナーでもあります。
 

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