第5章:危機対応力を身に付ける方法

パートナーや顧客のフィードバックを企業のDNAに組み込む方法を学びましょう。

 
 
 
 
こんな状況を想像してください。完全に連携の取れたエコシステムと優れたテクノロジーが功を奏して、パートナーや顧客に最高の体験を提供できているとします。大成功です!しかしここで、変化が訪れます。2020年に私たちが得た教訓は、「製造業者はあらゆることに備える必要がある」ということです。 世界的なパンデミックのように広範囲に及ぶものや、チャネルパートナーが競合相手に変わるといった特殊なケースもあれば、競合相手がサービスとしての新製品を発表することや、購買担当者が会社との関係を見直すこともありえます。どんなことが起ころうとも、その変化に対応できる必要があるのです。 パートナーや顧客の期待や行動は、常に変化しています。業務をデジタル化した後も、察知と対応で、組織の危機対応力を身に付ける必要があります。では、どうすればよいでしょうか?信頼の構築や再構築に真摯に取り組むことです。 パートナーや顧客が自社をどれだけ信頼しているかを示す指標はお金とデータです。この2つは互いに関連しています。より多くのデータを獲得する最善の方法は、今あるデータを分析してインサイトを得ることです。これが、優れた体験の基盤となります。

やってみる:パートナーや顧客の声に耳を傾ける

最近、パートナーや顧客のフィードバックに真摯に耳を傾けましたか?こうした声に耳を傾ける姿勢を企業のDNAに組み込むことで、進化し続けるニーズに全神経を集中させることができます。
1.「お客様の声」担当の部門を設置。ビジネスを重視する調査リーダーと、中立的な報告体制の両方を設置していることが、正しいプログラムのあり方です。こうすることで、改革推進チームとそれを評価するチームを分けることができます。まずは基準設定のために顧客からのフィードバックを収集し、改善目標を1つだけ定めます。

2.あらゆるレベルでリスニングに投資。エコシステム内のすべての顧客像を対象とします。どの顧客グループがもっとも不満を抱えているか?どのグループが収益にもっとも貢献するか?誰が最高のブランドアドボカシー(支持者)なのか?顧客のフィードバックを恐れる必要はありません。

3.インサイトを1つの体験談としてまとめる。数字の裏にあるストーリーを読み取ります。チャネル間でリスニングのバランスを取るように、ストーリーとデータのバランスを取りましょう。リスニングツアー、アドバイザリーボード、フォーカスグループからスコアカードやトレンドラインに個性や前後関係が加わります。

4.インサイトの分析結果を反映。パートナーや顧客を戦略的な計画に組み込み、リスニングで得た情報から引き出した個々の指標や測定値に担当者を割り当てます。経営陣は、オフサイトまたは毎週月曜朝に今後の製品やプログラムの計画を立てているでしょうか?場所はどこであれ、計画に関する話し合いには必ず顧客の声を代弁する席を設けましょう。

5.テクノロジーがもたらすインテリジェンスと自動化に投資し、説明責任を果たす。分析とレポート作成を自動化することで、チームの貴重な時間を節約し、従業員、チャネルパートナー、顧客の間のリアルタイムのコラボレーションが可能になります。定性フィードバックに対して検出ツールや機械学習を活用すると、インテリジェントなインサイトの発見が非常に効率的になります。

6.顧客の声を聞くリスニング活動を奨励。顧客のフィードバックを共有するチームは、時に「悪いニュース」をもたらすチームと受け取られる場合があります。そうではなくてむしろ、その役割の担うチームやステークホルダーによるリスニングの業績を評価し、耳を傾けることに長けていることに報いることで、引き続き顧客との関係を維持し、顧客ニーズに対応し続けられるよう働きかけるべきでしょう。

7.顧客とのフィードバックループを完結。リスニングにはコミュニケーションが不可欠です。すべてのフィードバックに対応するのは現実的ではなく、顧客もすべての要望が満たされることを期待していません。しかし、成功するパートナーシップのために、顧客は企業がやっていること、できていないことのほかに、企業側が顧客に対して何を望んでいるかを聞きたいと考えています。

十分な時間とリソースをかけて、現在のニーズを察知して対応する能力を見直し、改善しましょう。「昔ながらの」働き方を進化させ、パートナーや顧客のための価値を向上させるには、どうすればよいでしょうか?パートナーや顧客の声にしっかりと耳を傾けるために、マーケティング、コマース、セールス、サービス、製品、ITの各チームの統合に真剣に取り組みましょう。

現状...

  • ランダムでサイロ化されたデータ
  • ウォータフォール型のプロセス
  • 数少ない大きな賭け
  • リスク回避、官僚型
  • 専門家の意見

目標...

  • 単一のプラットフォームによる俊敏な反応
  • リアルタイムのデータドリブンなインサイト
  • 数多くの小さな賭け
  • 心理的な安全と検証
  • 現場からのフィードバック

まとめと詳細情報

製造業者の多くがすでにデジタル化戦略を急速に加速している一方で、まだ取り組み始めたばかりの企業もあります。ビジネスプロセスの刷新、サイロ化の解消、スピーディな察知・対応・回復に役立つローコード/ノーコードテクノロジーへの投資は、キャリアにおいてもっともやりがいのある課題になるかもしれません。

パンデミックから学んだように、製造業にとって、デジタル化の緊急性は現実のものであり、その可能性もまた同様です。デジタルの最適化への道はこのハンドブックがスタート地点となりますが、ここで終わりではありません。以下のリソースで詳細をさらに確認してください。

 

その他のリソース

 
 

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