CRMとは?機能やメリット、活用法をわかりやすく解説【事例あり】

 
2024.2.14

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」と言い、顧客情報や行動履歴、顧客との関係性を管理し、顧客との良好な関係を構築・促進することを指します。CRMツールの基礎知識からメリット・デメリット、活用方法までまとめました。

こちらの記事の内容はCRM (顧客管理システム) 入門ガイド 決定版にてよりわかりやすくまとめているため、社内共有用にはぜひ資料をお持ち帰りください。

 
 
 
CRM入門ガイド 決定版
 
CRM (顧客管理システム) は自社にも必要なのか?CRM導入の正しい進め方が分からない... そんな疑問・不安を抱えている皆様に経営改革の新たな一手としてのCRM活用をご紹介いたします。

CRMとは?

 
CRMとは「Customer Relationship  Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」と呼ばれます。CRMの目的は、顧客との関係性、コミュニケーションを管理し、自社の従業員と顧客との関係を一元的に把握することです。そのためのシステムを「CRMシステム」や「CRMツール」と、かつては呼んでいましたが、現在ではシステムやツールも含めてCRMと呼ばれています。
 
 
 
CRM初心者向けガイド
~顧客管理ツールでビジネスを成長させる方法~
 
CRMが必要な企業の特徴やビジネスに役立つ理由、CRM戦略の立て方から自社に適切なCRMの見極め方まで、CRMを最大限活用するためのポイントを余すところなくご紹介します。

CRMが生まれた背景と必要性

 

CRMが生まれた主な理由は、以下の3点です。

  • 顧客ニーズの変化に対応するため
  • 顧客満足度を高め、LTVを向上させるため
  • コスト削減と仕事の効率化を図るため

CRMはこれらの課題に対応するツールとして誕生し、企業競争の優位性を高めるうえでも重要視されています。

CRMの誕生背景について、以下より解説していきます。

1)顧客ニーズの変化に対応するため

企業は新たな顧客をつかみ、つなぎとめておくためには、時代に合った顧客ニーズ、さらに潜在的なニーズまでくみ取り対応していく必要があります。

時代の流れとともに、市場のニーズは目まぐるしく変化していくようになり、同様に製品やサービスの陳腐化も加速しました。

そこで顧客ニーズを分析し、対応するためのツールとして生まれたのがCRMです。

CRMは顧客の行動やニーズの変化にも柔軟に対応し、企業が市場で成功するための強力なツールといえます。

2)顧客満足度を高めて、LTVを向上させるため

企業の利益を上げるために求められることは、製品・サービスに対する既存顧客の満足度を高めて、LTV(ライフタイムバリュー)を向上させることです。

新規顧客を獲得するためには、製品・サービスの情報発信や広告によって、大幅なコストや時間がかかってしまいます。

そのため、既存顧客へのアプローチを強化し、長期的な関係性を築くことでLTVが高まり、新たな製品やサービスの提供につながるでしょう。

3)コスト削減と仕事の効率化を図るため

多くの顧客を抱えている企業は、顧客情報の管理が複雑になり、手作業による管理では膨大な時間が必要です。

そのため、顧客管理の業務プロセスの効率化と人的コストを削減するべく、CRMの導入が求められています。

実際に日本の中小企業においても、業務効率化を図る目的でCRMを導入している企業が増えてきています。

また、顧客の問い合わせ管理やデータ分析を効率的に行うためにも、CRMの活用が効果的です。

CRMとMA、SFA、ERPの違いとは?

 

CRMと関連するツールには、以下の3つがあります。

  • MA(Marketing Automation)
  • SFA(Sales Force Automation)
  • ERP(Enterprise Resource Planning)

各ツールの違いと業務領域について、一つずつ解説していきます。

参考:データ・CRM・AIで成果を上げる 世界中の中堅・中小企業のインサイト

MA:効率的なマーケティングを実現する

MAはリード(見込み顧客)の管理やスコアリング、分析レポートといった機能を備えており、マーケティング活動のサポートを得意としています。具体的には、トラッキングデータと自動メール配信機能を使うことで、相手が欲しいと思っている情報をタイミングよく提供し、自社製品に対する興味関心をかきたてる「リードナーチャリング」の効率化が可能になります。

SFA:営業活動の組織化・効率化を担う

SFAは顧客情報や営業ステータスの一元管理、営業メンバーの行動管理、売上管理や予測といった機能を備えており、営業活動の効率化を得意としています。「案件化から受注」に至るまでの活動をデータとして蓄積、分析することで属人化しやすい営業業務の標準化・組織化にも有効です。

ERP:社内情報を最適化し経営判断に活かす

ERPは「統合基幹業務システム」と呼ばれており、社内の経営に関する情報を一元管理する環境を提供します。

業務領域は「財務・人事・生産・在庫管理」など、あらゆる部分を包括的に管理し、必要な情報をリアルタイムで確認できます。

CRMは主に顧客との関係性に焦点を当てるのに対し、ERPは社内プロセスの最適化を目的としているため、導入時は自社の目的に合わせた選択が重要です。

CRM:顧客との関係性にフォーカスしたツール

CRMは自社と顧客との関係性を主軸とした顧客情報の管理を目的にしています。機能面において、CRMはSFAと共通点が多いですが、商談・案件を軸とするSFAと違い、CRMは顧客とのコミュニケーションを軸に情報を管理しています。CRMのデータを活用することで、顧客満足度を高め、クロスセルやアップセルの成功率UPが見込めます。

CRMが持つさまざまな機能

 

CRMには顧客とのコミュニケーションを記録・共有し、お互いの関係性をより強固かつ良好に保つための機能が多数備わっています。

ここではそのなかでも、代表的な6つの機能を紹介します。

  • 顧客情報管理
  • 案件管理
  • ワークフロー機能
  • 配信機能
  • 問い合わせ管理
  • データ分析機能

中堅・中小企業トレンドレポートではCRMやAIをもとに成果を上げる企業の特徴をまとめています。レポートによると、90%近くの企業でCRMツールが導入されており、CRMツールの活用は現代のマーケティングにおいて必須と言えるでしょう。

1)顧客情報管理

顧客情報管理とは、クライアントの基本的な情報に加え、取引や商談の日時、商談内容の履歴情報などを管理する機能です。カスタマイズによって、管理したい項目の追加も可能です。保存された顧客情報は1つのIDに紐づけて管理されます。

2)案件管理

案件管理とは、案件の取引相手や取引の進捗状況、取引額などを管理する機能のことです。

売上や売上予測をシステムに反映することで、営業プロセスを効率化させて、企業の生産性が高められます。

取引の売上金額・数量のリストや、最新の顧客情報を反映した見積書など、自動で作成する機能もあります。

3)ワークフロー機能

ワークフロー機能とは、業務のタスク管理・割当・進捗管理・承認・報告などの営業プロセスを効率化する機能のことです。

案件のフェーズが進んだ際に、メールによる通知やタスクの割当を自動的に行ってくれます。

承認・報告のプロセス効率化のため、取引合意の承認や出張報告などの自動化も可能です。

4)配信機能

配信機能とは、主にメールを用いて顧客へ情報発信を行う機能です。単発のメールのほか、メールマガジンやステップメールなども配信できます。また、開封率やクリック率などの検証も可能で、メールによるアプローチの精度を高められます。

5)問い合わせ管理

顧客からの問い合わせ内容を保存・蓄積する機能です。回答漏れや二重対応を防ぐだけではなく、よくある問い合わせをFAQとしてまとめておけば、リソース削減にも繋がります。

6)データ分析機能

蓄積された顧客データをもとに、様々な切り口で表やグラフを作成し、分析結果として表示することができます。具体的には、成約率の高いアプローチ方法の発見や既存顧客の購買傾向の分析などが可能です。
 
 
 
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CRMを導入する6つのメリット

 

CRMの活用は、営業活動にさまざまなメリットをもたらします。とくにリソースの削減や情報共有に役立つため、新たな取り組みを行いたい場合にもCRM導入は効果的です。代表的なメリットを紹介します。

参考:データ・CRM・AIで成果を上げる 世界中の中堅・中小企業のインサイト

1)顧客情報を一元管理でき、生産性が上がる

CRMに蓄積された情報は、システム上で一元管理され、システムにアクセスできればどこからでも閲覧できます。

商談状況をプロセスも含めて記録・管理でき、必要に応じてデータを抽出・分析することで、営業業務の改善や効率化が可能です。

2)情報をリアルタイムで共有できる

CRMに入力された情報は、リアルタイムでメンバー全員に共有されます。

つねに最新のデータソースを閲覧できるのはもちろん、顧客との商談状況を即時に把握もできます。

たとえば、出先で営業担当が入力した情報を会社でマネージャーが確認したり、営業担当が出先から顧客情報を確認したりといった使い方が可能です。

3)営業業務の効率化でコア業務に専念できる

クラウドサービスとして提供されているCRMは、モバイルデバイスにも対応しているため、スマートフォンがあれば、いつ・どこでも商談状況報告や資料の確認が可能になります。

商談と商談のあいだに発生しがちな隙間時間の活用にもつながり、節約できた時間で営業本来のコア業務へ専念できます。

4)属人化から脱却しチームプレイに移行できる

CRMによる顧客情報の一元管理は、社内の連携をより強固にします。

これまでの成功事例や失敗談に関するデータを参照することで、社内全体でミスを減らしつつ成約率があがる可能性を高めることも可能です。

また、担当者不在で起きたトラブルに関しても、顧客情報を確認することで、他のメンバーでもサポートを行うことができます。

5)チーム内の連携で新たな戦略が生み出せる

CRMを活用して各メンバーがリアルタイムに情報共有することで、顧客に対するアプローチに一貫性を持たせ、チーム内の連携が強化されます。

チームプレイによって、メンバー同士のコミュニケーションも活発になるため、新たな営業戦略を生み出し、実行に向けた基盤が整うでしょう。

また、顧客ニーズを満たす戦略によって顧客満足度を高めることで、企業イメージ向上にもつながります。

6)顧客満足度の向上によって、自社の利益が高まる

2023年に行われたセールスフォース・ジャパンの調査では、BtoB・BtoCの区別なく、顧客は「部署を越えた一貫したやりとり」を企業に期待しています。同時に、「自分の情報をすべての部署で共有しておいてほしい」とも感じています。

CRMを活用すれば、こうした顧客からの要望に応えることが可能になります。

それによって顧客満足度が向上すれば、自社の利益となって返ってくるのです。

CRMのデメリット

 

CRMの導入によって多くのメリットや効果がある一方で、以下のようなデメリットも存在します。

  • システム導入・運用にはコストがかかる
  • 施策の効果を実感するまでに時間がかかる
  • マニュアルや業務フローの整備が必要になる

これらの課題を解決すれば、CRMの機能を最大限に活用して、顧客管理の効率化が図れるでしょう。

CRMのデメリットを一つずつ解説します。具体的な解決策も紹介していますので、参考にしてください。

1)システム導入・運用にはコストがかかる

CRMシステムの導入コストや、月額などの運用コストが発生することを事前に認識しておきましょう。

自社サーバーにインストールして利用する「オンプレミス型」のCRMの場合、ハードウェアの購入など初期費用が高くなる傾向です。

「クラウド型」のCRMは、初期費用が発生しない製品や、低価格な製品がある一方で、基本的に月額制の運用コストがかかります。

まずは無料トライアルなどを利用し、CRMの機能や効果を確認してから、どのシステムを導入するか検討しましょう。

2)施策の効果を実感するまでに時間がかかる

CRMを導入して、顧客データの分析に基づく営業施策を行っても、効果をすぐには実感できません。

顧客情報の効率的な管理を実現するためには、社内のCRMシステム運用の定着化が必要であり、ある程度の時間を要します。

そのため、顧客との関係性が強化されて、売上・業績への効果が現れるまでには、一定の時間がかかることを認識しておきましょう。

重要なのは、顧客に対して継続的にアプローチを行うことであり、効果の検証や分析をしつつプロジェクトを進めることも大切です。

3)マニュアルや業務フローの整備が必要になる

CRMシステム導入後の運用をスムーズに行うために、操作マニュアルや入力・確認などの業務フローの整備が必要です。

運用システムの変更によって、CRMの操作ミスやデータ入力の遅延を発生させないために、自社の運用方法に合ったマニュアルを整備しなければなりません。

また、これまでの営業プロセスとの整合性を図り、具体的な業務の進め方を明確に決めておく必要があります。

CRMシステムの導入前に操作マニュアルや業務フローを見直すことで、スムーズなシステム移行ができるでしょう。

 
 
 
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CRMの効果的な活用方法

 

CRMのさまざまな機能を十分に活用するには、実現したい目標や、そのために行うべき課題の設定が必要です。

ここでは、CRM (顧客管理システム) 入門ガイド 決定版でも触れているCRMを用いた課題解決の方法とポイントを紹介します。

  1. 目標を定める
  2. 評価指標を定める
  3. 最新・正確なデータを入力する
  4. データを分析し施策に反映する
  5. 顧客とのコミュニケーションを見直す

1. 目標を定める

CRMは、元々ツールではなく、営業手法そのものを指す言葉です。ですから、CRMツールを導入する前に以下について定めている必要があります。

  1. 社内の課題から、すべてのメンバーが理解・共感できるビジョンを定める
  2. ビジョンを実現するための具体的な戦略を構築する
  3. ビジョンと戦略を日々の業務目標に落とし込む

つまり、まず大きなビジョンを定め、そこへ至るための戦略を作り、それぞれの部署に分配するという流れです。とくに2の戦略構築の精度が高いほど業務目標も具体化するだけに、力を入れて取り組みましょう。

2. 評価指標を定める

目標が定まったら、効果検証の指標を作成します。CRMは、顧客との商談内容やその履歴といった数値化できない情報についても、後から時系列に沿って検証することができます。

営業部門の代表的でかつ重要な指標(KPI)には、「見込み客の成約率」や「営業案件数」などがあります。KPIの設定・管理の精度は、CRMの活用度合いを測る精度にも大きくかかわるため、正しい知識をもって行いましょう。

3. 最新・正確なデータを入力する

CRM最大の特徴であるデータの一元管理とリアルタイム性を活用するには、データを素早く・正確に入力する必要があります。データを得てからすぐに入力し、社内で共有することで、CRMのメリットを十分に享受できます。

早く確実なデータ入力を徹底するには、営業メンバーへ継続的に働きかけ、習慣化することが一番です。最初は負担に思うメンバーがいるかもしれませんが、メリットを実感できれば徐々に浸透していくはずです。

4. データを分析し施策に反映する

十分な量のデータが蓄積されたら、データの精査や掛け合わせなどから分析を行い、施策の設定に役立てましょう。営業における商談化率や成約率、失注率などを算出するだけでも、営業プロセスのボトルネックを把握できます。

基本的な分析に慣れてきたら、顧客を購入金額別に区分して優先順位を付ける「デシル分析」や、優良顧客を分析する「LTV分析」などにも取り組んでみましょう。

CRM分析の基本と代表的な分析手法は、こちらの記事で解説しています。

5. 顧客とのコミュニケーションを見直す

CRMには多種多様の情報がデータとして蓄積されていますが、それはいわば「自社と顧客との交流の記録」です。蓄積されたデータをもとに、これまでのコミュニケーションを見直すことで顧客を囲い込み、優良顧客へと育成して、LTVの最大化に結びつけることが可能になります。

失敗しないCRMツールの選び方

 

実際にCRMを導入するにあたり、製品選びのポイントとなるのが「自社との相性」です。

CRMは多機能な製品がそろっている一方で、搭載機能や使い勝手は少しずつ異なります。

ここでは、とくに注視したい5つのポイントを紹介します。

  • 必要な機能がそろっているか
  • 使い勝手が良いか
  • 他ツールとの連携や拡張性は十分か
  • セキュリティに問題はないか
  • サポート体制は整っているか

1)必要な機能がそろっているか

CRMは、長期使用が前提となります。そのため、導入の前に欲しい機能を明確にしておき、ニーズに応えてくれる製品を選びましょう。

とはいえ、単に多機能なCRMが最適解というわけではありません。多機能はあくまで前提条件であり、そのうえで自社の課題に寄り添ってくれる強みを持つ製品を選定しましょう。

2)使い勝手が良いか

CRMはさまざまなメンバーが利用するため、なるべくストレスなく使える製品を選びたいところです。とくに、外出先から入力する機会の多い営業担当や、データ入力をおもな業務とするメンバーにとっては業務効率を大きく左右するポイントとなるでしょう。

CRMの多くはデモ版を試用できます。コアメンバーで製品を試用してみて、具体的な使用感を確認しましょう。

世界No.1 CRMであるSalesforceは、30日間・フルパッケージでの試用が可能。大企業はもちろん、中堅・中小企業でも活用いただける、多機能なCRMシステムです。

 
 
 
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3)他ツールとの連携や拡張性は十分か

CRMは単品でも多機能ですが、MAやSFAと連携することで、さらなる活用を期待できます。たとえば、MAと連携すればCRMで得た顧客情報をMAにおけるペルソナ設定に活かせます。また、SFAと連携すれば、CRMで成約率の高い顧客を分析してSFAで営業プロセスを作成でき、相乗効果による営業プロセスの効率化に繋がります。

4)セキュリティに問題はないか

CRMでは大切な顧客の情報を一元管理しているだけに、セキュリティ対策は極めて重要です。高いセキュリティレベルを求められる官公庁や金融機関などへの納品実績の有無、不正アクセスへの対策方法などをチェックしておきましょう。

5)サポート体制は整っているか

CRMを導入した直後は、これまでの手法とのギャップから多くの疑問が発生すると考えられます。導入前の説明会や研修を行ったとしても、実際に使ってみると細かな質問はつきものです。担当者の負担も考え、導入から現場になじむまでの間をしっかりサポートしてくれるベンダーを選びましょう。

CRM導入に失敗しないために

 
残念ながら、CRMを導入しても現場に定着せず、その効果を発揮できない、あるいはいつの間にか誰も使わなくなってしまったという企業も見受けられます。導入に失敗しないためにはどうすればいいのかをこちらでお伝えします。

企業トップの理解と支援は不可欠

CRMの導入は、企業内における影響範囲が大きく、業務手法も大きく変わることから、現場からのネガティブな声が上がりがちです。これらの声に対応していくのがマネージャーの仕事になりますが、担当単位では解決しきれないケースも考えられます。これに対応するには、トップダウン形式でのCRM推進が効果的です。トップがキーマンとなることで、社内全体におけるCRM推進の雰囲気を醸成していきましょう。

優先順位を決め、ロードマップを作る

CRMは、導入して終わりではありません。導入はあくまでスタートで、その後のフォローや継続的な研修、達成目標の設定など、長期にわたる計画が必要です。そのためには、ロードマップの作成と優先順位の決定が効果的。ロードマップ策定にあたってはCRMの習熟度を考慮し、自社に合ったスケジュールで決めていきましょう。
 
 
 
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CRMの活用事例

 
ではここで、実際にCRMを導入している企業の事例を見ていきましょう。業界も事業内容もそれぞれ異なりますが、確固とした目的を持ち、そのためにCRMを十分に活用していることが見てとれるはずです。

事例1 顧客対応の効率化で20%以上のコスト削減

 
会社名:株式会社ビックカメラ
事業内容:カメラ・パソコン・家電製品の販売事業

株式会社ビックカメラは、DX宣言を通して業務のデジタル化を推進しており、効率化やコスト削減を目指して「Salesforce」を導入しました。

効率化を目指し取り組んだプロジェクトの1つが、顧客対応するコンタクトセンターの改善です。

アウトソースしていたコンタクトセンターの予算超過の課題に対し、Salesforceの「Service Cloud」や「Einstein」を活用して、以下のような運用方法へ移行しました。

  • 電子メールの振り分け業務をAI活用によって自動化
  • 電話対応後のデータ入力を音声データから自動入力
  • Amazon Connectと連携したクラウドシステムの運用

その結果、20%以上のコスト削減と、電話対応の業務が50%短縮され、コンタクトセンターの効率化につながっています。

さらには、顧客が問い合わせ前に確認できるFAQページを公開したことで、電話の入電数も削減できました。

事例2 売上見込・実績の集計時間を大幅に短縮

 
会社名:富士通株式会社
事業内容:電子デバイスの開発・製造・販売・保守運用等

富士通株式会社は、DX企業への変革を目指した「Fujitsu Uvance」の​​新事業ブランドを立ち上げ、営業基盤にするため「Salesforce」を導入しました。

Salesforceの導入によって、マーケティングから営業までのエンドツーエンドの仕組みを構築した結果、グローバルで展開できる基盤となりました。

この営業基盤の構築によって、以下のような効果が得られています。

  • 売上見込・実績のデータ収集時間が「1か月」から「1日」に削減できた
  • 収集データがリアルタイムに可視化され容易に確認可能となった

メールや電話などの営業活動であるインサイドセールスにも力を入れるため、顧客の潜在的な課題を吸い上げる仕組みも構築しています。

今後は、Salesforceを営業だけで活用するのではなく、コンタクトセンターや品質保証など他部門と連携し、顧客と向き合う基盤構築を目指していきます。

事例3 キャンペーンの顧客参加率が向上し売上が大幅アップ

 
会社名:東日本旅客鉄道株式会社
事業内容:旅客・貨物鉄道事業等

JR東日本グループは、鉄道事業のほかにもコンビニエンスストアやホテル、飲食などのビジネスを展開しており、顧客とのコミュニケーションをさらに強化する必要がありました。

グループ全体の会員向けポイントプログラム「JRE POINT」を取り入れ、顧客の買い物の動向などのデータ共有が可能となりました。

しかし、顧客の状況に合わせて最適なアプローチする手段がなく、メール配信先の抽出にも時間を要していたため、最適化を目指し「Salesforce」を導入しています。

JRE POINTの利用者に対して、より使いやすい情報を提供するプロモーション活動のなかで、「Marketing Cloud」を活用してメールマーケティングを実施。

この方法で、一定額以上の購入者にポイントプレゼントするキャンペーンを打ち出したところ、エントリー率が1ポイント高まり、キャンペーンの売上も大幅に向上しました。

事例4 営業から製造まで事業横断的なマーケティングを実現

 
会社名:旭化成株式会社
事業内容:繊維・住宅・医薬品等の総合化学メーカー

旭化成株式会社では、企業の多角化によって全社的な情報共有が不足していたため、多くの事業部で情報が分断されている課題がありました。

その非効率的だった情報共有を改善すべく、全社的なシステム刷新を検討して「Salesforce」を導入しています。

構築したシステムを通称「oneAK Salesforce」は、営業から製造まで事業横断的なマーケティング展開ができる仕組みとなり、以下のように活用しています。

  • 出荷状況・予実算管理などを共有し、製造・品質領域まで範囲を拡大
  • FAQを作り、業界知識や技術情報の共有化

oneAK Salesforceの構築によって、ある事業部では「情報の検索・転記・共有の時間が1日約30分削減(担当1名当たり)」の効果が得られています。

グループ全体で顧客と向き合うビジネスモデルを定着させるため、顧客が本当に考えていることを把握し、営業・開発の戦略に反映することを目指しています。

事例5 シームレスな顧客対応でサービスの品質向上

 
会社名:全日本空輸株式会社
事業内容:航空運送事業

全日本空輸株式会社には、運航情報などが登録されている「ANAマイレージクラブ」があり、顧客の流れを28個のシーンに整理して、サービス向上を目指しています。

そこで、部門を横断した切れ間のないサービスを提供するため「Salesforce」を導入しました。

Salesforceはデータベースと連動して、顧客へのメッセージ配信や、アプリへのプッシュ通知などをコントロールしています。

日々多くの問い合わせがあるなかで、Salesforceを活用したことで以下のような効果が得られました。

  • 時差による時間帯ごとの問い合わせ内容を整理・共有できた
  • 予約通知の機能によって、社内連絡がスムーズになった
  • メールと電話の別系統で対応した内容を共有できた

顧客の手間や時間を取らせず、シームレスな顧客対応が実現したことで、高品質なサービスが提供できており、顧客満足度の向上にもつながっています。

​​CRMに関するよくある質問

 

CRMに関するよくある質問について、以下より回答していきます。

CRMの基本的な機能や、よく似た言葉との違いを知ることで、顧客管理のプロセスや営業に関する知識がより深まるでしょう。

CRMで何ができる?

CRM(顧客関係管理)では、主に以下のような機能を利用できます。

  • 顧客の基本情報や商談内容の管理
  • 案件の取引相手や進捗状況の管理
  • 仕事の進捗管理やタスク機能
  • メール配信機能
  • 問い合わせ内容・履歴の管理
  • 売上データの分析機能

CRMを活用することで、顧客情報を社内でリアルタイムに共有し、顧客との商談や問い合わせに対してスムーズな対応ができます。

社内においては、どの部署からでも顧客情報が確認できるため、部署間で直接問い合わせる必要がなく、円滑な連携が実現するでしょう。

CRMマーケティングの意味とは?

CRMマーケティングとは、CRM(顧客関係管理)のツールを活用し、顧客管理・分析の結果をもとにマーケティングに活用することです。

マーケティングにCRMを活用することで、顧客一人ひとりのニーズに合った製品やサービスが提供できます。

具体例として、以下のようなCRMマーケティングの方法があります。

  • メールマガジンの配信
  • DMの配布
  • SNS運用や広告
  • セミナーの開催

CRMマーケティングは、顧客が求めている情報や製品が提供できることから、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

CRMとCMSの違いは?

CRMは「顧客情報を一元管理するシステム」なのに対し、CMSは「Webサイトの内容やデザイン、レイアウト情報を一括管理するシステム」のことです。

CMSを活用することで、HTMLなどの専門的知識がなくても、技術面のサポートをしてくれるため、容易にWebサイトの構築ができます。

CRMは主に顧客との関係性に焦点を当てていますが、CMSはWebコンテンツの管理と、顧客の集客に重点を置いています。

十分な準備とケアでCRMを存分に活用しよう

 

新たなツールやシステムは、使い慣れるまでは少々時間がかかります。それによってワークフローも変化しますから、現場としては「やりにくさ」を感じることもあるでしょう。

その点では、CRMも他のビジネスツールと同じです。しかし、その効果を理解し、正しく運用できれば、営業業務を効率化し、大きな成果を得ることができます。

一方で、導入前の準備や導入後のケアをおろそかにしてしまうと、期待していた結果につながらず、失望してしまうことにもなりかねません。そうならないためにも、まずはしっかりと計画を立てておきましょう。

必要ならばベンダーの研修や説明会なども利用しながら、CRMを存分に活かしてください。

 
 
 
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