3C分析とは?目的や順番、やり方をテンプレートで具体的にわかりやすく解説

 
2023.5.24

3C分析とは、「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の頭文字である3つのCを意味する分析方法で、マーケティングの環境分析に使用されるフレームワークです。やり方、テンプレートから活用例までご紹介します。

多くのマーケターが見逃しているBtoBデジタルマーケティングの『勝ちパターン』では、3C分析をはじめとしたマーケティングの分析手法を活用し、デジタルマーケティングの実務に落とし込むためのポイントをわかりやすくまとめています。ぜひこちらの記事とあわせてご覧ください。

 
 
 
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3C分析とは、市場環境を分析するフレームワークのこと

3C分析は、「顧客(Customer)」「自社(Company)」「競合他社(Competitor)」の3つを軸にして市場環境を分析するフレームワークです。おもにマーケティング戦略の策定や、事業計画に用いられます。それぞれの意味は、以下のとおりです。

  • 顧客(Customer):市場と顧客のニーズはどのように変化しているのか
  • 競合(Competitor):競合は環境の変化に対して、どのように応じているのか
  • 自社(Company):顧客と競合の動きを踏まえ、自社が成功できる要因はどこにあるか

3C分析を用いて自社製品やサービスの強み・弱み、競合他社のビジネス戦略や市場シェア、そして顧客のニーズや行動パターンなどを調査することで、市場参入の戦略を立てる基礎にできます。さまざまな視点から自社の現状を把握する3C分析は、変化が激しい現代のビジネス環境において重要な分析手法となっています。

3C分析の目的は、マーケティング戦略の策定に必要な情報を収集し、方向性を決定すること

3C分析はマーケティングの基礎ともいえる、企業をとりまく状況を分析する「環境分析」に相当します。3C分析の目的は、マーケティング戦略の策定に必要な情報を収集し、方向性を決定することです。そのために、「自社」・「顧客」・「競合」の3分野を分析し、自社の対外的・内在的な強みと弱みの理解を深めます。

分析結果は、自社を差別化するポイントの把握にも役立ちます。たとえば、競合他社と比較することで、自社の市場競争力を再認識し、製品・サービスの改善点を発見できます。また、顧客ニーズの理解を進めれば、商品やサービスの改善や新規商品の開発につなげられます。

また、今日のマーケティングにおいては、AIとデータの活用が鍵となっています。世界の5,000人のマーケターの意見をもとに集約したマーケティングの最新事情レポートもあわせてご覧ください。

3C分析のテンプレート

3C分析のやり方や順番を3ステップで解説

3C分析は下記の3フェーズで進めます。

1) Customer:市場・顧客の分析

2) Competitor:競合の分析

3) Company:自社の分析

2つの外的要因である、「市場・顧客」と「競合」を分析した後に、内的要因である「自社」の分析を行い、市場におけるポジショニングを進めていきます。ここからは、それぞれのフェーズを具体的に解説します。

1)Customer:市場・顧客の分析

最初に取り組むのは「Customer」、つまり市場と顧客の分析です。全体としての市場と、その中にいる顧客に分けて、下記の項目ごとに分析します。

<市場に対する分析項目>

  • 市場規模
  • 成長性
  • 市場状況の変化

<顧客に対する分析項目>

  • ニーズ
  • 購買行動
  • 購買プロセス

市場に対する分析項目は、自社のビジネスモデルやマーケティング戦略を再評価するために用いられます。一方、顧客に対する分析項目は、顧客の行動パターンや購買履歴を理解するために用いられ、自社の商品やサービスの改善に活用できます。

このフェーズで重要なのは、市場全体を「マクロ」でとらえ、そこから「ミクロ」へ、そして個々の「顧客」へとフォーカスしていくことです。大局を見てから詳細を把握することで、市場変化へ敏感に対応できます。

市場・顧客分析のおもな手法である「マクロ分析」「ミクロ分析」「顧客分析」について、もう少し深掘りしてみましょう。

市場のマクロ分析(PEST分析)で、市場参入戦略や製品開発戦略を策定する

市場全体の動向や状況を理解するために行うのが市場のマクロ分析であり、おもに用いられる手法にPEST分析があります。PESTの4文字は、以下の4単語の頭文字をとったものです。

【PEST分析の4つの要素】

  • 政治(Politics):法律・税制・規制などと、それらの改正、政権交代
  • 経済(Economy):景気動向、経済成長率、為替・株価、原油価格
  • 社会(Society):流行、世論、少子化・高齢化などの社会的傾向
  • 技術(Technology):技術革新、インフラの整備、新技術の普及

PEST分析は、市場参入戦略や製品開発戦略などの策定に有用であり、市場の変化へ敏感に対応するために欠かせない手法です。4つの要素からアンテナを張ることで、変化やリスクに気付きやすくなるメリットもあります。

PEST分析以外の分析手法は、以下の記事で詳しく説明しているので、こちらもチェックしてみてください。

市場のミクロ分析(ファイブフォース分析)で、自社周辺の環境を分析する

市場全体を広くとらえるマクロ分析に対して、自社周辺の環境に限定して分析するのがミクロ分析です。

ミクロ分析に用いられる代表的な手法に、自社にとって脅威となりうる5つの要素を分析するファイブフォース分析があります。

【ファイブフォース分析の5つの要素】

  • 新規参入企業:参入者の技術力や商品力、ブランド力
  • 代替品:代替品の存在とその品質、乗り換えコストや手間
  • 買い手の交渉力:顧客との力関係のうち、顧客側の力
  • 売り手の交渉力:顧客との力関係のうち、自社側の力
  • 既存競合他社:自社も含めた、既存の競合他社のブランド力、資金力

個々の競合他社だけでなく業界全体が対象となるファイブフォース分析は、業界を深く理解し、自社の強みや弱みを正確に認識するために有用です。得られた分析結果は、未経験の業界へ新規参入するときの障害を把握したり、競合と差別を測るポイントを明確にしたりするときに役立ちます。

顧客の分析で、ニーズを把握して顧客をプロファイリングする

顧客の分析では、顧客属性や購買履歴、購買動機、購買行動などを分析することで、ターゲットとする顧客層を特定し、ニーズを把握します。市場調査やアンケート調査、顧客インサイトの明確化などにより情報を収集し、顧客セグメンテーションや顧客プロファイリングを進めていきましょう。

顧客分析の基礎知識については、以下の記事で詳しく解説しています。企業が顧客との信頼関係を築き、長期的なビジネスを展開するうえでも欠かせない手法なので、ぜひ一読ください。

2)Competitor:競合の分析

競合の分析では、競合企業の業界での存在感と、競合企業や商品・サービスそのものに対する分析を行います。分析項目は、それぞれ以下のとおりです。

【競合企業の業界での存在感に対する分析項目】

  • 業界内でのポジション
  • 市場シェアとその推移
  • 業界内外への影響力

【競合企業そのものや商品・サービスに対する分析項目】

  • 商品の特徴
  • 開発力、資金力、宣伝力
  • 顧客数
  • 事業規模
  • 収益性、生産性

競合の動向を把握し、市場環境の変化に自社を対応させることは、ビジネスを長期的に展開するうえで重要です。競合の状況は常に変化するだけに、定期的に分析を行いましょう。

3)Company:自社の分析

2つの外部要因の分析が終わったら、最後に自社を分析します。分析項目は以下のとおりです。

【自社に対する分析項目】

  • 商品の特徴
  • 市場シェアとその推移
  • 資産状況、資本力
  • 開発力、宣伝力
  • リソースの状況
  • 企業としてのビジョン

分析によって内側の強みと弱みが明確化されたら、自社のリソースの状況や企業としてのビジョンの見直しにも取り組みましょう。強みを発揮するには、正確なリソースの把握や揺るがないコンセプトが必要不可欠です。

これらをより正確に把握する手法としてVRIO分析があります。VRIO分析について簡単に説明します。

VRIO分析で、市場における競合優位性を判断する

VRIO分析は、自社の持つリソースや能力を4つの視点から分析し、市場における競合優位性を判断する手法です。分析には以下の4項目が用いられます。

【VRIO分析の4つの視点】

  • 経済価値(Value):市場機会に対する付加価値
  • 希少性(Rarity):他社が持たない希少な経営資源
  • 模倣困難性(Inimitability):模倣が難しい経営資源
  • 組織(Organization):経営資源を有効活用できる組織

市場で戦うには、自社をとりまく現状の正確な把握が求められます。マーケティングプランが立ち消えにならないように、冷静・客観的に分析しましょう。

 
 
 
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マーケティング戦略全体の流れを3ステップで解説

マーケティング戦略立案の流れは、以下の流れで進められます。

3C分析は、マーケティング戦略全体の上流に位置する、業界環境分析の一環として用いられます。最初に取り組む分析だけに、ここでの精度が戦略成功の確度を左右します。

とはいえ、3C分析はあくまでマーケティング戦略の一部であり、それだけでは戦略の立案はできません。それぞれのフェーズで適した手法を用いて、方向性を定めていく必要があります。マーケティング戦略立案の手順や分析手法は、以下の記事で詳しく説明しているので、こちらもチェックしてみてください。

SWOT分析で具体的施策を決定

環境分析において3C分析とともによく用いられる手法のひとつが、SWOT分析です。3C分析で得た情報をもとに、市場や業界の機会や脅威を把握し、戦略の決定や具体的な施策の立案に役立てていきます。

SWOT分析に用いられる項目は以下の4つです。

  • S:Strength(強み)
  • W:Weakness(弱み)
  • O:Opportunity(機会)
  • T:Threat(脅威)

SWOT分析は、マーケティング戦略立案の中でも、戦略の基盤となる重要なステップです。3C分析で把握した自社の強みや弱みと、市場や業界の機会・脅威を掛け合わせることで、強みを生かした機会の最大化や、弱みを補強する施策の立案など、具体的な戦略の決定につなげます。

3C分析を行う場合の2つの注意点

3C分析を行うときは「客観的な一次情報を集める」ことが重要です。また、「BtoBでは、顧客も含めた6C分析が有効」であることも覚えておきましょう。

3C分析は、分析すること自体が目的ではなく、傾向や対策を導き出すために行うものです。有用な分析結果を得るためにも、これらのポイントは押さえておきましょう。それぞれ詳しく解説します。

客観的な一次情報を集める

3C分析の中心は情報収集であり、それだけに客観的な一次情報を集める必要があります。一次情報とは、市場調査や顧客アンケートなどを通じて、企業自身が直接収集した情報のことです。一次情報の収集には、膨大なデータの蓄積が可能なMA(マーケティングオートメーション)やCRM(顧客関係管理)が役立ちます。

MAやCRMの活用は、顧客ニーズや競合他社のリサーチ、市場の動向調査などの情報収集に効果的です。MAとCRMでできることは、以下の記事で詳しく解説しています。

 
 
 
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BtoBでは、顧客も含めた6C分析が有効

BtoBの場合、3C分析に加えて、顧客である企業の分析も必要です。そのために用いられるのが、自社を中心とした3Cに加えて、顧客企業を中心に据えた3Cも併せて分析する6C分析です。相手の目線に立って顧客企業のニーズや目標を把握することで、企業価値を高めるための実情に即した提案につなげられます。

3C分析の結果は共有し、定期的な更新を行おう

3C分析は、市場と顧客に軸足を置いた分析方法であり、そのなかで成功するための要因を探る手段です。分析結果自体に意義があるのはもちろん、分析結果をもとにして全体で共通認識を持つことで、企業の地盤作りにも役立ちます。

ただ、市場環境は常に変化するため、定期的な更新が必要です。そのためにも、3C分析を定期的に実施し、分析結果をスムーズに共有できる仕組み作りが大切です。継続的な分析を行い、組織の長期的な発展につなげましょう。

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