CRM分析とは?顧客分析が必要な理由や代表的な分析手法を解説
営業プロセスにおけるCRMの効果の高さが広く理解されるようになりました。一方で、CRMに蓄積したデータを分析し、活用できているかどうかについては、まだ企業ごとにかなりの差があるようです。
データを蓄積するだけで、その内容を分析できなければ、せっかくCRMを導入した意味が薄れてしまいます。ここでは、顧客との関係の分析が必要とされる理由や、その代表的な方法についてご紹介します。
CRM分析は顧客との関係を分析する手法
CRM(Customer Relationship Management)は日本語では顧客関係管理と訳され、一般的に顧客との関係を管理するためのシステムを指します。このCRMを活用し、顧客との関係を分析する手法をCRM分析と呼びます。
企業にとって顧客と良好な関係を作り、それを長期にわたって維持することは重要です。それを実現するためには、顧客情報や、自社と顧客とのコミュニケーションに関する情報を管理する必要があります。一見のお客さんにお得意さんになってもらい、末永くひいきにしてもらうための分析手法、それがCRM分析です。
CRMによる顧客分析が必要な3つの理由
CRMによる顧客の分析が必要とされるのには、3つの理由があります。それぞれについて解説します。
【顧客分析が必要な理由】
- 売上の向上につながる
- 顧客ロイヤリティー向上に貢献する
- LTV(顧客生涯価値)向上につながる
売上の向上につながる
顧客ロイヤリティー向上に貢献する
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LTV(顧客生涯価値)向上につながる
代表的な5つの顧客分析手法
CRMでの顧客分析でよく用いられている代表的な5つの手法について解説します。それぞれ特徴があるため、業種や業態に応じて使い分けていくといいでしょう。
【顧客分析手法】
- デシル分析
- LTV分析
- RFM分析
- CTB分析
- PB分析
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デシル分析
デシル分析は注力すべき顧客をグループ化する分析手法です。まず、すべての顧客を、一定期間内の購買金額が高い順に並べます。次に上位から10分の1ずつ、10のグループに切り分けます。つまり、すべての顧客を購入額の高い順に、10のグループに分類するのです。
そして、それぞれのグループの合計購買金額を出し、それが全体の何%にあたるかを算出します。こうすると「上位何%の顧客が、全体の何%の売上を占めているか」が明確になり、あとはどのグループにどのような施策を打つべきかをプランニングすることになります。
ベーシックで簡単な分析法ですが、購買日が分析要素に入っていないため、分析対象期間の設定には考慮が必要です。
LTV分析
LTV分析は顧客が取引を始めてから、終わるまでの期間にもたらす利益の総額を分析する手法です。LTVの高い顧客は、自社に多くの価値をもたらしてくれる優良顧客です。LTV分析は、その優良顧客がどれほどいるのか、またどれほどの価値を自社にもたらしてくれているかを明らかにし、それ以外のグループとともに、それぞれどのような施策を打つかを検討する際の分析手法です。
また、この分析法を使って、優良顧客が最も多く流入してくるルートを見極めることができます。各種のキャンペーンや広告、プロモーションなどが、顧客の自社製品へのアクセスルートです。それぞれのルートで流入した顧客のLTVを比較することで、各施策の効果を検証でき、それにもとづいて予算配分を調整すれば、限られた予算を有効に活用することができます。
RFM分析
RFM分析は、顧客の行動履歴を「R(直近の購買日)」「F(購買頻度)」「M(購買金額)」の3つの軸でマッピングし、グループ化する分析法です。Rが最近であるほど、Fが高いほど、Mが高いほど、優良顧客として位置づけられます。RFMそれぞれの軸を持つ立方体の中に、分析結果が3次元的にマッピングされるイメージです。
RFM分析は、デシル分析と同様に簡単な分析手法ですが、購買日が要素に加わることで、より詳しい分析ができます。一方で、まだ購買のない見込み顧客の分析に使うことはできません。
CTB分析
CTB分析は、自社で扱うすべての商品それぞれを「C(カテゴリー)」「T(テイスト)」「B(ブランド)」で分類し、過去の購入履歴から、現在そして今後の顧客の購買動向を探り出す手法です。分析難度が高い半面、顧客の購買行動をより精密に予測することができます。多種多様な商品を扱う小売店やスーパーなどに向いた手法といえるでしょう。
CTB分析をPOSレジシステムと連動させれば、顧客全体の購買傾向から、在庫管理や生産管理に結びつけることができます。既存のPOSシステムだけでは、個人の購買履歴を追跡できませんが、アプリの活用などで、オンライン・オフラインも含めた顧客情報を連携することで、完全なOne to Oneマーケティングも実現可能になります。
PB分析
PB分析は、顧客を購入価格で分類する手法で、アパレル業界で広く使われる分析手法です。アパレルでは、年に何度かバーゲン期があり、このバーゲン期にしか買わないという顧客層もあります。そこで、すべての顧客の購買情報を、通常時に正規の価格で購入する「P(プロパー)グループ」と、バーゲン期の割引価格で購入する「B(バーゲン)グループ」の2つに分類し、売上全体に対する比率を割り出し、それぞれに適したマーケティング施策を打っていきます。
企業がマーケティング施策を実施する際には、これらのグループごとに施策を検討することが重要です。極端な値引きはブランドイメージを損なうことになりますが、Bグループに絞って実施すればイメージを維持でき、在庫ロスの軽減にもつながります。
顧客分析の際の3つのポイント
- 分析の目的・課題を明確にする
- 複数の要素を掛け合わせて分析する
- EPRの導入を検討する
これらの手法での分析を実践するには、意識しておきたいポイントがあります。これから解説するポイントを押さえておけば、より正確な分析が可能になり、適切なマーケティング施策へとつなげることができます。
分析の目的・課題を明確にする
顧客分析の際のポイントは、その分析の目的・課題を明確にすることです。売上の向上はもちろんですが、そのために何をしたいのか、どのような課題を解決したいのかという部分を明確にしておく必要があります。たとえば、新規顧客を増やしたいのか、あるいはリピーターを厚くしたいのか。この違いだけでも、どのデータを対象に、どのような方法で分析すべきかが違ってくるでしょう。
いずれにしても、CRMに蓄積されたデータから自社の顧客の状況を明らかにして、現状からどこを伸ばしたいのかを決めておくことが重要です。そうすれば、どのような施策が適切か、自ずと明らかになるでしょう。
複数の要素を掛け合わせて分析する
複数の要素を掛け合わせて分析することも、顧客分析のポイントのひとつです。CRMには、顧客に関する幅広い情報が蓄積されています。その中から、どのデータをどう組み合わせるかが重要で、目的に沿って大きな視点から小さな視点へと移行していくことで、必要なデータが見えてきます。
まず、基本となる顧客の属性情報が必要です。次に、分析の目的がリピーターの増加なら、顧客の購買パターンとマーケティング施策に対する顧客の反応のデータが必要となります。つまり、どのような顧客が、どのような施策に反応して、どのような購買行動に至ったかという道筋を明らかにするのです。
EPRの導入を検討する
CRM分析の効果をツールを活用して高めよう
これまで、販売やセールスという業務は、勘や経験則に頼る部分が大きいものでした。しかし、CRMを活用して顧客を分析することで、データという根拠にもとづく、ロジカルなマーケティングとセールスが可能になります。
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