メールマーケティングとは、メールを用いて顧客との接点をもち、最終的に自社商品やサービスのコンバージョンへと導くマーケティング手法です。
しかし、近年ではSNSの普及によって「メールマーケティングは古いのでは?」と不安を抱える担当者の方も少なくありません。
本記事では、メールマーケティングの重要性や種類、メリット・デメリットについて解説します。
実施の手順やツール、成功事例まで紹介しているので、メールマーケティングを検討中の方はぜひ参考にしてください。
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目次
- メールマーケティングとはメールを用いたマーケティング手法のこと
- メールマーケティングが重要視される背景
- メールマーケティングで期待できる5つのメリット・効果
- メールマーケティングで注意したい3つのデメリット
- メールマーケティングの種類
- メールマーケティングの4ステップの実施手順
- 【例文あり】メールマーケティングの件名・本文作成のコツ
- メールマーケティングで設定するべき6つのKPI
- メールマーケティングを成功させる6つのポイント
- メールマーケティングに必要な2つのツール
- メールマーケティングツールでできること
- メールマーケティングの成功事例5選
- Salesforceの「Einstein」ならワンクリックでセールスメールを作成できる
- 効率的なメールマーケティングで成果を高めよう
メールマーケティングとはメールを用いたマーケティング手法のこと
メールマーケティングは、Eメールを用いたマーケティング手法です。名刺交換をした相手や自社サイトで問い合わせをした見込み顧客に対して送る御礼のメールに、業界の最新情報など顧客にとって有益な情報を盛り込んだり、自社のサービスや製品に関する資料を添付したりしてアプローチし、関係性の継続と発展を図ります。
なお、メールマーケティングと混同されがちなメールマガジンは、メールマーケティングの施策のひとつです。メールマガジンについて、詳しくは後述します。
メールマーケティングはもう古い?現状と今後の展望
メールマーケティングは、ソーシャルメディアマーケティングやコンテンツマーケティングといった新たなデジタル手法が台頭する中でも、依然として有効な戦略です。
しかし、克服すべき課題もあります。
- スパムフィルターの強化
- 受信者の情報過多による疲労感
- Mail Privacy Protection(MPP)による開封率の信頼度の低下
- メールのエンゲージメント率の低下
- 顧客の興味を引く革新的なコンテンツ作成
今後の展望としては、ユーザーの行動分析にもとづく精緻なセグメンテーションや、個別化されたユーザーエクスペリエンスの提供が期待されます。
また、プライバシー保護との両立も重要な課題となるでしょう。
メールマーケティングは単なる情報発信ツールから、顧客の興味や関心を理解しながら、継続的に顧客との対話を深める戦略的チャネルへと進化しています。
メールマーケティングとメルマガの違い
メルマガとは「メールマガジン」の略称で、購読者として登録された顧客にEメールを配信するサービスを指します。既述の通りメルマガはメールマーケティングの一つですが、比較すると以下のようにとらえられます。
メルマガ | メールマーケティング | |
---|---|---|
目的 | 情報提供・継続的なエンゲージメントの強化 | 顧客の行動変容や購買意欲の喚起 |
得られる効果 | 顧客のファン化 | 商品の購入や資料請求など自社の目的を達成 |
成果が出るまでの期間 | 長期 | 短期 |
メルマガは、主に情報提供による顧客のファン化を目的としているため、同じ内容のメールを多数の読者に一斉配信する形式が一般的です。
一方で、メールマーケティングは、顧客の行動変容や購買意欲の喚起を主な目標とし、個々の顧客の属性や過去の反応にもとづいてメッセージを送信します。
たとえば、購入履歴の情報をもとに、顧客ごとに異なる商品をご紹介することなども含まれます。
また、メールマーケティングでは、配信後の反応分析や効果測定によって、次のアクションにつなげる施策を立案し、より効果的なマーケティングの展開に貢献します。
メールマーケティングが重要視される背景
メールマーケティングが重要視される背景には、ビジネスにおいて、依然としてメールが重要なコミュニケーション手段であることが挙げられます。
SNSをはじめとしたコミュニケーションツールや動画、オウンドメディアなど、マーケティング手法は多様化が進んでいます。最新のアプローチを知る人は、メールマーケティングを古いと感じるかもしれません。
しかし、一般社団法人日本ビジネス協会が2024年に実施した「ビジネスメール実態調査2024」によれば、仕事で使っている主なコミュニケーション手段のトップは「メール」で98.6%を占めました。テレワークの普及などで「テレビ会議・ウェブ会議」も増加傾向にあるものの、多くの顧客と定期的に、かつお互いの都合を合わせることなくコミュニケーションをとれるメールの果たす役割は、依然として大きいといえるでしょう。
メールマーケティングの場合、アプローチ後の顧客行動をオンラインでたどり、購買意欲の高い見込み顧客を抽出して集中的にアプローチできるのもメリットです。
メールマーケティングで期待できる5つのメリット・効果
メールマーケティングで期待できるメリット・効果は、以下の5つです。
- 費用対効果が高い
- 機会損失を防止できる
- 顧客に応じたメッセージの出し分けができる
- 効率的に効果検証できる
- 簡単に取り組みをはじめられる
コスト面や運用面のメリットを理解し、効果的なメールマーケティングを実施しましょう。
費用対効果が高い
メールマーケティングのメリットは、費用対効果が高い点です。メールマーケティングでは、MA(マーケティングオートメーション)のメール配信機能、あるいは独立したメール配信システムを使います。いずれも月額利用料で利用できる手軽なシステムが多く、導入しやすいでしょう。
また、顧客エンゲージメントの観点でも、メールアドレスが手元にあることは、接点のあった見込み顧客が自社や自社製品を好意的にとらえてメールアドレスを提供している場合が多く、顧客となる確度が高い状態と判断できます。
機会損失を防止できる
自社の製品やサービスに対して、顧客の興味がもっとも高まる瞬間を、正確に予測することは困難です。しかし、定期的なニュースレターや、顧客の行動に応じて自動送信されるトリガーメールの活用すれば、機会損失の発生防げます。
また、顧客データの分析にもとづいたセグメンテーションを行うことで、一人ひとりの顧客により「個別化」されたコンテンツを提供し、各顧客の興味や行動パターンに合わせた価値ある情報提供ができます。
メールマーケティングを通して、顧客との関係性が深まり、潜在的な販売機会を最大限に活かせるのです。
顧客に応じたメッセージの出し分けができる
顧客に応じたメッセージを送信できることもメールマーケティングのメリットです。メールマーケティングでは、リード全体を分析して行動や属性ごとにセグメント化し、それぞれに最適化された内容とタイミングでメールを送信します。
それぞれに最適化された出し分けは、One to Oneマーケティングに近く、試供品の申し込みやイベントへの参加、商品の購買といったアクションへとリードを導く効果があります。
効率的に効果検証できる
メールマーケティングには効率的に効果検証ができるというメリットもあります。MAなどのツールを導入するとメールの到達率や開封率、クリック率、コンバージョン率、配信停止率などを確認できます。
メールマーケティングに関する数値の把握は、課題分析で有効です。
以下のような課題が明確になりやすく、速やかに改善を図れるようになります。
- メールが開封されていない
- 訴求先がクリックされていない
- コンバージョンが発生していない
送って終わりではなく、効果を見ながらブラッシュアップしていきましょう。
簡単に取り組みをはじめられる
メールマーケティングは、顧客情報やメール配信ツールさえあれば簡単に取り組みをスタートできます。
デジタルマーケティングにはさまざまな手法があり、運用を開始するための準備に時間がかかる場合もあります。
しかし、メールマーケティングであれば、メールの仕組みや送信方法を理解している人が多いため、操作方法に関する研修なしに実施可能です。メールマーケティングをしたことがない企業でも、スムーズに準備して運用できるようになります。
メールマーケティングで注意したい3つのデメリット
メールマーケティングを実施するうえで、注意したいデメリットは以下の3つです。
- コンテンツ作成に負担がかかる
- 運用・配信にはコストが発生する
- 中長期的な運用が必要となる
コンテンツ作成や運用におけるコストやリソースなどを考慮して、メールマーケティングを開始しましょう。
コンテンツ作成に負担がかかる
メールマーケティングのデメリットは、コンテンツ作成に負担がかかることが挙げられます。メールマーケティングでは、見込み顧客のステータスや購買意欲に応じたコンテンツの配信が重要になります。
シナリオやセグメントが増えればメールの数も増え、企画やアイデアをだす難度があがるため、制作チームを作ったり、コンテンツ作成の時間を確保したりするなどの工夫が必要です。
運用・配信にはコストが発生する
メールマーケティングには費用対効果が高いというメリットがあるものの、運用において一定のコストが発生します。
メール配信ツールやマーケティングツールの導入費用や担当者の人件費などが主な費用です。金銭的なコストだけではなく、人的なリソースも求められるため、計画的な運用が必要になります。
中長期的な運用が必要となる
中長期的な運用が必要になる点もメールマーケティングのデメリットです。メールマーケティングは、単発で効果が出る手法ではありません。
良質なコンテンツの配信を継続してユーザーを引きつけることが大切です。中長期的にモチベーションを維持し、ネタを探し続ける努力をしなくてはなりません。
メールマーケティングの種類
メールマーケティングはメールを活用したマーケティング手法ですが、具体的な手段は複数あり、以下の6種類に細分化されます。
- メールマガジン
- ターゲティングメール(セグメントメール)
- ステップメール
- リターゲティングメール
- メール広告
- 休眠発掘メール
6種類のメールマーケティングの特徴や違いを理解し、自社にあった方法を選択しましょう。
メールマガジン
メールマガジンは、見込み顧客や潜在顧客に対して、メールで定期的に情報を配信するマーケティング手法です。一斉に同じ内容が送信されるため、メールマガジンからコンバージョンに直結させるのは困難な面もあります。新製品やキャンペーンの情報などを記載し、関係性の維持や深化を図る手法として使われるのが一般的です。
メールマーケティングの中では比較的手間が少ないため、手軽に運用をはじめられます。一方で、多くの企業で取り組んでいるため、膨大なメールの中で自社のメールマガジンが埋もれるリスクには注意が必要です。多数のメールの中から選ばれるためには、件名や内容を工夫しなくてはいけません。
『メールマーケターのためのベストプラクティス50選』では、実践から得られた50のベストプラクティスをまとめています。顧客の心に響き、価値を感じさせるメールの作成方法を解説していますので、ROI(投資利益率)の向上にお役立てください。
ターゲティングメール(セグメントメール)
ターゲティングメールはターゲットのニーズにあった内容を配信する手法で、以下のような観点で見込み客を分類して、それぞれにアプローチします。
- 属性や住んでいる地域
- ライフスタイル
- サイト訪問の回数
- 購入した物や購入の頻度
見込み顧客に「欲しい情報を送ってくれる」と好印象をもってもらえれば、開封率やクリック率が高まり、継続的に良い関係を築けます。
ターゲットが明確なため、メールを開封した顧客に対する案内メールに適しています。メールを求めていない顧客への送信を行わないため、メール配信の解除率を下げられるのも特徴です。
ステップメール
ステップメールは特定のアクションを起こした顧客に対して、あらかじめ用意しておいたメールを段階的に、シナリオ通りに配信していく手法です。
資料請求日や初回購入日などを起点として自動で配信されるため、マーケティング担当者の工数を大幅に削減できます。また、アクションに応じて少しずつ購買意欲を高めるメールを送ることで、顧客を育成できます。
1回のメールですべての内容を送ると、アクションまでつながらない場合があるため、あらかじめシナリオを練ったうえで、焦らず段階的に情報発信するのがポイントです。
また、改善のPDCAを回していくためにも、目標と測定基準の設定を忘れずに行いましょう。
リターゲティングメール
リターゲティングメールは、ウェブサイトへのアクセス、メールの開封といった興味や関心にもとづく顧客行動をトリガーとして配信されるメールです。より確度の高い顧客をターゲットにすることで、効率良くコンバージョンにつなげられます。
ユーザーの行動をきっかけにメールを配信するため、行動とアプローチの内容がマッチした場合に開封率やクリック率などの成果の改善を期待できる点がメリットです。ECにおける購入のリマインドにも効果的で、売上・利益の向上にもつなげられます。
メール広告
メール広告とは、電子メールで送信される広告です。メール全体を広告として送信するタイプと一部に広告を設置するタイプがあります。
作成の工数はそれほど多くないため、入稿から配信までをスピーディに進められるのがメリットです。ターゲットにあった広告であれば、クリックやコンバージョンを期待できます。
一方で、顧客の環境によって画像や動画がうまく表示されなかったり、スパムメールや迷惑メールとみなされたりする点には注意が必要です。
休眠発掘メール
休眠発掘メールは、一度アクションがあったものの、一定期間動きがない顧客へのメールです。休眠顧客や休眠リードにメールを送り、アクションを促します。
動きがない状況を解決するためには、以前とは異なる内容でアプローチするのがポイントです。休眠発掘メールによってアクションが起きた際は、ステップメールやターゲティングメールに移行し、商談や問い合わせへの転換を目指します。
メールマーケティングの4ステップの実施手順
メールマーケティングは、以下のステップで実施するのが一般的です。
- 目標設定
- 送信先アドレス獲得・リスト作成
- コンテンツ作成・配信
- 効果測定と検証・改善
目標設定から配信までで終わるのではなく、効果測定・検証まで行い、サイクルを効率的に回しましょう。
1)目標設定
メールマーケティングを実施するには、まず明確な目標を設定します。目標はなるべく具体的なほうが良いでしょう。
たとえば、メール経由での資料請求数をKGI(重要目標達成指標)として設定したら、その指標となるKPI(重要業績評価指標)として開封率やクリック率などを設定します。
2)送信先アドレス獲得・リスト作成
KGIやKPIなどの目標を設定できたら、次はメールアドレスを集めてリスト化します。アドレスを獲得する手段には、見込み顧客がメールマガジンの申し込みや資料請求をする際のデータ入力があります。
リスト化の際にはユーザーの属性がわかるように登録し、配信時に効率的に活用できるようにしましょう。
3)コンテンツ作成・配信
配信先のリストが完成したら、顧客の属性や状況に合わせたコンテンツを作成し、実際に配信します。魅力的なメールにするために、顧客にとってどのような情報が必要かを考え、コンテンツに反映していきます。
作成・配信するメールが多い場合は、マーケティング活動をサポートしてくれるMAなどのツールを活用しましょう。
4)効果測定と検証・改善
配信を終えたら、最後に効果測定と検証・改善に取り組みます。効果測定もMAなどのツールを活用すると効率化が可能です。
設定したKPIに対して、実際の結果がどうだったかを検証します。改善点を洗い出し、再度目標を設定しましょう。
メールマーケターのためのベストプラクティス50選
多くのマーケターの成功から導き出された、「顧客の感情に響く」メールマーケティングの50のヒントを紹介します。
【例文あり】メールマーケティングの件名・本文作成のコツ
メールマーケティングにとってメールの件名や本文は、顧客の行動変容や購買意欲の喚起に直接影響する要素です。そのため、以下の各要素のコツを把握して、メールを作成することが重要になります。
- 件名・本文を作成するポイント
- 開封率を高める件名の例文
- ヘッドコピーの例文
- ボディコピーの例文
- クロージングコピーの例文
実際に活用できるように、それぞれ例文を用いて解説します。
件名・本文を作成するポイント
メールマーケティングに効果的なメールを作成するためには、3つの重要なポイントがあります。
- 顧客の興味関心を引く件名
- 思わず見てしまうようなファーストビュー
- シンプルで明確なメッセージ
ありきたりな件名では、ほかのメールに埋もれてしまうため、読者の興味を引く具体性のある件名が効果的です。
また、メールは最初から最後まで読まれるとは限らないため、最初の数行で核心に触れたり、メールの前半に重要なリンクを配置したりして、クリック率アップを狙いましょう。
1通のメールに複数の内容を詰め込んでしまうと読者を混乱させてしまうため、シンプルで明確なメッセージを伝えることが重要です。
エンゲージメントを高める件名の例文
メールの本文を読んでもらえるかどうかは、件名次第です。メールのエンゲージメントを高めるためには、読者が興味をもちそうな言葉を含めることが重要です。
具体的には、お得感や限定感、新着情報などに関する言葉を含めると良いでしょう。また効果を定量的に示すことも重要です。例文は、以下のとおりです。
- 例文1:【24時間限定】50%OFFクーポンを受け取れます!
- 例文2:Emailの効率を10%向上させる方法とは
【】や!などの記号を含めると、より読者の目を引く件名を作成できます。ただし、過度な誇張や虚偽の表現は避け、内容に見合った件名を作成しましょう。
ヘッドライン(ヘッドコピー)の例文
ヘッドライン(ヘッドコピー)とは、メール本文の冒頭に配置して読者の興味を引くテキストのことです。
メールを開いた後に最初に目に入る部分で、読者の興味を引き、本文を読み進める動機づけをする重要な役割があります。
ヘッドコピーの例文は、以下のとおりです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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取引先への商談成約率を大幅に向上させた秘訣とは
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〇〇様
お世話になっております。
〇〇株式会社、ソリューション営業部の△△です。
製品の導入効果を端的に伝え、読者の興味を瞬時に引きつける必要があります。
例文のように、記号を使った視覚的要素と魅力的な言葉遣いの組み合わせによって、読者を本文へと導く効果的なヘッドコピーを作成できます。
ボディコピーの例文
ボディコピーは、ヘッドコピーで引き付けた読者の興味を維持し、具体的な情報を提供する重要な部分です。
効果的なボディコピーは、簡潔な文章で、読者の利益や問題解決方法を明確に示します。
架空の営業支援システムをもとに作成したボディコピーの例文は、以下のとおりです。
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読者の課題に共感しつつ、システムの特長やコスト削減メリットを簡潔に伝えることが重要です。
クロージングコピーの例文
クロージングコピーは、メール本文の締めくくりとして重要な部分です。
読者に行動を促し、商品やサービスへの興味を高めて、最終的に購買や問い合わせにつなげる役割があります。
架空の営業支援システムをもとに作成したクロージングコピーの例文は、以下のとおりです。
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メールマーケティングで設定するべき6つのKPI
KPIとは、組織が目標を達成するまでのさまざまなプロセスにおける達成度を示す数字です。最終的な目標を達成できるかどうかを判断する指標になります。
メールマーケティングにおいて設定するべきKPIは、以下の6つです。
- 開封率
- 不達率
- クリック率
- 反応率
- コンバージョン率
- 購読解除率
メールマーケティングの効果を最大化し、より戦略的なアプローチができるように詳しく見ていきましょう。
なお、KPIの設定方法や管理のコツについて詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。
開封率
開封率は、配信完了したメールが、読者に開封された割合を示す指標です。
「開封数÷配信成功数×100」という計算式で求められます。
高い開封率は、読者の興味を引くコンテンツや適切なタイミングでの配信ができていることを意味します。
一方で、低い開封率は改善の余地があることを示唆しており、戦略の見直しが必要です。
効果的に開封率を向上させるためには、読者の好奇心を刺激し、メールの中身に価値があることを予感させるような、件名の工夫が求められます。
また、セグメント配信や配信時間の最適化など、さまざまな要素を考慮しながら改善を図ることが大切です。
不達率
不達率は、メールが配信先に届いていない割合を示す指標です。1000通送信して50通が戻ってきたら、不達率は5%となります。
不達率が高いと、メールの到達性が低下し、マーケティング効果が損なわれます。メールが届かない原因は、主に以下の2つです。
- 一時的なサーバーの影響
- メールアドレスが間違っている
不達率の上昇は、迷惑メール業者と間違われる原因になるため、定期的なリストクリーニングを行って、早期に改善する必要があります。
クリック率
クリック率は、読者がメール内のURLやコンテンツに興味を示し、実際にクリックした割合です。メール内のURLやコンテンツがクリックされた回数を、配信されたメールの総数で割ると値を求められます。
製品ページへの誘導や導入事例のダウンロード促進など、さまざまなマーケティング目標を達成するために、クリック率を向上させる施策が必要です。
たとえば、パーソナライズされたコンテンツの提供や明確なCTAボタンの配置などが効果的です。あわせてA/Bテストを実施すると、最適な戦略を見つけ出し、継続的な改善につながります。
反応率
反応率は、開封されたメールの中で、どれだけの読者がコンテンツに興味を示し、実際にアクションを起こしたかを示す指標です。具体的には、メールが開封された後に、リンクやボタンがクリックされた割合を表します。
反応率は、単なる開封率やクリック率以上に、コンテンツの魅力度や訴求力を測るうえで効果があります。メールを開いた読者の中で、どれだけの人が次のステップに進んだかを明確にするからです。
反応率を継続的に分析して改善することによって、効果的なメールマーケティングの設計が可能になり、コンバージョン率の向上につながります。
コンバージョン率
コンバージョン率は、メール受信者のうち、購買や資料請求など企業が期待する行動を行った割合を示す指標です。
算出方法は、主に以下の2種類です。
算出方法 | 特徴 |
---|---|
総配信数を基準にする方法 | 全体的な効果を評価するのに適している |
メール内にあるリンクのクリック数を基準にする方法 | ランディングページの効率を評価するのに適している |
コンバージョン率を向上するには、セグメンテーションの精緻化やメール内容の改善、ランディングページの最適化が効果的です。
コンバージョン率を注視し、定期的な分析と改善を実施することで、メールマーケティングの効果を最大化できます。
購読解除率
購読解除率は、メール配信の登録を解除したユーザーの割合を示した指標です。たとえば、10,000人の登録者のうち30人が解除すると、購読解除率は0.3%となります。
購読解除率が高い場合、コンテンツの魅力度や配信頻度に問題がある可能性があります。
一方で、極端に低い場合は、ユーザーの無関心や配信メールがスパムフォルダに振り分けられている可能性が考えられるでしょう。
単に数値を追うだけでなく、解除の理由を分析し、継続的な改善につなげることが重要です。ユーザーのニーズに合わせたパーソナライズや価値ある情報提供が、健全な購読解除率の維持につながります。
メールマーケティングを成功させる6つのポイント
メールマーケティングを成功させるためには、以下のポイントが重要です。
- 十分に練ったシナリオを設計する
- 長期的な視点で戦略やスケジュールを立てる
- ABテストを繰り返しメールの精度を高める
- PDCAサイクルによる改善を続ける
- 法律を遵守して作成する
- メールマーケティングツールやMAツールを活用する
6つのポイントを実践し、メールマーケティングのKPI達成を目指しましょう。
十分に練ったシナリオを設計する
十分にシナリオを練ることがメールマーケティングを行う際のポイントのひとつです。顧客の思考や行動のパターンは多岐にわたります。そのため、顧客視点で配信メールの内容とシナリオを十分に練ることが大切です。
送られてきたメールを見て「役に立つ」「良いタイミングで送ってくれた」「自社の課題を解決できそうだ」と思ってもらえれば、さらにナーチャリングして優良顧客として営業に引き継げるでしょう。
『いまから始めるマーケティングオートメーション 定番シナリオ20選』では、はじめての方にとってハードルが高いMAのシナリオ立案についてわかりやすく解説していますので、短期間での成果創出にご活用ください。
長期的な視点で戦略やスケジュールを立てる
メールマーケティングは、2通~3通程度で結果が出る取り組みではなく、継続的に運用する必要があるため、長期的な視点で戦略やスケジュールを立てましょう。
見通しを立てずに取り組みはじめると、メールのネタがなくなるため、年間単位で計画を立案するのがポイントです。最低でも数ヶ月先を見据え、クオリティを保ちながら運営できる体制を整えましょう。
ABテストを繰り返しメールの精度を高める
メールマーケティングの成果はメールの質に左右されるため、精度をブラッシュアップするために、ABテストを繰り返し行いましょう。
ABテストとは異なる2つのパターンでどちらが成果を得られるかを比較・検証し、成功パターンを見つける方法です。件名や内容など課題と思われるポイントに絞ってABテストを行い、より成果につながるメールを目指しましょう。
PDCAサイクルによる改善を続ける
PDCAサイクルを回して、次回以降の配信へ活かすことも、メールマーケティングを実施するうえでのポイントです。配信後は、必ず結果を分析し、コンテンツや施策のブラッシュアップにつなげます。
このとき、顧客の獲得や育成といったマーケティング活動の一部を自動化してくれるMAを使うと、担当者の負担を軽減して施策の幅を広げられます。メールマーケティングは、効果測定の結果をもとに、何度も改善を重ねることで洗練されていく施策です。コンテンツの内容や文字数など、さまざまなトライを積み重ねて効果を高めましょう。
法律を遵守して作成する
メールマーケティングに取り組むにあたって「特定電子メール法」にもとづいてメールを配信する必要があります。
特定電子メール法とは、受信者の意思に反した広告や宣伝メールの送信を防ぎ、健全な電子メール環境を維持するための法律です。
違法なメール配信にならないためのポイントは、以下の3つです。
ポイント | 内容 |
---|---|
オプトイン(配信同意)を得る | 広告や宣伝メールの送信が行われることを明確にし、同意を得た場合のみメールを配信する |
オプトアウト(配信停止)を設置する | いつでもオプトアウトできるように、配信停止の手続きを行うリンクを送信メールに記載する |
送信元などの表示義務を守る | 送信メール内に送信者の氏名(事業者の名称、住所、連絡先を明記する |
メールマーケティングの成果が出る前に社会的信用を失わないように、必ず遵守してメールを配信しましょう。
メールマーケティングツールやMAツールを活用する
メールマーケティングを効率的に進めるためには、メールマーケティングツールやMAツールを活用するのがおすすめです。
メールマーケティングツールには、メール作成や配信などの機能が搭載されており、効果測定や改善なども一貫して対応できます。
MAツールは、メール機能だけではなく、マーケティング全般に関する機能をもつツールです。メール以外のマーケティング手法にも取り組んでいる場合は、MAツールで一元化するのが良いでしょう。
ただその一方でMAはツールであり、マーケティング施策の実行をサポートする手段の一つにすぎません。まずは会社としてマーケティング戦略を決め、それをもとに各施策の設計に落とし込むことが重要です。
メールマーケティングに必要な2つのツール
メールマーケティングの成功には、適切なツールの活用が欠かせません。ここでは、メールマーケティングを効果的に行うために必要な主要ツールを2つ紹介します。
- メール配信ツール
- MAツール(マーケティングオートメーションツール)
メール配信ツール
メール配信ツールは、メールキャンペーンの計画から実行、ターゲットリストへの一斉送信までをサポートするプラットフォームです。このツールを使用することで、ターゲットオーディエンスに対して適切なタイミングで、パーソナライズされたメッセージを届けられます。
SalesforceのMarketing Cloudは、業界をリードするメール配信ツールであり、次のような高度な機能を提供します。
主な機能 | 内容 |
---|---|
セグメント化 | 顧客データを細かく分類し、特定のセグメントに対してカスタマイズされたメッセージを送信できます。 |
パーソナライズ | 顧客の名前や過去の購入履歴など、個々の情報を活用して、より個別化されたメールを作成できます。 |
オートメーション | 開封後、メール内のURLをクリックした率を示します。コンバージョンに直結する重要な指標です。 |
上記のような機能により、Marketing Cloudは顧客とのエンゲージメントを強化し、マーケティングキャンペーンの効果を最大化します。効率的なメール配信を通じて、顧客満足度の向上とビジネスの成長を実現しましょう。
MAツール(マーケティングオートメーションツール)
MAツールは、マーケティング活動を自動化し、効率化するためのツールです。これにより、定期的なフォローアップメールやトリガーベースのメッセージ送信を自動化でき、手動での作業を大幅に削減できます。
SalesforceのMarketing Cloudの主要機能のひとつであるJourney Builderは、次のような機能を提供します。
主な機能 | 内容 |
---|---|
ワークフローオートメーション | 顧客のライフサイクルに沿ったマーケティング活動を自動化し、適切なタイミングでメッセージを送信します。 |
パーソナライズ | 顧客の行動データをもとに、パーソナライズされたマーケティングキャンペーンを作成・実行できます。 |
リアルタイムエンゲージメント | 顧客のリアルタイムの行動に応じて、即時に対応することで、エンゲージメントを高められます。 |
MAツールを導入することで、マーケティングプロセスの効率化と自動化が実現し、より効果的なキャンペーンの実行が可能となります。
メールマーケティングツールでできること
メールマーケティングは、見込み顧客へのメール配信で成果を目指すというシンプルなマーケティング手法ですが、配信先のセグメンテーションとメールの内容、配信するタイミングなどの工夫次第で大きな成果を生み出せます。自動化できる部分をMAのようなマーケティングツールに任せれば、担当者はよりクリエイティブで成果に直結する作業に力を注げるでしょう。
メールマーケティングツールでできることは、以下の3つです。
- HTMLメールの効率的な作成
- ステップメールの自動配信
- 送信先でのアクションをフィードバックできる
各機能の特徴を押さえて、メールマーケティングツールを効果的に活用しましょう。
HTMLメールの効率的な作成
マーケティングツールを使えば、見栄えの良いHTMLメールを効率的に作成・送信することが可能です。画像やロゴなど視覚的に目を引くHTMLメールは、ターゲットとなる顧客に合わせてカスタマイズすればより良い印象を残せます。担当者の負荷を軽減して高い効果を見込めます。
ステップメールの自動配信
マーケティングツールの機能を使うと、顧客がトリガーとなる行動を起こしたタイミングで自動的にメールを送信できます。ステップメールの配信では、顧客の行動に合わせて迅速にメールを送り、競合への流出や離脱を防ぐ必要があるため、マーケティングツールでの自動化が効果を発揮します。
送信先でのアクションをフィードバックできる
マーケティングツールでは送信先のアクションのフィードバックを受けられます。具体的に確認できる要素はメールの到達率や開封率などです。
メールマーケティングの効果は、送信先の反応によって評価されます。マーケティングツールには、以下の4つをはじめとした重要な指標を検証する機能が準備されています。
指標 | 概要 |
---|---|
到達率 | 配信したメールが迷惑メールに分類されることなく、無事に顧客の受診フォルダに到達した率を算出します。 数値が高いほど、ロスなくメール配信ができていることになります。 |
開封率 | 受信ボックスに届いたメールが開封された率を算出します。 開封率が低い場合、送信タイミングや件名の見直しが必要です。 |
クリック率 | 開封後、メール内のURLをクリックした率を示します。 コンバージョンに直結する重要な指標です。 |
成約率 | 購入や問い合わせなど、メール配信の目的が達成された率を表します。 この成約率がメールマーケティングの最終的な目標になります。 |
指標のモニタリングをこまめに行い、達成度の進捗把握や課題の改善に活かしましょう。
メールマーケティングの成功事例5選
セールスフォースのツールを活用したメールマーケティングの成功事例を5社紹介します。
- 株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド
- 東日本旅客鉄道株式会社
- 株式会社サトーホールディングス
- 日本航空株式会社
- 株式会社カラダノート
事例をチェックし、自社で活かせるヒントを見つけ、メールマーケティングを成功させましょう。
株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド
株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドは、長期的な施策の一貫として、Marketing Cloudを活用したメールマーケティングの高度化に取り掛かりました。
顧客情報はすでに蓄積されていたものの、事業部ごとに情報が散らばっていたため、データを有効に活用できていない状況がありました。Marketing Cloudによって情報を一元管理・可視化し、複数のシナリオ設定によって配信頻度を高めています。
さらに、顧客情報管理によって会員の特性を明らかにできたことで、より効果的なタイミングでのメール送付で開封率もアップしました。入会時や記念日などのシナリオも開発し、メールマーケティングをさらに推進しています。
東日本旅客鉄道株式会社
東日本旅客鉄道株式会社は、東北・関東・甲信越をカバーする鉄道会社でありながら、グループで駅ビルやオフィスなどさまざまなビジネスを展開しています。
独自のポイントプログラム「JRE POINT」を運営し、グループ内の購買データ統合や移動を図っていたものの、会員へのアプローチができていなかったことから、Marketing Cloudを活用したメールマーケティングを開始しました。
Marketing Cloudによって顧客に合わせて異なるメールを配信できるようになり、キャンペーンのエントリー率や売上が大幅に増加しています。メールのシナリオはこまめにブラッシュアップを加え、メールマーケティングの最適化を続けています。
株式会社サトーホールディングス
株式会社サトーホールディングスは、産業用プリンタメーカーの最大手として知られる自動認識ソリューションのグローバル企業です。
出展した展示会で得た名刺情報を活用できていない状況があり、Account Engagement(旧Pardot)の運用を開始しました。パートナー企業との共催セミナーの集客にあたって、名刺データを活用してメールを配信したところ、1日も待たずに満席を達成しています。
Account Engagement(旧Pardot)を活用したメールマーケティングはパートナー企業からの評価も高く、地方都市でのセミナー追加開催にもつながったとのことです。
日本航空株式会社
日本航空株式会社では、マイレージプログラムを運営し、顧客とメールマガジンでコミュニケーションをとっています。しかし、各部署で顧客情報を管理していたため、同じ顧客にそれぞれの部署から何通もメールが届く状態になっていました。
メールのコミュニケーションを改善するために、Marketing Cloudを導入しています。各部門に売上目標がある中で、メールを送信した部門と配信対象者両方にスコアをつけることで、公平性を保ちながら配信頻度を高められる仕組みを構築しました。
好感度の高いメールを制作した部門は上位にランクされ配信頻度を増やせるため、各部門でメールの改善に取り組む環境が生まれています。開封率にも成果があらわれ、Web販売部では4~5%アップし、クリック率も0.1〜0.2%向上しました。
株式会社カラダノート
株式会社カラダノートは、妊娠・育児アプリや健康管理アプリなどを展開している企業です。Service CloudとMarketing Cloudを導入し、細やかなセグメンテーションとシナリオにもとづいたメールマーケティングを実現しました。
Service Cloudで会員軸での顧客データを蓄積し、セグメンテーションを実地しています。セグメンテーションされた会員にメールを配信することで、柔軟かつ手軽なメールマーケティングを行えるようになりました。
さらに、Marketing Cloudに搭載されているメール内アンケート機能も活用し、顧客の入力工数を削減することで、顧客満足度や入力率を高めています。
Salesforceの「Einstein」ならワンクリックでセールスメールを作成できる
Salesforceの「Einstein」は、予測AIと生成AIを駆使して、CRMに蓄積した顧客情報を営業サイクル全体で有効に活用できるツールです。繰り返し行う単純作業や定型業務の負担軽減に効果があります。
メールマーケティングにおいては、CRMに蓄積した顧客データをもとに、ワンクリックでパーソナライズされたメール作成が可能です。以下のSalesforce外の環境でも自動化に対応しています。
- MicrosoftOutlook
- Gmail
また、リードのポテンシャルや関連する営業活動にもとづいて最優先の案件の見極めができるため、推測や勘による機会損失の防止に有効です。
Salesforceの「Einstein」については、以下の記事で詳しく紹介しています。興味のある方は、あわせて参考にしてみてください。
効率的なメールマーケティングで成果を高めよう
メールマーケティングは、メールを活用して顧客との接点をもち、商品やサービスの購入へと導くマーケティング手法です。費用対効果が高く、顧客に応じたメッセージの出し分けができるメリットがあります。
一方で、コンテンツ作成の負担や中長期的な運用が必要となり、十分に練ったシナリオの設計やPDCAサイクルによる改善が重要です。
担当者の手作業では負担が大きいため、施策の自動化や工数の削減などを実現するために、マーケティングツールの導入を検討しましょう。
SalesforceのMarketing Cloudは、AI機能を利用して、パーソナライズされたメールの自動作成やデータにもとづいた顧客インサイトの特定が可能です。操作感や仕様が気になる方は、ぜひデモ動画をご覧ください。
AI搭載マーケティングオートメーション
Marketing Cloud
顧客データを1つのプラットフォームに集約し、AIを活用してマーケティング施策を拡大しましょう。
素早い成約へと導くMAツールを3分で解説します。