仕事におけるチームワークとは?チームワーク向上に必要なこと
「チームワークは重要だ」ということは、ほとんどの人が理解しているでしょう。一方で、チームワークをうまく構築できず、機能不全に陥っているチームは数多く存在します。
ここでは、チームワークがあることによるメリットや、理想のチームワークを構築するためのポイントなど、仕事におけるチームワークについて解説します。
仕事におけるチームワークとは、目標達成のためチーム一丸となって協力し合うこと
「チームワークとは何か?」という質問に対して、皆さんはどのように答えるでしょうか。「自分の役割をきちんと果たす」「チームメイトと連携する」。いずれも間違いではないでしょう。 野球やサッカーなどの団体スポーツでは、こうした姿勢は確かに重要です。しかし、仕事で考えた場合、より具体的な定義づけが必要となります。
仕事においては多くの場合、目標が設定されます。それは、成約数、売上などの具体的な数値であったり、「業務効率化」「生産性の向上」といったスローガンのような目標設定であったり…。こうした目標を達成するために必要なさまざまな作業を、メンバー全員が協力し合うことで達成する。それが、仕事におけるチームワークといえます。
また、他部門との協力・連携もチームワークのひとつです。マーケティングと営業、カスタマーサポートが情報共有し連携すれば、効率の良い案件化と、手厚い顧客サービスが実現します。メーカーであれば、生産部門とも連携すれば、顧客からの急な注文にも、即座に「今は在庫がありませんが、◯日までには間違いなくお届けできます」など、正確な対応ができるでしょう。 顧客満足の向上、それによる売上拡大といった目標を設定している場合には、こうしたチームワークは不可欠のものとなります。
仕事におけるチームワークの向上が注目されている理由
なぜ、チームワークが注目されているのでしょうか。
理由のひとつとして、業務が高度化し、個人のスキルや1つの部門だけでは、問題解決できないケースが増えていること。2つ目の理由は、ビジネスサイクルが短期化し、市場の変化に合わせて新たな価値を次々に生み出さなくてはならなくなったこと。さらに、ビジネスのグローバル化が進行しているために、多種多様な知識やスキルを持つチームの存在価値が高まってきたこと。
こうした理由から、ここ数年、チームワークが改めて注目を集めるようになったというわけです。
仕事におけるチームワークが悪いと起きる失敗
モチベーションが低下する
目標達成までの期間が長くなる
仕事におけるチームワーク向上のメリットとは?
チームワークがうまく機能すると、個人では実現できない多くのメリットを生み出すことができます。そのいずれもが業務効率を高め、メンバー個人の能力を引き出し、成果へと結びつけることができるものです。
チームワークがもたらすおもなメリットを3つ挙げておきましょう。
メンバー間での相互補完ができる
チームメンバーはそれぞれ、長所もあれば短所もあります。スキルや能力にも違いがあるでしょう。そのため、個人で業務にあたるとなると、どうしても「得手不得手」という偏りができてしまいます。得意な業務では力を発揮してくれますが、そうでない業務では作業効率が悪くなり、成果に結びつけることが難しくなります。
しかし、チームがうまく機能しているならば、メンバーがお互いの短所を相互補完することができます。それぞれ違ったスキル、異なる得意分野を持つメンバーが集まれば、限られた時間内で多様な作業に対応することができ、生産性も高めることができます。その結果、個人では成し遂げられない大きな成果を得ることができるのです。
刺激を与え合うことで変化が生まれる
考え方や価値観、発想の仕方などは、人それぞれ異なります。こうした違いは、チーム内に良い刺激を与えてくれます。
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがありますが、自分とは違う経験、違う価値観、違う発想を持つメンバーが集まると、自分1人では思いも寄らないアイデアが浮かんでくることがあります。そして、それをベースにしてさらに発想を広げ、実現可能なすばらしいプランへと育てていくこともできるのです。
このような、背景が異なるメンバー同士の相互作用は、チームワークの大きなメリットといえるでしょう。それは、チームに成果をもたらすだけでなく、それぞれのメンバーに刺激と気づきを与え、成長の可能性を広げることでもあるからです。
状況の変化に対応しやすい
個々のメンバーが自主性を発揮しつつ、ほかのメンバーの多様な意見にも耳を傾ける柔軟さを持てば、自分たちをとりまく環境の変化や、目まぐるしく動いていく市場の動向にも、すばやく適応することができます。
特に、市場への適応は重要でしょう。デジタルデバイスの普及で情報の伝達スピードが飛躍的に高まった現在、市場のニーズにすばやく対応できるかどうかは、企業の将来を左右しかねません。その意味でも、業務を効率的かつスピーディに動かしていける、優れたチームの重要性が高まっているのです。
仕事のチームワークを向上させ、理想のチームワークを実現する方法
時として、優れたチームが自然発生的に生まれることがあります。しかし、そんな偶然を待っていては、ビジネスの競争に乗り遅れるばかりです。
理想のチームワークを実現するためにはどうすればいいかを考えてみましょう。
目標と情報を共有する
新たにチームを構築する際、最初に必要なのが目標設定です。チームは、同じ目標に向かって力を合わせる存在ですから、メンバー全員の能力を集約させる目標を明確にすることです。
また、そのためには情報の共有も必要です。チームは、個々のメンバーの行動が別のメンバーに作用し、チームとしての業務を進行させていきます。ですから、各メンバーが持っている情報はすべて共有し、メンバーとチーム全体がどのような状況にあるかを常に把握できるようにしておくことが大切です。
自発性と協調性を尊重する
チームワークは、個々のメンバーの能力を活かし、さらに引き出す効果を持ちます。その効果を最大限に引き出すには、リーダーや上長からの押しつけは好ましくありません。ですから、理想的なチームワークを実現するには、自発的に発言・行動でき、メンバーそれぞれが協調して業務にあたれる空気を作っておくことです。
誰かの指示を受けて行動することが常態化すると、指示待ち型の組織になってしまいます。これでは、せっかくのチームの良さを活かすことができません。目標をしっかり共有した上で、そこに至る手法については、メンバーそれぞれの自主性に任せることが重要です。
メンバーごとに異なる役割を持たせる
チームを新たに構成する場合、各メンバーが持つスキルや得意分野が重ならないよう配慮することが大切です。これは、相互補完というチームワークのメリットを活かすことにつながるのですが、メンバー間の競争を避けるという意味合いもあります。
得意分野が重なるメンバーがチーム内に増えると、どうしてもそこに競争心が生まれます。それが良い方向に向かえば、特定の能力に特化したチームを作ることもできますが、競争が対立になってしまうと、チームが機能不全に陥る危険もあります。
メンバー選考では、そうした点に慎重な配慮が必要ですし、業務進行中にメンバー間での対立が見られたら、各自の役割や人材配置の見直しなどを早急に行うべきでしょう。
各自のパフォーマンスを平均化しておく
スキルや得意分野とは異なり、各自の能力値についてはできるだけ同じレベルにそろえておくようにしましょう。
チーム内に突出して優秀なメンバーがいると、重要な業務がそこに集中し、作業負荷が過剰になりがちです。業務量の均等配分という点で問題ですし、その状況が長引けば、本人のモチベーションにも悪影響を与えます。反対に、能力値が低いメンバーはなかなか活躍の機会が得られず、自信を失ったり無力感に襲われたりということも起こります。いずれにしても、決して良いことではありません。
活発なコミュニケーションを交わす
社会人の基本中の基本である「報告・連絡・相談」は、チームワークにおいても重要です。
チームワークは、メンバーそれぞれが自分の役割を十分に果たしていくことで成立します。かといって、「自分の仕事だけしていればいい」というわけではありません。ほかのメンバーの状況を知っておき、チーム内でのサポートやフォローを重ねていくことで、業務をスムーズに進めることができます。
ですから、メンバー間では常に活発なコミュニケーションをとっておくことです。お互い気軽に話し合える環境があれば、意見や相談もしやすいもの。それが、エラーやミスのカバーにつながり、スムーズな業務進行を助けてくれます。
リーダーシップとフォロワーシップが重要
優秀なメンバーが集まればなおのこと、リーダーの存在は大きくなります。個々のメンバーの自主性を尊重し、個性を活かし、目標に向かってチームを動かすには、強いリーダーシップが必要です。メンバーが存分に力を発揮できる環境を整備するとともに、常に正しく状況をとらえ、判断する冷静さも求められます。
また、各メンバーはそれぞれの視点から意見を述べ、時にチーム内で議論を重ねつつも、最終的な決定事項には従って責務を果たす、フォロワーシップを持つべきです。
こうした各メンバーの真摯な姿勢がチームをより強くし、大きな成果へと導いてくれるのです。
常に理想的な状態に保ち、さらに洗練されたチームに
1人の人間ができることは、あまり多くありません。能力にも限界があります。しかし、チームがまとまれば、人数分以上の成果を上げることも可能です。それには、リーダーがチーム内を冷静に観察し、常に理想的な状態に保っておくことです。
そして、より長い目でチームを見守り、より優れたものへと磨き上げていくことも必要となるでしょう。