顧客満足度とは?4つの評価指標やKPI、調査方法や成功事例を解説

 
最終更新日:2025.3.4

顧客に自社の製品やサービスを繰り返し選んでもらうためには、顧客満足度を向上させることが大切です。顧客満足度を高めていけば、リピーターが増えてファン化につながり、売上の向上も期待できます。

本記事では、顧客満足度の概要と混同されがちな顧客ロイヤルティとの違い、評価するための4つの指標を解説します。

顧客満足度向上のための施策や成功事例も紹介していますので、ぜひ参考にして自社の施策に取り入れてみてください。

 
 
 
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顧客満足度とは?【企業への満足感を数値化した指標】

 

顧客満足度とは、提供された製品・サービスについて、顧客がどの程度の満足感を持っているかを数値化した指標のことです。顧客の満足感は数値化しにくく、顧客が製品・サービスからどのような恩恵やメリットを得て、どのような点に満足しているかは、測りにくいといえます。

また、満足しているかどうかは顧客の主観によるため、顧客自身もなぜそう感じたか、理由をはっきりと自覚していないことがほとんどです。こうした定性的な情報を、客観的に分析しやすい定量的な数値に置き換えた指標が、顧客満足度です。

顧客満足度と顧客ロイヤルティの違い

顧客満足度が顧客の現在の満足度をあらわすのに対し、顧客ロイヤルティは企業や製品・サービスに対する顧客の愛着や信頼を指します。両者の違いを理解したうえで、自社にとって重要と考えられる指標を活用することが重要です。

顧客満足度と顧客ロイヤルティの違いは、以下のとおりです。

 
  顧客満足度 顧客ロイヤリティ
目的 ・顧客の満足を得る
・顧客の不満をなくす
・顧客から愛着や信頼を得る
・ファンを増やす
評価対象 製品・サービスを評価する 優れた顧客体験を重視する
目線 企業目線で計測する 顧客目線で計測する
取り組み 担当部署が不満の改善に取り組む 全社でファンを増やすために取り組む

顧客満足度と顧客ロイヤリティはよく混同され意味合いも似ていますが、製品・サービスを評価するか顧客体験を重視するかに違いがあります。どちらも企業の売上アップに欠かせない要素であるため、正しく理解し日々の業務に落とし込むことが大切です。

顧客ロイヤルティやロイヤルティマネジメントについて理解を深めたい方は、以下の記事も参考にしてみましょう。

顧客満足度が指標として重要な理由

顧客満足度が重要な理由は、顧客に自社の製品やサービスを選んでもらい、売上を向上させるためです。多くの製品やサービスと競合する環境下で、顧客に選ばれる存在となるには、購入前から購入後まで顧客とのつながりを構築することが大切であり、顧客満足度が重要な要素となります。

顧客満足度を高めるためには、顧客の購買行動を理解する必要がありますが、インターネットの発達によって購買行動は大きく変化しました。気になる製品やサービスについて購入前にあらかじめ調査したり、SNSの口コミで興味を持ったりするケースが増えています。

つまり、営業担当者が顧客に対し接点を持ったり、顧客が店頭で製品に触れたりする前から、顧客に選ばれるための勝負ははじまっています。そのため、インターネット上の評価などに影響する、既存顧客の満足度向上が必要なのです。

顧客満足度を向上させられれば、顧客はロイヤルカスタマーとして自社の製品やサービスのファンとなり、企業に長期的な利益をもたらしてくれます。さらに、ロイヤルカスタマーから周囲に製品やサービスが紹介されれば、企業は効率的に新規顧客を得ることも可能です。

顧客満足度を評価する4つの指標

 
顧客満足度を計測する際には、以下のような指標が活用できます。
 
指標 内容
JCSI
顧客満足度・顧客期待・知覚価値・知覚品質・推奨意向・ロイヤルティの6項目について質問し、得点を集計する
CSAT
満足度を5段階か10段階で回答してもらい、回答者全体での満足度を数値化する
CES
顧客のストレスや負担などのネガティブ要素を測定する
NPS
製品を友人や同僚にすすめたいかどうか、10段階で評価してもらい集計する
調査で把握したい内容や調査の継続性、コストなどに合わせて活用する指標を選択しましょう。

JCSI(日本版顧客満足度指数)

JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)は、CS解析理論をベースにして開発された指標で「日本版顧客満足度指数」と呼ばれています。

世界的に活用されているCSI(顧客満足度指数)の5つの評価項目に「推奨意向」を追加した、以下の6項目で構成されています。

 
評価項目 概要
顧客期待
事前のイメージや過去の経験にもとづいて、商品・サービスに対して持っている期待や予想
知覚品質
実際に商品・サービスを利用して感じる品質
顧客満足
商品・サービスに対する総合的な満足度
推奨意向
利用した商品・サービスについて、他者にすすめるかどうかを示したもの
ロイヤルティ
再びその商品・サービスを利用したいかどうかの意向の度合い

これら6項目について、それぞれ3〜4つの質問に対して0〜100点で評価をしてもらい、顧客満足度を指数化します。

参考元:顧客満足度調査(JCSI)|公益財団法人 日本生産性本部

CSAT(顧客満足度スコア)

CSAT(Customer Satisfaction Score)とは、顧客が商品やサービスに対して「どのくらい満足しているか」を評価する指標のことです。

一般的には、アンケートで「この商品・サービスにどの程度満足していますか?」という簡単な質問に対して、5段階または10段階の回答をもとに満足度を測定します。以下は回答の一例です。

  • 非常に満足
  • 満足
  • どちらでもない
  • 不満
  • 非常に不満

調査のなかに自由記述欄を設けることで、顧客のリアルな声を聞き出すことも可能です。

CES(顧客努力指標)

CES(Customer Effort Score)は、顧客が商品やサービスを利用するために要した努力の程度を示した指標で「顧客努力指標」と呼ばれています。

顧客が感じた不満やストレスなど、ネガティブな要素を把握する指標であり、以下のような質問を通して測定します。

  • 商品を購入するためにどの程度努力が必要でしたか?
  • 必要な情報を見つけるときにストレスを感じましたか?
  • サービスの利用手続きはスムーズでしたか?

CESの指標を用いることで、顧客がどの部分で困難に感じているのかを特定でき、問題を解消するための施策を検討しやすくなります。

NPS(ネットプロモータースコア)

NPS(Net Promoter Score)とは、利用した商品・サービスを親しい友人や家族、知人に「どの程度すすめたいか」を示す推奨度のことです。一般的には、顧客に対し「このサービス(商品)をどの程度ほかの人にすすめめたいですか?」という質問を行い、11段階の回答をもとに評価します。

データ集計時は、以下の図のように顧客を3つのカテゴリーに分類してNPSを計算します。

 

<計算式>

NPS = 推奨者の割合(%)- 批判者の割合(%)

NPSは、顧客満足度や顧客ロイヤルティを評価する指標として広く使われている指標です。

NPSの計算方法や活用方法は以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

顧客満足度の評価で設定すべきKPI

 
顧客満足度を正確に評価するためには、KPI(重要業績評価指標)の設定が不可欠です。代表的な5つのKPIについて詳しく解説します。
 
主なKPI 概要
LTV(顧客生涯価値)
顧客がサービス(商品)の利用開始から終了までの期間にもたらす利益の総額
リピート率(継続率)
自社サービス(商品)を継続的に利用している顧客の割合
チャーンレート(解約率)
自社サービス(商品)の利用を中止した顧客の割合
リテンションレート(維持率)
ある期間内において取引関係を維持できた顧客の割合
顧客紹介数
既存顧客が他者に対して、利用しているサービス(商品)を紹介した数

KPIを適切に設定する重要なポイントについては、10分で学べるウェビナーでも解説していますので、以下のリンクから確認してみてください。

▶「10分で学ぶシリーズ〜KPI編〜」のウェビナーを視聴する

以下の記事でも、KPIの設定方法やKGIとの違いを解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

LTV(顧客生涯価値)

LTV(ライフタイムバリュー)とは、顧客が商品・サービスの利用開始から終了までの期間にもたらす利益の総額(顧客生涯価値)のことです。一般的には、以下の計算式で算出できますが、扱う商材によって計算式が異なります。

<計算式>

LTV = 平均購買単価 × 収益率 × 購買頻度 × 継続購買期間

LTVが高い状態は、長期にわたり顧客から安定した利益が得られているため、自社に対する満足度も高いと判断できます。

また、顧客が利用したサービスの関連商品をすすめるといったように、より顧客が求めるものを提供できれば、満足度が高まるのと同時にLTVも向上します。

LTVの重要性や向上させる方法は以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はぜひチェックしてみてください。

リピート率(継続率)

リピート率(継続率)とは、ある期間内において自社サービス(商品)を継続的に利用している顧客の割合のことで、以下の計算式で算出します。

<計算式>

リピート率 = 特定期間内のリピート顧客数 ÷ 特定期間内の新規顧客数 × 100

リピート率が高いほど、顧客はサービス(商品)に対して「使いやすい」「また利用したい」という感情を持ち、満足度も高いと判断できます。

一方でリピート率が低下するような場合は、自社に対してなんらかの不満を抱いている可能性があるため、アンケート調査を通して原因の究明が必要です。

リピート率の計算方法やリピーター率との違いなどは、以下の記事を参考にしてみてください。

チャーンレート(解約率)

チャーンレートとは、ある期間内において自社サービス(商品)の利用を中止した顧客の割合のことで、解約率や退会率などの意味を持ちます。チャーンレートは、ベースとなる要素ごとにいくつか種類があり、代表的なものは以下の2種類です。
 
種類 概要 計算式
カスタマーチャーンレート 顧客数をベースとした解約率 当月の解約顧客数 ÷ 前月末時点の契約顧客数 × 100
レベニューチャーンレート 売上や収益をベースとした解約率 解約に伴って失われた当月の収益 ÷ 前月の月次収益 × 100

サブスクリプション型のビジネスモデルにおいては、短期間での解約も想定されるため、1日・1週間単位でチャーンレートを計測するケースもあります。

チャーンレートの意味や改善のポイントなどは以下の記事で解説しているので、解約に課題を感じている方はぜひ参考にしてみてください。

リテンションレート(維持率)

リテンションレート(維持率)とは、ある期間内において取引関係を維持できた顧客の割合のことで、以下の計算式で算出します。

<計算式>

リテンションレート = (期間終了時の顧客数 - 期間中の新規顧客数)÷ 期間開始時の顧客数 × 100

リテンションレートは、長期間にわたってサービスを利用してもらうことを目的としたKPIで、半年あるいは1年の期間を設定します。そのため、顧客との関係性を長期間維持(リテンションレートが高い)できていれば、顧客満足度も高い状態を保てていると判断できます。

リテンションを防止する方法やリテンションマーケティングの手法などは以下の記事でまとめているので、あわせてチェックしてみましょう。

顧客紹介数

顧客紹介数とは、既存顧客が他者に対して、利用している商品・サービスを紹介した数のことです。「他者へ積極的に紹介する」という状態は、その顧客が企業あるいは商品・サービスに対して愛着を持ち、満足していると考えられます。

顧客紹介数は、アンケート調査やインタビューなどを活用して、以下のような質問をもとに集計・把握します。

  • このサービスを利用したきっかけはなんですか?
  • 最近6ヵ月以内に、当社サービスを他の人に紹介しましたか?
  • 紹介したのは何人ですか?

また、紹介した経験がある顧客に対しては、どのような点に魅力を感じたのかを聞き取ることで、サービスの強みをさらに伸ばすための施策も検討可能です。

 
 
 
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顧客と強く繋がりロイヤルティを強化していくためには、どのような手段をとれば良いのかご紹介します。

顧客満足度を調査する方法

 

顧客満足度を調査する方法は、以下4つです。

  • アンケート調査(インターネットや郵送など)
  • インタビューや座談会
  • リサーチ会社でのモニタリング調査
  • Webサイトでの顧客の行動データ

さまざまな調査方法を組み合わせることで、より深い顧客心理の理解が可能となり、良質なサービスの提供につながります。

アンケート調査(インターネットや郵送など)

広範囲の顧客層からデータを収集するには、インターネットや郵送を活用したアンケート調査が適しています。アンケート調査の利点は、多くの顧客からの意見をすばやく収集し、定量的なデータとして可視化できることです。

また、顧客属性に合わせて質問内容を統一することで、データの傾向やパターンを正確に把握できるうえに、比較や分析もしやすくなります。

質問設計をする際は、簡潔かつ明確な質問文を用いて回答しやすくすることで、アンケートの回答率を高められます。

インタビューや座談会

顧客と直接対話ができるインタビューや座談会は、アンケートのような形式に沿った内容だけではなく、詳細かつ具体的な意見の収集が可能です。

インタビューは、1対1の面談形式で行われ、個別ルームでの対面やチャットを活用した対話など、さまざまな方法があります。一方で座談会は、複数の顧客を集めて討論形式で対話する方法で、ディスカッションを通してあらゆる視点から情報収集できる点が特徴です。

これらの方法は、顧客の深層心理や潜在的なニーズを把握するのに適しています。

リサーチ会社でのモニタリング調査

リサーチ会社が実施しているモニタリング調査は、専門的な知識と調査ツールの活用によって、客観的かつ信頼性の高いデータを収集できます。

モニタリング調査の利点は、定期的な調査で顧客のタイムリーな情報を収集し、過去からの満足度の変化や傾向の把握ができることです。

また、リサーチ会社は各業界の調査データも保有しているため、同業他社との比較分析によって自社の立ち位置も客観的に評価できます。

Webサイトでの顧客の行動データ

Webサイト上での顧客行動を追跡し、閲覧履歴やサービスの利用状況などのデータを用いて、満足度を分析する方法です。具体的には、以下のような視点でデータ分析を行います。

  • どのページで滞在時間が長いか
  • どのコンテンツがもっとも訪問されているか
  • どのようなキーワードでサイトにアクセスされているか

顧客の行動データに加えて、アンケート調査のような定性データを組み合わせることで、より具体的な改善点を見つけやすくなります。顧客分析の手法については、関連コンテンツで詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

顧客満足度向上への具体的な3つの施策

 

顧客満足度を測定し、自社の製品やサービスの状況が明らかとなったら、満足度向上のための施策を実施していきます。ここでは、効果的な施策を3つ紹介します。

  • カスタマーサクセスの導入
  • コミュニティ形成
  • CRM・SFA・MAの導入

それぞれの施策の詳細を見ていきましょう。

カスタマーサクセスの導入

顧客満足度向上のための施策に、顧客の「成功」を支援するためのしくみや部門であるカスタマーサクセスの導入があります。従来のカスタマーサービスやカスタマーサポートといった部門とは、顧客の成功に注目している点が異なります。

カスタマーサクセスの業務範囲は、単純な問い合わせ対応ではなく、顧客が購入した製品やサービスを利用してからメリットや効果を得られるまでのサポートです。つまり、顧客に成功してもらうことが顧客満足度の向上につながり、自社の売上にも貢献するという考え方です。

たとえば、サブスクリプション型のITツールを提供している企業の場合、カスタマーサクセスの施策には、導入支援やセミナー開催などが挙げられます。ユーザーの状況に合わせた施策の提供によって、顧客満足度の向上はもちろん、継続契約やアップセル・クロスセルにもつながります。

カスタマーサクセスやアップセル・クロスセルについては以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

コミュニティ形成

SNSやビジネスチャットツールを活用したコミュニティ形成も、顧客満足度向上のための施策です。企業と顧客のコミュニティを形成できれば、顧客から自社の製品やサービスへのフィードバックを得たり、気づいていなかった利用方法・課題を発見したりすることが可能となります。

顧客同士のコミュニティ形成も重要です。多くの顧客に集まってもらい、顧客同士でコミュニケーションをとる場を設けることで、顧客は同じ製品やサービスを利用する仲間を得られます。企業の枠にとらわれない顧客同士の交流で、自社への帰属意識を育みます。

CRM・SFA・MAの導入

CRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)、MA(マーケティングオートメーション)の導入も、顧客満足度の向上に貢献する施策です。各ツールの概要は以下のとおりです。
 
ツール 内容
CRM
・日本語では「顧客関係管理」と呼ばれている
・顧客との関係性やコミュニケーションを管理し、自社と顧客との関係を一元的に把握することが目的
SFA
・日本語では「営業支援システム」と呼ばれている
・営業メンバーの行動や商談の進捗状況を管理し、営業活動の効率化やフィードバックに役立つ
MA ・マーケティングオートメーションと呼ばれ、マーケティング活動の自動化を意味する概念やツール
・作業の自動化や担当者の判断補助など、マーケティング活動の効率化を中心とする機能

CRMを導入すれば、顧客の購買や問い合わせの履歴などを確認しながら、顧客対応できるため、満足度を向上させられます。

また、CRMに加え、SFAやMAを使うと、さらに効果を発揮します。SFAでは営業活動の記録・可視化、ノウハウの標準化などが可能です。一方、MAでは顧客の興味や属性に合わせたマーケティング施策ができます。

ツールの導入・連携で、部署間での共有や施策がスムーズになり、顧客に対する姿勢に一貫性を生み出せれば、顧客満足度を高めるための環境が整うでしょう。

SalesforceではSFAやMAなどのさまざまなソリューションを提供しています。各ツールの詳しい機能については、関連コンテンツで詳しく解説していますのでぜひ確認してみてください。

 
 
 
CRM初心者向けガイド
~顧客管理ツールでビジネスを成長させる方法~
 
CRMが必要な企業の特徴やビジネスに役立つ理由、CRM戦略の立て方から自社に適切なCRMの見極め方まで、CRMを最大限活用するためのポイントを余すところなくご紹介します。

顧客満足度の向上を目指す際のポイント

 

顧客満足度を向上させるために、以下3つのポイントを押さえておきましょう。

  • 顧客の期待値を上回るマーケティングを行う
  • 既存顧客を重視してリピーターを増やす
  • チャネルごとの顧客満足度を測定する

それぞれの戦略やアプローチを理解し、顧客からの信頼を獲得するための具体的なアイデアを見つけてみてください。

顧客の期待値を上回るマーケティングを行う

顧客満足度を向上させるには、商品・サービスを通じて顧客の期待を満たすだけではなく、その期待を超えるような「価値」の提供が必要です。まずは、顧客一人ひとりのニーズを的確に把握し、個々に最適化されたマーケティング戦略に沿ってアプローチしましょう。

たとえば、ECサイトでの閲覧・購入履歴にもとづいて顧客の趣味嗜好を分析することで、時期や時間帯を考慮しつつ、新作商品の紹介メールを送信することも可能です。

限定情報を配信し「あなただけの特別なサービス」と顧客に感動を与えることも、満足度の向上につながります。

マーケティング戦略の策定手順やフレームワークなどは以下の記事で解説しているので、ぜひ策定に役立ててみてください。

既存顧客を重視してリピーターを増やす

既存顧客に対する良質なサービスの提供によって、ファン化やリピーター増加につながり、より満足度も高まります。

顧客との長期的な関係を構築するには、おすすめの商品をただ提案するだけでなく、定期的なコミュニケーションを通じた付加価値の提供が必要です。具体的な施策としては、利用しているサービスに関連する無料セミナーの開催や、サービスの利用期間に応じた割引特典などがあります。

顧客満足度が高まれば他者へ紹介するケースも増え、新たな顧客を引き寄せるきっかけにもなります。

チャネルごとの顧客満足度を測定する

実店舗やECサイト、SNSなど複数のチャネルを運用している場合は、各チャネルにおける顧客満足度の調査を行う必要があります。チャネルによって顧客接点(タッチポイント)が異なり、それぞれの顧客行動やニーズの理解を深め、常に改善し続けなければならないためです。

たとえば、ECサイトでは商品の注文プロセスがスムーズで満足度も高い一方で、店舗では接客の質や店内の清潔さに課題があり満足度が低い場合もあります。

チャネルごとの強みと弱みを分析し改善していくことで、一貫したサービスの提供につながり、企業のブランドイメージも定着していくのです。

顧客満足度の向上に成功した事例3選

 

ここからは、実際に顧客満足度の向上に成功した事例を3つ紹介します。

  • 顧客軸でサービスを可視化し先回りした提案を実施(京葉ガス)
  • ありたい姿を明確化し顧客とつながる仕組みを構築(日立ハイテク)
  • 全データ統合で顧客一人ひとりに寄り添える仕組みを構築(JTB)

ツールの導入によって、社内の状況や顧客満足度が変化していく過程を見ていきましょう。

顧客軸でサービスを可視化し先回りした提案を実施|京葉ガス

 
会社名:京葉ガス株式会社
事業内容:ガス・熱供給事業等

地域に密着した都市ガス事業者の京葉ガスは、電力やガスの自由化に伴ってビジネス環境が激変しましたが、多様なサービスの提供で新たな成長機会を得ています。

そのひとつが、顧客を軸としたサービスの可視化を行い、顧客対応の拠点となるサービスショップと一体となって取り組む改革です。同社のサービスショップは多数存在しますが、地域ごとに顧客に提供できるサービスが異なっているケースがありました。

そこで、サービスレベルと提供サービスを標準化し、各サービスショップと一体になる「オール京葉ガス」として、顧客体験の向上を図っています。

Salesforceの顧客データをもとに、ラインナップするサービスを顧客軸で可視化するのと同時に、顧客が必要とするサービスを先回りして提案する体制が整いました。

ありたい姿を明確化し顧客とつながる仕組みを構築|日立ハイテク

 

会社名:株式会社 日立ハイテク
事業内容:検測・検査装置などデジタル技術のソリューション事業

 

主にメディカルシステムを製造・販売する日立ハイテクでは、顧客の信頼と満足度をより高めるため、アフターセールスの対応スピードの向上に取り組んでいます。

以前は、フィールドで発生した情報が部署ごとで管理され、顧客情報を共有するプラットフォームも統一されておらず、情報伝達が分断されやすい状況でした。

まずは、社内のマインドセットから変えていくため「ありたい姿」を明確化したうえで、Salesforceの『Service Cloud』を活用した「顧客360度ビュー」を構築しました。これは、製造・販売・サービスといったバリューチェーンがひとつのプラットフォームで連携し、顧客とつながる仕組みです。

会員制サイト「S.I.navi(エスアイナビ)」の大幅リニューアルも行い、会員の興味に合わせたアプローチを行って、顧客満足度の向上を図っています。

全データ統合で顧客一人ひとりに寄り添える仕組みを構築|JTB

 
会社名:株式会社JTB
事業内容:旅行業

「人」の力に強みを持つJTBは、顧客が旅に出る理由や顧客自身の背景から、個々の顧客の姿を正しく認知し、適切なサービス提供に役立てようとしています。しかし、旅行という製品の特性上、一般的な分析手法をそのまま取り入れ、数値や属性で判断しても有効なものとならない可能性がありました。

Salesforceの導入は、JTBが掲げる「ウルトラパーソナライズ」されたサービスの提供に役立っています。たとえば、旅行中に、顧客データから分析したニーズに合わせ、エリアやイベントの情報をリアルタイムに提供することを実現しました。

また、旅行前から旅行後まで一貫された「最適な体験の提案」によって、顧客満足度は大きく向上しているといいます。

AI活用によるカスタマーサービスが顧客満足度の向上に効果的

 

Salesforceのカスタマーサービス向けAIは、CRMと連携することでコンタクトセンターやカスタマーサポートの業務を根本から変革します。

顧客情報とつながることで、より的確な解決策を提供し、自律型AIエージェントやチャットボット/自動化ツールが顧客一人ひとりにパーソナライズされたサポートを実現します。

さらに、データ分析に基づいた予測や改善提案により、運営効率を向上させると同時に、顧客との関係性を深めることが可能です。CRMとAIの融合がもたらす革新を、ぜひ公式サイトでご確ください。

▶「カスタマーサービス向けAI」の詳細を確認する

指標を用いて顧客満足度を評価し向上させよう

 

顧客満足度が高まることで企業の売上向上に貢献しますが、決して容易ではありません。しかし、CRMやMAなどのツールを活用し、さまざまな施策を実施することで、効果的な取り組みが可能です。

Salesforceでは、顧客満足度の向上に貢献するソリューションを提供しています。施策の自動化による工数削減が可能なMarketing Cloudや、AIによる顧客とのやりとりで業務効率化を実現するService Cloudを、ぜひご検討ください。

また、Salesforceでは顧客に関連するコンテンツも用意しています。ぜひ、以下のページもご覧ください。

 
 
 
第6版 カスタマーサービス最新事情
 

全世界で5,500人を超えるカスタマーサービスプロフェッショナルから得られたトレンドから、次なる成長に向けて考慮すべきアクションをご紹介します。

  • 高まる顧客の期待に対するサービス部門の対応状況
  • パフォーマンスが高いサービス部門のリーダーが重要視する指標とチャネル
  • AIの導入による 役職と業務内容の変化
 

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